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[Eternal] 孤高の都市 1


ビルが立ち並ぶ大都会

繁華街ではまだ若者が時間を忘れて遊びほうけている時間

ビジネス街はひっそりとして車の行きかいもほとんどない


そんな中を早足で走るように移動する二つの影があった

「ハンギョン・・・なんか違う世界に来ちゃったね」

ヒチョルはハンギョンに抱えられるようにしている

「ああ・・・戦争が終わってから人間の文明はすごく進んだようだ」

ハンギョンは周囲を見回すと背中から羽をだして

ヒチョルを抱きしめたまま空を飛び上がると

あるビルの屋上に降り立った


「やあ・・・遅かったな・・迷ったか?」

屋上で待ち受けていた男性が笑顔で二人を出迎えた


「え? もしかして・・・チャンミンさん?」

ヒチョルが信じられないという顔をしてハンギョンに尋ねる

すると男性の横の空間が歪んでカラスが現れた

「ヒチョルさま・・・お久しぶりです」

「カーちゃん!!!!!じゃあ本当にチャンミンさんなんだね

すっかりおじさんになっちゃって・・・分からなかった」


ヒチョルの言葉にハンギョンはクスッと笑う

「俺たちが戦争を避けて冬眠している間に

こいつは戦争を楽しんでいたから

俺たちと時間の流れが違ったからな・・・おじさんか・・」


おじさんと言われたチャンミンは少しムッとした顔をする

「お前たち冬眠していた割には、ヒチョルが成長してるじゃないか

途中で起きちゃったのかい?」


チャンミンと別れた時は20歳くらいに見えたヒチョルも

今では20代半ばの青年の姿に成長していた

ハンギョンが目覚める前に起きてしまい、そこでも時間のずれが生じていた

「俺が寝直す方法を教えなかったから・・・目覚めて驚いたよ」

「でもそのくらいの年齢のほうが、いろいろと都合がいいけどな」


チャンミンはにっこりとほほ笑むと

「とりあえず部屋に入れ・・・お前らが眠っている間に

あまりにもいろんな事が起きて人手が足りないくらいなんだよ」と

ヒチョルとハンギョンを屋上から自分の部屋へ導いた

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[Eternal] 孤高の都市 2


チャンミンが用意してくれた部屋のソファで

ハンギョンが珍しく酔いつぶれて眠っていた

ヒチョルは自分の膝にハンギョンの頭を乗せて

切なそうな瞳でハンギョンの髪をやさしくなでていた



チャンミンがヒチョル達に告げた事実は

ハンギョンにかなりのダメージを与えたものだった


人間界で世界中を巻き込む戦争が起きた

ヒチョルとハンギョンは戦争を避けるために「冬眠」という選択をして

一族の持つ「眠れる森」で地上とは違う時間を過ごしていた

人間界の時間でいうと80年眠っていた事になる


チャンミンのように戦争を楽しんで参加するものもいたが

だいたいのものは戦争を避けるために

一族の長の住んでいる村に集まっていた



その村が結界が張られていたのにも関わらず

人間の開発した核兵器の実験のまきぞいをくって

地上から消滅してしまったらしい


その説明をチャンミンから受けてハンギョンはかなりショックを受けた

部屋に戻ってからも冷蔵庫に入っていた酒類を浴びるように飲んで

珍しくダウンしてしまった



一族のほとんどのものは村と共に消滅してしまった

残っているのはヒチョル達の様に別の所で冬眠をしていたり

人間に交じって戦争を体験していたものだけ・・・


「ハンギョン・・・俺は・・ずっとお前と一緒だよ・・・

この世界から消えるときも・・俺を離さないで・・・」

