上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
【Eternal Ⅱ~海辺のまち】10


とても穏やかな朝だった

ドンヘはヒチョル達を見送るために

足早に海岸沿いの家に向かっていた



家の前には町の人々が数人見送りで集まっていた

「あっドンヘだっ」

ヒチョルが気が付いて手をふる

ドンヘもヒチョルに笑顔で手を振った


ヒチョルが強姦に襲われそうになった事件があり

ドンヘが大活躍をしてヒチョルを助けた・・・という事になっている


ドンヘは大活躍をした記憶がそれ程ないが

ヒチョルもその話を聞いたハンギョンも

ドンヘに感謝の言葉を言ってくれていた・・・

ヒチョルの横にいるハンギョンに軽く会釈をすると

ハンギョンは笑顔で会釈を返してくれる


するとヒチョルがドンヘの方に走ってきて耳元に

「ドンヘ・・・お願いがあんだけど・・・」と囁いた


ドンヘがキョトンとした顔でヒチョルを見つめていると


「俺さ・・・おばさん達に女と思われてて

めんどくさいからそのままにしてんだ・・・・

だから・・・俺を男だって知ってるのドンヘしかいないから

そのまま女にしておいて・・・」

それだけ言うと、可愛らしく舌をペロっと出してハンギョンの元に走って行く

今日のヒチョルはパステルカラーのピンクのカーディガンに

ふんわりとした生なり色のロングスカートを着ている

どこから見ても可愛い女の子にしか見えない・・・・・

ヒチョルに言われて、

男と知っていたのにその事すら忘れていた自分に

ドンヘは苦笑いをした



「おうっドンヘ!!!お前も見送りにきたのか?」

振り向くとドンヨルがニコニコしながら立っていた

手には箱を持っている


「イカのおじさん~♪」

ヒチョルが手を振ると

「ヒチョルちゃん・・・このイカ持ってってくれ!!!!」

手にした箱をヒチョルに無理やりに持たせる

「おじさんありがとう♪

友達がね、すごく美味しかったって言ってたよ」

「旨いに決まってるだろう!!!俺が作ったんだからさ」

ドンヨルは少し自慢げに笑った

その姿を見て周囲の人々もつられて笑う



そういえば・・・数日前にヒチョルの元を訪ねてきた男性がいた

ヒチョルに抱きついて泣いていた・・・

どう見ても40近いのに・・・どんな関係なんだろう・・・・

ヒチョルもハンギョンも

説明できない不思議な雰囲気を持っているな・・・

と町の人々に囲まれているヒチョル達を見つめて

ドンヘはぼんやり思っていた



「お世話になりました」ハンギョンが挨拶すると車に乗り込む


「あんた達がいなくなっちゃうと寂しいよ」


「おばちゃん・・・ポシェットやワンピース直してくれてありがとう

大事に使うからね・・・ポシェットみるたびに・・この町を思い出すから」


歳のせいか涙もろくなったおばさん達は

ヒチョルをやさしく抱きしめながら涙をながす

先日ハンギョンからお土産として貰った綺麗なハンカチを手にして

「あんたの旦那さんから貰ったお土産・・・さっそく使ってるよ」

そういいながら涙を拭いて笑った


「また遊びにおいでね」

「いつでもイカ食わせてやっからな」

「ドンヨルはイカばっかりだねぇ・・・」


人々の笑顔に見送られてヒチョルは車に乗り込んだ

「ドンヘ・・・いろいろありがとう・・・

助けてもらった事忘れないからね」


「うん・・・ヒチョル達のおかげで・・・

俺も新しい一歩を踏み出す勇気が出たよ」


「ダンサーの友達にヨロシクね」

ヒチョルの意味深な笑顔にドンヘは頬を染める


ドンヘはやっと母親に「都会でダンスの勉強がしたい」と

「しばらく町を離れたい」と言う事ができた

反対されると思っていたら

母親はドンヘの気持ちをとっくに気付いていて

「若いうちにやりたい事に挑戦してきなさい」と

笑顔で承諾してくれたのだった




「さよなら~」

「元気でね~」

「遊びに来てね~」


車が出発すると助手席からヒチョルが身を乗り出して

みんなにいつまでも手を振っている

みんなも車が見えなくなるまで

いつまでも手を振り続けていた・・・・



「不思議な子だったね・・・」

「綺麗だけど全然お高くとまってないしね」

「旦那さんもハンサムで美男美女だったわね」

「あたし・・・あのお茶もらったわ」

「あのお茶もいい香りして美味しかったわね」



ドンヘはいつまでも話し続けているおばさん達に挨拶すると

久しぶりに漁師小屋に向かった


漁師小屋に座ると

この濃厚な1カ月間の事を思い出していた


そしてこれから始まる新しい生活の事を考えると

自然に笑みがこぼれてくる


空は穏やかに晴れていて

海も静かな波音をたてている・・・・


ドンヘは立ちあがると尻についた砂を払いながら

ウニョクの好きだった曲を口ずさみながら家に戻って行った
スポンサーサイト
【Eternal Ⅱ~海辺のまち】番外編~羽根~

(すみません・・本編が終わってないのにどうしても書きたい話が出来ました

番外編としてここに書かせて下さい・・・突然すみません・・・

話は「海辺のまち」と「丘の上の洋館」の間くらいの時期です)



「ハンギョン~なんか背中がむずむずする~」

ヒチョルが可愛い顔をくしゃっと歪めてハンギョンに訴えてくる

「ん?」

新聞を読んでいたハンギョンは、何があったんだという感じでヒチョルの方を向いた


「背中がくすぐったいような変な感じなんだよ~」

「どれ? 見せてごらん」

ハンギョンに言われてヒチョルはシャツを脱いで背中を見せた


背中の肩甲骨の所がほんのりと光っている

「羽根が生えてくるみたいだな・・・やっと一族の仲間入りだな」

「羽根? 俺にも羽根がはえるの?」


ハンギョンの一族は人間とは異なる生態系を持っている

人間界ではバンパイアと呼ばれている一族に近く

人間や動植物からの生気を奪って生きている

不老不死ではないが人間に比べると時間の過ぎるのが遅いため

かなりの長生きと怪我に対する再生力で不老不死に思われている

ハンギョンの一族は羽根を持っているのが特徴だった


「俺も・・・やっと羽根はえるんだ・・・羽根はえないと思ってた」


「なんでそんな事・・・思ったんだ?」


「だって・・・俺・・・生気集めるのも下手だし・・ハンギョンの出来る事や

一族だったらできる事・・あまり出来ないし・・・・

人間の時に欠陥だらけだったから・・・今でも雨季になると体調崩して寝込むし・・・」


「だから? 羽根は生えないかと思ってたのか?」

ハンギョンは辛そうな顔をしてヒチョルを抱きしめる

「羽根って・・・みんな同じじゃないの? この間会ったチャンミンさんは

ハンギョンとは違う羽根だったよね」

ヒチョルが不思議そうな顔をして聞いてきた


ハンギョンの羽根は黒くて立派なコウモリタイプで

ヒチョルが唯一会った事のある一族のチャンミンは黒いカラスタイプの羽根だった

「ああ・・・いろんなタイプがあるぞ・・・お前の羽根はどんなタイプなんだろう」

ハンギョンはそう言うとヒチョルの背中の光を帯びている辺りにキスをした

「あっ・・・」

ヒチョルの体がビクンと反応する

その反応を見てハンギョンはニヤリと微笑むと

「今度は羽根の出し方やたたみ方のLessonをしないとな」

そう言ってヒチョルの背中に唇を這わす

「・・ん・・っ」

ヒチョルが思わず吐息をもらす

それを聞いたハンギョンは、

我慢できずにヒチョルを抱き上げ寝室に向かった・・・・




愛し合った後

ヒチョルの背中に変化が起きていた

ハンギョンに愛されてエクスタシーを感じた時に

羽根が姿を現したのだった

あまり大きくなく可愛らしい羽根だった

「ヒチョル・・・お前の羽根綺麗だな・・・

俺は初めて見るタイプだ・・・透明ででも光の加減で色が変わる

まるで妖精の背中についている羽根のようだな」

「妖精? 子供の頃絵本で見た・・あんな感じの羽根なの?」

「鏡で見てみるか? お前にとても似合った綺麗な羽根だ・・・

ただこの羽根だと遠くまでは飛んでいくのは大変かもしれない」

「遠くに行く時はハンギョンが俺を抱っこして飛んでくれるんだろう?

関係ないじゃん」

ヒチョルに言われて、ハンギョンは嬉しくて顔が思わずニヤけてしまう

ヒチョルを抱いて飛ぶためにハンギョンは「筋トレ」ならぬ

「羽根トレ」をしていた・・

そして今では何時間でも2人で飛ぶことが出来るようになった


「少しずつだけど・・・俺・・お前の仲間になっているんだね」

「ああ・・・ふたりで生きていくためにお前を仲間にしたんだから

いつか・・・一族の長老たちが住んでいる村にお前を連れていくから・・

俺の永遠の伴侶として長老たちに紹介するから」


ハンギョンは自分の胸に頭をのせている

ヒチョルの顔を優しくなでると

「村は年寄りばかりで驚くけどな」と言って笑った


「俺達もその長老たちのように年取るんだよね」

「人間よりも遅い時間だけど歳はとっていくよ」

「お爺さんになっても・・・ずっと一緒にいてくれる?」

「ああ・・あたり前の事きくな!!!!」

ヒチョルはハンギョンの言葉を聞いて嬉しそうに笑うと

少し困った顔して

「でさ・・・羽根ってどうやってしまえばいいの?

