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2013.12.15 桃源郷
本当はおバカな話を上げる予定でしたが

職場で突然の別れがありまして

通夜や告別式の手伝いなどをしたりして

いろいろと考えさせられた数日間でした・・・・


私にしては初めての別れの話です・・・多分暗い話になります



[桃源郷]


桃源郷(とうげんきょう)は、俗界を離れた他界・仙境。ユートピアとは似て非なる、正反対のもの





「くっそ~あいつまた出ない」

ヒチョルは呼び出し中のスマホを片手にイライラを募らせていた

ハンギョンとの切れそうで切れない遠距離恋愛を続けてもう10年近くなる

いつの間にか所属していたグループのメンバー全員の兵役も終わり

アイドルという年齢もとうに越え

「卒業」という名の円満解散をすませて

メンバーそれぞれがそれぞれの世界で活躍し始めていた


ヒチョルはそのマルチな才能を生かして主にMC業で活躍



たまたまジャンルこそ違えどMCとして独り立ちしている

ヒチョル、イトゥク、カンインと

ラジオDJやソロ歌手の活動中のリョウクの4人はいまだに共同生活を続けていた


他のメンバーが結婚したり熱愛宣言をしている中

共同生活をしている4人はそれぞれの理由があって

いまだに独り身で過ごしていた



「ヒチョル~なにイライラしてんの? ハンギョンと連絡とれないのって

いつもの事じゃん」

リビングにいたイトゥクが台本を読みながらヒチョルに言う


「また映画撮影でも入ってるんじゃないんですか?」

リョウクがヒチョルにお茶を出しながら心配そうに聞いてきた



「なんか・・・わかんないんだけど・・・

モヤモヤしてさ・・・・なんかイライラすんだ」


「モヤモヤしてイライラ? ヒチョルらしくない・・

全くわかんね~ぞ」

カンインが雑誌をめくりながらからかうように言うと


「ハンギョンの浮気疑惑~???? 恋人の第六感とか~」

イトゥクが楽しそうに言ってヒチョルに睨まれる


「ヒチョル兄さん・・ハンギョン兄さんとずっと会ってないでしょ

北京まで行って来ればいいじゃないですか」

リョウクに言われてヒチョルは少し考え込んだ



いまのモヤモヤイライラを解消するにはそれしかないか・・・

あいつの消息すら分からないんじゃ余計にイライラするしな・・


ヒチョルはそう考えるとここ1か月の仕事に代打をぶち込んで

(ヒチョルの一言で元メンバーがいくらでもピンチヒッターとなってくれたのだ)

長期休みを無理やりもぎ取り北京へと旅立っていった
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2013.12.15 桃源郷 2
[桃源郷] 2


北京国際空港に着いてヒチョルはスマホの電源を入れた



ハンギョンと電話で話したのはいつだったか・・・

2か月は経っている気がする

確かにイトゥクの言うように何か月も音信なしの事も多いから

今回連絡とれなくてもいつもの事と思えばいつもの事なんだろうけど・・・

でもなんか変なんだ・・・この嫌な感覚は何なんだろう・・・


会えるかどうかも分からないのに

北京まで飛んできた自分に苦笑しながら

ヒチョルはハンギョンに電話をしようとスマホを手にした瞬間

着信を知らせるバイブでスマホが震えた


「ハンギョン!!!!!」

画面にはハンギョンの名前が表示された

ヒチョルが電話に出るとハンギョンではない男性の声がする

「キムヒチョルさんの電話ですよね」

中国語での話し声に思わずヒチョルは警戒をしながら

「お前だれだ・・・なんでハンギョンの電話使ってる」


「私はクンの友人のナカヤマです。クンに頼まれて電話しました」


ナカヤマ? もしかしたらハンギョンがよく言っていたクニオという日本人か?

「キムヒチョルさんクンが会いたがってます・・・北京まで来てもらえませんか?」


え?

ヒチョルはナカヤマの話に驚いて言葉が出なかった


「難しいでしょうが今すぐにでも北京に来てほしいのですけど」

「俺・・・今・・北京空港にいる・・・」

今度はナカヤマが驚いて息をのむ

「なんか分かんないけど・・仕事キャンセルして北京まで来たんだ」


「虫の知らせって・・・本当にあるんだ・・・」ナカヤマは思わず日本語で呟いたが

ヒチョルには意味は通じなかった


「丁度よかったです・・・今から空港まで迎えに行きます

30分で着くと思いますので待っててください」


電話を切った後

ずっと感じていたモヤモヤがどんどん自分の中で大きく膨らんでいくのを感じて

思わずその場でうずくまってしまった




ハンギョン・・・お前に何があったんだ・・・


ヒチョルは体がぶるぶると震えるのを感じて

自分で自分の体をぎゅっと強く抱きしめる


そうでもしないと意識をちゃんと持てないような気がして

自分の体を抱きしめながら迎えの車を待っていた
2013.12.16 桃源郷 3
[桃源郷] 3


ヒチョルは電話で指定された場所に立っていると

軽くクラクションがならされて黒い車が止まった


運転席の窓が開くと誠実そうな男性がヒチョルに合図を送る

慌ててヒチョルは車まで走って助手席に乗り込んだ


「ナカヤマさん・・ハンギョンに何があったんですか?