ヒチョルはそうつぶやくとハンギョンの端正な寝顔をそっと指でなでる


「ヒチョル・・・」

眠っていたはずのハンギョンの瞳が静かにひらく

ヒチョルはハンギョンの髪をなでながら静かにほほ笑んだ

ハンギョンの腕が伸びてヒチョルの頬をやさしくなでる


「ヒチョル・・・チャンミンの手伝いで全世界に散っている

一族を探し出さなくてはならない・・・しばらく離れ離れになる」


「うん・・・俺はその間チャンミンさんが経営している学校の

手伝いをしているから・・・大丈夫だよ・・・ヒボムもいるし」

ハンギョンは辛そうにほほ笑むとヒチョルの膝から起き上がった

ヒチョルの横に座りなおすとため息をひとつはく


「人間の文明が俺たちの予想よりも進化していた・・・・

核爆弾・・・俺たちはもう銀の弾で心臓を一撃しなくても滅びる事ができる」


「80年眠っていただけなのに・・・あまりにも変わりすぎたね

明日からリハビリして現代知識を勉強しなくちゃ・・・」

ヒチョルが小さく笑うとハンギョンはその体を強く抱きしめた


「俺・・・先生になるんだって・・チャンミンさんに言われた

高校生に歴史を教えるんだって・・なんか信じられないね」

楽しそうに笑うヒチョルをハンギョンは優しく見つめる


「ハンギョン先生・・初めて会ったとき俺の先生だったよね

200年以上前になるのかな・・・先生を好きになったんだ」


「ヒチョルが窓に立って外を見ていただろう・・・

その姿に一目ぼれしてキム家に潜り込んだんだよ」

「え?」

その昔

ヒチョルはいつ死ぬかわからない病気で

自室のベットに寝たきりで過ごしていた

たまたま容態が良くて

窓のそばに立って外を眺めていたら

外を歩いていたハンギョンと目が合った



あの時・・・ハンギョンは俺のことを好きになったって事なの?


「あの時出会ったのが運命だった・・・俺たちは運命の相手なんだ」

ハンギョンはそういうとヒチョルのくちびるに自分のくちびるを重ねる


「明日から忙しくなる・・・覚えなきゃいけないことばかりだ」

ヒチョルはハンギョンの言葉を聞いて小さくうなずくと

「忙しくなる前に・・・ね・・」ハンギョンの耳元で小さくささやく

ハンギョンはヒチョルを抱き上げると寝室の扉をあける


恋人たちの甘い時間が始まろうとしていた

[Eternal] 孤高の都市 3


「ヒボム・・・なんかまだ世の中に付いていけないよ

覚えることが山のようにあって・・・頭破裂しそうだよ

こうやって散歩してても落ち着かないし・・・」

ヒチョルは夜の校庭をヒボムと一緒に散歩をしていた


「俺は学校に行ったことなかったけど・・・

建物や雰囲気的なものは昔とあまり変わらないんだな・・・

それよりチャンミンさんが

わざとレトロ感出すような校舎の作りにしたのかな」


ヒチョルはほっと息を一つはくと

校庭の隅に置かれたベンチに腰を下ろす

街灯がぽつんとそのベンチを照らしていた

ヒボムは使い魔らしくヒチョルの足元に小さくうずくまっている

「おいで・・ヒボム・・」

ヒボムはヒチョルの膝の上に乗るとヒチョルの胸に頭をこする

ヒチョルは嬉しそうにほほ笑むとヒボムを優しく抱きしめた


主と使い魔のこのような様子は一族のものが見たら

いい顔をしないだろう

そんな事は分かっているがヒチョルは時々昔のように

ヒボムと心を通わせる時間を持っていた


ハンギョンはチャンミンと一緒に

残った一族を探すために世界中を回っている

ヒチョルはチャンミンの経営している学校で教師をしながら

二人が戻ってくるのを待つことになっている


「明日から・・・ここで教えるのか・・俺大丈夫かな????

