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2012.10.31 cafe 賛美歌 6
【cafe 賛美歌】6



「お前がいなくても、ちゃーんと予定通りに工事は進んでるよ」

「だからお前は安心して入院してろ」


ハンギョンの個室にカンインとシンドンが見舞いにやってきて

ベットに寝ているハンギョンに向かって言う

「来月中には完全に終わるから・・・12月に入るとクリスマスだし・・」

シンドンがそう言うとハンギョンが思い出したように訪ねてきた


「次の仕事はアメリカだったよな・・・打ち合わせから施行まですぐだよな

いつぐらい・・・あっちに行けばいいんだ?」


「弘益聖堂が終わったらすぐにでもアメリカに行って・・・打ち合わせしないと

施行は来年入ってからだな・・・クリスマス終わってからだと思うよ」


カンインの言葉にハンギョンは何かを確かめるかのように

ぶつぶつと口の中で予定を繰り返した


「もうすぐ退院できるから・・・そうそうのんびりも出来ないな」

ハンギョンはそう言いながら天井を見上げた


「じゃ・・俺達現場に戻るから・・・お大事に・・退院決まったらすぐに連絡くれよ」

「ああ・・・この調子だったらすぐに退院できそうだ・・後は通院になる」

カンインはそう言い残すとシンドンと一緒に部屋を出ていった


「弘益聖堂の仕事もあと二ヶ月で終わるのか・・・・」





「あっ・・あの子・・ハンギョンが庇った子だ・・」

病院の廊下を歩きながらシンドンはカンインを肘でつついた

ヒチョルはギャルソンの姿のまま病院の廊下を歩いていた

手には水筒くらいのポットを持って楽しそうに微笑んでいる

「ハンギョンの病室に向かってるみたいだな・・・」

「ただの出前にしては・・ちょっと違う様子だぜ・・・」

「あのハンギョンもとうとう・・・」カンインがニヤリと笑うと

「でもあの子男の子だよね・・・ハンギョンはその趣味あったっけ?」

シンドンの問いかけに

「あいつは同性趣味はない!!!!だけどあれだけの子なら・・」

カンインはいたずらを思いついた子供の様にニヤニヤとする

「あのさ・・・仕事人間のハンギョンが恋に落ちたのなら

そっと見守ってあげた方がいいと思うよ・・あの子に逃げられたら可哀そうだって」

シンドンが真面目な顔をしてカンインに言うと

「そうだな・・・仕事人間のあいつが好きになったのなら応援してやるか・・」

2人は親友の恋の行方を暖かく見守っていこうと心に決めた





コンコン

楽しそうなノックの音にハンギョンはヒチョルの来訪を知る

「どうぞ」

ハンギョンの声にヒチョルはドアを少しだけ開けて

可愛らしい顔を覗かせる


ああっなんて可愛いんだ・・

いたずらっこのように大きな瞳をキョロりとさせて

病室の中を確認してから中に入ってくるヒチョル

ハンギョンは毎回この姿を見ると抱きしめたくなるくらい

愛おしい想いであふれそうになる


「はい・・オーナーの入れたコーヒーです」

ヒチョルはニッコリと微笑むとポットをハンギョンに手渡す

ハンギョンはお見舞いに来る時には

コーヒーの出前をヒチョルに頼んでいた


ヒチョルが見舞いにくるようになってからもう一週間となる

ギャルソン達のスケジュールを自分の都合で動かして

ヒチョルは毎日早番で仕事をして、その帰りに病院に寄るようにしている


「少し散歩しようか・・・」

ハンギョンはベットの横の松葉づえを持つと よいしょと立ちあがる

するとヒチョルが肩を貸して2人は密着した状態で中庭まで出る事になった

「ハンギョンさん・・いつから歩けるようになったの?」

「うん・・ほんとはもう歩けてたんだけど・・ヒチョルと話したかったから

ベットの上から動かなかったんだ」

ヘヘヘと子供の様に笑うハンギョンにヒチョルの胸はキュン・・とする

特に今はハンギョンに肩を貸している状態なのでハンギョンの胸が近い

ドキンドキンドキンと鼓動が止まらなくなる

衝動的にハンギョンの胸に顔を埋めたくなる自分に驚いて

平常心を装うとする・・・でも頬が赤くなるのは避けられなかった


「ヒチョル・・どうした? 顔が赤いよ・・俺が重いからか? そこのベンチに座ろう」

ハンギョンの優しい口調にヒチョルのドキドキは止まらない

「ヒチョル・・・ありがとう・・肩かしてくれて」

ハンギョンに言われてヒチョルは思わず顔を上げる

目の前にハンギョンの笑顔があった


ふと2人の目があった

(あっ・・・・)

その瞬間ヒチョルはハンギョンに唇を盗まれた


「ごめん・・・」

大きく目を見開いたまま固まっているヒチョルにハンギョンは謝る

「ごめん・・怒った?」

ヒチョルは黙ったまま頭を左右に振ると

「ハンギョンさん・・って・・そういう人なの?」と聞いてきた

「そう言う人って?」

「おとこが好きな男の人・・・・」消え入りそうな声でヒチョルが尋ねる


「違う・・・今まで女性しか好きになった事はない・・

ヒチョルが初めてだ・・・魅かれた男の子は・・・・」

ヒチョルは黙ってハンギョンの顔を見ている

「俺は・・・ヒチョルが好きだ・・・ヒチョルは俺の事どう思ってるの?」



俺は・・・

俺はハンギョンさんの事・・・好きなのか?


初恋もまだのヒチョルは自分の心が良く分からない


ヒチョルはハンギョンを見つめたまま涙を流す


「嫌だった? 勝手にキスして・・ごめん・・・」

ハンギョンの言葉にヒチョルは首を振る

「違う・・俺は・・・ハンギョンさんが・・・好き・・・だ・・」

その言葉を聞いてハンギョンは子供の様に顔をくしゃっとして喜んだ

「もう一度・・・キスしてもいい?」

ハンギョンのその言葉にヒチョルは頷くかわりに・・・

瞳をしずかに閉じる・・・


やさしい口づけがヒチョルを襲う

思いもよらない甘美さがヒチョルの全身に行きわたった

力が抜けてきてハンギョンの胸に思わずしがみつく


口づけは段々と深く強くなっていく

とろけそうな気持の中で


(俺は・・・この人が好きだ・・この人を愛している・・

ハンギョンさん・・・俺の愛する人・・・)

ヒチョルは初めて自分が恋をしている事に気が付いた
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2012.10.30 cafe 賛美歌 5
【cafe 賛美歌】5


「ヒチョル兄さん~お帰り~!!!!」

「オーナーってどこに行ったの?」

「今日の夕食当番ってだれ~?????」

ヒチョルが宿舎に戻ってくると

ギャルソン達がいつものようにリビングで大騒ぎをしていた


リョウクが壁に貼ってある当番表を見て

「イトゥク兄さんが夕食当番じゃん!!!!何やってんの」と大きな声で叫ぶ


「ええ~俺~? 誰も気付かないと思ったのに~バレタか」

笑うとえくぼの出る愛嬌のある顔でイトゥクがとぼけて言う


テレビの前ではドンヘとウニョクがテレビゲームをしていた


ヒチョルは黙って壁に貼ってある店の出勤表をながめると

マジックを手にして勝手に書き換える


「ドンヘ!!!!お前明日俺と早番交代。ウニョクは明後日俺と交代!!!

イトゥクは三日後俺と交代!!!!」

ヒチョルは有無を言わさずに表にある今週の予定を全部早番に書き換えていた


「え~ヒチョル兄さん~勝手だよ~俺予定いれちゃったのに」

ウニョクが不満を言ったが

「はあ?」というヒチョルの不機嫌そうな返事に思わず体がすくみ

「いえ・・・なんでもありません・・」とドンヘの陰に隠れてゲームを続けた


「ヒチョルどうしたんだよ~なんか怖いよ~」

イトゥクがヒチョルに、からかい半分で声をかける

「イトゥク兄さん!!!!何でもいいから夕飯の支度してください!!!!」

リョウクに怒られてイトゥクはすごすごとキッチンの中に入っていった


ヒチョルは大騒ぎのリビングを後にして自分の部屋に入っていった

「お帰りなさい・・ヒチョル兄さんお見舞いどうでした?」

ソンミンが自分のベットの中で

スケッチブックを使って何かを書いている所だった


ヒチョルはソンミンとリョウクと相部屋で

二段ベットの上をリョウクが使い下をソンミンが使っていた

ヒチョルは1人でシングルベットを使用している

「うん・・ソンミナありがと・・ハンギョンさんね

かぼちゃプリンをね・・すっごく美味しそうにペロりと食べちゃったよ」

スケッチブックにケーキの絵を書いていたソンミンは

ヒチョルの嬉しそうな声に気付いて顔を上げる

「元気そうで良かったね。またお見舞いに行くの?」

「ん・・・毎日来て欲しいって・・あっヒマだから話相手にって意味だけど・・」

頬をほんのりと赤らめて

恥ずかしそうに答えるヒチョルを見て

ソンミンはヒチョルの恋の予感を感じて小さく微笑んだ



「夕飯やっとできたよ~!!!!食べに来てよ~!!!」

リョウクがヒチョル達を呼びに来た


ソンミンとヒチョルがリビングに降りてくると

ギャルソンのみんなが席に着いて食べ始めていた

「イトゥク兄さん!!!!ラーメン鍋以外に料理できないの?」

ドンヘが箸を持って文句いいながら食べている

「たまーに食べるラーメン鍋だから旨いんじゃん」

イトゥクが悪びれずに箸を動かす


「あれ? シウォンオーナーは? なんでいないの?」

ヒチョルが箸を動かしながら不思議そうに聞いてくる

「オーナーは今日集まりがあって出かけました

なんだっけ? いとこの会とかって・・・・」

リョウクが思い出しながら話をすると

「ああっ同じ名前のcafe 賛美歌を経営している、

いとこと はとこと食事会だって言ってた・・・」

イトゥクがなんか舌噛みそうだ・・とぶつぶついいながら

いとこはとこ・・・と何回か言いなおす



「そーいえば俺達の店とすごく似てるんだってね~

この間お客さんが雑誌を見てウチを探してたら、間違えてそっちに行ったって」

ドンヘが先日客から聞いた話をみんなにする

「それでどうしたの?」

「なんかすっごく重そうな扉があって・・入りにくそうだからやめたって」

「cafeなのに入りにくいんだ・・・・」

「どんなお客さんが行くんだろうね」

「いとこもはとこも同じ名前だって言ってたな・・・・」

イトゥクが思い出しながら話すと

「同じ顔してたりしてね」

ドンヘが可笑しそうにまぜっかえす

「えーっあの濃い顔で三人とも髭生えてて?」

「うわーっ」

リビングは大爆笑となった



ヒチョルは

明日はお見舞いに行ってこの話でもしようかな・・

ハンギョンさん笑ってくれるかな・・・とラーメンをすすりながらぼんやり考えていた






*special thanks*

sakoさんのcafe 賛美歌店、海音さんのcafe 賛美歌店



【中秋節のまぼろし】おバカver.