俺に会いたいって・・でも本人とは全く連絡とれなかったのに」


ヒチョルの真剣な表情にナカヤマは一瞬黙って言葉を探している


ヒチョルはその様子を見てモヤモヤした気持ちを思い切ってぶつけてみる


「ハンギョンは・・・病気なんですか? 助からない病気とか?」

「キムヒチョル・・・すごいな・・君は・・・」


ナカヤマの返事にヒチョルは愕然とする

否定してもらえると思っての言葉だった・・・なのに・・・これって・・


ナカヤマの運転する車は大きな近代的な建物の地下に入っていった

「地下駐車場から行くから一緒に付いてきて・・・」

エレベーターに乗り込んでナカヤマが行先の階のボタンを押した



扉が開くとホテルのような絨毯の敷き詰められている廊下を抜けて

VIP専用の個室が並んでいる一角に出た

そのうちの一つをナカヤマがノックをして開ける


部屋の中には何人かがベットの横に集まっていて

一斉に扉の方を振り向いた


「ヒチョルくん・・・間に合ったのね・・・」

小柄な中年の女性がヒチョルに向かって声をかけてきた


「おかあさん・・・」

中年の女性はハンギョンの母親だった

涙をハンカチで拭うとヒチョルを優しく抱きしめる


「あの子がずっとあなたの名前を呼んでいるの・・・

間に合ってよかった・・・あの子に声をかけてあげて・・」


母親に促されてベットの方を見ると



生命維持装置がつけられた状態のハンギョンの姿があった



うそだろ・・・・



ヒチョルはベットの横にのろのろと近づいて行った

母親がハンギョンの耳元に何かをささやく

ハンギョンの苦しそうに閉じられていた瞳がゆっくりと開いた



ヒチョル・・・


ハンギョンの口がヒチョルの名前を唱える

ヒチョルを優しく見つめる瞳・・・昔と変わらない


「ハンギョン!!!!!何だよ・・どうしたんだよ・・・」



ヒチョル・・・コマウオ・・・


ハンギョンの手がヒチョルに向かって伸びる

ヒチョルはその手を両手で握りしめて自分の頬にあてた

「バカ・・・バカ・・・」

涙があふれ出てハンギョンの手を濡らした



「ヒチョルくん・・・私たちは部屋から出るから

あの子の頼みなの・・最期はあなたと二人でいたいって・・・」

ハンギョンの母親はそういうと身内を連れて部屋から出て行った



ハンギョンは苦しい息の下から何とかヒチョルと話をしようとしていた

ヒチョルはハンギョンの言わんとする事を聞き取ろうと必死に耳を傾ける


ハンギョンの残された時間はあと僅かしかないと

知識のないヒチョルでも分かるくらいだった


見つめあうお互いの瞳から涙が流れる


ヒチョル・・・ありがとう・・君と・・出・会えて・・幸せ・・だった・・

あ・・い・・し・・て・・る・・・



その言葉を残してハンギョンは逝ってしまった
2013.12.18 桃源郷 4
[桃源郷] 4


~ソウル~



「おいっ!!!!ジョンス大変だ!!!!」

ネットを見ていたカンインが大慌てでイトゥクに向かって叫ぶ


「ん? ヨンウンどうしたの~?」

イトゥクはのんびりお茶をのみながらカンインの方を見つめた


「ハンギョンが・・・ハンギョン兄さんが・・死んだって・・」



ガッシャーン


キッチンで洗い物をしていたリョウクの手から皿が落ちて床でこなごなに散った


「病気で1か月闘病していたらしくて・・2日前に亡くなったらしい」

ネットのニュースを見ながらカンインは2人に説明する


「ヒチョル兄さんのモヤモヤイライラって・・これだったんだ」

リョウクがPCの画面を覗き込みながらつぶやいた


「ヒチョル兄さん・・何かを感じて行ったんだね・・臨終には間に合ったのかな」

カンインがそういうと突然イトゥクが叫んだ


「ヒチョルが・・ヒチョルが死んじゃうよ!!!!!後追って死んじゃうよ」


「!!!!!!!!!!!!」


イトゥクはカンインの胸倉をつかんでゆすりながら

「どうしようヒチョルが・・・ヒチョルが・・・・」と泣き崩れた






数時間後

久々にスーパージュニアのメンバーがイトゥクのもとに集まった


ハンギョン死亡のニュースはネットであっという間に広まり