俺・・・無意識に出たから出し方や仕舞い方が分からない」


クックククククク

ハンギョンはヒチョルの困った顔がとても愛らしくて

思わず笑ってしまった


ヒチョルのおでこにキスをすると

「さあ今から羽根のLessonをするぞ」と優しく微笑む


ヒチョルはハンギョンの一族の証としての羽根を

恥ずかしそうにそっと触ると嬉しさでニッコリと微笑んだ


















【Eternal Ⅱ~海辺のまち】9


目が覚めたらヒーローになっていた・・・・・



ドンヘは自分が置かれている状況が飲み込めなくて

頭が混乱していた


ヒチョルを助けるために男たちに殴りかかったのは覚えているが

その男たちを自分が全部倒した・・・そう言われても実感がわかない


戦っている間の記憶があまりないのだ

周りに言われて何となくそんな気がする・・・・

ヒチョルを襲った男たちが、自分にやられたと証言している・・・


だとしたら・・・やはり自分が倒したんだろう・・・・




突然ヒーロー扱いされて、戸惑いもあったけれど

悪い気はしなかった

父親の友達のドンヨルもドンヘを見なおしたと褒めたたえてくれた

あれから数日が過ぎた・・・


何となく、ドンヘはヒチョルの住んでいる離れの家にむかう


あの事件の後

町の人達がヒチョルのために家の壊された箇所を直してくれたり

近所のおばさん達はワンピースやポシェットを直してくれたりして

1人で留守番をしている状態のヒチョルの世話をしてくれるようになった

ヒチョルも可愛らしい笑顔を振りまいて町の人達と仲良くなっている


「あっドンヘ~!!!」

お気に入りのワンピースをリメイクしてもらい

スカート部分にレースを何段も付けてもらって

ますます妖精みたいに可愛らしい姿になったヒチョルがドンヘに手を振った

今日は近所のおばさん達がヒチョルの所でお茶飲みをしていたようだ


「あらぁ~ドンヘ~あんたカッコ良かったってね~噂していたとこよ」

「ヒチョルのトコのお茶すごくいい香りして・・初めて飲むけど美味しいわ」


話好きのおばさん達に囲まれてドンヘは苦笑いをしながら話に付き合わされていた


「ドンヘもお茶飲んで・・・ハンギョン特製のお茶だから」

ヒチョルに出されたお茶はバラの香りがした・・・初めて飲む味だけど美味しかった


「おいっドンヘ!!!!お前なんでいるんだ?」

イカの干物をもったドンヨルが家の前を通りながら尋ねてくる

「おじさんこそ・・・なんでいるんですか」

「ヒチョルにイカもってきたんだよ」

「あっ!!!イカのおじさん♪ お茶でもどうですか?」

「おうっ一杯頂こうかな」



ヒチョルの家はすっかりサロン状態になっている

ドンヘは不思議なものを見るようにその状態を眺めていた


ヒチョルの笑顔につられるように

ここに集まってくる人達もみんな笑顔だ


ドンヘは心の中がだんだん暖かくなるように感じた

そして自分の心の中にいる大事な人に会いたくてたまらなくなっていた


あっ・・・

ヒチョルが小さく呟いたかと思うと

一目散にどこかに向かって走り出す

みんなが何事かとそちらに視線を移すと・・・・

大きな荷物をもったハンギョンが立っていた



ハンギョンは持っていた荷物を下に置くと

両手を広げてヒチョルを迎える


ヒチョルは一目散にハンギョンの胸の中に飛び込んでいく


「ハンギョン・・・お帰りなさい・・」

「ヒチョル・・・ただいま・・・」


ふたりはたくさんの人々がいる事も気にせずに

お互いの唇を重ね合わせる・・・・・



「うわぁ・・・まるで映画みてるみたいだわ」

「美男美女だと本当に映画みたいに見えるわね~」


おばさん達はうっとりと2人を眺めている




ヒョク・・・・


ヒチョル達の抱擁を見ていて、

ドンヘの心の中にしまいこんでいた感情が溢れだした


今まで勇気がなかった・・・一歩が踏み込めなかった・・・

もう今までの俺とは違う・・・だから・・・ヒョク・・お前に会いに行くから

待っててほしい・・・


ドンヘはヒチョル達を羨ましそうに見つめながらある決意をするのだった
【Eternal Ⅱ~海辺のまち】8


「痛い~」

付きとばされて地面に体をぶつけたヒチョルは痛さに顔をゆがめた


ヒチョルは男たちが急に固まって空を見上げているのに気付いた

つられてヒチョルも空を見上げて息を飲む


体中から怒りのオーラを放ちながら空中に浮かんでいるハンギョンがいる

その周りにはたくさんのコウモリが飛び交っていた


「ハンギョン・・・」

ヒチョルの声に気付きチラリと視線を落とすが

すぐに男たちに視線を戻すと手から光を放って男たちを吹き飛ばした


ヒチョルはこんなに怒っているハンギョンを見るのは初めてだった

ハンギョンの怒りのパワーで吹き飛ばされた男たちが苦痛でうごめいている

その様子をハンギョンは薄笑いを浮かべながら見つめていた

(だめだ・・このままだと・・こいつらハンギョンに殺される・・)


ヒチョルは意を決して自分の背中に意識を集める

まだ小さい羽根を懸命に動かして

空中にいるハンギョンの元に飛んで行った


「ハンギョン・・・」

ヒチョルは必死にハンギョンの胸にしがみつく

「ヒチョル・・お前・・いつの間に・・飛べるようになったんだ?」

ハンギョンはやっとヒチョルに気付き優しく微笑む

「ハンギョン・・・お願いだから・・・あいつら殺さないで」

ヒチョルの意外な言葉にムッとして、ハンギョンは怒りに満ちた声で囁く

「なんでお前が・・こんな奴らを庇うんだ・・・お前を襲おうとしたんだぞ」

「俺・・ハンギョンがいない間・・この町の人達に親切にしてもらってたんだ

みんな俺に笑顔で声かけてくれて・・だから俺・・そんな人達を悲しませたくない」

ハンギョンは黙ってヒチョルの言葉を聞いている

「お前がこいつらをここで殺したら・・・殺人事件のおきた町となってしまう・・・

あの人たちの心を悲しませたくない・・・・」

「・・・・・・・・」

「ハンギョン・・・こらしめるだけにして・・・殺さないで・・」

ヒチョルがハンギョンの胸に顔を埋めながら哀願する

ハンギョンの体から放たれていた怒りのオーラが段々と静まってきた

ハンギョンはヒチョルの顔をやさしくなでる

「お前が飛べるようになった・・・その祝いにあいつらを生かしておいてやる・・・」

そう言ってヒチョルの唇に自分の唇を重ねた

久々にお互いの唇の感触を味わうことができ

喜びで体が蕩けそうになっているのをヒチョルは感じる


「お前があいつらを倒したとしても不自然すぎるよな・・・」

「うん・・・」

ふと下を見たハンギョンが地面に倒れているドンヘの姿をみつけた

「・・大家の息子が・・・なんで倒れてんだ?」

「ドンヘは俺を助けようとして・・・あいつらに殴られて・・・」

「お前・・・まさか・・息子と・・・」

ハンギョンのその言葉にヒチョルは怒る

「バカっ!!!ドンヘには好きな人がいるんだよ!!!

俺には親切にしてくれてただけだから」

ハンギョンはドンヘの姿をみて少し考えた

そして何かを思いついたようにニヤリと笑うと言った

「よし・・・ドンヘに英雄になってもらおう・・」



ハンギョンはそっと地面に降りるとヒチョルから離れて

倒れている男たちに額に手をかざす

そして最後にドンヘの額にも手をかざして言った

「記憶の操作をしたから・・・この男たちを倒したのはドンヘだ」


ハンギョンはもう一度ヒチョルを抱きしめると

「ごめんな・・・仕事の決着がまだついてないんだ・・・

あと数日で決着付けるから・・・いい子で待ってて・・・」

「うん・・・・」

「お前に何かあったら俺のところに知らせが来るようになってる

今日のようにいつでも飛んでくるから・・・」

「うん・・・」

「寂しい思いさせてゴメンな」

ヒチョルは頭をふって笑顔を作る


もう一度唇を重ね合わせた後

ハンギョンは暗闇の中を羽ばたいて去って行った



それからしばらくして

ヒチョルを心配していた町の人々が警察官を連れてやってきて

気を失って倒れている男たちの姿に驚きながらも

ヒチョルの無事な姿をみて喜んでくれたのだった
【Eternal Ⅱ~海辺のまち】7


ドンヘが海岸沿いの道を歩いていると

夜なのに鳥の羽ばたく音がする

「鳥って夜は目が見えないんじゃなかったっけ?」

胸騒ぎを覚えながら歩く速度もはやまっていた


バサバサ

「うわっ今度はなんだっ!!!!こうもり?」

今まで見た事のない数のこうもりが空を飛んでいる

いつの間にかドンヘはヒチョルの家にむかって走り出していた


家の前に着くと

ヒチョルと男たちが睨みあいながら立っている

ドンヘは思わずヒチョルの前に飛び出していた


「ドンヘ・・・お前・・・」

自分の前に突然飛び出してきたドンヘを見て

ヒチョルは驚いて息を飲んだ


「お前だれだよっ!!!」

「おめえには用はねぇんだよっ」

「そっちの姉ちゃんに用事あんだよっ」

「邪魔すんなら・・・お前から殺っちまうぞ!!!!」

男たちは突然現れたドンヘに向かって

敵意むき出しの表情で睨みつける


「ヒチョル・・・今のうちに逃げろ・・

俺がここを何とかしているから・・・早く!!!!」

ヒチョルを自分の背中に庇ってドンヘは怒鳴る

ドンヘが真ん中に立っていた男に殴りかかった

男もそれに応戦し2人は殴り合いを始めていた


(お前より・・・俺の方が強いと思うんだけど・・)