中秋節の休みを利用してハンギョンは韓国に来ていた

今回はある目的があっての秘密の渡韓だった


仁川に着いてどこかにメールをすると

見つからないように帽子を深くかぶりなおし

顔のサングラスを確認する



♪~♪~♪

メール着信の音を聞くとハンギョンはポケットから携帯を取り出す

メールを確認すると地下の駐車場に向かって歩いて行った







「今日はVIP連れてくるから店貸し切りにしろよ」

数日前にヒチョルから突然電話をもらったコンヒ

貸し切りにしろって言っても予約の客はたくさんいる

自分の美容院をオープンして数カ月

ヒチョルの友達と言う事で宣伝をしなくても客はたくさんやってくる

それはすごくありがたい事だとコンヒは思う

なので予約客を切ってまで貸し切りにすることは出来なかった


仕方ないのでスタッフの休息室を

今日だけは特別にVIPルームとして改造し

ヒチョルの到着を待っていたのだった


「オーナーヒチョルさんが来ましたよ」

スタッフの1人が扉の向こうから声をかけた


「コンヒ~貸し切りにしろって言ったのに・・・」

ヒチョルが文句を言いながら入ってきた

「お前・・突然そんな事言ったって

無理なものは無理なんだよ」

コンヒは苦笑いしながらヒチョルをむかえる

「おうっ入れよ・・特別室作ってくれたってさ」


ヒチョルの後から入ってきた人物をみて

コンヒは息が止まるほど驚いた・・・


「ハンギョン・・・」


SJを脱退して中国でソロ活動をしているはずのハンギョンがそこにいた


「コンヒ~お前初めてだっけ・・こいつと会うの」

「は・・初めまして・・コンヒです・・・」

「ハンギョンです・・今日はヨロシクお願いします」

ハンギョンは、13億の奇跡といわれたその美貌でコンヒに微笑む

(うわっ・・ヒチョルも美人だけど・・生のハンギョンも綺麗な人だ)

ヒチョルはハンギョンを鏡の前の椅子にすわらせると

「コンヒ~こいつさ・・中国に帰ったとたんに超ダサくなってさ

もう俺・・・耐えられないくらい・・お前の腕で昔みたいにカッコ良くしてよ」

そう言ってハンギョンの帽子をとる


中途半端な刈上げ風な金髪の頭がそこに現れた

「すみません・・ヒチョルがこのままだと絶交するって言うから

仕事を調整して・・なんとかソウルにきました・・

ヒチョルに絶交されると困るので、なんとかしてください」

ぽわぽわした韓国語でニコニコしながらハンギョンが話す


(へえ・・・この人って歌っている時と全く違って・・ほっこりしてる人なんだ)


「お前ほんとにダッせ―な!!!!!なんでこの髪型で金髪なんだよ」

「ヒチョル仕方ないだろ・・あっちでは後ろ刈上げが流行りなんだから」

ヒチョル達が長年連れ添った夫婦の様に口げんかし合っている間

コンヒは真剣に髪型を考えていた・・・


!!!!!


「俺に任せてもらえるんだろうな」

「俺のハンギョンをカッコ良くしなかったらコンヒ殺す」

ヒチョルの物騒な言葉に苦笑しながらコンヒは仕事にとりかかった






外出していたヒチョルが戻った頃

コンヒの仕事も終わり近くとなっていて

ドライヤーで最後の仕上げをしていた



「ハンギョン~♪♪♪」

ヒチョルの嬉しそうな声が聞こえてハンギョンは顔を上げる

鏡越しに見えるヒチョルの笑顔をみて

ハンギョンは無理してソウルまで来てよかったと思った


「コンヒ~サンキュ・・俺のハンギョンが戻ってきた~」

ヒチョルはあまりの嬉しさにコンヒに抱きつく

その瞬間コンヒは背中に殺意を感じて恐る恐る振り向いた

そこには今までとは別人のような

怖い形相のハンギョンがコンヒを睨んでいる

「ひ・・ヒチョル・・睨んでるから離れて・・」

ヒチョルの耳元でコンヒが囁くと

ヒチョルはニヤリと笑いながら

「ふん・・少しは焼きもちやかせてやるんだ」と答える


(うわっ・・やっぱヒチョルの恋人って大変だ・・友達で十分だ)


「ヒチョル・・」

ハンギョンがヒチョルの腕を掴んで自分の方に引き寄せた

「どうだ・・お前の好みになったか」低い声でささやく

その怒った様子をみてヒチョルは楽しそうに微笑んだ

「ハンギョン・・カッコいいよ・・カッコ良すぎて中国に戻したくない」

そう言うとハンギョンの胸に顔を埋める

その言葉を聞いてハンギョンは満足げに微笑んで

ヒチョルの唇に自分の唇を重ねた

遠距離恋愛中の恋人たちはすぐに2人の世界に入り込む



コンヒは幼馴染の見た事のない姿にどぎまぎしながら


「しばらくここはお前らの貸し切りにしてやるから・・・

用事おわったら下の店に言いに来いよな」


そう言い残すと静かに部屋をあとにした・・・
2012.10.28 cafe 賛美歌 4
【cafe 賛美歌】4



「ヒチョル兄さんおはよう~♪」

「今日の朝食当番って誰?」

「僕~!!!!お粥つくってるよ~」


昨夜一睡もできなかったヒチョルは精彩の欠いた顔で

リビングにやってきた


cafe 賛美歌のギャルソン達のうち希望者は、宿舎で共同生活をしている

宿舎と言っても資産家のオーナーであるシウォンの住んでいる屋敷に

間借りしているのだが・・・・

シウォンが親から受け継いだ財産のうちの一つの豪邸に

家賃・・と言っても光熱費程度だが・・を給料から差し引いてギャルソン達を住まわせている

シウォン1人では持て余す豪邸も彼らと一緒だと賑やかで寂しくない

ここでもシウォンは優しい微笑みを浮かべながら、朝のコーヒーをいれていた


「オーナーすみません・・今日・・俺非番なんですけど・・

お見舞いに病院に行ってきてもいいですか?」

ヒチョルはシウォンに向かって話しかけた

「僕からも後でお見舞いに行くけど・・今日はヒチョルひとりで行っておいで」

優しい笑顔でヒチョルに返事をする

2人の会話を聞いていたソンミンがそこに割り込んできた

「足のけがですよね~僕の作ったかぼちゃプリン持ってってください」

「ミミヒョンの新作ですよ~試食で評判良かったらハロウィンの時期に出します」

リョウクがお粥を作りながら自慢げにヒチョルに言った


「うん・・ありがと・・あと花でも持っていけばいいよね」

「花瓶がなかったら困るからアレンジメントがいいよ」

ソンミンが笑顔でアドバイスをしてくれた


「あさめしー出来た~?」ドンヘとウニョクが走ってくる

豪邸のリビングはとても広くて

下宿しているギャルソン全員が座れる大きなテーブルもあった


ギャルソン達は早番、遅番と非番とローテーションを組んだ表を

リビングの見える所に貼っている

cafe 賛美歌の雰囲気がアットホームなのも

オーナーと従業員であるギャルソン達の

家族のような関係が要員のひとつなのかもしれない・・・


いつものように賑やかな朝食が始まろうとしていた









「で・・・検査の結果は全治一カ月だって・・左足の甲の骨折と打撲とねんざだとさ」

ベットの上でハンギョンがカンイン達に説明をしていた

昨日入院して今朝一番でレントゲンをとって

医者から言われた事をそのままカンインに伝えている

「現場は俺一人で大丈夫だから・・・ハンギョンは病院でゆっくりしててよ」

現場監督のシンドンが安心させるように笑顔でハンギョンに言う

「そうだな・・・お前仕事ばかりで休みも余ってるだろう?

ここで有給消化しとけ」カンインが笑いながら言った

「そう言えばお前が庇った子・・今日お見舞いに来るって言ってたよ」

シンドンのひと言でハンギョンがギクリとする

「教会みたいなカフェあっただろう?

あそこのギャルソンだよ・・ヒチョルくんだって」

「ヒチョル・・・」

ハンギョンはシンドンに教わった名前を

もう一度自分の口で繰り返して呟いた



ヒチョル・・・天使が降臨してきたのかと思う程綺麗だった

ハンギョンの心を打ちぬいた人の名前・・・なんて気高いんだ

ハンギョンは事故の時の事を思い出していた


「とにかく・・・お前は仕事が恋人って言うくらい

仕事に打ち込んでいたからな・・・・

ここで一カ月のんびりしとけ!!!!!!」

カンインはそう言うとシンドンと一緒に病室を出ていった



「しばらくのんびりしろって言われてもなぁ・・・・」

ハンギョンはやる事もなくぼんやりと天井を眺めていた


すると

遠慮がちなノックの音がして

「すみません・・ハンギョンさんですか?」という声とともに

ヒチョルが病室に入ってきた


え?


心の準備の出来ていなかったハンギョンはどきまぎしながら

ヒチョルを出迎えた



「昨日はありがとうございました・・」

ヒチョルは緊張の為か固い感じの笑顔で挨拶をする

「ああ・・・君になんもなくて良かったよ」

ハンギョンは心からの笑顔でヒチョルに答える


ドキン・・


ハンギョンの笑顔がまぶしく感じてヒチョルは思わず下を向き

「これ・・お見舞いです・・ここに置きます・・・

あと・・これ・・店の子が作ったパンプキンプリンです」

やっとの思いで言葉を絞り出した・・

ハンギョンは恥ずかしそうにしているヒチョルをみて

あまりの可愛らしさに抱きしめたくなる気持ちをぐっと堪えて

いろいろ話かける


趣味の話になって

ヒチョルがロックが好きだと知り

ハンギョンもロックが好きだったので話が盛り上がった

緊張していた時と違い

今ではすっかりくつろいだ表情で話をするヒチョル

ハンギョンはその姿に時々見とれてしまっていた



楽しい時間はあっという間に過ぎていった


ハンギョンの夕食の時間となり

ヒチョルは面会時間の終了が間近になっている事を知り驚いた


初めて会ったに等しい相手と

何時間も楽しく話ができた自分が信じられなかった


「ハンギョンさん・・・すみませんもう俺・・帰ります」

ヒチョルがそう言って席をたつと

ベットの上からハンギョンがヒチョルに向かって

「出来れば・・・毎日来て欲しい・・・

無理だと分かってるけど」少し寂しそうな顔で言った


ヒチョルが驚いた顔でハンギョンを見つめると


「俺・・こんなだろう? まだ歩けないしヒマで困ってるんだ

もし君が嫌じゃなければ・・・話相手に来てくれないかな・・」

少し恥ずかしそうにハンギョンが話を続けた


その恥ずかしそうな姿をみて・・・

ドキンドキンドキン

ヒチョルの心臓が早鐘を打ち始める



なんだ・・また・・俺変になってる


ドキドキしているのを知られないように

ヒチョルは笑顔を作って

「毎日は無理かもしれないけど・・・来れる時には来ます

俺の命の恩人なんですから・・」

ハンギョンに向かって言うと小さく手を振って病室から出ていく


残されたハンギョンは

すっかりヒチョルに魅了されている自分に戸惑いながらも

また会えるという事に嬉しさを感じて

思わず声をだしてガッツポーズをしていた


その後我に返って周囲を見回して

個室だった事を思い出し恥ずかしさに1人苦笑いをするのだった
2012.10.27 cafe 賛美歌 3
【cafe 賛美歌】3



「ヨボセヨ~!!!cafe 賛美歌です~」

たまたま電話の前を通りかかったドンヘが受話器をとった


「えーっ!!!!ヒチョル兄さんが救急車で運ばれたって~!!!!!」

店に響き渡る位の大きな声でドンヘが叫ぶ


ガラガラガッシャーン!!!!!


コーヒーを入れていたオーナーのシウォンが

驚いてドリッパーを落とした

店にいたギャルソン達が電話の周りに集まってくる


「はい・・はい・・分かりました・・弘大救急病院ですね・・

ありがとうございました」

受話器を置いたドンヘは周囲のみんなにむかって


「今、弘益聖堂のシスターからで・・・ヒチョル兄さんが事故に巻き込まれて

救急車で運ばれたって・・・・弘大救急病院に搬送されたって・・」と説明をする


「僕が行ってくる・・」

オーナーのシウォンは真っ青な顔をしてエプロンを外してドンヘに渡した

「僕もついていきます」

リョウクもエプロンを外し

心配でオロオロしているイトゥクに向かって

「イトゥク兄さん!!!!!オーナーと僕がいない間、しっかり店を見てて下さいね」と言い残して

タクシーを拾うために道路に飛び出して行ったシウォンの後を追いかけた








ヒチョルは集中治療室の前の廊下でうずくまっていた

突然飛び出してきた男性が自分を守ってくれたおかげで

自分はほとんど怪我はしなかった

ただその人が自分の手を握ったまま気を失っていたので

そのまま救急車に一緒に乗って病院まで来てしまったのだった


「ハンギョンは? ハンギョンは大丈夫なのか?」

「この子を庇って鉄パイプの下敷きになったようです」

廊下をバタバタと走ってくる足音し、男性2人組がヒチョルに話かけてきた

「今治療中です・・命には別条はないみたいですが・・・

救急隊の人は・・足が折れているかも・・って・・・」

ヒチョルはしゃがんだままぽつりと言った


「君は大丈夫なの? 怪我はないの?」

太めの男性がヒチョルの横にしゃがみこんで聞いてきた

ヒチョルは顔を左右に振って答える

「私はカンイン、こっちはシンドン・・君をかばったのはハンギョン

私達は教会の修復作業に関わる仕事をしている・・・

今回はこちらの不手際での事故だ・・・君に怪我がなくてなによりだった」

がっちりした体形のカンインと名乗った男性は、ほっと息を吐くとそうヒチョルに言った


集中治療室から医師が出てきた

「患者さんの関係者はいらっしゃいますか?」

「はいっ!!職場の同僚です」

「足を少し負傷しただけで命には別条はありません

レントゲンを撮らないとなんとも言えませんが骨折の可能性がありますね」

「骨折ですか・・・」

「今は眠ってますがとりあえず入院の手続きをお願いします」

カンインは看護師に付き添って受付の方へ行ってしまった

シンドンはうずくまっているヒチョルに

「ごめんね・・俺達の不手際で怖い思いしたよね・・・

 cafe 賛美歌 の店のギャルソンだよね・・名前はなんて言うの?」優しく声をかける

「俺・・・ヒチョルといいます・・俺をかばってくれた人はハンギョンさんって言うんですね」

そう言ってヒチョルが立ちあがったとき・・・・


バタバタ

すごい足音が聞こえてきた

「すみません!!!!救急車で運ばれた男の子の知り合いです!!!!

