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【永遠の・・・】


「ヒチョル先生・・お疲れ様でした」

看護師の言葉に軽く頷いたヒチョルは

手袋をゴミ箱に捨てると丁寧に自分の手を洗う


「今日の手術も完ぺきだったな」

隣に並んで手を洗っているシウォンが声をかけると

「・・・疲れた・・・」

ひと言だけ言い放ってヒチョルは去って行った


「相変わらず・・・氷の女王様だね・・・」

肩すかしをくらったシウォンはそう呟くと

切なそうにその後ろ姿を見送った






国立城東病院に勤務している外科医のキム・ヒチョルを

初めて見る人のほとんどはその美貌に息を飲む

そしてその年齢にそぐわない手術の技に人々は再度驚かされる

天才外科医

マスコミが彼につけた肩書に満足しない同僚たちは

決して心を開かず、微笑む事もせず

いつも冷たい視線で周囲を見つめるヒチョルに対して

「氷の女王」というあだ名を密かにつけていた



「昔はあんな人ではなかったのにね・・・あの事件から心を閉ざしてしまって」

看護師長のヒョリンはシウォンの肩を叩いて

「シウォン先生もそんな顔してないの!!!!患者さんが不安がるでしょ」と微笑んだ

「ヒチョル先生はまったく愛僑もなんもないから・・

シウォン先生がその分のフォローしてくれないと・・・

私達ナースは先生のおかげで助かってるんですよ」

そう言われてシウォンは

女性ならだれでも蕩けてしまう笑顔をヒョリンに向けて

「ありがとう」と小さく呟いた




着替え終わったヒチョルは足早にある場所に向かう

すれ違う看護師たちもヒチョルの姿を見て静かに視線をそらした

ヒチョルは個室の扉をあけるとベットに眠っている人物に視線をおとした

体中に機械のコードや酸素マスクなどつけられて

意識もなく植物状態のハンギョンがベットに横たわっている

ヒチョルは毎日ハンギョンの部屋に通っていた


「ハンギョン・・・今日の手術は想定外の事が起きて

いろいろ大変だった・・・疲れたよ」

ハンギョンのベットの横に座ると手を握りながら

一日の出来事を報告するのがヒチョルの日課になっていた


「ハンギョン・・・明日は何の日か覚えてる?」

ヒチョルはハンギョンの端正な寝顔を見つめたまま話を続ける

「エバーランドにデートに行って・・・

俺達が永遠の愛を誓い合った・・・記念日だよ・・・」

ヒチョルはハンギョンの右手を自分のほほに当てながら

「こんなに暖かいのに・・お前の心臓も動いているのに・・・」

瞳から涙を一筋流す

「俺の言葉は聞こえてるんだろう? あの日お前が俺を庇ってこんな事に・・」


当時ヒチョルは手術中に死なせてしまった患者の遺族から恨みを買っていた

その遺族が裁判を起こしたがヒチョルが無罪となり

逆恨みをした遺族が車でヒチョルを引き殺そうとした

一緒にいたハンギョンがヒチョルを庇って車にはねられ

意識不明のまま現在に至っている


「起きた事を悔やんでも仕方ないのは分かってる・・・・

でも・・お前の声が聞きたい・・強く抱きしめてもらいたい・・・」

ハンギョンの指がかすかに動いたようにヒチョルは感じた

最近ヒチョルが悲しんでいると

握っている手の指が微かに動くように感じる

それ以来ハンギョンに自分の声が聞こえているんだとヒチョルは感じ

毎日のように話をしに来るようになったのだった

「ごめん・・・お前が一番辛いんだよな・・俺の声が聞こえても

お前からは話せない・・・意思表示ができないんだもんな」

「でも・・今・・・指が動いたの感じたよ・・・お前も俺の事を思ってくれているの

ちゃんと受け止めたから・・」

「俺・・・お前が側にいなくても頑張るから・・・絶対に俺がお前を治してやるから」

ハンギョンの耳元に顔を近付けると

「愛している・・・お前は俺の永遠の恋人だから・・・勝手に死ぬなよ」

ヒチョルはそう言うとハンギョンの手の甲に口づけをして

布団の上にそっと置いた


「また明日くるからな・・・」

そう言い残すとヒチョルは部屋を出ていった



(俺は男だぞ・・・いいのか俺にプロポーズして・・・)

(俺はヒチョルを愛してるんだ・・ずっと一緒にいたいんだ・・・

ヒチョルは俺のこと嫌いなの?)