ヒチョルはそう思いながらも

自分を助けに来てくれたドンヘに感謝の気持ちを感じていた


いつの間にか男たちの中の1人が

暗闇に紛れてヒチョルの真後ろまで来ていた


「静かにしろっ」

ヒチョルは突然後ろから羽交い絞めにされて口をふさがれる

ふぎゃあ~

ヒチョルが抱いていた猫のソックスが怒って鳴いた

その鳴き声にドンヘが気付いてヒチョルの方を向く

「ヒチョル!!!!!」ドンヘが叫ぶと同時に相手の男に殴られた


ヒチョルは口を抑えていた男の手を思いっきりかじった

「ドンヘ~!!!!」

ドンヘはその場に気を失って倒れている


「お前ら本当に許さない!!!!!!」


ヒチョルは自分を羽交い絞めにしている男から生気を吸い取ろうと

意識を集中していると

突然

夜空を張り裂けんばかりのカミナリが響き渡った


「うわっ!!!!!!」

男たちに黒い塊がぶつかってくる

「なんだっ!!!!鳥か?」

「俺達にぶつかってるのは・・・コウモリだよ」

「うわっ助けてくれっ」


「うわっ!!!!誰だっ」

ヒチョルを後ろから羽交い絞めにしていた男が

恐怖にひきつった顔をしてヒチョルをつきとばした


男は空を眺めて震えている

男の仲間たちも同じ方角を見つめて身動きがとれないでいた


その視線の先には怒りで眼を光らせ

恐ろしい形相で男たちを睨みつけているハンギョンの姿があった
【Eternal Ⅱ~海辺のまち】6


にやぁ~~

にやぁぁぁぁ~

猫の鳴き声が夜の街に響き渡る


その鳴き声を聞きながらヒチョルは猫のソックスに話しかける

「4人で武器もって来てるって・・・みんなが教えてくれたよ」

ヒチョルは屋根の上でどうしようか悩んでいた

ソックスはヒチョルに抱かれて、じっとヒチョルを見つめていた


このまま屋根の上で隠れていようかとも思う

でも自分目当ての輩は絶対に何度も襲ってくるはずだ

二度と自分に手を出せないように・・・お仕置きする位はしないとダメかな・・・


「ハンギョンがいたら・・そいつら殺されるだろうな・・・」

ヒチョルは空に輝く満月を見上げると

「俺・・・強くなったから・・自分の身は自分で守れるから・・・・

ハンギョン・・・お前の足手まといにならないように・・・」

そう呟くと涙を流す


にやぁ~

猫のソックスはヒチョルの頬を濡らした涙を舌でなめた


「ソックスありがとう・・・・」

ヒチョルはそう言うと涙を手の甲でぐいっと拭って

戦闘モードにスイッチを入れ、今から来る敵に向かい精神を集中した





「おい・・・ここか?」

「明かりが消えてるから・・寝てるのかな?」

1人が玄関の鍵穴に針金を差し込んでがちゃがちゃしだした

残りの3人は窓のガラスに穴をあけて鍵をこわす

玄関の鍵が開くのと窓を開けるのとほとんど同時だった

4人はそれぞれの進入口から中に入り込んで

明かりを付けてベットに寝ているだろう獲物を探す


「おいこっちだ」

ナイフを持った男が先にベットの上の人影に飛びついた

「いないぞっ!!!!」

人が寝ていると思ったらもぬけの殻状態のベットに

男たちは悪態をついてヒチョルを探しまくる

クローゼットやトイレに風呂場まで探してもヒチョルの姿は見当たらない


「逃げたのか?」

「まさか・・・」

「どっかに隠れているはずだ!!!!さがせ!!!」








ヒチョルは屋根の上から寝室での騒ぎを静かに見つめていた


そのうち怒りを抑えられない男たちがヒチョルの物に八つ当たりを始める

ヒチョルのかわいいワンピースにナイフを突き刺して切り刻む

ヒチョルのお気に入りの象さんのポシェットもその被害にあった



あっ・・・俺のお気に入りのワンピース・・・お気に入りの象さんのポシェット・・・・

インドでハンギョンに買ってもらった大事な思い出のポシェット・・・・

絶対にあいつら許さない!!!!!!!


「お前ら何してんだっ!!!!!」

家の中で暴れていた男たちは突然怒鳴られてビックリする

そして声のする方を振り向くと

目当てのヒチョルが怒りに満ちた顔をして窓の外に立っているのが見えた


「いたぞっ!!!!外だ!!!」






ドンヘは何だか胸がもやもやしていた

母親に言われた事

ドンヨルが言った事

そして今日はやたらと猫の鳴き声がする事


何かが起きそうな気がする・・・・


綺麗なヒチョルを狙う男たちがいる・・・

あれだけ綺麗だと力ずくでも自分で征服したいと思うんだろうか


俺には分からない・・・・・


ドンヘはヒチョルの笑顔を思い出し

あの笑顔を曇らせないようにしたいと思った

せめてハンギョンの仕事が終わって戻ってくるまでは・・・・


「とりあえずパトロールをしに行ってくるか・・・」

ドンヘはそう言うと、海岸沿いに建っている家に向かって歩いて行った
【Eternal Ⅱ~海辺のまち】5


漁協の仕事から戻る途中でドンヘは妖精を見た・・・


白いふんわりとしたワンピースに

お気に入りの象の刺繍のポシェットを下げたヒチョルが

まるで宙に浮いているかのようにふわりふわりと走っていた

よく見ると足元には野良猫がまとわりついている


楽しそうに野良猫と遊んでいるヒチョルは

背中に羽の生えている妖精のように見えた


ドンヘはその様子をうっとりとしながら見つめていた


「あっドンヘ!!!!」

ヒチョルがドンヘに気付いて手を振るとドンヘも笑顔で振り返す

ヒチョルは足元にいた野良猫を抱きかかえるとドンヘの元に走ってきた


「俺・・こいつと友達になったんだ♪ ドンヘはこいつの事知ってる?」

ヒチョルが抱えていた猫は人懐っこくて有名な野良猫だった

黒い毛におおわれているが鼻の周りと足の先は白い

まるで靴下をはいているように見える



『こいつ・・・靴下はいてるみたいだな・・名前はソックスにしよう』

『ヒョクの名付けってセンスねぇの~まんまじゃん』

『ドンヘだってセンスねーくせによく言うよ』


ウニョクと2人でいる時にいつも遊びに来ていた野良猫・・・

まだ今ほど成長していなかった・・・あれからどのくらい時間が過ぎたのだろうか



もの思いにふけっていたドンヘに向かってヒチョルが声をかける

「ねぇ・・・この子の名前って付いてるの?」

「・・・ソックス・・・」

するとヒチョルが突然笑いだした

「靴下はいているみたいだから? まんまじゃん」

つられてドンヘも笑った・・・久々に心の底から笑えたように思えた


するとヒチョルの腕の中にいた野良猫が突然鳴き出した

にゃあ~にゃあ~

「なあに? ふーんそうなの?」

ヒチョルは猫の言葉が分かるかのようにソックスの瞳を見つめて鳴き声を聞く

ドンヘは驚いて見つめていると

「ソックスがね・・・いつも一緒にいたお兄さんどうしたの?って聞いてるよ」


ヒョク・・・・


急に沈み込んでしまったドンヘを見て

「うじうじしてねーで、会いに行けばいいじゃん・・・ったく」


ヒチョルは小さく囁くと猫を抱き上げて家に戻って行った







夕飯の食卓でドンヘは母親からヒチョルの噂を聞かされた

「離れの家のヒチョルさん・・・最近すごく評判よ・・・

まああれだけの美貌だから目立つのは仕方ないけどねぇ・・・」

「それで? なに?」

「あれだけ綺麗な人が1人で家にいるでしょ?

変な考えをおこす輩が出て来ないかって・・・

近所の人達と心配してるのよ

あんた結構仲良くしているみたいだから

戸締りの事とかきちんと伝えてあげなさいね

ハンギョンさんってまだ帰ってこないの?」

母親から聞かされてドンヘはドキリとした


今日漁協でイカの干物を作っていたら

先日イカの干物を荷造りしてから

すっかりヒチョルファンとなったドンヨルから

同じような話を聞かされていたからだった


隣町のあぶれ者たちが最近こっちまできて悪さをしている

あんな奴らにヒチョルが見つかったら・・・

特にいま恋人が仕事で不在ならなおのこと心配だ・・・と


今日は寝る前に一度家の前まで行って見るか・・・ドンヘはぼんやりと考えていた





にゃあ~にゃあ~

ソックスが外から戻ってきてヒチョルの足元で鳴く

「ふーん・・そうか・・・待ってて」

ヒチョルは慌ててベットの掛け布団の下にタオルなどを詰め込んで

人が寝ているように形を整えた

今日着ていたワンピースをハンガーにかけて

自分は動きやすい服装に着替える

玄関に内鍵をするとソックスを抱いて

窓から屋根の上に飛び上がった

「まだ空は飛べないけど浮き上がる事は出来るようになったんだ♪」

「ソックス・・・知らせてくれてありがとう

俺に手を出そうとするなんて10万年早いって・・・」



ヒチョルが借りている家に向かって

数名の影が動いているのが見えてきた



「本当に1人で暮らしているのか?」

「超イケてる美人だよ・・・俺見たもん」

「誰が先かジャンケンだからな」

「お前ロープとか手ぬぐいとか持ってきたか?」

「おおっナイフもばっちりだぜ」

4人の若者がニヤニヤしながらヒチョルの住んでいる家に向かっていた

それぞれ今日の獲物になるだろうヒチョルを思い描いてニヤついている



空には満月があやしく輝いていた
【Eternal Ⅱ~海辺のまち】4


ヒチョルはドンヘに手を引かれて港にやってきた

ドンヘがいつもいる漁師小屋から少し歩いて洞窟を抜けると

漁港のある港にたどり着く

港には船がたくさん停まっていて

水揚げした魚をおろしている所だった

ヒチョルは物珍しくて

大きな瞳をきらきらさせながらその様子を観ている


「ようドンヘ!!!可愛い子と一緒じゃん・・彼女かい?」

「妖精が現れたかと思うくらい可愛い子だねぇ」

2人が歩いているとあちこちから声がかけられる

「おじさん!!!!この子には恋人がいるんだよ!!!!

へんな誤解が広まったら・・・俺この子の彼氏に殺されちゃうから

変な噂たてないでよ!!!!」

ドンヘが必死になって弁明していると

周囲の漁師たちはみんなゲラゲラと大笑いしていた

ヒチョルはじっとドンヘの顔を見つめて

「お前・・俺に手を出したら・・ハンギョンに生き血全て抜かれて

カラカラにされるから・・・」とぶっそうな事を真面目な顔をして言う

(生き血抜かれてカラカラにされる・・・ってどんな事されるんだよっ)

ドンヘは心の中で悪態をつきながらも

「ハンギョンさんを怒らせる事はしません・・・俺はそんな奴じゃありません」

ヒチョルに笑顔で答えるとヒチョルは大きな瞳でドンヘを見つめたまま

「だよな・・ドンヘは愛する人がいるんだもんな」と呟いた


え?

今のヒチョルの言葉って何?????


ドンヘは胸の奥にしまい込んだ感情があふれ出てきそうになり

必死で深呼吸をする



「おじさーん♪ これってイカ? 干しているの?」

いつの間にかヒチョルはイカの加工をしている場所まで行っていた

ドンヘは慌ててその後を追いかけていく


ヒチョルに声をかけられた男性は鼻の下を伸ばしながら

「可愛いお嬢ちゃん・・・このイカをね・・この機械に挟んで

待ってて・・今から面白いもの見せてあげるから」と言うと

ひらいたイカを挟んだ機械を回転させた

「うわぁ~面白い♪」

ヒチョルは大きな瞳を興味深々に輝かせて見つめる

「この機械で乾かして、天日干しにすると凄く旨さが倍増するんだぞ」

男性の説明を聞くと

ヒチョルはドンヘの方を振り向き

「このイカの干物を友達の所に送りたいんだけど・・・ダメかな?」

可愛くお願いのポーズをする

ドンヘはその可愛らしさにドキドキしながら

「その送る場所によってだけど・・・」と答える

ヒチョルはニコっと笑うと

象の刺繍のポシェットから手帳を取り出し

ドンヘに住所の書いてあるページを見せた

「ここだったら隣の隣町になるから・・・

明日の夕方には届くと思うから・・大丈夫だよ」


「おじさん♪その美味しいイカを5匹ください!!!!」

「お嬢ちゃん・・惜しいなぁ~イカはな・・・

生きている時は「匹」加工前は「杯」干物になると「枚」って

数えるんだぞ」

「おじさんすごい~♪ じゃあ5枚ください」


ヒチョルの笑顔にすっかり魅了された男性は

5枚分の料金で7枚も入れて荷造りをしてくれた

ヒチョルは料金を渡して送り状とペンを受け取る

送り先を書いていて急にペンを止めた

「送り主って・・・ドンヘの住所書くの?