ヒチョルは? ヒチョルはどこにいますか?」

大きな声で叫んでいるシウォンの姿がみえた

その後ろにはリョウクもいる


「オーナー?」

ヒチョルがビックリして声をかけると

シウォンとリョウクが同時に振り向いた

2人とも泣きそうな顔から泣きわらいの顔に変わっていく

「ヒチョル兄さん・・・無事だったんですね・・・」

リョウクがヒチョルに抱きつくと

シウォンも後ろから抱きついてきた

「良かった・・・心臓が止まるかと思った・・・」


「ハンギョンさんって言う人が・・俺を庇って怪我した・・今治療中なんだ」

シウォンはヒチョルの横にいるシンドンに気付いて会釈をする

シンドンもシウォンに挨拶をし返す

「ヒチョルくん・・ハンギョンはたぶんしばらく起きないと思うから

今日はもう帰ってもいいよ・・君が無事だったと伝えておくから」

そう言われてヒチョルは少し考えて

「明日・・・俺非番なんです・・だから・・・お見舞いにきていいですか?

俺のために怪我までして・・・お礼言ってないし・・・」

泣きそうな顔をしながらシンドンに言う


「うん・・そうしてくれると、あいつも嬉しいと思うよ・・・

目が覚めたらそう伝えておくから・・・」


シウォンはシンドンから連絡先の入った名刺を受け取ると

ヒチョルの腕を掴んで病院から店に戻っていった





その夜は

ヒチョルは何度も事故にあった時の様子を思い出してしまい

寝付く事ができなかった


そして

自分を庇って怪我をしたハンギョンの

「けががなくて・・良かった・・・」と言いながら

ヒチョルに向けた笑顔を思い出すたびに

胸がドキドキする自分に驚く



なんだ・・・これ・・・



今まで感じた事のない感情にとまどいながら

自分のせいで怪我をしたハンギョンの事を想い

ヒチョルは一睡もできずに朝を迎えてしまっていた



いつも遊びにいらして下さる方々ありがとうこざいます

パールサファイアⅡ 見習い

一応終了いたしました


途中で違う話がふたつも入ってしまい

私の頭の中で話が混じってしまい、少し整理するのが大変でした(笑)

なので見習いの後半が少し乱雑になってしまって・・すみませんでした

この後は連動企画のcafe 賛美歌を重点的に書かせて頂きます


三人三様の全く異なった話となり

私自身楽しんでいます・・・感想など頂けると嬉しいです

ただ私の所は気付いたと思いますが・・濡場ありません(笑)

期待されても・・・「書けません」(笑) すみません


パールサファイアもまだまだ書きたいお話があるので

不定期に続けていきたいと思います

Eternalもまだまだ続きます・・・ヨロシクお願いいたします♪
【パールサファイアの夜 Ⅱ】~おまけの話~


キボムの出演した映画が好評で

あちこちのワイドショーで取り上げられていた

特に今まで国民の弟としてのイメージのキボムが

そのイメージを一掃した型破りのイケメンホストの演技に

称賛がたくさん集まっている

カラを破る事のできた彼の次の仕事はラブコメディ

「好き好きテリーさん」というドラマで

こちらの方も視聴率は好調だった





「あれ?ヒチョル兄さん・・どこに行ったの?」

さっきまでリビングのソファに座って

テレビを見ていたヒチョルの姿が見えない

リョウクは不思議に思ってキッチンにいるハンギョンの元に行った

「ヒチョル兄さんの姿が見えないんだけど・・・」

ハンギョンがリビングにやってきて

付けっぱなしのテレビを眺める・・・

そして何かに気付いたようにリョウクに向かって微笑んだ

「今ごろ気付いたんだな・・・」

「気付くって?」

「ヒチョルは試写会の時に寝ちゃっただろう?

だから今このワイドショーでキボムの演技を見たんだよ

そして自分がモデルだって気付いたんだ」

げっ・・

リョウクが苦虫を噛んだような顔をした


「多分ベットで丸くなってると思うから・・・ちょっと様子みてくる」

部屋に戻ろうとするハンギョンに向かってリョウクが

「落ち込んでるんですか? だとしたら・・なぐさめてあげて下さい

キボムの演技はオーバーだって言って・・」と言って

ハンギョンが作りかけていた昼食を代わって作り始めていた




ヒチョルは部屋の隅にちょこんと膝を抱えた姿で小さく座っていた

いつもは自分の様子など気にした事もなかった

でもキボムの演技をみて、あれは自分を模倣していると理解できた


俺って・・あんな奴だったの?

恥ずかしさが全身を包んで穴があったら入りたい状態だった

自分はあんな奴とは友達になりたくない・・そう思うと悲しくなってくる


「ヒチョル・・・いるの?」

ハンギョンが優しい声で部屋に入ってきた

隅っこで小さくなっているヒチョルを見つけて胸が痛くなる


ヒチョルは顔をうずめたままハンギョンの方を見ようともしない

ハンギョンは仕方ないな・・という顔をすると

ヒチョルを後ろから優しく抱きしめた

「ヒチョル・・キボムの事・・怒らないで・・

あれは演技なんだからかなりの誇張が入ってるから・・・」

耳元で優しくささやく


「あれ・・俺なんだろう? 俺あんなに嫌な奴なんだ・・・

気付かなかったけど・・みんな俺の事嫌いだったんだろう・・・」

ヒチョルは顔を上げないまま呟いた


「バカだな・・・キボムの演じたホストはお前に似ているかもしれないけど

誰もお前を嫌ってないよ・・・嫌いだったらナンバー1になれるわけないじゃないか」

「お前のツンデレや我儘に困ったな・・って言いながら楽しそうにヘルプ入ってるよ」


ハンギョンの言葉にヒチョルは顔を上げる

「ヒチョル・・顔をみせて・・演技が大袈裟だったから・・ちょっと傷ついたんだね」

ハンギョンの優しい声がヒチョルの耳に心地よく響いてくる

「お前がずっとナンバー1の地位を守っているのは、ツンデレしてようが我儘してようが

その事をプラスに変えられる魅力があるってことなんだよ・・・」

ヒチョルはハンギョンの顔をみつめて黙って話を聞いている

「俺は今すぐにでもパールサファイアを辞めさせたいと思ってる・・・

ホストを辞めさせて俺だけのものにしたい・・・」

最後にハンギョンが呟いた彼の本音を聞いて

ヒチョルはクスっと笑った


そしてハンギョンの首に腕をまわして

その魅力的な笑顔をむけて耳元に囁いた

「俺は・・ずっと・・お前だけのものだ・・」

ハンギョンはもう自分を抑える事ができずに

ヒチョルの唇に自分の唇を重ね

そっとヒチョルの体を床に横たえる

「ヒチョルは本当は、とても素直で可愛いんだよな・・・

俺の前だけでしか見せないけど・・・」

「キボムもそこまではマネできなかったね・・・」

「昼食の前にヒチョルを食べたい・・・」

「ば・・か・・・」







すっかり昼食の準備を終えたリョウクは

リビングでワイドショーを見ながら、

時間を確認し、出勤時間までに部屋から出て来なかったら

どうしようかと頭をなやませていた


「まずはヒチョル兄さんの笑顔が第一だもんね

遅刻位仕方ないか・・・」

そう呟くと1人で先に昼食を食べ始めていた
【パールサファイアの夜 Ⅱ】~見習いLast~


ヘックション!!!!

「ヒチョル風邪ひいたのか? クスリ飲んでいくか?」

ハンギョンが心配そうにヒチョルのおでこを触る

「熱はないみたいだけど・・・これから出るのかな?」

「鼻水が出てきた~リョウク~!!!クスリちょうだい~」

すかさずリョウクが風邪薬のびんと水を持ってくる

「ヒチョル兄さん・・・試写会行けそうですか?」

リョウクが心配そうにヒチョルの顔をのぞく・・・

ヒチョルはリョウクと目が合うと二コっと微笑んで

「行くに決まってんだろ~キボムの映画だよっ!!!!」

渡された風邪薬をゴクリと飲み込むと

「早くいっていい席とろーぜ~!!!」と笑顔で玄関に向かった




今日はキボムが招待してくれた特別試写会の日

パールサファイアのホスト達は営業時間を繰り下げて

午後からの試写会にみんな参加することになっていた


特別試写会というだけあって、

一般客以外にも芸能人や関係者で溢れている

ホスト達はみんなおしゃれして来て

芸能人の姿を見るのを楽しみにしていた


開場時間に映画の主な出演者達が入場口に並んで

お客様の入場に笑顔で挨拶をしている

その中に主役のライバル役のキボムも笑顔で立っていた


「おーいキボム~!!!」

ホスト達の掛け声に気付いたキボムは少年のような笑顔で

すごく嬉しそうに手を振り返してきた

「キボム変わってないね~大人っぽく見えたのに・・・」

ヒチョルがくすっと笑う

座席に座るとヒチョルは欠伸をひとつした

「なんか・・だるい・・クスリが効いてきたのかな」


リョウクはパンフレットを読んでギョッとして

あわててハンギョンに目くばせをしてきた

ハンギョンも手にしたパンフレットを見て少し顔を歪めた

「ねぇ・・キボムの映画ってなんの話?」

ヒチョルが眠そうな顔をして聞いてくる

ハンギョンがリョウクに目くばせする

(お前が説明しろ・・・)

(え? ぼ・・・僕?)