(・・・バカ・・・嫌いだったら・・一緒にいない・・)

(愛している・・・永遠に一緒にいようね・・・)

(永遠なんて軽く口にだすんじゃねぇよ・・・希少価値がさがるだろう・・)

(照れているヒチョル・・・可愛い・・・)

エバーランドの帰りに突然プロポーズされた幸せな時間・・・・





ヒチョル・・・俺の永遠の恋人・・・・

俺はお前を永遠に愛するよ・・・だから悲しまないで・・・・



ベットに寝かされているハンギョンの閉じられた瞳に

涙がうっすらと浮かんでいる・・・

それに気付くものは誰もいなかった・・・・・






fin
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【永遠の・・・ハンギョンside】


(ここはどこだろう・・・俺は・・・)


ハンギョンは暗闇の中で夢と現実の世界を彷徨っていた


うつらうつらしている所にヒチョルの声が聞こえてくる

ハンギョンの手を握って今日一日の出来事を報告していく


(ああ・・・今日も一日が終わったんだな・・・)


(ヒチョルが泣いている・・・でも俺は何もできない

もどかしい・・・悔しい・・・でも何もできない

せめて指でも動かせたら・・・)


(ハンギョン・・・指が動いたの感じたよ・・・・)ヒチョルの声がする


(ああ・・・分かってくれたんだ・・・さすが俺のヒチョル)





ヒチョルと出会ったのはハンギョンの勘違いからだった

同じ大学のキャンパスの中で

医学部のヒチョルは白衣を着て売店に買い物に来ていた

工学部のハンギョンは肩まで髪が長かったヒチョルを女性だと思い込み

一目ぼれをしてしまった


後を追いかけて声をかけると

不機嫌な表情のヒチョルに追い返された

その声を聞いて男性だと分かったけど・・・一目ぼれした気持ちは揺るがなかった


何度もアタックして玉砕して・・の繰り返しに

最後はヒチョルも呆れて「友達」ならなってやる・・・と返事をもらった


友達から親友・・・そして恋人になるまでに時間はかからなかった



ハンギョンは男性を抱くのは初めてで

ヒチョルは男性に抱かれるのは初めてだった


初めての夜が過ぎた時お互いの胸に

何とも言えない愛おしい気持ちが溢れていた

男とか女とか関係なく・・・本当に運命の相手だったんだとハンギョンは思う


身体を重ねれば重ねるほど、心も深く繋がって行く

2人の結びつきは強固となりもう離れられないと感じる



ヒチョルは喜怒哀楽を表す事はあまりしなかった・・・・

正確には感情を表現するのがへたくそな不器用な人間だった

でもハンギョンの前では素直に自分の気持ちを表せる

そんなヒチョルをハンギョンは愛おしく感じていた



夢の中でハンギョンは何度も何度もヒチョルとの楽しかった思い出を反芻する

暗闇の中でも愛する人の笑顔が自分をつつむ


そんなハンギョンの耳元に愛する人の声が聞こえてくる


(ハンギョン・・・明日は何の日か覚えている?)


(明日? 明日は何月何日なんだ?)


(エバーランドにデートに行って・・・

俺達が永遠の愛を誓い合った・・・記念日だよ・・・・)


(ああ・・・忘れる訳ないだろう・・・あの日俺は人生で一大決心した日なんだから)


その日ハンギョンはヒチョルに

パートナーとして一生そばにいて欲しいとプロポーズした


驚いたヒチョルは

(男の俺にプロポーズするなんて・・お前バカじゃん・・)と散々悪態をついたけど

その顔は喜びで輝いていた

あの幸せな日々はこれからもずっと続いていくと信じていた・・・だけど・・


(俺・・・お前が側にいなくても頑張るから・・・絶対に俺がお前を治してやるから)


(ヒチョル・・・ありがとうお前を信じているよ)


(愛している・・・お前は俺の永遠の恋人だから・・・勝手に死ぬなよ)


(死なないよ・・・俺も・・・頑張るよ・・・)


ハンギョンの手を握っていたヒチョルの手が離れる


(ああ・・今日も一日終わるんだ・・・ヒチョル・・・)




ヒチョルが部屋を出ていくと

ハンギョンはまた暗闇の中

夢の世界へと彷徨い始めるのだった




ヒチョル・・・俺の永遠の恋人・・・・

俺はお前を永遠に愛するよ・・・だから悲しまないで・・・・



fin

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