知らないから・・ドンヘ書いてくれる?」

「ああ」

ドンヘが送り状を書いていると

「ドンヘ・・・お前どうするんだ? オヤジさんの後を継ぐのか?

俺達オヤジさんの友人として、いつでも相談に乗ってやるからな」

イカ加工の男性が言ってきた

ドンヘは送り状を男性に渡しながら

「うん・・・まだ心の整理が付いてないんだ」と

辛そうな顔を笑顔で隠して答える


そんなドンヘをヒチョルは何か言いたそうにして見つめていた
【Eternal Ⅱ~海辺のまち】3


朝の陽ざしがまぶしいくらいに部屋に注ぎ込んでくる

ハンギョンは身支度をしてキッチンに立つといい香りのお茶を入れる

まだベットでまどろんでいるヒチョルに向かって

「ヒチョル・・・今回は10日位留守にするけど・・」とぽつりと言った

ハンギョンがすまなそうな顔をしてヒチョルを見つめる


それを聞いたヒチョルは瞳を開けて、ベットから起きあがった

カップを受け取ると窓辺に向かう・・・・

お茶を一口飲んでハンギョンに向かって微笑んだ


「大丈夫だよ・・俺・・かなり強くなったし・・大家さんも親切そうだし

毎日海見てても飽きないし・・・」

窓辺から数歩あるいてテーブルにカップを置くと

ハンギョンの背中に抱きついた

「でも・・・仕事終わったら・・速攻で帰ってきてね・・・」と耳元に囁く



ヒチョルの世界中旅をしたいという希望をかなえるために

ハンギョンは時どきお金を稼ぎに昔の仲間と仕事をしている

その内容はヒチョルは絶対に教えてもらえない


自分のために危ない仕事をしているのではないか・・とヒチョルは思う

いつかは話をしてくれるだろうと信じて、ヒチョルは留守番をしているのだった


だから今日も「行かないで」とは言えずに

笑顔を作って送り出そうと決めていた・・・・・


ハンギョンは椅子から立ち上がってヒチョルを強く抱きしめ


「わき目も振らずにまっすぐお前の所に戻ってくるよ・・・

だから・・・お前も他の男にちょっかい出すんじゃないぞ」


そう言うとヒチョルの可愛らしい唇に自分の唇を重ねる


(ハンギョンのバカ・・俺がハンギョン以外の人に魅かれる訳ないじゃないか・・)

2人はしばらく離ればなれになる時間を埋めるかのように

ずっと抱き合って動かないでいた






『ドンヘお元気ですか? 僕はこの間のオーディションに無事受かり

今は舞台に立つために毎日特訓を受けています。知り合いもいなくて

毎日毎日ダンスの稽古ばかりです。部屋に戻ってもドンヘがいないから

すごく寂しいです。いつこっちに来るんだよ・・・』


ドンヘは今朝届いたハガキを手にして漁師小屋に来ていた

ウニョクから来たハガキには新しい街での生活の様子が書かれている

本当なら・・今頃自分も一緒になってダンスの稽古にあけくれる日々を

過ごしていたんだろう・・・そう思うと胸の奥が寂しさで詰まりそうになる



「へえ~ドンヘの友達ってダンサーなの?」

突然ドンヘの耳元で声がしてあわてて振り向くと

ドンヘのすぐ後ろにヒチョルがしゃがんでいた

肩越しにハガキを読んでいたらしく、興味深い瞳でドンヘを見つめていた


「ヒチョルさん!!!!の・・覗き見は良くないで・・・す」

突然の出来事にドンヘは驚きのあまり言葉が上手く出て来ない

その様子にヒチョルは可笑しくてくすくすと笑った

「ヒチョルでいいよ・・・敬語もいらないよ」

そう言われてドンヘは自分より年下に見えるヒチョルに敬語もないな・・と思い

「俺の方が年上だから・・タメ語でもいいか?」

その様子にヒチョルは笑いが止まらない

「俺もドンヘって呼ぶから・・」

「え?」

「俺の方が年上だし・・ドンヘは23歳くらいだろ?俺は120歳だもん」

ヒチョルの言葉にドンヘは完全にからかわれたと思って少し拗ねた

その拗ねた姿が小さい子供みたいでヒチョルは可笑しくてたまらない

「ドンヘ怒った? ごめんね・・俺ヒマなんだけど町を案内してくれないかな」

ヒチョルの笑顔をみてドンヘは胸がドキドキする

(うわっ・・・間近でみると本当に綺麗な人だ・・・)

今日のヒチョルはふんわりとしたブラウスにヨーロッパ調の刺繍を施したベストに

ふんわりとした長めのスカートをはいている

ななめがけにしたポシェットもインドの象をあしらった柄で

どこからどう見ても可愛らしい女の子にしか見えなかった

「そう言えば・・・ヒチョルは男なの? 女なの?」

ドンヘはずっと気になっていた事を聞いてくる

「俺? 男だよ・・でも女の服の方が可愛いし俺に似合うから着てる」

「男・・なんだ・・・ハンギョンさんって・・ヒチョルの何?」

「ハンギョン? 俺の恋人だけど」

それがどうした?という顔をしてドンヘを見つめるヒチョル

「男同士なのに・・・恋人なんだ・・・」

ドンヘは動揺を隠しながらヒチョルに言うと

「俺達・・男とか女とか関係ない・・・

出会ったときからもう運命の相手と分かった・・」

ヒチョルは恥ずかしそうに頬を染めて俯いた


男とか女とか関係ない・・・男同士でも恋人と堂々と言えるヒチョル・・

ドンヘは凄く羨ましく感じていた

俺は・・・


「ねえ・・早く町を案内してよ!!!!ドンヘオッパ」

ヒチョルに言われてドンヘはあわてて手にしていたハガキを

後ろポケットにねじ込むと

「海は初めてなんだろう? 面白い所に連れて行ってやるよ」

ドンヘはニッコリと微笑むと

ヒチョルの手をとって港に向かっていった
【Eternal Ⅱ~海辺のまち】2


ザザーン

ザザーン


ハンギョンの腕の中でまどろんでいたヒチョルは波の音で目が覚めた


「!!!!」


ヒチョルはそっとハンギョンの腕の中から抜け出すと

素早く身支度をして浜辺にむかった


ヒチョル達が借りている家は道路を挟んで堤防があり

その向こうは砂浜が広がっている

海は遠浅で地引網漁なども行われると町会長から聞かされていた



水平線の向こうが少し明るくなってきている


「うわっ・・・すっげーお日さまが昇るのが見えるんだ」

ヒチョルは嬉しくなって思わず走りだす


波打ち際に立ってずっと海をみつめていた


「あれ?」


海岸の向こうに人影が見える

「あいつ・・・大家の息子・・何してんだ?」

「人にはそれぞれ事情ってもんがあるんだよ」

耳元で突然ハンギョンの声がした

「ハンギョン!!!!!」


「ヒチョル・・・黙って抜け駆けはダメだろ・・

なんで俺を置いていくんだ・・・」


ハンギョンは後ろからヒチョルを力強く抱きしめる

ヒチョルは小さく笑うと「ごめんね」と囁いた


「波の音で目が覚めて・・・ああ海辺の町にいるんだ・・・って

そう思ったら足が勝手にここに向いてた・・・」


ハンギョンは黙ってヒチョルの首元に顔を埋める


「見て!!!!ハンギョン!!!お日さまが昇るよ!!!」

ヒチョルはハンギョンに後ろから抱きしめられたまま日の出を見つめていた


「ハンギョン・・・綺麗だね・・・日の出って・・・」

「ああ・・・なんか心が洗われるようだな」

「ふつーの事なんだよな・・・お日さまが昇るって・・・

俺・・・本当に幸せだよ・・ハンギョンと2人で日の出が見られるなんて」

そう言うとヒチョルは体をそっとハンギョンに預けるように寄りかかる


ヒチョル・・・・俺も幸せだよ・・・

ハンギョンは毎日の平凡な幸せが永遠に続くようにと

心の中で祈った







本当は思い出の家は人に貸したくなかった

でも母親が勝手に話を決めてしまい仕方なかった


ドンヘはイライラする気持ちを持て余しながら海辺を歩いていた

昨夜はほとんど眠っていない


「ヒョク・・・ごめんな・・一緒に行けなくて」

ドンヘは水平線を眺めながらポツリと呟いた


ドンヘは家を借りていた友達のウニョクと

ダンスのオーディションを内緒で受けに行く予定だった


しかし出発予定の日・・・ドンヘの父親が突然倒れた


「後で絶対に行くから・・先に行ってて」

駅でそう言ってウニョクを送り出す

「俺・・・待ってるから・・・絶対に来てくれよ」


電車が小さくなるまでずっと窓から手を振っていたウニョク・・・


しかし・・・ドンヘはウニョクの元に行く事が出来なくなってしまった

父親が、倒れてすぐに亡くなり色々とやる事があって

一カ月が過ぎてしまっていた

もやもやする気持ちを落ち着かせようと海に向かって貝殻を投げた



ん?

海岸にカップルがいる

こんな早い時間にどこの誰?


よく見ると今日からあの家に住む事になったヒチョル達だった


2人は幸せそうに日の出を眺めている


「俺達もよくここの堤防に座って日の出を眺めてたな・・・」


ドンヘは懐かしさと寂しさに急に襲われてその場に座りこんだ

【Eternal Ⅱ~海辺のまち】1


「ドンヘ~ここにいたの?探したわよ」

「かあさん・・・」


海辺のすぐ近くにある漁師小屋に座っていたドンヘが

声をかけられた方にむかって振り向いた


「父さんが急に逝っちゃって・・・一カ月経つのね・・・」

ドンヘの母親は彼の隣にすわってぽつりとつぶやく

「本当に急に倒れて逝っちゃったから・・・ここもあの日のままになってるわね」


ドンヘの父親は漁師だった

今彼らの座っている漁師小屋でいつも道具の手入れなどをしていた

ドンヘの記憶の中では口数の少ない寡黙な父親が

ラジオを聞きながらここで仕事をしている・・・それが彼の父親のイメージだった

「俺が・・ここかたずけるから・・・かあさんはまだ辛いだろう?」

ドンヘの言葉に母親は笑顔で答える

「そう言えばアンタの友達が住んでいた離れの家・・町会長さんが借りたい人いるって・・」

「え?」

「一カ月ばかり逗留したいって人がいて・・・この町は旅館とかないでしょ?