「な・・なんか・・ホストの話みたいですよ・・」

リョウクがどきまぎしながらヒチョルに返事をした

「ふーん・・だからウチに見習いに来たんだね・・

役作りも大変なんだ~」

ヒチョルはそれ程気にせずにしている

両側に座っていたリョウクとハンギョンは

ほっと安堵の息をはいた




映画のタイトルは「夜王」

夜の世界でのし上がっていく主人公と

彼を取り巻く世界の話だった


キボムが演じたのは主人公のライバルの

カリスマホスト役


映画が始まると出演時間はそれほどないが

すごくインパクトのある役で

誰が見ても「ヒチョル」そのものだった


ツンデレの接客がそっくりで

あまりのそっくりな演技に本人が怒るのではないかと

周囲は映画を見ながらハラハラしていた


パールサファイアのホスト達の心配をよそに

映画の前評判はよくキボムの熱演で試写会も盛り上がっていた


後ろの席で見ていたドンヘは

リョウクの肩を叩いてヒチョルの様子を聞こうとした

リョウクが後ろを振り返ってニッコリと微笑む

そしてハンギョンの方を指で示した

ヒチョルはハンギョンの肩にもたれてすやすやと眠っている

ハンギョンは愛おしそうにその髪をなでている

「風邪薬を飲んだからね・・・途中からぐっすりだったよ」

ホスト達はほっと胸をなで下ろした

「ん? 俺寝ちゃったの? キボムに悪い事しちゃった」

するとヒチョルが寝ぼけた顔をして目を開けた

そんな顔も可愛いとホスト達は見とれてしまう



試写会が終わった後にキボムがみんなの所に挨拶に来た

ヒチョルに怒られるのではないかと

固い表情でやってきたが

ヒチョルが笑顔で出迎えてくれたのでホッとするキボム


「お前の演技すっげーなぁ~助演男優賞もらえるじゃん

俺・・・途中で寝ちゃったけど・・」という

ヒチョルのひと言で周囲はみんな大笑いだった





この年の韓国アカデミー賞で

キボムは「夜王」での演技を認められて

最優秀助演男優賞を受賞する

授賞式でキボムは挨拶の時に

「演技の参考にさせて頂いたヒチョル氏に

感謝の言葉をささげたいと思います。愛してます兄さん」

その挨拶をテレビで見ていたヒチョルは

嬉しそうに微笑んでいた
【パールサファイアの夜 Ⅱ】~見習い7~


「兄さん達~出前が届きました~」

リョウクがいそいそと宴会の準備を始めている

ソンミンとギュヒョンもその手伝いをしながら忙しそうだった


今日はホスト見習いでやってきたキボムの最後の日・・・

営業時間を予定よりも少し早めに切り上げて

(もちろんお客さん達に説明をして了承を得ていた)

キボムの送別会を行う事になっていた


「今日もヒチョル兄さんの奢りだよね」

ドンヘが嬉しそうに準備中の3人に割り込んできた

それを聞いたリョウクがひと言ドンヘに向かって言う

「ヒチョル兄さんが、今日はドンペリなしだって言ってたからね」

「えええ~そんなぁ・・・」

ドンヘのしょんぼりとした様子があまりにも可笑しくて

ソンミンとギュヒョンが大笑いする




その頃

支配人室でキボムはカンタ達と話をしていた

「いくら役作りとはいえ体験大変だったろう?」

「はい・・最初は勝手が違って慣れるまで大変でした」

キボムは国民の弟と呼ばれる魅力的な笑顔で答える

「明日から俳優キムキボムに戻るんだね・・・お疲れ様」

ハンギョンが笑顔で声をかける

すると

「今からさ・・お前の送別会やるから・・みんな待ってるから早く来い!!!」

ヒチョルはキボムの手をとると

有無を言わさずに支配人室から店の方へ連れ出した




「キボムが来た~!!!!」

「お疲れ様でした~」

「こっちに座って~」



店のテーブルを寄せ集めてつくられた臨時の宴会場に

パールサファイアのホストがみんな集まっていた

みんな笑顔でキボムを迎えてくれている


キボムが席につくと早速宴会が始まった

ドンヘの「キボム~これからも頑張れ~」

という乾杯の合図とともに

お腹をすかせたホスト達は、すごい勢いで料理に群がる

今日の支払いはヒチョル持ちと知っているので

飲み物も勝手に作って盛り上がっていた



「キボム~次の仕事って決まってるの?」

2週間寝起きを共にして仲良くなったリョウクが

隣に座ってキボムに聞いてきた

「うん・・・映画の撮影があるんだ・・詳しい事まだ知らないけど」

「へぇ~映画かぁ・・撮影期間長いよな・・完成まで1年ぐらいかかるし」

ハンギョンが興味深げに話に乗ってくる

「映画~? すっげーなキボム!!!!完成したら俺達観に行くからさ

連絡してくれよなっ」

ヒチョルがキボムに笑顔をむける

「はい・・招待券おくりますね」


その後も仲良くなったホスト達とキボムはいろんな話をして

楽しい時間と思い出を作る事ができた



そして翌日からキボムは俳優業にもどり

パールサファイアの店の見習いはギュヒョン1人に戻った・・・・




いくつかの季節が過ぎて

パールサファイアは相変わらず元気なホスト達で盛況だった

そしてみんな心の中でキボムがどうしているだろう・・

と思い始めたころ

パールサファイアにキボムから手紙が届いた

内容は映画の特別試写会への招待状だった・・・
2012.10.20 cafe 賛美歌 2
【cafe 賛美歌】2


今日発売された雑誌と

昨日の夕方のテレビ放送のおかげで

今日は朝から cafe 賛美歌 の店の前には

たくさんの女性客が集まってきている


店で働くギャルソン達はてんてこ舞いの忙しさだったが

若い女性からきゃーきゃー騒がれて

「一緒に写真撮って下さい」まで言われて

みんな悪い気はせず、どちらかと言えば嬉しさに顔が綻んでいた


オーナーのシウォンも店の中でコーヒーを入れていたが

おじさま好きの女の子達が

雑誌のインタビュー記事を読みながら

ちらちらとシウォンに熱い視線を送り続けていた


イケメンギャルソンと紹介されていたヒチョルは

次々くる女性客の要望によって一緒に写真を撮ったり

愛想笑いを振りまいたりして、まだ昼前なのにかなり憔悴しきっていた




「今日の当番はだれ~?」

リョウクがシウォンの手伝いで

コーヒーをポットに入れながら大きな声で聞いた・・・

店には常連さんからコーヒーの出前の依頼が来る

その依頼の対応にギャルソン達は当番表を作り

出前の順番を決めていた

リョウクの声が聞こえたヒチョルは

「俺~俺~出前に行ってきまーす」

と用意されていたコーヒーの入ったポットと

カップの入った籠を持って店を飛び出して行った


「当番・・・俺なのに・・・ヒチョルって・・」


イトゥクが当番表を見ながら呟く


「ヒチョル兄さん~!!!!!弘益聖堂だからね~」

「OK~」

リョウクの叫び声に軽く返事をして

ヒチョルはポットと籠を手に提げて小走りに教会に向かう



「ったく・・次から次へと香水臭い女ばっかり・・やってられねーし

まだシスターたちの方が全然いいって」

小さく毒づくと店から5分ほどの教会に向かっていった


ヒチョルはその容姿から女性に言い寄られる事が多かった

むせかえるような化粧と香水の匂いを

ぷんぷんさせるような女性は苦手だった

しかしヒチョルに言い寄る女性はそんなタイプばかり・・・


だから余計に恋愛に発展することもなく、

初恋も未経験のまま現在に至ってしまったのだと自分は思っている

雑誌に載ってしまった事で

しばらくは今日のような騒ぎが続くのかと思うと

教会までの足取りがすごく重く感じられた











「では明日から改修工事にかからせて頂きます」

弘益聖堂の前でスーツ姿の男性3人がシスターに丁寧に挨拶をしている

「シンドン・・これで足場の材料が全部来てるのか?」

高級そうなスーツをさらりと着こなしている美丈夫の男性が

少し太めで愛僑のある笑顔を浮かべた男性に問いかけた

「ハンギョン・・これで全部だと思う・・明日から足場組み始めるから」

シンドンと呼ばれた男性は笑顔で答える

「では中で日程の最終確認をさせて下さい」

もう一人のがっしりとした体格の

テディベアを彷彿させる男性がシスターに言うと

「どうぞ中に入って下さい・・今美味しいコーヒーの出前が届きましたわ」と

シスターが3人の男性を促して先に教会の中に入っていった



「カンイン・・後から行くから・・」ハンギョンはそう言うと

機材置き場を確認するために歩き出した


すると

バタンという教会の扉のしまる音がして

そこから出てきた人物にハンギョンは目を奪われた



天使?


白いシャツに黒いベスト、細身の黒いパンツをはいた

ギャルソン姿のヒチョルがそこにいた

ヒチョルはステップを踏むかのように

軽やかな足取りで歩いている


ハンギョンはそのヒチョルの背中に大きな白い翼を見た

「天使が舞い降りてきた・・・」

その瞬間から

ハンギョンはヒチョルの姿から目が離せなくなっていた


ヒチョルは自分の近くを

ひらひらと飛んでいた蝶にむかって微笑みかける


それを見たハンギョンの胸に

キューピッドの打った矢が確実に当たった


「あのこ・・あの子は誰だ・・服装はカフェのギャルソンみたいだけど」



ハンギョンの耳にミシミシと微かな音が聞こえてきた

ハッとして機材置き場を見上げると

積んであった機材のロープが切れそうになっている

ヒチョルは気付かずにその横を通り過ぎようとしていた





あぶないっ!!!!!!!


ハンギョンは叫ぶとヒチョルに向かって体ごと飛びつく




ガラガラ

ガシャーン


2人の上に足場機材がなだれ落ちて来た





ヒチョルは急に自分に飛びついて来た男性によって

地面に叩きつけられた

「なんだ・・」

文句を言う前に次はガラガラとすごい音がして

鉄パイプが崩れ落ちてきた


「君・・大丈夫? 怪我しなかった?」

自分をかばった男性が聞いてきた

ヒチョルは余りにも驚いて言葉が出ず

大きな目を見開いて、ゆっくりと頷いた

「良かった・・・・」

ひと言そういうと男性は気を失った・・・




「あんた・・大丈夫?

返事してよ!!!!!だれか!!!!だれか来て!!!!」



「だれか~!!!!!!救急車を・・・救急車を呼んでくださいっ!!!!!」


教会の前でヒチョルの叫び声が響きわたっていた
2012.10.20 cafe 賛美歌 1
海音さんの読者様
sakoさんの読者様
ようこそいらっしゃいました
ハンチョルペンの宗文と申します

3人の連動企画のcafe 賛美歌 どのような展開になるか
私達も分かりませんが・・・どうか最後までお付き合いください


【cafe 賛美歌 】1


ソウルの弘大に最近話題のスポットがある

「café 賛美歌」

外観は教会を模倣したつくりとなってはいるが

パリのカフェに感嘆したというオーナーが

パリの店を再現したいと熱望して作られたものだった

店ではシャンソンが流れ

店員はすべてギャルソンと呼ばれ

フレンチスタイルになっている


オーナーのシウォンは30すこし過ぎた年齢だが

口髭を生やしていて落ち着きもあり実年齢よりも上に見える

実家が資産家で、趣味で始めたコーヒー道も究めるところまでいき

数年前にソウルで開催された「ワールドバリスタチャンピオンシップ」

(通称WBC)で特別賞をもらうほどの腕前だった


特別賞をもらったことにより

本格的にカフェを経営する事になり現在に至っている


オーナーの入れるコーヒーはどんなお客も満足させる味を誇っているが

その給仕をしてくれるギャルソンがまたイケメンぞろいで

どちらかと言えばそちらの方が巷の話題になっている


先日もテレビ局が取材にきて

イケメンカフェとして紹介されていた



「くっそ~やっぱりヒチョルの方が写真の扱いが大きいっ!!!」

今日発売の「ソウルwalker」の弘大特集の中で

café 賛美歌は、今話題のイケメンカフェとして

かなりのページ数紹介されていた


そのソウルwalkerを手にしたイトゥクが

そのページを見ながら悔しそうに呟いたのだ


「やはりヒチョル兄さんがナンバー1扱いだね」

ギャルソンの衣装の上からエプロンをしたリョウクが

小麦粉の袋を抱えイトゥクの後ろから

雑誌を覗きこみながら楽しそうに呟いた

「あっ!!!!僕たちも載ってる~♪ミミヒョン~すごい~!!!!」

リョウクは特集記事の端に写っている

自分とソンミンの写真を見つけて興奮していた

「ミミヒョン~!!!!『ワッフルソンミン』だって紹介されているよ~!!!」

「え~なんか恥ずかしいなぁ~」

厨房の中からソンミンが笑顔でリョウク達に答えた


ソンミンが作るワッフルは美味しいと評判で、

リョウクの手を借りながら毎日創作的なワッフルを作っている

取材がきても、給仕担当のメンバーばかりが取り上げられてたので

今回の事はすごくうれしかった


「イトゥク兄さんだって二番手の扱いじゃないですか・・・凄いですよ」

ソンミンに言われてイトゥクは少し笑顔になってきた



『中性的な魅力のイケメンギャルソンのヒチョルくん』

写真の横のコピーを読んで、イトゥクは

ヒチョルに対抗しようとしていた自分に苦笑する



「ヒチョル兄さん~雑誌見ないんですか?」

リョウクが外のテーブルをセッティングしているヒチョルに声をかける


「興味ないし・・」ヒチョルはそう答えると、作業を続けている

白いシャツに黒いベスト

そして細身のパンツのギャルソンスタイルをしていても

ヒチョルは男装の女性にしか見えない美しさを持っていた

自分の容姿に全く興味のないヒチョルは

そのことによって同性からのねたみや嫉みを受けることが少なかった

知らないうちにヒチョルは自衛の本能が働いて

恋愛に疎い人間になっていたのかもしれない



「今日は忙しくなりそうだな・・・」

店の奥で雑誌を手にしていたオーナーのシウォンは

嬉しそうに自分の記事を眺めていた
2012.10.19 お知らせです
いつも遊びにいらして下さる方々ありがとうございます

パールサファイアの話がまだ完結してませんが

新しいお話を書かせて頂きます

実はヒチョルペンのお友達と連動企画が持ち上がりました


花鳥風月<希  のサイトの海音さん

僕の美しい人だから のサイトのsakoさん

このお二人と同じ設定で

それぞれの感性での話を書くことになりました

共通項目は


☆話のタイトル
☆教会のようなカフェが舞台
☆カフェのオーナーはシウォン
☆従業員はヒチョル


これ以外は個人個人の全くの自由です

私以外のお二人はシチョル推進派で

私だけがハンチョル至上主義派なので

かなり違った話となるかと思いますが

興味のある方はご覧になって下さい

HPの右側のリンクの箇所にお二人のブログをリンクしてあります


スタートは20日土曜日の深夜0時(19日の24時ともいいますね)