驚いたメンバー達が時間をやりくりして集まってきた


「ヒチョルはハンギョンの病気を知らないまま北京に向かったんだ」

今までの経過をみんなに説明するイトゥク


「とりあえず北京に行けそうなメンバーはお葬式に出た方がいいよね」

シンドンの言葉にみんなはうなずいた



「おれ・・俺・・日本での仕事あるから北京に行けない・・・」

ドンヘがぐずぐずと泣き出した

「ヒチョル兄さんの事だから・・・後追い自殺って・・・」

ソンミンがそこまで言って言葉を詰まらせた



ハンギョンが中国に戻ったあと

あまりの悲しみで精神を患ったヒチョル

その時はメンバーみんなのサポートで

やっと普通の生活を取り戻すことができた


みんなその時の事を思い出して気をもんでいる


「とりあえずジョンス兄さん北京に行ってください

ジョンス兄さんの留守は僕たちが仕事を手分けします」

シンドンがテキパキとメンバーに指示を与えていった


「僕も・・ジョンス兄さんに付いていきます

誰か・・・僕のラジオの代打お願いします」

リョウクがそういうとイェソンが「俺が代わりにやるよ」と言って

リョウクの震える肩をしっかりと抱きしめる


「シウォンがあっちで映画とってるから・・シウォンにも葬儀に出てもらって

後のメンバーは今の仕事に穴開けないように」


とりあえずイトゥクとリョウクがすぐに北京に行くこととなり

他のメンバーも仕事が落ち着き次第にお別れに行くことになった



「ジョンス兄さん・・・ヒチョル兄さんを必ず連れて帰ってきて」

ドンヘが泣きながらイトゥクに頼む

「もしヒチョル兄さんが後追いするつもりだったら

全てのセレモニーが終わってからだと思う・・・今ならまだ間に合う」

キボムがそういうとリョウクの手を握って

「必ず・・・ソウルに連れて帰ってきて」と言った


弟たちの思いを胸にイトゥクは北京に向かって出発した
2013.12.20 桃源郷 5
[桃源郷] 5



人って死んだあともいろいろあるんだな・・・

おじい様の時はあまり気にしなかったけど悲しんでいる暇ないんだ


ハンギョンの希望で最期を看取ったヒチョルに対して

ハンギョンの母親を中心に親族たちまでもがヒチョルを身内として扱っていた

もちろん何の準備もしていなかった為に誰かが喪服を用意してくれている


ヒチョルは気が付くと親族と一緒に葬儀までの時間を過ごしている




ハンギョンは2か月前にヒチョルと電話で話をした時は

風邪がなかなか治らなくて困っていると告げていた

その後体調はなんとなくよくならず

ある朝起きたら瞳の白い部分が黄色くなっていて

丁度映画を撮影していて同行のマネージャーに変だと医者に連れていかれた


そのまま緊急入院

本人も周囲も2~3週間で治ると思っていたのに

検査をすると見つかりにくい場所に癌が見つかり

それもかなり進行していてすでに手術もできない状態だった

癌と戦うつもりで闘病に入ったハンギョンだったが

病魔はなかりハンギョンを侵していて

入院してたった1か月半で逝ってしまった・・・・・



ヒチョルはハンギョンのマネージャーから

今までの経緯を聞かされて言葉を失う


命の期限を宣告された時にハンギョンは最期はヒチョルと過ごしたいと

ヒチョルが自分にとって最愛の人だと告白した・・・


その事を聞いたヒチョルの瞳から静かに涙があふれ出てくる



ハンギョン・・・最期にお前に会えてよかったんだな・・お前の望みだったんだ・・・


なんで一人で逝ってしまうんだ・・・

爺になったら一緒に暮らそうって約束したじゃないか・・

いつかは一緒に遊園地に行くって・・・

南の島でのバカンスは・・・・・・


若いころに出来なかった夢を

年取ってからでも青春をやり直すって約束したじゃないか・・・・


ば・・・か・・・・俺を置いていくのか・・・・


ヒチョルの瞳から涙があふれ出て止まらない



お前を送り出すセレモニーが終わったら・・・


俺は・・・



ヒチョルはぼんやりとハンギョンの遺影を眺めながら

ある決意をした

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