ちょうど一か月前に引っ越しして今空き家だって言ったら、是非に・・・って」

ドンヘの瞳が悲しげに揺れた・・・が母親は気付かずに話を続ける

「それでね・・・今お見えになってるんだって・・鍵はアンタが持ってるでしょ

一緒に行ってくれる?」

「う・・ん・・」

ドンヘは何かをふっきるように立ち上がって

母親と一緒に漁師小屋を出ていった






「ハンギョン!!!すごいよ!!!この家!!!!リビングから海が見える」

ヒチョルが小さい子供の様にはしゃいでいた

ハンギョンはそんなヒチョルを優しく見つめる

「どうですか? 気にいっていただけましたか? 一カ月の期間でよろしいでしょうか?」

「ああ・・それで結構です・・・前金でお支払いします」

町会長に言われてハンギョンは財布を取り出した


「こちらがこの家の大家になりますパク・ソヨンさんと息子のイ・ドンヘさんです」

町会長に紹介されてヒチョルとハンギョンは挨拶をする

「私はハンギョンです・・こっちはヒチョル・・私は留守にすることが多いですが

ヒチョルが逗留する事になるので一カ月よろしくお願いします」


(うわっ・・・綺麗な人・・男? 女?どっちなんだろう)

ドンヘはヒチョルの顔から目が離せないでいた


「うわっ・・こんなに・・多すぎます・・一カ月ですよね」

ドンヘの母親はハンギョンから家賃を渡されて

その金額の多さに驚いている

「いえ・・受け取って下さい・・・

無理に貸していただくわけですから・・本当に助かります」

「ヨロシクお願いします」ヒチョルがニッコリと微笑む


ヒチョルの美しさに母親が息を飲むのを

ドンヘは隣で見ていた

【月と子猫とハンギョン~番外編 7】箱


ふぎゃあ~

みやぁ~


チョルはさっきから今の状態から抜け出そうともがいている

しかし誰も助けに来てくれない


(ハン~俺ここにいるよ~助けてよ~)

チョルの周囲をとりまく壁に爪をたててよじ登ろうとしても

滑ってうまくいかず体力的にも限界に近くなっている

(ハン・・・俺このままここで死ぬの? ハン・・・会いたいよ・・)

チョルの瞳から涙がひとすじ流れた






「チョル~新しいお前のおもちゃ買ってきたよ」

昨夜ハンギョンは大きな段ボールをもって帰宅してきた

玄関先で出迎えたチョルは「みゃあ~」と鳴くと

ハンギョンは目じりをさげながら

「ただいま」と言って子猫の姿のチョルにキスをする

チョルを自分の背中に乗せてリビングに移動すると

段ボールの中からジャングルジムみたいなものを取り出した


チョルは不思議そうな顔をして首をかしげる

そんな姿も可愛いとハンギョンは笑顔でチョルに向かって説明した


「俺がいない昼間はお前ヒマだろう? このジム使って遊ぶといいぞ~

だからカーテンにはよじ登らないように」

「みやぁ~」


ハンギョンの前でチョルはジムであそぶ

その姿を愛おしそうに見つめるハンギョン・・・・・


チョルと遊んでいるうちに夜更かしをしてしまい

今朝は寝坊をしてしまったハンギョンはあわてて家を飛び出した



そしてリビングには大きな段ボール箱がそのまま置き去りにされていた


チョルは何故だかその段ボールが気になって仕方ない

段ボールの周囲をうろうろする・・・側から離れられない・・・


ジムに上って段ボールの様子を伺う

段ボールのふたがあいていてチョルを誘っているように見える

何度か段ボールの周囲を回ったり

ジムに昇って観察したりを繰り返しているうちに・・・・


チョルの中から何か熱いものが弾けた

チョルは段ボールに向かってジムの上からダイブした






「ただいま~チョル~」

ハンギョンが帰宅すると、いつも玄関先まで来るチョルの姿が見えない

「チョル!!!!!」ハンギョンがあわてて部屋に上がる


みゃあ・・・みゃあ・・・と微かな鳴き声がきこえた・・


「チョルー!!!!!!!!」ハンギョンは慌てて鳴き声のするリビングに駆け込むと


段ボールの中から声が聞こえてきた

段ボールを覗き込むと中にはぐったりしたチョルの姿があった

「チョル・・・もう大丈夫だよ・・出してあげるからね」

ハンギョンの声にチョルは顔をあげる

涙でぐちゃぐちゃになっていた。ハンギョンはそっとチョルを段ボールから取り出すと

自分の胸に抱きしめて背中をやさしくなでて

「もう大丈夫・・・鳴かなくていいから・・・怖かったの?」

「みやぁ・・みやぁ・・」チョルはハンギョンに説明しようとしている

「うん・・ごめんね・・俺が段ボールそのままで行っちゃったから・・・

間違って落ちて出られなくなったんだね」


大人の猫だったら飛び出せる位の高さだったが

チョルは子猫でまだジャンプ力もなかったので出られなくなってしまったのだ


夕飯を終えた後

あれだけ大変な思いをしたのにもかかわらず

チョルはまだ段ボールが気になって仕方ない

その様子をハンギョンは愛おしそうに見つめながら

「そうだ・・・チョル・・ちょっと待っててね」

カッターを取り出すと段ボールの下の方に細工を始める


「みやぁ~」


チョルが興味津々でハンギョンの様子を見つめている


「ほら出来た」


段ボールの下にチョルが出入りできるくらいの穴が出来ていた


「二か所つくったからね・・チョルが落ちても出られるよ」


(ハン・・・ありがとう♪)

チョルはハンギョンの腕をよじ登るとハンギョンの頬をペロりとなめる


ハンギョンはチョルを大事そうに抱えると

「本当にチョルは可愛いな・・次の満月には有給とるから

ずっと一日一緒にいような・・・・」


チョルは嬉しそうに「みゃあ~」と返事をする



段ボールはしばらくの間チョルのお気に入りとして

ボロボロになるまでリビングに置かれていた・・・・
いつも遊びに来て下さる方々ありがとうございます

今回勢いだけで書き始めた「パールサファイアの夜」は

自分でも全く知らないホストの世界なので

手探り状態で矛盾がかなり生じているかと思います・・・本当に恥ずかしい限りです

鍵コメや拍手コメをいただいて・・ありがとうございました

続編の希望もありましたので

自分のためにも覚書としてここで登場人物を紹介したいとおもいます


ホストクラブ 「パールサファイア」

 個性的なホストが多いとの評判で後進店ながら

 なかなか売上を伸ばしている

 接客はホストごとに全く違っていて

 強力な固定客をつかんでいる



オーナー『ギュリ』 

親は芸能プロダクションを経営。自分もその跡取りとして経営に参加
          
祖父の財産を相続した時に、ホストクラブの経営を思いついて現在に至る
         
KARAのギュリをイメージして書きました年齢は35歳独身恋人なし

美人だけど男勝りの所が仇となり、素敵な恋ができません



支配人『カンタ』 

ギュリの芸能事務所の元アイドル。兵役終わって戻ってきたら人気が低迷。

芸能界を引退しようとした時に、昔馴染みのギュリからホストクラブの経営を

相談されて支配人として採用される。個性あふれるホスト達を上手にまとめている

昔からギュリに密かな思いを寄せていて、今でも支えたいと思っている・・・

顔はSMのカンタさんをイメージさせて頂きました


ナンバー1ホスト『ヒチョル』

ツンデレ接客にも関わらず圧倒的な指名数を誇る。

女性客だけではなく男性客の指名もあり、

それはVIP接客といいVIPルームでの特別接待となる

顧客は某市長と某区長と某芸能プロダクションの代表の3人・・・

そこに某ホテル経営者のシウォンが加わる

ホストのくせに人に媚びたりする事が大嫌いなために

客のほとんどはMと思われる

最近は男性客の接客がめんどくさくなり

「コスプレ接客」なる技を編み出した


ナンバー2ホスト『ハンギョン』

元証券マンという変わりもの。綺麗な顔立ちのハンサムだが

接客中はほとんど笑わない。頭脳明晰で経済に強いため彼の顧客は

キャリアウーマンが多い・・・ホストクラブにいながらハンギョンに

仕事のアドバイスをもらっている女性がほとんど・・・

ヒチョルの恋人で、ヒチョルが心配なあまりにホストに転職したらしい・・・

焼きもち焼きだが、

いつもヒチョルのペースに巻き込まれて誤魔化される事が多い


ナンバー3ホスト『ドンヘ』

可愛らしい笑顔で若い客層のほとんどの指示を得ている。顧客はキャパ嬢が多い

この店では珍しいホストらしいホスト・・・と言われているがカンタはその件では

首をかしげている・・・空気が読めないがその読めない事がドンヘに好機をもたらす事が

多い・・・らしい・・・


その他のホスト達

『ウニョク』

ダンサー志望でアルバイトでホストをしている。顧客は若い女性が多いので

ドンヘのヘルプとして入る事も多い。そのダンスの才能をギュリが気付いて

いずれは芸能事務所の方から売り出したいと思っている


『ソンミン』

その可愛い顔立ちから女性客のみならず男性客の指名も多い(男性客はVIPルーム接客となる)

亡くなった父親の借金が返せなくて自殺まで考えていた時に、たまたまギュリと知り合い

借金の肩代わりをしてもらいホストとして働くようになる。健気に笑顔で働いている。

借金のために大学を中途退学したのが心残りで、いつか大学に戻りたいと思っている


『シンドン』

フリーターをしていた時にたまたまパールサファイアの急募を見つけて入店。

シンドンのお笑いの才能に気付いたギュリが、芸能事務所の方でお笑いの仕事を

回すようになったため、最近はホストの仕事は減ってきている


『イェソン』

本人も周囲も理由は分からないが「日本人」に異様に人気がある

ギュリの発案で初めての『出張ホスト』をメインの仕事としている

日本の旅行会社との提携でソウルから慶州までの一泊旅行に

イェソンのディナーショーを付けてのツアーは毎回満員御礼状態。

ギュリは彼の歌唱力を認めて芸能事務所の方から歌手デビューさせるつもりらしい

なので・・・ほとんど店にはいない・・・です


『リョウク』

ヒチョルと同じ施設出身で孤児。ヒチョルと偶然に再会してからパールサファイアで働く

ヒチョルとハンギョンの部屋に居候状態だが2人からすごく可愛がられている

メインの仕事はみんなのヘルプとキッチンの補助。ヒチョルのVIP接客には必ずヘルプとして 
         
入っている。本人は料理が好きで、そっち方面の勉強がしたいと思っている

         