始まりは一緒ですが終了はそれぞれに任せるという

とってもゆるい企画です

是非とも感想コメントなど残して頂けるとすごく嬉しいです

連動企画の1話をあげた後でホスト話の続きもあげたいと思います

よろしくお願いいたします
【パールサファイアの夜 Ⅱ】~見習い6~


「あるホストの一日」


ホスト稼業は夜中まで仕事をしていて

その後店の片付けやお客とのアフター業務などがあり

だいたい朝方に帰宅

そこからシャワーを浴びたりして就寝

昼過ぎに起きてきて

身支度をすませ、ホストによっては同伴業務もあり

出勤をして開店準備をする・・・

パールサファイアでは見られなかったが

一般のホストは客へのこまめなメールや電話で来店を促す事がほとんど



ここまでノートに書き込むとキボムは頭をひねった

パールサファイアでは来店を促す電話やメールをしていない

お礼のメールをしているようだが、

来店を催促しなくても繁盛しているからなのか?


「キボム? 何を考え込んでいる? 分からない事あったら教えてあげるよ」

朝食の準備をしながらハンギョンがキボムに声をかける

キボムがヒチョル達の部屋に世話になって、もうすぐ10日が過ぎようとしていた

この10日の間に今まで常識だと思っていた事が、覆される経験をたくさんした

そして今では、パールサファイアの仲間に入れてもらった嬉しさを感じ始めていた


ベランダで洗濯ものを干し終えたリョウクがリビングに戻ってくる

「ヒチョル兄さん・・まだ起きてこないの?」

リョウクはハンギョンの方をちらりと見ると

「ハンギョン兄さん・・・まだ週中なんだから・・ほどほどにしてください」

ハンギョンはバツの悪そうな顔をして

「リョウク・・・怒らないで・・今起こして来るから」

そう言い残すと、そそくさと部屋に入っていった



キボムがこの部屋で寝泊まりするようになった時

最初にリョウクに渡されたものがあった

オルゴール音のα波が出ると言う

曲の入っているMP3とヘッドホンだった


「これ・・眠れない夜に聞くとすごくいいよ・・

僕は慣れてるから全然大丈夫だけど」

なんの意味があるんだろう?と思っていたが

やっと昨夜その理由が分かった


ヒチョル達の家はそれほど大きくない

なのでヒチョルとハンギョンが愛し合っている時

そのヒチョルの声がリョウクの部屋まで

漏れ聞こえてしまうのだった・・・

微かに聞こえるレベルだったけど

キボムはギンギンになって

目がさえてしまい眠れなくなった


リョウクは隣のベットですやすやと眠っている

しばらく悶々としていたが

MP3の存在を思い出してヘッドホンをした


すると不思議な事にオルゴールの綺麗な音に

いつしかキボムは安眠の世界へと誘れていたのだった



「あーっ!!!!!ハンギョン兄さん!!!!

首につけちゃダメって言ったでしょ」

リョウクの怒った声が聞こえてきた

キボムは驚いて声の方をみると

寝起きでぼんやりしているヒチョルの首筋に

蒸しタオルを当てて文句を言っているリョウクの姿があった


「リョウク・・あんまりハンギョンに文句言うなよ・・

俺が悪いんだから・・・」

ヒチョルは少し恥ずかしそうに目を伏せたまま洗面所に入っていく




毎日のように繰り返される光景に

キボムはもう慣れっこになっている自分に驚いていた



ヒチョルはとても自由な人だ

最初はそう感じていたが

一緒に暮らしていくうちに

ものすごく繊細で心配りのできる人だと言う事が分かった

ただ恥ずかしがり屋だから、気遣いを気付かれるのが嫌いで

ぶっきらぼうな態度をしたりしている


店のみんなはそんなヒチョルを大切にしていて

パールサファイアは「チームヒチョル」と言っても過言ではなかった

最初は戸惑いばかりのキボムだったが

今では接客のヘルプにも入れるようになった


「キボム~お前・・今度の金曜日がラストだよな・・

俺の為に閉店後の時間を空けとけよ」

顔を洗ってスッキリとしたヒチョルがキボムに声をかける


「ヒチョルはミルクを暖めておいたから・・・

キボムはコーヒーでいいか? リョウクはいつものミルクティでいい?」

ハンギョンが手際よくみんなの飲み物を用意していく

ヒチョルはハンギョンの頬に

おはようのキスをすると席に座った


キボムのホスト見習いも残すところ

あとわずかとなっていた
【中秋節のまぼろし】 おまけの話


10月に入ると

コンヒは自分の美容院の開業の雑用に追われて

多忙な時間を過ごしていた


今日、開店祝いに親友のヒチョルから花が届いた


ヒチョル・・・ここの所忙しくて会ってなかったな


コンヒはそう思うとヒチョルにお礼のメールをして会う約束をした






うわっ・・・・


コンヒは先に店に来て座っていたヒチョルを見て

思わず目を見開いて感嘆の声をあげてしまった・・・



「コンヒ~!!!お前~!!!何そんなトコに突っ立ってんだよっ」

席に座っていたヒチョルは

コンヒに気付いて笑顔で声をかける


その笑顔がまた匂うような色香を含んでいて

コンヒは思わず目がくらみそうになった


「うわっ!!!!お前どうした!!!今にも倒れそうだぞ」

驚いたヒチョルがあわててコンヒを抱える


「いや・・・大丈夫だ・・サンキュ」

コンヒはヒチョルの手をどけると椅子に座った


「お前・・店の事で忙しいのに・・無理して会わなくても良かったのに」


コンヒは笑顔をつくるとヒチョルに向かって

「確かにちょっと忙しかったけど・・俺が遊んでやらないと・・・

ヒチョルはヒマして困るだろう?」と言う



「バーカ お前の体調崩してまで気を使ってもらわなくても

俺だっていろいろ忙しい人なんだよっ」

そう言うとヒチョルは

何かを思い出したかのように急に頬を染めた





ぶっ!!!!!!!!



「コンヒー!!!!!どうしたー!!!!!」


気付くと鼻血を出している自分にコンヒは驚いた


「お前・・・疲れが貯まってんだよ・・俺に付き合って夜遊びなんてすんなよ」

ヒチョルは店員に言うと氷をもらって首の後ろを冷やした



(これは・・・お前のせいだ・・ヒチョル・・・

なんで今日に限ってそんなに色っぽいんだよっ・・・)


コンヒは恨めしそうにヒチョルを見つめたが

当の本人は全く気付いていない


しばらくして鼻血はとまり

2人は楽しく食事をする

ヒチョルはいつもと全く変わってない態度なのに

一緒にいるコンヒはドキドキが止まらない

(昔からこいつとつるんで遊んでるけど・・・

温泉だって一緒に入るし・・・裸だって見てるのに

なんでこんなにドキドキするんだよっ)


コンヒは以前、ヒチョルが連れて来たドンヘと話したことがあったのを

ふと思い出した

ドンヘは真面目な顔をして

『ヒチョル兄さんって・・中学生の時からヨジャスイッチありましたか』と聞いてきた

その時はそんなものないよ・・って答えたけど

ドンヘは『特別な人の前だけで入るヨジャスイッチ持ってるんです』って言ってたな・・


先週ツイでSJにいたハンギョンが仁川空港での写真があげられていた・・・


そうだったのか・・・コンヒはやっとパズルのピースがあったように納得して

ヒチョルの方を見るとニヤリと笑った



「なんだ・・お前・・急に気持ちわりーな」

ヒチョルは眉をひそめてコンヒをかるく睨んだ


「いつものお仕事するから・・写真とるからね・・ヒチョルいい?」

「悪いな・・お前のカカオつかって・・俺の姿がちょっとでも出ると

花びら達が安心するから・・ほんと広報係にしちゃって・・・」


カシャッ


コンヒは写真をカカオにあげながら

ヒチョルをどのように

からかってやろうかと悪知恵を巡らせていた





おしまい
【中秋節のまぼろし】後編

SJ妄想話


「このバスロープまだあったのか・・何年ぶりだ?」

シャワーの後に用意されていたバスローブを着ながら

ハンギョンは懐かしそうに微笑む


「あの時以来・・・洗濯してずっと置きっぱなしだった」

ヒチョルもお揃いのバスローブを着て缶ビールの口をあける


「毎年くるって・・・あの時約束したのに・・3年経ったな・・・」

「うん・・・そうだね・・・今年も無理かと思ってた」

「俺の所の中秋節の休みと、こっちの開天節の休みがうまくあったから

なんとか・・来れた・・」

ハンギョンは自分の横の座ったヒチョルの髪を優しくなでる

ヒチョルは嬉しそうに微笑みハンギョンの肩に頭を預けた

「そう言えば・・・お前・・仁川で撮られたぞ・・リアルタイムでツイで上がってた」

ヒチョルはポツリと呟く


「ああ・・・やっぱりな・・撮られた気がしたんだ

でも今回はソウルに来る理由があるから・・大丈夫」

ハンギョンはいたずらっ子のようにニヤリと笑うとビールを一口飲んだ


「理由って何?」


「SMの事務所に書類を持ってきたんだ・・・・

俺これでもあっちの事務所で専務扱いになったんだぞ」


「?」


「裁判を取り下げて、正式にSMと提携みたいな形になった

今所属しているあっちの事務所でも大株主になって・・・・

自分の仕事を選べるようになった・・・だから・・・

中国でSJと同じ舞台に立てる・・・・やっとここまで来たんだ」


ヒチョルはハンギョンの腕に自分の腕をからませる

「お前・・すげーな・・・あっちで頑張ってんだな・・・

チョウミ達が聞いたら、すっげー喜ぶだろうな・・・」

「秋にはもしかしたらドイツでSJと同じ舞台に立てるかもしれないし」

「MTVだろう? 俺・・お前に投票しといたから」

ヒチョルが楽しそうにハンギョンの顔を覗きこんだ後にポツリと


「あれから・・3年・・・早かったのかな・・・」と言った



3年前・・・・ヒチョルが故郷の両親にプレゼントした家に

ハンギョンは遊びに来た事があった


メンバーのみんなが秋夕の休暇で実家に戻っても

ちょうど体調をくずしていたハンギョンは、中国に帰る事が出来ずに宿舎にいた

そんなハンギョンを気づかって、ヒチョルは自分の実家に連れて来たのだった


2人っきりで過ごしたこの家で、ヒチョルはハンギョンにプロポーズされた・・・



その時、毎年この季節になったら2人で過ごそうと約束していた

しかし諸事情が2人を引き離すことになり、その約束は今日まで果たされることがなかった


ソウルでは会っていたけど、思い出のこの別荘で2人きりで会うのは3年ぶりとなる



3年前のあの時は幸せの絶頂にいた・・・今は・・・俺は・・・どうなんだろう

ハンギョンの胸に顔をうずめてヒチョルは考える


やっぱり俺は・・・こいつじゃなきゃダメなんだ・・・

ここが俺のいる場所・・一番落ち着く場所だ・・・・


「ハンギョン・・・」潤んだ瞳でヒチョルが見つめる

ハンギョンは優しく微笑むとヒチョルを抱き上げて寝室へ入っていった







「お前・・・ソウルまで電車で戻るのかよ・・・」

「ヒチョルはまだ実家にいるだろう? 来る時は仁川からタクシー飛ばしたけど

近くの駅まで乗せてくれれば電車使って戻るよ」

翌朝はやくにハンギョンに言われてヒチョルは言葉をなくした


もう・・・別れる時間がきてるんだ・・・いやだ・・まだ離れたくない・・


愛し合った余韻に浸る暇もなく2人は身支度をすませる

シーツやタオルなどの洗濯ものはまとめて洗濯機に放り込む

後で姉のヒジンが別荘の片付けをしてくれる事になっていた


別荘を出るとちょうど海岸線から太陽が昇る姿が見えた


「ヒチョル・・・・あの時と同じだな・・日が昇るよ」

ヒチョルはハンギョンに寄りそうように立つと

あの時と同じ日の出を眺めていた

あの時・・・日の出を見つめながら

「一生そばにいて欲しい・・・」と

ハンギョンはヒチョルに言って

お揃いのペンダントをプレゼントしてくれた


日の出を眺めながら、ヒチョルの瞳から涙が溢れてくる

ハンギョンは愛おしそうにヒチョルの顔を見つめ

「俺の気持ちは今でも変わらないよ・・・一生そばにいて欲しい

今すぐは無理だとしても・・・年取ってからでも待ってるから」

そう囁くとヒチョルの唇に自分の唇を重ねる

誓いの口づけ・・・神聖な気持ちのこもった口づけだった


「そんな事言っても・・どうせお前は向こうで結婚すんだろう?

