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2013.01.30 想定外 9
【想定外】9


城東警察署内に就業時間終了のチャイムがなる


「あーあっ終わったぜ~」

捜査二課のメンバーはたいした事件を扱ってないので

定時で上がって行くものが多い

わさわさとしている二課の部屋からヒチョルはロビーに移動して

椅子に座って辺りの様子を眺めていた

(今日は・・・すっげー長い一日だったな・・・・

さすがに疲れた・・・・・)


すると

「ヒチョルさん~今日はおつかれさまでした~」

ロビーの椅子でぼんやりしているヒチョルにむかって

交通課のリョウクが笑顔で声をかけてきた

「あ・・・おつかれ」

ヒチョルが笑顔で答える

「そう言えば・・・お前・・イェソンとカラオケ行ったのか?」

「!!!!!!」

リョウクの驚いた顔をみてヒチョルはクスクスと笑う

「しつこいから嫌だ~って言ってたくせに」

ヒチョルの言葉にリョウクは少し恥ずかしそうに答えた


「えへへへ・・最初は嫌だなぁって思ったんですけど

断ってばかりで・・なんか可哀そうになっちゃって・・・

カラオケならいいかな~って」

「あいつ・・・ちょっと暗そうだけど真面目でいい奴だよ」

「はい・・真面目でしたね~」


しばらく沈黙が続いた後リョウクが

「ヒチョルさん・・無理してませんか?」と聞いてきた

ん?

「今のヒチョルさん見てると・・・いつか・・

ぽきっと折れそうな気がします」

「リョウク・・・・」


「弱みを見せてもいいんですよ・・・甘えてもいいんですよ

人間は1人じゃ生きていけないんだもん」

「・・・・・・」


「ヒチョルさんを支えてくれる人が早く見つかるといいですね」

そう言い残すと

「お先に失礼します」とパタパタと走って去って行った


リョウクの後ろ姿をぼんやりと見つめながら

(人間は1人じゃ生きていけない・・・・か・・・)


リョウクの言葉を反芻するとヒチョルは苦笑した

(俺だって好きで1人でいるわけじゃないんだよ・・・リョウク・・・)


ふとヒチョルの脳裏に優しい声で歌う子守唄がよみがえってきた


あれは誰?

暖かく自分を包み込んでくれたやさしい腕・・・・

あれは幻だったのか?

俺の幻覚だったのか?

まさか・・・あいつか?


自分が今着ている服も借りものだった事を思い出した

「スーツ・・・取りに行かなきゃな・・・・」


のろのろとスマホを取り出すと

しばらく躊躇したのちにヒチョルは思い切って電話をかけた・・・
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2013.01.29 想定外 8
【想定外】8


「ヒチョル兄さん・・ちょっといいですか?」

昼食を食べ終え、サイモンとサンチュが煙草を吸いに席を立った時に

ホンギが思いつめた顔をしてヒチョルに聞いてきた


「兄さん・・・昨夜何かあったんですか?」

「・・・・・」

「僕にも言えない何かあったんですか?」

「何もねぇーよ・・・」

ヒチョルが眉間にしわを寄せて嫌そうに答える


「うそだ・・・ヒチョル兄さん・・隠しごとがあると饒舌になるんですよ

今日は朝からずっとしゃべりっぱなしだ」


「・・・・・」

黙り込んだヒチョルを見てホンギは悲しそうな顔をする

「言いたくないならいいです・・・でも僕は兄さんの相棒です

いつでも頼ってもらいたいんです・・・待ってますから」


ヒチョルはホンギの顔を見ると

「悪い・・・今はちょっと言えないけど・・・

お前には隠しごとはしないつもりだから・・・そんな顔すんなよ・・・」

ヒチョルの言葉を聞いてホンギは泣き笑いの顔をする


(ホンギ・・・こいつには隠しごとは出来ないな・・・)