『ギュヒョン』

大学生。好奇心でこの世界にバイトとして入ってきた新人。野望はでかいが

女性に対する接客が苦手なために、今はギュリに個人的に接客指導を受けている。

面倒見のいいソンミンが世話をやいてくれているので、本人はソンミンが気になっている




パールサファイア以外

『キボム』

ギュリの芸能事務所に所属する役者。少しずつ主演ドラマも増えてきている


『イトゥク』

ホストクラブ「モムチャン」のホスト。シウォンの引き抜き騒動で、ホストを廃業・・・

今はシウォンの経営するスポーツジムの支配人になっている


『カンイン』

イトゥクと共に引き抜かれた後にホストを廃業し、同じスポーツジムでフロアマネージャー

としてイトゥクをサポートしている



『シウォン』

チェ財閥の御曹司。自分はホテルポセイドンのオーナーをしている

ホスト業界への進出をめぐって勢い余りヒチョル達を拉致してしまったが

今ではホスト業界の進出はあきらめ、スポーツジム業界進出と方向展開を行い成功。

ヒチョルにすっかり魅了されてしまったが、今はVIPの顧客としてパールサファイアに

通っている。通う回数が多いのでギュリに交渉して「回数券」を作ってもらおうかと

画策している




私の頭の中をここでまとめさせて頂きました

こんな事を妄想しながらお話を進めています

書き始めてからどうなるかと不安いっぱいでしたが

なんとか登場人物も頑張ってくれて一応話は終わりました

シリーズ化して欲しいというありがたいお言葉を頂きました

私も体力と力量があればすぐにでも続きの話を書きたいのですけど

ちょっとお時間をもらいます

(フルタイムで働いている主婦なもので・・・・)


再開する時のためにここに人物設定を書かせてもらいました・・・

また書きたいと思いますので少し待ってて下さい



次はEternalシリーズの続きを書きたいと思ってます



私のハンチョルはワンパターンですが

大丈夫でしょうか・・・

本当に自分でもあきれるぐらいのワンパターン(笑)

いつかは悲劇でも・・・と思いながら手は出せずにいます


いつでもコメントお待ちしています

お返事の出来ない方もありがとうございます。コメントすごく嬉しいです


これからも頑張りますのでヨロシクお願いいたします





【パールサファイアの夜】16 おまけのおまけ


「ヒチョル~VIPがラストに入ったからな・・・」

カンタに言われてヒチョルは首をかしげる・・・・

その姿を見てカンタはヒチョルの耳元に囁いた

「お前・・VIP接待で何かやってんのか? ラストの指名はハンギョンだからな・・・」



げっ


ヒチョルの顔が急にひきつる

「ヒチョル兄さん・・・すみません・・・サイコロとコスプレ表・・・

ハンギョン兄さんに見つかってしまいました・・・」

ソンミンがべそをかきながらヒチョルに謝った


「ハンギョンにバレた~????????」

ヒチョルはヤバいという顔をして、あわててキッチンに駆け込んだ

キッチンではリョウクがフルーツの盛り合わせを作っている最中だった

「リョウク~たすけてくれ~」

「ヒチョル兄さんどうしたんですか?」

「コスプレ接待がハンギョンにバレた~!!!VIPルームに呼ばれてる~

リョウク~どうしよう~!!!!!」


ハンギョンは嘘をつかれるのが大嫌いだった

リョウクはその事を思い出してヒチョルに言った

「こうなったらコスプレ全部見せましょう!!!!

ハンギョン兄さんは嘘が嫌いです・・・

ヒチョル兄さんはコスプレ接客の事は「言ってなかった」事にします」


ヒチョルは少し考えると二コっと笑う

「そっか~「言ってなかった」って・・・嘘ついてたわけじゃないし~」


リョウクは何かを思い出したようにヒチョルに囁いた

「あれ!!!この間買ったあの服・・あれまだVIPルームのとこに置いてあります

あれを最後に着れば・・・」そういうとニッコリと微笑む

「リョウク~お前ってすげーな」

ヒチョルはリョウクの助言に感嘆しながらVIPルームに向かう




「ヒチョル・・・俺になんか隠しているよね」

VIPルームに入るとすでにハンギョンが客として座っている

ハンギョンの声のトーンが低く、目つきもするどい

かなり怒っているオーラが全身に漂っている


うわぁ・・やべぇ・・・

ヒチョルは笑顔を作るとハンギョンの隣にすわる

「俺達隠しごとしない・・・って約束したよね・・俺嘘つかれるの大嫌いって

ヒチョル知ってるよね」

「うん・・知ってるよ・・俺お前に嘘ついてないよ」

「じゃあなんだよ・・このサイコロとコスプレ一覧は・・」

「ハンギョンに言ってなかっただけ・・・ゴメン・・言い忘れてて」

ヒチョルはニッコリと微笑む

「ハンギョンに最初に見せなくてごめんね・・・・・

今から全部みせるから・・待ってて」

ぶすっとした顔のハンギョンを置いて

ヒチョルはコスプレ表の順番に着替えてくる


次から次へとヒチョルのコスプレを見せられて

不貞腐れていたハンギョンの顔がだんだんと緩んでくる

その様子に気付いたヒチョルは途中で

「ハンギョン~♪ 俺可愛い?」と上目遣いで聞いてくる

「あ・・ああ」

ハンギョンは、次から次へといろんなヒチョルの姿がみられて

もう目じりがさがりっぱなし

「これが最後だからね~ハンギョンこっちに来て~」

ヒチョルに呼ばれて仕切り代わりのカーテンまでくると

ヒチョルが顔だけ出してきた

「最後のコスプレは・・・「中国娘」いつもはこの赤いの着てるの」

赤いチャイナドレスをカーテンの端からハンギョンに見せる

そして

「ハンギョンのためだけに・・・これ・・着るんだ・・・」

そう言うとヒチョルはカーテンをあける・・・



ハンギョンは目を見開いたままその場に立ちすくんでいた

「ヒチョル・・・綺麗だ・・・・」


そこには白いチャイナドレスを着ているヒチョルの姿があった

そのチャイナドレスは裾に蓮の華の刺繍が同系色でほどこされていて

とても品の良いものだった


「これは・・・お前だけのための装いなんだ・・・」

ヒチョルは少し恥ずかしそうに下を向く


ああああ・・ヒチョル・・なんて可愛いんだ・・・

ハンギョンは堪え切れない愛おしさに突き動かされるように

ヒチョルを力強く抱きしめた


あれだけ怒っていたハンギョンはもうどこにもいない

ヒチョルを抱きしめて耳元で囁く

「ヒチョル・・・アメリカ国籍とって・・籍いれよう・・結婚しよう」

「バカ・・・入籍なんて関係ないよ・・・ずっとそばにいてくれるだけでいい」

ハンギョンはその言葉を聞くと嬉しそうに微笑み

ヒチョルの顔を両手で愛おしそうに包み込むと

壊れ物でも扱うかのように、そっと口づけをした


唇が離れるとヒチョルが尋ねる

「ハンギョン・・もう怒ってない?」

「ああ・・怒ってないよ・・これからはちゃんと言ってくれよ」

ハンギョンはヒチョルを抱きしめたまま再度唇を重ねた






「ミミヒョン・・大丈夫みたいです・・

ハンギョン兄さんもう怒ってないみたいです」

「リョウク~本当に大丈夫? 」

扉の隙間からソンミンとリョウクがヒチョル達の様子を伺っていた

「ほらヒチョル兄さんを見て下さい」

ヒチョルはリョウク達が覗き見しているのに気付いて

背中越しにVサインを出していた

ソンミンはそんなヒチョルの様子をみて思わず泣きだした

「ミミヒョン・・どうしたんですか?」

「なんか安心して気が抜けたら涙出てきた」

リョウクはくすくすと笑うと

「ヒチョル兄さんに勝てる人はいないですからね

本当にいろんな面で凄い人です・・・僕は大好きです」

「うん・・僕も大好き・・・ハンギョン兄さんに甘えるヒチョル兄さんも

可愛いよね・・・・僕も早く愛する人に巡り合いたいな」

ソンミンはそう言うと羨ましそうにヒチョル達を見つめている



VIPルームの中では恋人たちの甘い時間が終わることなく続いていた





【パールサファイアの夜】15 おまけの話


ヒチョル達の拉致事件から1カ月が過ぎた

オーナーのギュリの判断により警察沙汰にはしなかったため

チェ財団に貸しを作ったような形となった

シウォンはホスト業界への進出をキッパリとあきらめて

今までのホテル経営により力を注ぐことにし

新たにスポーツジム業界に進出するとのうわさも聞こえてきていた


ホストクラブ「パールサファイア」は、

今日も相変わらず大勢の客で賑わっている


「ヒチョル~!!!」バックヤードに顔を出したヒチョルにカンタが声をかける

「VIP入ったから・・・すぐに行って」

「え? この時期だれ? 新客は入れないって約束だろ?

市長は市議会中で忙しいし、代表は日本に行ってるし・・・

区長は奥さんにバレてしばらく来れないってメール来てたし・・・・」

ヒチョルはしばらく考えて

「まさか・・・あいつか? おととい来たのに・・また来たのか?」

呆れたようにカンタに尋ねるとカンタも苦笑しながら答える

「はい・・まさかのあいつ様・・・高い金払って来るんだからな

ちゃんと接客しろよ・・・リョウクは今いつものおばあちゃんの指名入ったから

ヘルプはどうする?」

「ソンミナがあいてたら・・ソンミンで・・・」

ヒチョルは少し不貞腐れながら客席に戻って行った



「ミミヒョン・・・すみません・・僕の代わりにヘルプ入ってもらって・・・」

リョウクがすまなそうにソンミンに謝る

ソンミンは笑顔でそれに答える

「ううん・・大丈夫だよ・・僕ヒチョル兄さんのVIP初めてだから・・緊張するけど」

リョウクは手に持っていた袋をソンミンに渡しながら

「これ・・多分必要になるから持って行って・・・」

「なに?」

「ヒチョル兄さんが接客に飽きたら使うものなの・・今VIP接客には欠かせないアイテムだからね」

リョウクはそう言うと小さく手を振って客席に戻って行った






ヒチョルがVIPルームの扉を開けると、そこには笑顔のシウォンが1人座っていた

「お前って・・・よっぽど暇なんだな・・一昨日もきたじゃん」

ヒチョルが嫌そうに言ってもシウォンはニコニコ笑顔で座っている

あまりにも強い口調で言ったのでヘルプのソンミンは驚いて立ちすくんでいた

(ヒチョル兄さんのツンデレ接客・・・・間近でみるとすごい・・・)