いいよ・・・俺は愛人で我慢してやるから」

ヒチョルの憎まれ口を聞いてハンギョンは笑う

「なんでも一番じゃなきゃ済まないくせに、愛人なんて無理だろう?

ヒチョルは俺にとっては本命の本妻だからな」


2人は見つめあって笑った


車に乗りこむと、ヒチョルは一度実家の前に停めて別荘の鍵を実家のポストに入れた

そしてそのまま車を走らせる


「姉ちゃんが後処理をしてくれるから・・・俺はこのままソウルに帰る」

「え?」

「せっかくお前が会いに来てくれたんだから・・・

まだ俺の元から離さないからな」



ヒチョルはニヤリと笑うとアクセルをふかして

ソウルに向かって車を発進させた






*この話は妄想です
【中秋節のまぼろし】 前編

SJ妄想話 

(パールサファイアの話が途中ですが、突然書きたくなってしまいました。

申し訳ありませんが・・パールサファイアは少しお待ちください)



「あれ~ヒチョル? あんたこの間の秋夕の時に帰ってきたのに・・・

また来たの? まあヒマなら別にいいけど・・ゆっくりして行きなさいね」


ソウルから車で数時間離れた故郷の江原道の実家に帰ったヒチョルは

玄関に着くなり母親から小言のような言葉を浴びた


「帰ってきちゃいけないのかよ・・・明日は開天節の休みだから

姉ちゃんを乗せてきたのに・・・着いた早々小言かよ」

ぶつぶつ言いながらヒチョルは

姉のヒジンの荷物を持って家にあがる


「お母さん~ただいま~

秋夕の時は慌ただしくてのんびり出来なかったから

開天節も帰って来ちゃった・・

ヒチョルもヒマしていたみたいだし」と

姉のヒジンは母親にお土産物を手渡すとスマフォをチェックした



「そう言えばあんたの友達のコンヒくん・・お店出したんだって?

この間コンヒくんの叔母さんに会ってしばらく話こんじゃったわ」

母親が2人にお茶を出しながら話出しだす


「最近ヒチョルはコンヒくんとばかり遊んでるって・・・

ファンの間でも『コンヒは花びらの広報担当だ』って言われてるわ」

ヒジンはくすくすと笑いながら母親の話に答える



ヒチョルはつまらなそうな顔をしてお茶を一口飲み

「この間さぁ~コンヒ達と別荘でバーべキュして

忘れ物してきたんだ・・・取りに行ってくるから鍵かりるね」

そう言うと、別荘の鍵を受け取って家を後にする

その後ろ姿をヒジンは何か言いたそうに見送った



ヒチョルが故郷の江原道に

海の見える家を両親にプレゼントしたのは3年前

実家から車で30分程走らせた所に家はある

両親にプレゼントしたとはいえ

ヒチョルも友達などと遊ぶ時によく利用していた




ソウルから実家に帰る途中

車の中で姉ヒジンが突然スマフォを見ながら呟いた


「ヒチョル・・・あんたが実家行く理由って・・・

もしかしてこれ?」

ヒジンがツイッターで見つけた記事を読みあげた


ヒチョルは黙っている

ヒジンは意味深に笑うと


「やっぱりねぇ・・・・秋夕の時に実家に帰ったばかりなのに

また来るなんて・・・変だなって思ってた」


「うっせーなぁ・・・」


「ソウルよりも江原道の方が見つかりにくいからね・・・

別荘に泊るんでしょ? 上手くごまかしてあげるわ」


予定外の姉の協力の申し出にヒチョルはビックリして

思わず急ブレーキを踏みそうになった


姉はケラケラと笑いながら

「ほんとに分かりやすくて、我が弟ながら可愛いわ・・・

お礼はK-STORYの新作希グッズをデザインしてくれればいいわ」


女ってタダじゃ動かない・・・姉ちゃんもそうだった・・

ヒチョルは、姉の転んでもただでは起きない精神に感嘆する







別荘に着くとヒチョルは鍵を開けて中に入った

あたりはすっかり夕闇の帳が下りて暗くなってきている

言いわけのように言った忘れ物は本当だった

ただ・・すぐに取りに来る程大切なものではなかったのだが・・・


自分のi-phonを取り出すとツイッターをチェックする

仁川にこの時間か・・タクシーとばして・・何時頃に着くんだろう・・

ヒチョルは途中で買いこんできた食糧とお酒を

リビングのテーブルに置いた


テレビを付けても内容が頭に入ってこない

ドキドキしながら待っている姿を自分で想像して失笑する


俺・・・女子高生か?


無意識にお風呂場に行ってお湯を汲んでいると

自意識過剰となり1人で頬を赤く染める


またリビングに戻ってテレビを見つめる


そんな事を繰り返して

ヒチョルは待つ身にとって時間はなんてゆっくりと過ぎるんだと

感じていた・・


もし・・・あいつが・・・来なかったら?

俺・・・確約もないのに・・・待ってるって・・バカみたいだな・・


するとチャイムがなった


ヒチョルは玄関に向かって走り出す


玄関を開けると

そこにはハンギョンが立っていた


「今年は約束守れた・・・中秋節だから会いに来たよ」


いつもと変わらない優しい笑顔でヒチョルに向かって微笑む


ヒチョルはハンギョンの胸にしがみつくと

「待ちくたびれてソウルに帰ろうかと思った・・・」と憎まれ口をたたく


ヒチョルの憎まれ口は恥ずかしさの裏返しだと分かっているので

ハンギョンはヒチョルの顔を両手でやさしく包み込みながら

「ごめん・・・待たせたね・・俺のヒチョル」そう囁いて

ヒチョルの唇に自分の唇を重ねる

最初は優しく触るだけの口づけ・・・

それが合図となりお互いの気持ちが溢れそうになり

熱いものに変わっていく


ヒチョルを自分の腕の中に感じながら

ハンギョンは中秋節の見せた幻ではない・・・本物のヒチョルなんだと

確認するかのように、なんども繰り返し唇を重ねる


恋人たちの甘い夜はまだ始まったばかりだった




【パールサファイアの夜 Ⅱ】~見習い 5~


「お疲れ~」

ギュヒョンが手にペットボトルの水を持って

キボムの所にやってきた

ぐったりと椅子に座っていたキボムは

弱々しく微笑むと水を受け取って一口飲んだ


ホストクラブ「パールサファイア」は

今日も盛況を極めて営業を終えた・・・


突然、所属事務所の専務であるギュリから

2週間のホスト体験を言い渡されてやってきた俳優キボム・・・


何から何まで初体験だらけ

そして緊張と驚きの連続で

今は疲労困憊状態で椅子に座っているのがやっとだった


「もう帰っていいって・・支配人が言ってたよ」

最後まで後片付けを手伝っているソンミンが優しく話しかける


「ありがとう・・・ソンミンさん・・」

キボムが疲れ切った顔で礼を言う

するとソンミンは手にしていた紙きれを示しながら

「これ・・支配人から預かったよ・・・キボムにだって」と言って渡した


「なんだろう・・・」


紙きれを広げるとギュリの字で



『伝えるの忘れてたけど、見習い中は自宅には帰宅しないこと

ホストの家に泊めてもらって、いろいろ話を聞いたり体験してきなさい』


げーっ


キボムが凄い顔をしたので

ソンミンとギュヒョンが顔を見合わせて驚く


そこに

「キボム~何か知らないけど・・・ヒチョル兄さんに言われた・・

キボムがうちに泊まりに来るって・・・本当?」


リョウクがお札を数枚ひらひらさせて3人の元にやってきた


「ヒチョル兄さんは、さっきハンギョン兄さんと帰ったよね?」


ソンミンがリョウクの顔を見つめながら言うと

リョウクは3人の顔を見ながら答えた


「キボムがうちで寝起きするから、必要なものを買ってこいって・・・

あとこれで朝ごはん食べてこいって言ってたよ」


「オーナーの言ってるホストの家って・・ヒチョル兄さんの所だったんだ・・・」

ギュヒョンが紙を手にしてポツリと言う


「せっかくヒチョル兄さんがお金くれたんだから

みんなで朝ごはん食べて帰ろう♪」

リョウクがニコニコしながら3人を誘うと

ギュヒョンも大喜びで賛成する

「まずは・・・明け方までやっている東大門行って・・必要なものを買って

それからご飯だね」

ソンミンがこれからの予定をキボムの代わりに考えてくれていた

「そうしよう!!!さっそく買い物に出発~」

行く気満々のギュヒョンは笑顔でキボムに話しかける


キボムの知らない所でキボムのスケジュールが決められていく

当の本人は、ぼんやりしながら3人の顔を見つめていた・・・・・










「え? キボムがしばらくウチに泊るのか?」


「うん・・オーナーから言われて預かる事になった」

ヒチョルはハンギョンの腕の中でまどろみながら答える


2人が住んでいるマンションは

2LDKの広さで、ヒチョルとハンギョンの部屋と

リョウクの使っている部屋がある


もともとはハンギョンが1人で住んでいたのでそれ程広くない

そこにヒチョルが転がり込んできて住み始め

その後ヒチョルがリョウクを引き取る事になり

納戸として使っていた部屋をリョウク用の部屋としていた・・・



しばらく・・キボムがいるのか・・・そうか・・・


ハンギョンは少し考え込んでから

自分の腕の中でウトウトとし始めたヒチョルの首筋に唇を這わせた


「あっ・・な・・んだよ・・俺・・眠いよ・・・ば・・か・・・」

「しばらくお客さんが泊まるんだろう・・だから・・・」

「ばか・・へ・・んたい・・・」

ヒチョルに変態と言われてハンギョンは濃厚な口づけをおとす

その口づけのあまりの甘美さにヒチョルの眠気も吹き飛び

自分からハンギョンの首に腕をまわして耳元に何かを囁いた


それを聞いたハンギョンは、にやりと笑い

ヒチョルの耳元で愛の言葉を囁く


ヒチョルは満足げに微笑むと

ハンギョンの瞳をじっと見つめる


それが合図のように

2人は自分達だけの世界に入っていった・・・・


【パールサファイアの夜 Ⅱ】~見習い 4~


「今日は金曜日だから・・やっぱ混むねぇ・・・」

シンドンがバックヤードに戻ってきてキボムに声をかけた

「シンドンさんがこの店で働いているなんて・・知りませんでした」

キボムは水のボトルをシンドンに渡しながら返事をする

「うん・・・バイトしてるって言ったけどホストしてるって言ってないもん」

人懐っこい笑顔で答えながら

「僕がホストしているって言っても誰も信用しないでしょ」と楽しそうに笑った


シンドンはフリーターの時にこの店の急募チラシをみてホストを始めた

本当は芸人になる夢がある・・・面接の時にギュリに言った・・・

ギュリはイケメンではないシンドンに固定客がついた理由に気付き

彼の本来の夢のために芸能事務所から芸人として売り出してくれた

キボムとは最近バラエティ番組で共演していて、

同じ事務所と言う事で交流も少しあった


「しかし・・・ギュリさんも有無を言わせない迫力・・すごいよな

あれじゃいくら美人でも・・・彼氏は・・・出来ないね~」


シンドンの言葉にキボムも思わず笑った


「今日はここで一連の流れを見学してんの?