人間と深く交わったことないし・・・友達って言えたのは

リョウクだけだったし・・・」


リョウク・・・ヒチョルは口に出した名前に懐かしさを覚えて

思わず涙ぐんでしまった


ハンギョンの一族になったばかりのころ

知り合った音楽学校の生徒リョウク・・・

自分たちの正体がばれても

全然怖がらずに普通に仲良くしてくれた

その後何十年かおきに数回会ったけど

最期の時は家族に囲まれて幸せそうだった・・・


ヒチョルがヒボムを抱きしめながら物思いにふけっていると

「ヒチョル様!!!!!何か落ちてきます」

ヒボムがそう言うとヒチョルの腕をすり抜けて校舎の上の方を見上げた


「人だ!!!!!」

ヒチョルはそう叫ぶと背中の羽を出して

落ちてくる人影に向かって羽ばたいた


うっ・・・重い・・・


空中で人間一人受け止めたヒチョルは

その衝撃で少しぐらつくが

なんとか羽を羽ばたかせながら地上に降りてきた


「屋上から飛び降りたんだ・・・」

女の子のような顔をした少年を腕に抱きながら

ヒチョルはヒボムに向かって指示を飛ばす

ヒボムはうなずくと闇の中に消えていった


ヒチョルの腕の中の少年は気を失っている

その顔色は紙のように青白い

ヒチョルは自分が座っていたベンチに少年を寝かせると

自分が着ていたコートを少年の体にかけてあげた


季節は秋から冬に移ろうとしている

夜はさすがに冷え込んでくるようになっていた

そんな中少年は薄手の部屋着1枚で屋上まで行って飛び降りたらしい


「なんで・・・自分の命を断とうするんだよ・・・」

ヒチョルが悲しそうな顔で少年の顔を見つめていると

遠くのほうからバタバタと走ってくる音が聞こえてきた


「ミミちゃーん!!!!ミミちゃーん!!!!早まったらダメだよ~」

泣きながら走ってくる少年の姿が闇から浮かび上がってきた


少年は街灯の下のベンチにいるヒチョルと

寝かされている少年の姿を見つけて走り寄ってくる


「ミミちゃーん」

気を失ってる少年を見て涙を流しながら

「お兄さん!!!!ミミちゃん死んじゃった?」と聞いてくる

「いや・・・気を失ってるだけだよ」

「ミミちゃん屋上から飛び降りたと思って・・僕・・僕・・」

走ってきた少年は手に紙切れを握りしめていた

ヒチョルはそれを受け取って読むと遺書のようだった


『テヤン・・今までありがとう・・でも疲れちゃった・・バイバイ』


「君はテヤンって言うの? ここの学校の生徒なの?」

「うん・・この子はソンミンっていうの僕たちは高等部の1年生なんだ」

テヤンと名乗った少年はヒチョルから渡されたハンカチで涙を拭きながら答える

「ミミちゃんとは寮の部屋が違うから・・・最近ふさいでるって気になってたけど

だから飛び降りるんだと思ってあわてて走ってきたんだ」

「なんで? ここに?」

「この校舎は自殺の名所なの・・ここの屋上からだと確実に死ねるって噂で・・・

だから確実に死にたい子はここで飛び降りるんだよ」

ヒチョルは黙って聞いていると

「お兄さん・・見たことないけど・・夜中になんでここに?」

テヤンが不思議そうな顔をして尋ねてくる


そりゃ・・俺の存在は不思議だろうな・・

ヒチョルはくすっと笑うと

「あのね・・・俺・・明日から君たちの学校でお世話になる

社会科の教員でヒチョルと言うんだ・・明日からの事思って

ドキドキしすぎて散歩してたんだ・・・

そうしたらこの子がこの芝生の所で倒れていたんだよ・・

飛び降りる前に気を失ったんだね・・よかったね大事に至らなくて」

ヒチョルの説明をすんなりと受けいれたテヤンは

「ミミちゃん・・・助かってよかった・・・」と笑顔を見せる


ん?

この笑顔・・見たことある・・・

ヒチョルの胸の中を懐かしい風が一瞬拭いた気がした


「ここは寒いから寮の部屋に運ぼう・・・テヤン案内してくれる?」

ヒチョルはそういうとソンミンを横抱きにして歩き始めた

ヒチョルの横をテヤンが歩きながら

「え?????

お兄さん・・先生????社会の先生って?????

え???本当????」

今頃そのことで驚いて聞いてくる

「俺も何年生を受け持つのか聞いてないんだ・・・

明日になってからのお楽しみかな?

テヤンよろしくな」

ヒチョルがテヤンの顔を見つめてにっこりとほほ笑んだ


ボンッ!!!!