「お前・・一応客だからな・・飲み物作るけど・・どーする?」

立ちすくんでいたソンミンはあわてて飲み物リストをシウォンに見せる

「じゃあ・・・ビールでお願いします」


飲み物とおつまみが届いたころ・・・

ヒチョルはソンミンの持っていた袋を取り上げ、中をごそごそとあさる・・・


「シウォン・・とりあえずサイコロふって・・」

突然サイコロを渡されたシウォンは何が何だか分からずに戸惑っていた

「お前めんどくせーな・・・楽しい事してやるからサイコロふれよ」


楽しい事と言われてシウォンはドキドキしながらサイコロを振った

「3番です」ソンミンがそう言うとメニュー表を見せる

そこには番号ごとにヒチョルのコスプレ接客の一覧が乗っている


シウォンがおそるおそるページをめくると3番は・・・・・

「家庭教師」となっていた


いつの間にかミニタイトのスーツに赤いふちのメガネをかけて

赤い口紅をキリっとぬって、

家庭教師スタイルに着替えてきたヒチョルは

指し棒を手にしてシウォンの横に座る

赤いヒールをはいた脚を組むと、ミニスカートのスリットがあがり

魅力的な脚線美が良く見える

シウォンは生唾をゴクリと飲み込むと

すっかりヒチョルの接客のペースに巻き込まれ

完全に顔はにやついて精悍さのかけらもみあたらない


ソンミンは初めて見るヒチョルのVIP接客のすごさにため息をついた

(コスプレ接客・・・すごいな・・・お客さんは完全にヒチョル兄さんの虜・・)



最後におでこにキスされて時間オーバーとなった・・・

指名の多いヒチョルをたっぷり30分自分だけのものに出来るVIP指名

料金は高いけれどリピーターが多いのもうなずける・・・ソンミンは思った


(僕のVIP接客はふつうの接客・・・

僕もコスプレ・・・やってみようかな・・楽しいかも・・)

ソンミンはそんな事を想っていたら

「ソンミナ・・・ハンギョンには内緒だからなっ!!余計な事いうなよっ!!!」

ヒチョルは苦笑いしながらソンミンに言う

「あいつさ・・すっげー焼きもち焼きだから・・・・

接客がめんどくさくなって、コスプレごっこしてるのバレたら・・・」

ヒチョルは眉間にしわを寄せて困ったような顔をする


ソンミンはそんなヒチョルを見つめると楽しそうに笑った

「シウォンさん・・完全にヒチョル兄さんの虜ですね

明日も来ますよ・・あの調子だと・・そのうち回数券作ってもらったりしてね」

「あ゛? 回数券? うわぁなんだそれ?」

ヒチョルがすごく嫌そうな顔をしたので、ソンミンはお腹の底から笑った





「シウォン様 一度ご自宅の方に戻られた方がいいかと」

迎えに来た秘書がシウォンに言うと

「あ?」シウォンは車の中で緩みきった笑顔で秘書を見つめる

秘書は首を横に振るとため息をついて運転手に自宅に戻るように伝える




「もう・・・うちの店を引っかき回さないでくれ・・・

客としてくるなら・・・拒みはしないけれど・・・」


拉致騒ぎのあとでヒチョルの言った一言が

ずっとシウォンの頭に残っていた

別れ際の笑顔が忘れられなくて思い切って店に行って見ると

ヒチョルは、以前と変わらず接客をしてくれた

シウォンはすごく嬉しかった

そして今日のコスプレ接客・・・・完全にヒチョルに堕ちた自分を感じる

客とホストの関係だけど・・それでも自分は満足している

別れ際に付けられたおでこのキスマーク

もったいなくて落とす事はできない・・・鏡を見てはニヤけてしまう

自分はMではなかったはずなのに

指し棒でバシバシたたかれて・・・少し快感を感じていた


「回数券か定期券が欲しいくらいだな・・・」シウォンはそう囁くと

車の窓から空を見上げて嬉しそうに微笑んだ・・・









【パールサファイアの夜】14


 
ホストクラブパールサファイアの扉には『臨時休業』の札がかかっていた

常連客のほとんどは店の前で残念がっていたが

中から楽しそうにパーティをしている声が漏れ聞こえてくるので

みんな苦笑しながら帰って行く


『臨時休業』の札の下には、それぞれのホストからの客へのメッセージが書かれていて

この店の客を大切にする心遣いが伝わってくるのだった







「今日は俺のおごりだから~なんでも食っていいぞ!!!!!

なんでも飲んでいいぞっ!!!! どうだ~すごいだろう!!!!」

ヒチョルは笑顔をふりまきながら料理をならべる

「ほう~ヒチョルも大人になったな・・・

ちゃんと世話になったお礼ができるようになって」

支配人のカンタが、からかうような笑顔をむけて言った


「チキンにピザに中華料理まである~旨そうだなぁ~」

若いホスト達は出前で届けられたたくさんの料理から目が離せず

皿と箸を手にして次々と料理を奪うように取り合っていく


「ただいま~」リョウクとソンミンが外から戻ってきた


「今ね・・そこでドンヘ兄さんのお客さんにあって・・・

なんで臨時休業なのって聞かれたけど・・・ちょっとしたパーティって答えたよ~」

「みんな残念がってたけど、次回楽しませてね・・って言ってた」


ふたりの報告にオーナーのギュリは微笑む

「怒って帰った人はいないみたいで良かったわ」

「オーナー!!!!リョウクと一緒に

オーナーの好きなお店のスイーツを買ってきました」

ソンミンがニコニコしながらスイーツの箱を見せると

ギュリは急に少女のような顔になって喜んだ

「私!!!!ここのナポレオンパイが大好きなの!!!!」

「ヒチョル兄さんが・・・買ってこいって・・・

ついでに僕たちの分も買ってきちゃいました」

リョウクが嬉しそうにヒチョルの方を向いて言うと

ヒチョルは優しく微笑む


わきあいあいと宴会は進んでいく

ヒチョルが迷惑をかけたお詫びでみんなに御馳走する趣旨が

途中から無礼講のパーティに変わってしまったように

みんなで大騒ぎをして、ものすごく盛り上がっていた


テーブルの隅で静かにグラスを傾けていたハンギョンの元に

ヒチョルが近づいてくる

「ハンギョン・・ちょっといい?」


ハンギョンの手をひいてヒチョルは店の外に出た


今日は満月がとても綺麗に夜空を照らしている

「月が綺麗だな・・・」ハンギョンは空をみあげて呟いた

「・・ハ・・ン・・ギョン・・・」

急にヒチョルがハンギョンの胸に抱きついてきた


ハンギョンは何も言わずに優しく抱きしめ

ヒチョルの髪をそっとなでる

しばらくそのまま静かな時間が流れた・・・・


「ハンギョン・・ありがとう・・・今の俺がいるのはハンギョンのおかげだ」

ハンギョンの胸に抱きついたままヒチョルは呟く

ハンギョンはヒチョルの耳元に

「ずっと一緒だからな・・お前が嫌だと言っても」と言って笑う


「ハンギョン・・・俺を見つけてくれてありがとう・・・

俺を愛してくれてありがとう・・・俺もお前から離れないから」

ヒチョルはその魅力的な笑顔をむけてハンギョンに微笑む

「俺も・・・愛している・・・ずっと一緒にいて・・・」

ヒチョルの言葉にハンギョンは嬉しさのあまり顔が綻ぶ

2人は月の明かりの下で唇を重ね合った

静粛な儀式のように2人だけの甘い世界が広がって行く





「うわっどうしよう・・・声かけられない・・」

リョウクが困ったようにギュリの顔を見る

ギュリも苦笑しながら恋人たちの様子を伺っていた

すると

「ヒチョル兄さん~今日はなんでもOKなんですよね~

ドンペリ頂きます~!!!!!!」

酔っ払ったドンヘがドンペリを片手にヒチョル達に向かって叫んでいた



え????

「ドンペリ?????」

ヒチョル達の甘いムードは一瞬にして壊される

「こらっドンヘ!!!!てめえ~調子に乗ってんじゃねぇ~」

突然怒りモードにスイッチの入ったヒチョルはドンヘに向かって走り出す


「兄さん~なんでも飲んでいいって言ったじゃん」

ドンペリを大事そうに抱えてドンヘは店に逃げ込んだ

「てめぇ~それ一本いくらすると思ってんだっ!!!!!!」

ヒチョルは取り上げようとその後を追って行く

リョウクとギュリも2人を追いかけて店の中に入って行った



1人残されたハンギョンは満月を見上げ

「もう絶対に離さないよ・・・ヒチョル・・・

過去なんて笑って話せるように・・・

俺がしてみせるさ・・・・」

そう呟くと店の中に戻って行った



パールサファイアの宴会は夜明けまで続いた

【パールサファイアの夜】 13


ホテルポセイドンの従業員専用口にタクシーを停めて

ギュリ達は迎えに来ていた男性と合流する

「ギュリさん? なんか大勢で・・現場の下見じゃないんですか?」

男性はホテルで広報関係の仕事に携わっているテヨンだった

テヨンはギュリの芸能事務所の雑誌関係の撮影時に

いつもホテルを使ってもらっているので、今日もその打ち合わせだと思っている


「下見よ!!!!この子達は・・助手だから・・現場体験とでもいうの?

まあぞろぞろいても気にしないで!!!本番ではいつものスタッフで来るからね」


「で・・・今回のコンセプトは?」

ギュリは困って言葉が出ない・・

「今回はMVでの撮影用に・・・偉い人の部屋を使いたいんです・・・

客室じゃなくて・・・できれば専務室とか・・・オーナー室とか・・・」

ギュヒョンが落ち着いた感じで話すと

「そうそう!!!!うちのガールズグループのMVで使いたいの~

イメージに合うかどうか・・・ちょっと覗かせてくれない?」

ギュリが笑顔で話しを合わせる


「オーナー室ですか? オーナー不在だったら・・何とかなるかもですけど・・・」

テヨンが不安そうに答えると

「とりあえず部屋の前まで案内して頂戴!!!!!」

ギュリはその魅力的な笑顔をテヨンに向けて強引にエレベーターに乗り込んだ







「ビジネスの話をしましょう・・・」

そうシウォンに言われてハンギョンはヒチョルの肩を抱きしめる

ヒチョルもハンギョンの手に自分の手を重ねて次の言葉を待っていた


「単刀直入に言わせてもらいます

実はこの度、私どもチェグループではホスト業界に進出することになりまして

業界ナンバー1の店を目指して、今あちこちのホストに交渉中なんですよ

まあだいたい交渉は成立したんですけど・・・・・

そして是非ともヒチョルさんにうちの店のナンバー1をして頂きたく

今お話をさせて頂いているわけです」


(これって・・引き抜きか? なんて大げさな事やってんだ?)

ヒチョルとハンギョンは思わず顔を見合わせた


「お前・・・バカか? 新しい店を作るのにあちこちから引き抜いてくる?