うちのナンバー1観察すると面白いぜ~」

「ヒチョルさん?」

「ああ・・・あの人は全く計算ないから・・・

本能で生きてる感じだな・・・古株の先輩の話だと

昔はすごく荒れてて、懐かない野良猫みたいだったって・・」


「そんな雰囲気全然ないけど・・・そうなんだ・・・」


2人が話しこんでいると奥からウニョクが走ってきて

シンドンに向かって「今・・充電中・・しばらくフォローお願い」

そう言い残すと、次はソンミンの方に走っていった

それぞれ手の空いていそうなホストの耳元で同じ事を囁く

ヒチョルがVIP接待で不在になっているヒチョルの客の所に

ヘルプで入っているホスト以外に、

手空きのホストがフォローで入っていった


「キボム悪いな・・お姫様の充電が終わるまでは、

みんなでフォローすることになってんだ・・・」

シンドンがそう言って店に出ようとしたので

「充電って何? ヒチョルさんどうかしたの?」

あわててキボムが尋ねると


「あの人・・ああ見えても接客にあの人なりに気を使ってるんだよ

だから・・・神経使いきって倒れそうになる時があって・・

今、ロッカー室に行けば充電がなんだか分かるから・・・

僕たちは・・自主的にフォローに回ってるんだ・・・」

そう言うとシンドンはハンギョンの指名客の席に笑顔で入っていく



「充電?」

キボムは首をかしげながらロッカー室に向かった






ヒチョルはぐったりとしたまま

ハンギョンの胸に顔を埋めてしがみついている

ハンギョンは椅子に座ったままヒチョルを抱きしめ

優しく背中をなでている

その2人の様子は母親の胸に甘える子供のように見えた

(これが・・充電?)

キボムは2人の邪魔をしないようにドアの陰からそっと中を覗く


「今日の薔薇社長は・・熟年離婚したとかで・・いつもよりも半端なく

雄のオーラ出しまくりで・・でも僕がしっかりガードして

兄さんには触らせませんでしたから!!!!」


リョウクが2人の横に立ってハンギョンに経過報告をしている

ハンギョンはヒチョルの頭をなでながら

「リョウク・・いつもありがとな・・・あともうちょっとで復活するみたいだから」と

リョウクに笑顔を向ける



キボムは小さな子供のように

ハンギョンにしがみついているヒチョルを見て

さっきハンギョンと手を絡ませていた人物と同じとは思えなかった

こんなに神経を疲れさすVIP接待って・・・何?

キボムがぼんやりと3人の様子を見つめていたら

リョウクが突然「10分経過しました」と時計を見ながら囁く



それを聞いたヒチョルは

突然顔を上げるとハンギョンから離れて

「悪かった・・・戻る・・・」と小さく呟いた

「ヒチョル大丈夫か・・」ハンギョンが心配そうに聞く

「ああ・・・ラストまで大丈夫だから・・・心配掛けて悪い・・」

ヒチョルはそう言うと笑顔を作った

ハンギョンは、その笑顔を見て辛そうな表情をし

ヒチョルの腕を掴んで自分の方に引き寄せた・・・

その唇に自分の唇を重ねる

しばらくして、ヒチョルの方から唇を離すと

ハンギョンに花のような笑顔をむけて「ごめんね・・」と言い残して

ロッカー室を出ていった



うわっ・・・キボムはヒチョルがハンギョンに向けた笑顔をみて

胸がドキドキしてくるのを止められなかった


「あれ? キボム・・なんでここにいるの?」

リョウクが不思議そうな顔をして聞いてきたが

ヒチョルの放出したフェロモンにやられたキボムは、

胸はドキドキし顔は赤くなり何も答えられない


そんなキボムを見てハンギョンはにやりと笑い


「悪いけど・・・今の事内緒にしててくれるかな?

店でキスは禁止されてんだ・・支配人にバレたら怒られるから」


ドギマギしているキボムは、ハンギョンの言葉にうなずくのがやっとだった

それを見てハンギョンはウィンクをして部屋から出ていった




今日はなんて長い1日なんだろう・・・

キボムは心の中でそう思っていた
【パールサファイアの夜 Ⅱ】~見習い 3~


「とりあえず今日は、飲み物や食べ物を運ぶ仕事をして

ホストクラブがどういう所かを見て下さいね・・・

僕かギュヒョンが近くにいるようにするので、

分からない事は聞いて下さい」

リョウクがバックヤードのキッチンでキボムに説明をしている

店は開店して、すぐに女性客で満席となっていた

キボムは初めての事だらけで、かなり緊張していたが

今日はウエイターまがいの仕事だと聞いて、少し肩の力が抜けるのを感じた


「あの・・・ヒチョルさんって・・女装が趣味なんですか?」

キボムがおずおずと尋ねる

「なんで?」

「今日・・店の前で会って・・ハンギョンさんと腕組んでいた可愛い子が

ヒチョルさんだったので・・・」


クククククク

ギュヒョンが突然笑いだす

キボムが不思議そうにギュヒョンを見つめると

「今ね~あの2人は『同伴ゴッコ』がブームなんだよ

だからヒチョル兄さんは女性客のふりしてデートしてるんだ」

ギュヒョンの説明に、キボムは訳が分からないという顔をしている

リョウクが見かねてキボムに説明をした

「あのね・・・あの2人は隠さないから教えてあげるけど

ヒチョル兄さんとハンギョン兄さんは恋人同士だよ

ヒチョル兄さんは女装家ではないけど、昼間堂々と外でいちゃつけるって

最近女装している・・・」

そこまで言って

「もう今では女装が趣味になってるかも・・・」と笑った


「え? ナンバー1とナンバー2が・・・付き合ってるって・・」キボムが驚いてリョウクを見る

「この2週間見てればわかるよ・・さあ仕事仕事!!!!」





キボムは指名ホスト達の接客をバックヤードから見ていた

みんな個性的で、自分が思い描いていたホストと全く違う・・と

新鮮な驚きを感じていた

特にヒチョルの接客は「ツンデレ接客」と言われているだけあって

見ていてビックリする内容だった

つき放したり、笑顔で甘えてみたり・・・

ころころと変わる表情や態度に、客は翻弄される

それに反してハンギョンは接客中なのに「愛想笑い」すらしない

それでも客はハンギョンにいろいろ話をしている

別のテーブルではシンドンが話術で客を笑わせていた



リョウクが支配人に呼ばれて戻ってきた

「ギュ・・ヒチョル兄さんにVIP入ったから・・

僕ヘルプに入るので・・後お願いね・・・」

そう言い残すとヒチョルのテープルに向かった


「ギュヒョン・・・VIPって何?」

キボムがギュヒョンに尋ねると

ギュヒョンは顔をしかめ

「俺の口からは、VIPの人達を接客するとしか言えない・・ごめん」

と言葉を濁した



リョウクに耳打ちされて、ヒチョルがバックヤードに戻ってくる

ヒチョルの姿を追いかけてハンギョンも戻ってきた

ヒチョルがVIPルームに向かう時にハンギョンとすれ違う


「あっ・・・」

その様子をみていたキボムは、

2人がすれ違うほんの数秒の間の出来事に目を奪われた



ハンギョンがヒチョルに向かって微笑む

どんな女性でも虜にしてしまうような甘美な微笑みで

ヒチョルを見つめる

ヒチョルはハンギョンとは目を合わさず通り過ぎる・・・

2人がすれ違う時にヒチョルがハンギョンの手を握った

2人の手が別の生き物のように絡み合う

そして2人の手が名残惜しそうに離れると

ヒチョルは自分の後ろにいるハンギョンに向かって無言で手を振って

そのままVIPルームに向かった

残されたハンギョンは辛そうな顔をして後ろ姿を見つめている・・・・



(なんか・・・映画のワンシーンのようだ・・・それにしてもVIP接待って何なんだろう)

キボムが黙ってハンギョンを見つめていると

リョウクが後ろからきて

「今日は・・・薔薇社長だから・・しんどいなぁ・・」と呟きながら

ヒチョルの後を追っていった


気付くとハンギョンは自分のテーブルにもどり

自分の指名客の相手をしている



残されたキボムは「ドラマよりもドラマチックな現実」という

何かのキャッチフレーズを思い出していた


(ギュリ専務が、僕をここに送り出した意味が

何となく分かってきました・・・)

キボムは笑顔を作ると頼まれていたフルーツの盛り合わせをもって

店に出ていった
【パールサファイアの夜 Ⅱ】~見習い 2~


「・・・という訳で キボムは2週間ここでホスト見習いをします」

支配人のカンタが開店前のミーティングでみんなの前で告げた

黙って聞いていたホスト達は、

あのギュリの一存で、ここに送り込まれてきたキボムを

興味津々で見つめていた


キボムは居心地の悪そうな表情で店の隅で小さくなっている

「とりあえずリョウクとギュヒョン・・仕事を教えてやってくれ」

「はーい」リョウクはキボムの横にきて

「僕がリョウクです・・・ヨロシクお願いします」と笑顔で挨拶をする

「お願いします・・・」キボムが営業スマイルで答えると

「僕・・・根の腐った木・・見てました・・・ファンです」と

リョウクは小さく囁くと、恥ずかしそうにバックヤードに走り去った

キボムは意外な場所で自分のファンにあって、少し嬉しくなって

リョウクの後ろ姿に微笑んでいた


その後、昨日の売り上げ順位の発表があり

キボムはパールサファイアのホストの位置づけが分かるようで

興味深くその話を聞いていた


「1位はヒチョル・・・」

名前が呼ばれると白いスーツを着ているヒチョルが立ちあがった


え?