テヤンの顔が恥ずかしさで真っ赤になる

ヒチョルはその様子を楽しそうに見ながら

なんとかやっていけるかな・・・と心の中で思っていた




[Eternal] 孤高の都市 4


「理事長からも聞いていたと思いますが

新しい先生を紹介します」

着ているスーツは高級ブランドなのに

あまり気品を感じさせない中年の校長が

ヒチョルを先生たちに紹介をした


ヒチョルはチャンミンの忠告を受け入れて

あまり目立たないように伊達メガネをかけ

長めの髪は後ろでまとめ

地味目のスーツを着て職員室に現れた


地味なスタイルをしていても

もともとの美貌から

男装をしている美女にも見えてしまう


ヒチョルが職員室で教員たちに挨拶をすると

ジロジロと不躾な視線がヒチョルを襲った


男子校のせいか教員もすべて男性ばかりなので

いくら隠してもヒチョルの美しさが目立ってしまう・・・


なんとか笑顔を作り

「よろしくお願いします」と頭を下げると

職員の朝の打合せは終了し

ヒチョルは社会科準備室に案内された


神経質そうな教頭は準備室の前まで連れていくと

そそくさと職員室に戻っていく

ひとりドアの前で取り残されたヒチョルは

ドアをノックしてそっと部屋の中をのぞいた


「だれ?」

部屋の奥から声がしてヒチョルはビクッと肩をすくめる

「今日からお世話になる歴史担当のヒチョルです」

「ああ・・・びくびくしないでいいよ・・

俺は政治経済担当のエリックだ」

部屋の中には瞳の大きなハンサムな男性が一人コーヒーを飲んでいた

ヒチョルを見ると人懐っこい笑顔でほほ笑んで椅子に座るように進める

「朝のコーヒータイムを邪魔されたくなくて

朝の打合せに職員室にはいかないんだ・・・ヒチョル君コーヒーどう?」

ヒチョルはエリックと名乗った男性をじっと見つめ


「エリックさんは・・・」と言って黙っていると

「ん? 俺? 見えてんだろう? 一族だよ」

そういってヒチョルにウィンクをしてコーヒーを勧めた


「よかった・・・」

ほっとしたヒチョルは勧められた椅子に座ってコーヒーを受け取る

ハンギョンの一族は

お互いに仲間だとわかるオーラを感じることができる


ヒチョルは一族にあまり会う機会がなかったので

エリックから出ている仲間オーラを確信できずにいた

エリックから名乗ってくれたのでホッとする


「この学校の職員のうち一族は5人しかいないよ・・あとは人間。

本当はもう少しいたんだけどこの非常時に理事長と一緒に

全世界に散らばっていった」


「エリックさんは・・村に行ったことありますか?」

「ああ数回だけどな・・・伴侶を連れて行った」

伴侶と言うときに少し恥ずかしそうに下をむく

ヒチョルは思わず微笑んだ

「俺は一度だけです・・・ハンギョンの相手として認めてもらうために」

「俺たちの心のよりどころだったから・・・無くなってしまうなんて

結構ダメージ受けたよ・・まあ一族同士助け合おうな」

「1年生を教えるって言われました・・

初めてなのでいろいろ教えてください」


ヒチョルの1年生という言葉を聞いて

エリックは顔を少し曇らせたがすぐに笑顔になって

「いろいろあるけど・・まあ頑張って・・・

生徒だけじゃなくて教員も結構いろんなのいるから」

そういうと自分の横の山積み状態の机を指さし

「ここヒチョルの机・・乗ってるものは前任者が置いていった

捨ててもいいし利用してもいいし・・ヒチョルに任せるから」と

言い残して授業に行ってしまった



一人残されたヒチョルは

机の整理をしながら午後からの授業にむけてぼんやりと考えていた


夕べ飛び降りたソンミンには記憶の操作をした

彼は飛び降りた記憶はなくなっているハズ・・・・

テヤンは自分の説明をそのまま信じているから良しとして・・

2人とも1年生って言ってたな・・・

エリックの表情も思い出して

1年生に何かあるのかと少し不安になるが

ポケットに忍ばせている懐中時計を握りしめ

「大丈夫・・・ハンギョン・・一人で頑張れるから

次に会ったときは沢山褒めてね・・・」

そうつぶやくと机の片づけを黙々と始めるのだった



[Eternal] 孤高の都市 5

ヒチョルが教壇に立つようになって2か月が過ぎた

1年生の選択国史なので3クラスのみの授業だったが

意外と授業の準備などもあり毎日忙しく過ごしていた


ヒチョルの女性にも劣らない美貌を地味なスーツに包んでいたが

男子校の生徒たちからは羨望のまなざしで見つめられている

特に3年生はヒチョルが気になって仕方なかったが

接点が全くないので遠くから眺めている生徒がほとんど


1年生はおとなしい生徒ばかりだったので

ヒチョルも生徒指導の事で頭を悩ます事件も起きずに済んでいる


屋上から飛び降りてヒチョルに助けられたソンミンは

記憶を操作したためかその時の記憶がなく

ヒチョルはホッと胸をなでおろしていた


その事件の時に知り合ったテヤンはヒチョルに懐いてきて

「ヒチョル先生」とまとわりついてくる

今日も授業が終わったら放課後に準備室に遊びに来ると宣言していた



弟がいたら・・・あんな感じなのかな・・

クスっと小さく笑うとヒチョルは社会科準備室の扉を開けた





「ああ・・・こっちの留守組は大丈夫だ・・何も心配することはない

チャンミンにそう伝えてくれ・・・」


エリックの声がする・・・電話してるのかな・・

ヒチョルはそう思ってパーテーションを通り抜ける


え?????????


エリックは空中に投影された人と話をしていたのだった


ホロスコープ電話??????