そんなことしても業界ナンバー1なんかになれねぇぞ」

ヒチョルは吐き捨てるように言った

シウォンは怪訝そうな顔をしてヒチョルを見つめる


「出来上がったものを寄せ集めたって全然魅力的なものは生まれねぇんだよっ」

「でもヒチョル・・あなたはとても魅力的だ・・あなたはあんなチンケな店じゃなく

もっと高級な品のある店でナンバー1でいてもらいたい・・・・

今の給料の2倍・・いや3倍は保障しよう・・・だから是非ウチの新店のトップとして・・」

「お前ってやっぱりバカだ!!!!!」

ヒチョルはシウォンの言葉を遮って叫ぶ

バカと呼ばれたシウォンは怒りで顔が赤くなっていた




その頃・・部屋の外では・・

「ギュリさん・・・困ります・・今オーナーいるみたいなんで・・

中には入れません・・」

オーナー室の前でテヨンがギュリを押しとどめようとする

「あら・・オーナーが中にいるの? ちょうどいいじゃない?

私が直接話をするわ・・オーナーのチェ・シウォンにね」

凄みのある笑顔をテヨンに向けると右手を上げる

後ろに控えていたホスト達がテヨンを押さえつけた


ギュリは優雅な足取りでオーナー室の扉をあけると

中で待機していた秘書にむけて笑顔で

「約束しているから・・・失礼するわ」と通り抜ける

「待って下さい・・オーナーは今・・誰も通すなと・・・」

秘書の制止をふりほどいて応接室へ通じる扉をあける


するとシウォンとヒチョル達がものすごい形相で睨みあっている姿が見えた



扉が開いてギュリ達が立っている姿を見てシウォンは

「誰も通すなと言ったろ!!!!!」と声を荒げる

ヒチョルはギュリ達の姿を見ると余裕の笑みを浮かべて話を続けた

「シウォン・・・お前ってさ・・水商売初めてだろう?

ホストもキャバクラもさ店のナンバー1って店が決めるんじゃねぇんだよ」

「・・・・・・・・」

「店に遊びに来る客が決めるんだよ」


シウォンの顔がピクりと動く・・・


「俺はたしかに今、金が欲しくてこんな仕事してっけどさ・・・

それだけじゃねぇんだ・・・俺は店に・・・オーナーに拾ってもらったんだよ」

たたみかけるようにヒチョルが言う

「ヒチョル・・・やめろ」ハンギョンは思わず叫んだ

ヒチョルはハンギョンの方を向いて「大丈夫だから」と言うと話を続けた

「昔の俺は、金の為に体を売ったりしてサイテーな生活していた

生きていく上で仕方なかったけど・・・性格も悪くて・・どうしようもないサイテーさだった

そんなどん底な生活から抜け出せたのは・・・ハンギョンと店のおかげだ・・」


シウォンは黙ってヒチョルを見つめている

「ハンギョンはどん底の生活をしている俺を・・・全てを知った上で愛してくれた

店の連中も・・・人間以下だった俺を・・人並みに・・人間として扱ってくれた・・・

だから・・・俺は・・・サイテーな奴から抜け出す事ができて・・・

今の俺があるのは・・・ハンギョンと店のみんながいたからだ・・・

ナンバー1としての俺は・・・みんなのおかげで生まれ変わってからの俺なんだ・・」

ヒチョルの瞳から涙が溢れだす

ハンギョンは辛そうな顔をして

ヒチョルを後ろからやさしく抱きしめる


「給料を2倍もらおうが10倍もらおうが・・・俺はお前の店なんかに行かない」

ヒチョルは涙でぐしゃぐしゃになった顔のままシウォンに向かって叫んだ



「人は・・・生きていく上で守らなければいけない義理があるんだよっ!!!!!!」




「ヒチョル兄さん・・・」ギュリの後ろにいたリョウクがすすり泣きだした

ソンミンも下を向いたまま顔を上げられないでいる

ギュヒョンはヒチョルの過去を知って驚きのあまり茫然と立ちつくしている

ギュリは瞳から涙を流しながらも

ヒチョルの言葉に嬉しそうにうなずき微笑んでいた



シウォンは何も言えずにその場に座りこんだ



「俺が・・パールサファイアを辞める時は・・ホストを辞める時だから・・・」





「シウォンさん・・・私の大事な従業員を返して頂くわ・・・・

今回の拉致の件は警察には届けないでおきます・・・・

貴方も経営者なら・・もっと慎重に行動すべきだったわね・・・

人の心は金では買えないって分かったでしょう・・・・」

ギュリはシウォンにそう告げると

「さあ・・お店に戻るわよ・・支配人が心配しすぎて倒れてるかもしれないわ」

後ろに控えていたホスト達と一緒に部屋から出ていった


床に落ちていたウィッグを拾いながらヒチョルは

座りこんでいるシウォンに向かって言った

「もう・・うちの店を引っかき回さないでくれ・・・

客として来るなら・・・拒みはしないけど・・・・」


え?


シウォンは今何を言われたのか分からずにヒチョルの方を向く


ヒチョルはいたずらっ子のような笑顔を向けると

ハンギョンの腕を組んでギュリ達に続いて部屋を出ていった



「クックックックッ・・・ハッハッハッハ・・・」

その場に残されたシウォンは自分でも分からないうちに笑いだしていた

そして涙を流している自分に気付き驚く・・・



しばらくその場に座ったままシウォンは泣きわらいを続けていた
2012.09.02 1年経ちました
いつも遊びに来て下さる方々

ありがとうございます・・・

ここのブログも今月で1年となります

ヒチョルが兵役に行って、去年の今頃は

寂しくて寂しくて妄想ばかりの日々でした・・

貯まりにたまった妄想を吐き出す場所として

今まで文章を書いた事のなかった私が

ここで妄想話を書き始める事になりました


私はハンギョンの隣で微笑むヒチョルが大好きです

なのでここではハンチョルの話しか書いてません

いや・・私はハンチョルしか書けないだけです(笑)

相変わらずワンパターンの話ですけど

これからもヨロシクお願いいたします


そして

ヒチョルが芸能界に復帰するまでに1年切りました

たまにweiboなどであげてくれる写真をみて

普通に楽しく友達と過ごしているんだな・・って嬉しく思います

芸能人に戻ったら出来ない事も

今のうちに楽しんでもらえたら・・と思ってます

基本ひちょぺん(花びら)はヒチョルに甘いですから

彼の笑顔が見られればなんでもありなんですから~


これからもヒチョルの笑顔を妄想しつつ

へたくそながらお話を書いていくつもりです

いつも拍手コメやコメントありがとうございます

これからも励みになるので楽しみにしています♪
【パールサファイアの夜】 12



「運転手さん!!!!ホテルポセイドンまでお願い!!!」


ギュリはタクシーを停めると素早く乗り込む

ソンミンとギュヒョンと最後にリョウクが続いて乗り込んだ

残りのメンバーも次のタクシーに乗り込んで後に続く



タクシーの中でギュリは誰かに電話をかけていた

「あなたの力を借りたいのよ・・今から行くから・・・

理由? そんなの付いてから言うわ・・・もちろん今度の撮影用に下見よ・・

移動中だから切るわ・・内緒で来てね」

携帯を切るとギュリはリョウク達に説明する

「あのホテルは芸能事務所の方でいつも撮影に使ってて

チーフマネージャーと懇意にしているの・・だから利用させてもらうわ」

「ホテルポセイドンのオーナーのチェ・シウォン・・・この間新客として

VIPルームに来ました・・・ヒチョル兄さんを気にいってました」

リョウクが心配そうにギュリに伝えると

「大丈夫よ・・・ヒチョルを信じているわ」

「分かった!!!!断ったから拉致られたんだ」ギュヒョンが自信満々に答える


クスっ


ギュヒョンの自信満々な様子にソンミンが思わず笑った

つられてリョウクも笑う

肩に力の入っていたギュリも一緒になって笑いだした








ん? ここはどこだ?・・・・

ハンギョンは、頭がぼうっとしたまま目を覚ました

どうやら絨毯の上にうつぶせで寝かされているようだ・・・

「ヒチョル・・ヒチョルは・・・」

まだしびれが残る体を引きずるようにして、なんとか周囲を見渡すと

立派な家具などのある応接室のようだった

絨毯にすわったまま後ろを振り向くと、立派なソファーが置いてあり

そこにヒチョルは横たわっていた

「ヒチョル・・ヒチョル・・」

ハンギョンはヒチョルの耳元で声をかけると

「う・・う・・ん」

ヒチョルの顔がゆがんで、何度か瞬きをしたあとに大きな瞳がひらいた

「ハンギョン!!!!」

「しっ!!!!」

ハンギョンはヒチョルの口を手でおさえると小声でささやく

「どうやらあいつらのボスの所に連れて来られたようだね

スタンガンとは・・手荒なまねしてくれるな・・ヒチョル大丈夫だった?」

ヒチョルは大きな瞳でハンギョンをじっと見つめる

引き寄せられるように2人の唇は重なる・・・お互いの無事を確認するかのように・・・

そして2人の唇が離れると、ヒチョルがホッとしたように囁いた

「ああ・・ハンギョンだ・・夢じゃない・・俺は大丈夫だよ・・

でも誰がこんな事やったんだよ・・・なんか超ムカつく」


「俺は床に転がされていたけど、お前は大事そうにソファに寝かされていたぞ

またお前の客絡みなんじゃないの?」

ハンギョンの言葉にヒチョルは少し考え込む

そしてこの間新客として来たシウォンという男の事を思い出していた

「シウォン・・・あいつかもしれない・・・・俺がお前と同伴ゴッコしているの知ってたし」

ヒチョルはいらいらしながら被っていたウィッグを取って投げ捨てた

「くそっ・・・俺に用事あるんなら、こんな回りくどい事すんなよっ」



「やっと目が覚めましたか? 私の部下がとんでもない事をして申し訳ありませんでした」

隣の部屋に続くドアから、高級なスーツを着こなした精悍な青年が入ってきた

「てめえっ!!!!シウォン!!!!俺に用事があるのならこんな事するな!!!」

ヒチョルがものすごい形相でシウォンを睨む

シウォンは少し悲しそうに顔をゆがめて

「失礼しました・・・部下にはここにお連れするようにって指示しただけなんです

スタンガンを使うとは・・・私も想定してませんでした」


ハンギョンはシウォンの様子をみて部下が暴走したと理解した

(抵抗したらスタンガンを使用しても良い・・って言う指示を

最初っからスタンガンを使用しても良いって・・・都合良く解釈したんだな)


(ハンギョン兄さんには言っておきます・・・・

あのお客さんは・・・ヒチョル兄さんの事が好きです・・・)

リョウクの言葉がハンギョンの頭に浮かび、思わずシウォンの事を睨みつける


「そんな顔をしないでください・・・これからビジネスの話しをしましょう」

「はあ?」

ヒチョルは目の前の男がなにを言いだすのかと不安げに顔を歪め

シウォンの次の言葉を待っていた

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。