キボムはさっき店の前で会った

ロックアーティスト風の美少女と

同一人物とはすぐには分からなかった


ヒチョルがキボムの方をみてニヤリと笑ったので

その笑顔をみて、ようやく店の前で会った人物と同じだと分かったのだった



「さあ・・今日も1日頑張って下さい」

パンパンとカンタが手を鳴らすと、ホスト達はそれぞれの持ち場に散って行った


「キボムさん・・・俺ギュヒョンです」

おっとりした顔の青年がキボムの元にやってきて挨拶をした

「俺・・・一番下っ端なので・・・一緒に仕事やっていきましょう」

「ああ・・・よろしくお願いします・・それからキボムでいいから」

ギュヒョンはニコッと笑い

「じゃあ・・・キボム・・今日も1日頑張ろう」と握手をしてきた




これからどんな1日が過ぎるのか

キボムは不安で胸が押しつぶされそうになっていたが

そんな顔はおくびにも出さず

国民の弟と呼ばれる笑顔を作り

ギュヒョンの後をついてバックヤードに向かっていった
【パールサファイアの夜 Ⅱ】~見習い~


「ここか・・・」

キボムは手にした地図を見ながら

ホストクラブ「パールサファイア」の前に茫然とたたずんでいた


数時間前・・・



「つまりね・・・今のあなたじゃダメって言う事なの」

突然事務所に呼び出されたキボムは

ギュリに突然ダメと言われて面食らっていた


キム・キボム

最近売り出し中の若手俳優

主人公の恋敵の役など準主役の役が付き始めてきていて

雑誌などでもちょこちょこインタビューされるまでになっていた


そんな彼が突然ダメ出しを受けたのだ

キボムが不満な顔をしていたのだろう

ギュリがもう一度キボムの目を見つめて言った

「局のプロデューサーから話し来たんだけど・・・・

今までの貴方がやってきた国民の弟的なイメージを

ぶっ壊すような・・・そんなイメチェンを期待しているって」


「イメチェン・・・ですか?」

キボムは今まで「爽やか好青年」の役が多く

それが評判を得ていて「国民の弟」などと呼ばれたりしていた


「とりあえず、今までの固定観念をぶっ壊すつもりで・・・

ここに体験しに行ってきて・・・一応二週間って話つけてあるから」

ギュリからの有無を言わせない一方的な通達に

キボムは口を開けたままギュリの顔を見つめていた


ギュリはその美しい顔に笑みを浮かべ、キボムに紙を手渡す

ホストクラブ「パールサファイア」への地図だった




「はあ・・・・」

キボムは教えられた店に着いたが、

入る勇気が持てずにずっとたたずんでいたのだった

店を眺めてはため息ばかりが出る







「ハンギョン~なんか俺・・声が変だ・・」

「あたり前だろう? あんだけ歌いまくってたら声潰れるぞ」

ヒチョルがハンギョンの腕に自分の腕を絡めながら楽しそうに歩いている

最近ずっと「同伴ゴッコ」が楽しくて、

今日も2人は出勤前にカラオケで遊んでいた


「今日はロックな日だ~」とヒチョルは突然言い出して

今日は皮ジャンに皮の細身のパンツをはいて、

すっかりロックアーティストの気分に浸っている

皮ジャンを着ていても女の子が男装をしているように見えた


「ヒチョル・・・一応客商売なんだから・・歌いすぎて声枯らしたなんて・・

そんな事支配人には言うなよ」

ハンギョンが苦笑しながらヒチョルを見つめる

もう愛おしくて仕方ない顔で、目じりは下がりっぱなしだ


「あれ? ハンギョン!!!!店の前に誰か立ってるよ」

ヒチョルが突然ハンギョンの腕を引っ張って言った

「ん? 本当だ・・・誰だ? バイトの応募かな?」

ハンギョンは興味深げにその人物を見つめる




「おいっ・・お前こんなとこで何してんの?」

突然声をかけられたキボムはビックリして振り向いた

そこにはロックアーティストのような風貌の美少女と

仕立ての良いスーツをさらりと着こなしたサラリーマン風の男性が立っている


あまりにもミスマッチな2人が仲良く腕を組んで自分を見ていた


「あの・・・ホストクラブに用事があって・・・」

「バイトの応募? 案内するよ」

ハンギョンが笑顔で答えると、キボムの緊張が解けた・・・



「お前・・バイト希望?」

(なんだ・・この子・・口悪いし・・・でもこの声って・・男の子?)

キボムはビックリしてヒチョルの顔をまじまじと見つめた

ヒチョルはニヤリと笑い

「俺・・ここのナンバー1だから・・ヨロシク♪

で・・こいつはナンバー2だから覚えてね~」と言い放つと

さっさと扉をあけて店に入って行った


キボムはこれから自分を待ちうける2週間を考えると

気が重くなってくる

気持ちに比例して重くなっている足取りでようやく店の中に入って行った
Eternal Ⅱ~海辺のまち

お付き合い下さりありがとうございます

本当に文章をおこすのが難しくて

一人称にすると少しは楽なんだと思うのですが

なかなか上手くはいきません・・・・

相変わらず何が言いたいのか分かりにくい文章ですね


今回の Eternalシリーズ Ⅱは

一応完結とさせていただきます

ドンヘのその後とかはそれぞれ

皆さんの胸の中で続きをお願いいたします・・・・・


拍手やコメントありがとうございます

いつも読ませて頂いて励みにしています


リアル世界でのハンチョル不在の中

私の妄想ヒチョルはどんどん女の子化してきています(笑)

時々コンヒくんがあげてくれる写真などのヒチョルを見ると

あまりのギャップにキーが打てなくなります・・・・

そんな時は必殺「ハンギョンのお誕生日」動画で復活します


こんなのヒチョルじゃないっ!!!!!ってご不満の方も多いかと思いますが

私の書くヒチョルはどうしてもハンギョンに守られる形になってしまいます

(いつもドSなヒチョルがハンギョンの前では可愛いMになるのが私のツボなもので)

すみません・・・


次はパールサファイヤの話の続きを書きたいと思います

また頑張りますのでよろしくお願いいたします
【Eternal Ⅱ~海辺のまち】おまけの話


「キム・リョウクさん~!!!

お荷物です~サインください~」


ちょうど開店準備をしていたリョウクは

あわてて裏側の玄関に走って行った


「すみません・・お待たせしました」


リョウクが玄関をあけると

大きな箱を持った郵便配達員が立っていた

「はいここに、受け取りサインして下さいね」

サインをして箱を受け取ると

「あっそれ・・・食品ですから早く開けて下さいね」

郵便配達員はそれだけ言うと速足で去って行った



「どこからだろう? 」

リョウクは不思議そうな顔をして

荷物を持ったまま店の方に戻ってきた


「あなた・・・誰からなの?」

妻のサニーが娘のユイを抱っこして2階から降りてきた


リョウクは昔は音楽学校に通っていたが

音楽の道で食べていくのが大変だと悟り、

早々に音楽の道は諦めて

もうひとつの好きな菓子作りの道を選んだ

菓子作りのセンスを磨きながらあちこちで修業をし

今では自宅を兼ねた自分の店を持つ事ができた

ずっとリョウクを支えてくれた幼馴染と結婚し

数年前に娘もうまれ幸せな毎日を過ごしている


妻のサニーに聞かれて送り状に目をうつすと

そこには懐かしい人の名前が書かれている

「ヒチョル兄さん・・・」


サニーはその名前を聞くと

「たまに綺麗な絵ハガキを送ってくれるお友達?」

「ああ・・その人だよ・・今回は何を送ってきたんだろう」

「おとーしゃん・・開けて~」

娘のユイにせがまれて箱をあけると

そこには美味しそうなイカの干物がたくさん入っていた

リョウクはヒチョルに似合わないイカの干物にしばらく茫然としていたが

干物に添えられていたメモを見て思わず苦笑をした


『おじさんのイカは世界で一番おいしいって!!!

だからリョウクに送るからね~ヒチョル』


ヒチョルのいたずらっぽく笑った顔が思い出される

たった2カ月だったけど・・・たくさん話をしたっけ・・

あの頃辛い恋をしていた・・その話も聞いてもらった・・・

あの丘の上の洋館に通うのが楽しみだった・・・

ヒチョル兄さんとハンギョンさんは変わってないのだろうか・・・


「そのヒチョルさんとどれくらい会ってないの?」

妻の声に現実にもどされたリョウクは

「うん・・・20年くらい会ってない・・・

ヒチョル兄さんは世界中を旅行しているから・・・」

「そう言えば、絵ハガキにも住所は書いてなかったわね」



会いたいな・・・僕・・もうすぐ40歳になっちゃうから

すっかりおじさんだな・・・ヒチョル兄さんは綺麗なままなんだろうな


リョウクの心の中を見透かしたように

「送り状に住所が書いてあるわよ・・もしかしたら

そこにしばらく住んでいるんじゃないの? 会いたいんでしょ?

会ってくれば?」妻が干物を箱から出しながら言う


「そうだな・・・それよりこのイカ本当に美味しそうだな」

「ユイ・・イカ食べたい~」

「はいはい今あぶってあげるから・・待っててね」

妻が娘にやさしく微笑む

そんな様子を見つめてリョウクは20年の時の流れを思い出していた








この住所だと・・・ここら辺になるのかな?

リョウクは仕事をやりくりして

ヒチョルをたずねる時間をなんとか作りだした

イカが届いた時にすぐに飛んできたかったが

なかなかそうはいかず日にちがどんどん過ぎていく

やっと訪ねる時間が出来たが

もしかしたらもう出発してしまったかもしれないと

リョウクは不安で仕方なかった




「あの・・・すみません・・・この住所ってどこになりますか?」

リョウクは自転車の後ろに

大きな箱をくくりつけている男性に声をかけた


「どれ? ああドンヘの所のヒチョルちゃんに会いに来たのか?」

「はい・・そのヒチョルさんは・・まだこの町にいますか?」

「まだいるよ・・でも数日のうちに引っ越すって言ってた」

男性の言葉にリョウクは思わず泣きそうになる・・・

「よかった・・間に合った・・」


「すみません・・そのヒチョルさんに用事があるんです・・・

連れて行ってもらえませんか?」






「ヒチョルちゃん~いるかい? ヒチョルちゃんに会いたいって人連れてきたよ」

ヒチョルの家の前で男性が声をかける

「おじさん・・・よく来ますね」ドンヘが家の中から顔を出す

「そういうドンヘこそ・・・俺の来る時にはいつもいるじゃん」

とカラカラと笑った

それから男性はリョウクにむかって

「ここの家だから・・俺はイカの配達があるから

ここで失礼するぜ・・・」

そう言い残すと、自転車をまたいで走り去って行った

「ドンヨルおじさん・・忙しい人だな・・・」

ドンヘは走り去る後ろ姿を見つめて苦笑し

リョウクの方をみて「ヒチョルに用事なの? どうぞあがって」と言った


リョウクが家にあがると

リビングでヒチョルは猫の相手をしていた

「ソックス!!!!お前その傷!!!消毒しなきゃだめだろ」

「にゃあ~」

消毒液が傷に染みるのか猫は暴れている

「こらっ!!!!」

ヒチョルが猫を押さえつけて傷を消毒していた・・・


昔・・・コミンとよくじゃれあっていたヒチョルの姿が思い出された


リョウクの瞳から涙がぽろぽろと零れ落ちてくる

「ヒチョル兄さん・・・」

名前を呼ばれてヒチョルが何気なく顔をあげた

「リョウク!!!!!」

ヒチョルは昔と変わらない笑顔でリョウクを見つめる

「ヒチョル兄さん!!!!!」


リョウクはヒチョルの笑顔を見て思わず抱きついた

ヒチョルは嬉しそうにリョウクの頭をなでる

そして寂しそうにぽつりと呟いた・・・


「リョウク・・・大人になっちゃったね」



ドンヘはその様子をみながら首をかしげていたが

再会の邪魔をしてはいけないと、そっと家から外に出る


40歳くらいの男性がヒチョルに抱きついて泣いている

ヒチョルは母親のようにその男性の頭をなでていた・・・


どんな関係なんだろうと不思議がっていたら

ちょうどハンギョンが外から戻ってきた

「ハンギョンさん・・・今お客さんがきてます」

「客?」

「リョウクとかいう・・おじさんですけど・・」

ハンギョンはドンヘの言葉に一瞬眉をひそめたが

すぐに笑いだした

「リョウクが来てるのか・・・そしておじさんか・・」

そして首をかしげるドンヘに

「人はだれでも知られたくない過去があるんだよ」と

凄みのある微笑みを向ける


ドンヘはもうこれ以上何も詮索できずに

黙って自分の家に戻って行った






リョウクとヒチョルは一晩中ずっとおしゃべりをしていた

20年前に戻ったように、すごく楽しそうにしている

そんな2人の様子を眺めていたハンギョンは

丘の上の洋館ですごした日々を思い出していた


自分達が世界中を旅している間

リョウクは確実に歳をとっていて自分の人生を歩んでいる

リョウクが亡くなった後も

その子供たち、その子孫たちにの時代になっても

俺とヒチョルは変わらずに今のままだろう

ハンギョンはそう思うと不思議な気持ちになった

ヒチョルと出会うまでは・・・・ヒチョルと愛し合うまでは

人間とのかかわりなんて全く興味もなかったのに

今では自分達よりも短命な人間に愛おしさを感じるまでになっていた

自分がこんなに変わったのは・・・ヒチョルの影響だな・・と思う


ハンギョンが物思いにふけっていると

リョウクの歓声で現実の世界に戻された

「きゃっ♪きゃっ♪ヒチョル兄さん~綺麗!!!!!」

「凄いだろう~俺もやっと羽根はえたんだ」


ん?

ハンギョンが2人の方を見ると

ヒチョルが羽根をリョウクに見せびらかしている


「はっ・・・ヒチョル・・お前・・・」

ハンギョンは呆れて苦笑するしか出来なかった


ヒチョル達はいつまでも話尽きる事がなく

明け方まで賑やかに過ごしていたのだった・・・・・










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