「ああヒチョルが戻ってきたよ・・お前初めてだよな」

エリックはそういうとヒチョルの方を向いてほほ笑んで

「ヒチョル~お前も電話でるか?」と言って

机の上に置かれた小さなカメラの前までヒチョルを引っ張ってくる

「これでお前もあっちに映し出されるからな」


立体映像で映し出されている人物はエリックの恋人のヘソンだった

「ヒチョル初めまして・・・バカの相手毎日してもらって悪いね~」

「バカ???」

「君の横にいる偉そうなバカだよ」と言ってヘソンは笑う

バカと言われたエリックは少し拗ねた顔をして映像を見つめる

エリックの拗ねた顔を見てヒチョルはほほ笑みながら

「いろいろ教えてもらってます・・・エリックさんに助けてもらってます」

ヒチョルの言葉にヘソンは

「お前・・こんな可愛い子に変な事教えてないだろうな・・・

この子のバックはすっげー怖いやつ付いてんだぞ」と笑いながら言った


「今日はハンギョンとチャンミンと一緒に行動してんだろ? そこにいるのか?」

ハンギョンと聞いてヒチョルの体がピクっと動いた

ヘソンは後ろを向いて誰かに手を振り、こっちに来いと言っている

しばらくすると

ヘソンの代わりに懐かしい人の立体画像が映し出された


「ハン・・ギョン・・・」

ハンギョンは数か月合わなかっただけで

ずいぶんやつれた顔をしていた

眩しそうに眼を細めてヒチョルを見つめる


「俺たちが冬眠している間に文明ってやつは凄く進化したな

まさか顔を見ながら声が聴けるなんて・・・」


ヒチョルはハンギョンがすぐ目の前にいるような錯覚に陥って

思わず手を差し伸べた


あっ・・・・・


立体映像だから触れるわけがなく

手はむなしく空中をさまよう・・・


空振りになったまま伸ばされたヒチョルの手に

ハンギョンがそっと重ねるように自分の手を近づけた


ハンギョン・・・不思議だ・・ハンギョンを感じる・・


ヒチョルはにっこりとほほ笑むと

「俺は大丈夫だから・・・ハンギョンは自分の仕事を頑張ってね」とつぶやく

「ああ」

ハンギョンがヒチョルに向かってほほ笑んだ


プツッ・・・

ヒチョルの堪えていたものが突然切れた

ヒチョルの大きな瞳から涙が一滴流れる

(ハンギョン・・会いたいよ・・俺を強く抱きしめてよ・・)


「ヒチョル・・・すまない・・・」

ヒチョルの瞳から心の叫びを読み取ったハンギョンは辛そうな顔をする


頬を伝うヒチョルの涙をぬぐおうと手を差し伸べるが

ヒチョルの顔をすり抜けてしまう

「ごめん・・・泣くつもりなかったのに・・」

ヒチョルは自分の手の甲で涙をぬぐうと

一生懸命に笑顔を作る


ハンギョンはヒチョルの頬に手を近づけ

ヒチョルの顔のあるところに自分の顔を近づけた


「おおおっ」2人の様子を見ていたエリックが感嘆の声をあげる



ハンギョンの唇を感じる・・・立体映像だから体はここにないのに

ハンギョンに優しく口づけをされているように感じる・・・

ヒチョルはハンギョンを感じて心が穏やかになっていくのを感じた


しばらくして2人の顔が離れた


「もう大丈夫か?」エリックに聞かれてヒチョルはうなずく

立体映像がハンギョンからチャンミンに変わった


エリックはチャンミンからの指示を受け取ると「了解」と右手をあげて

ホロスコープ電話は切れた


「ヒチョル・・・キスの感想はどうだ????お前らぐらいだよ立体映像ってわかっててキスすんの」

エリックの言葉にヒチョルは少しほほ笑む

「ハンギョンの唇を感じたよ・・・不思議だけど・・・」


「そっか・・こんどヘソンから電話きたら俺もやってみようかな~

でも『お前バカか~』って怒鳴られるのがオチだな~」

眉間にしわを寄せて真剣に考えているエリックの姿を見て

ヒチョルは思わず噴き出した

「どーせ俺はバカだよ~あいつの尻に敷かれている情けない男だよ」

と言って真面目な顔をして

「もう少しの辛抱だから・・・留守番係も頑張ろうな」とヒチョルにウィンクをする


ヒチョルはその様子に笑いながら

久々に感じたハンギョンの温もりの欠片が逃げて行かないように

自分の体を自分でぎゅっと抱きしめていた

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