「ヒチョル・・・ちょっといいか?」

突然声をかけられてホンギとヒチョルが振り向くと

そこには鑑識課のイェソンが立っていた


「ああ・・会計して外に出るからそこで・・・」

ヒチョルはカードで支払いを済ませると

警察署までの帰りがてらにイェソンから話を聞く事にした


「で? なんだ? お前から声かけるなんて珍しいからな・・・

お前ら~メシ代払ったから先に署に戻ってろ!!!!」

店の外で煙草を吸っていたサイモン達にヒチョルは声をかけると

ホンギとイェソンと3人で歩きだした


「昨日・・カラ鉄で入手した情報だ」

突然イェソンはぼそぼそと話しだした


「カラ鉄?」ヒチョルはその単語の意味が分からずに首をひねると

「カラオケの鉄人の事ですよ・・・・イルボンノレバンの店です」

ホンギが助け舟を出す

「うん・・・ウクちゃんがそこでどうしても歌いたい歌があるって」

「お前・・・リョウクとカラオケに行ったのか? 」

ヒチョルの問いかけに恥ずかしそうにうなずくイェソン

「そんな事よりカラ鉄でどうしたんですか?」

ホンギが慌てて話を元に戻す

「そこで情報屋のジュンヒョンに偶然会って・・・ヒチョルへの伝言受け取った」

イェソンが話を続ける

「ほぉぉぉ・・最近ご無沙汰だったジュンヒョン・・・それで?」

ヒチョルが大きな瞳を輝かせて話の続きをせかす

「すごく可愛い女子高生と一緒にカラオケしてた・・・」

イェソンの答えに

「ぼけっ!!!!ちげーよ!!!俺への伝言の内容だよっ!!!!」

ヒチョルはイラっとしてイェソンの事を足蹴にしようとして

ホンギに止められた

「あ・・・伝言は・・・若獅子会の事です」

「で?」

「若獅子会はどうやらチャイニーズマフィアと手を結んだようで

向こうの幹部がこっちに来るそうです・・・交換留学と言うのかな?」


マイペースでボソボソと話すイェソンにヒチョルは怒りをぶつけて

「お前~!!!パカか!!!交換留学じゃないだろう!!!!」と怒鳴った


警察署に着いていたのでイェソンはマイペースのまま

「伝言・・・確かに伝えたから・・・」と足早に去って行った


「くっそ~!!!!!若獅子会何をたくらんでる? 本部が俺の所轄だったら良かったのに」

「ヒチョル兄さん・・お願いだから・・・江南の所轄は荒らさないでください!!!!!」

ホンギがヒチョルに哀願する


「分かってるよ!!!!一課にいた時のような騒ぎは起こさないから・・・安心しろ」



あ゛ーっ!!!!!


誰に対するでもない怒りがわいてきて、ヒチョルは空に向かって吠えた


するとちょうど違法駐車を取り締まるために

ミニパトに乗り込もうとしていたリョウクとソンミンがビックリして振り向く

それに気付いたヒチョルは

「そんな顔するなよ~なんでもねーから」と言って笑うと

2人に手を振りながら建物の中に入って行った




「リョウク・・・ヒチョルさん・・鬱積してるね・・」

「二課は一課に比べて忙しくないし・・干された状態とでも言うのかな?」

「でも一課に戻ったら・・・あの人・・犯人殺しちゃうよね・・・」

「うん・・・正義感が強すぎるのも・・・大変だよね」

「もう少し楽に生きられないのかな・・・」

ソンミンがため息をつくと

「ヒチョルさんを精神的に支えてくれる人が現れないと・・・あの人折れちゃうね」

リョウクも悲しそうな顔をして答えた



「そう言えば昨日合コンあって・・・ヒチョルさん以外

みーんなお持ち帰りしたって・・・噂きいたよ」

リョウクが助手席で何気なく言ったひと言に

運転席のソンミンが異常に反応した

「ギュの浮気者~!!!!!」

突然のアクセル全開に

リョウクはあわててシートベルトを握りしめる

「ぎゃあああああああああ」

リョウクの絶叫と共にミニパトは猛烈なスピードで駐車場から消えていった







2013.01.25 想定外 7
【想定外】7


ハンギョンは車を走らせると

地下鉄の乗り換え駅となる建大入口駅前の繁華街の一角に車を停めた

一階が携帯ショップとなっている雑居ビルの二階へ続く階段を上がる

そこには「若獅子会」というプレートのかかった扉があった

ノックをすると中から返事があり、ハンギョンは扉をあける


「ハンギョン・・・明日来るんじゃなかったのか?」

人懐っこい笑顔の黒いスーツの男が驚いたように声をかけた

その横にはキボムが立っていて、彼も驚いたようにハンギョンを見つめている


「カンイン・・車をちょっと走らせてみたんだ・・場所確認で来てみただけさ」

「とにかく座れや」

カンインと呼ばれた男に促されて、

ハンギョンは重厚な作りの応接セットの椅子に腰を下ろした


キボムは2人にコーヒーを出すと部屋の隅の方へ下がって行った


「いつ着いたんだっけ?」

「3日前だ・・・ちょっと夜の街を遊ばせてもらってた」

2人はコーヒーの香りを味わいながら話を始める

カンインは応接セットの後ろにある幅の広い机に向かうと

「ここがお前の席だから・・・一応ここの事務所のボスになってもらう」

「一応だろう?」

ハンギョンはカンインを見上げるとニヤリと笑って

コーヒーを一口飲んだ


「まあ・・・今回は銀龍会の若頭さんを研修で預かるようなもんだからな」

「研修ねぇ・・・・業務提携かと思ってたけど」

「チャイニーズマフィアは俺達にとっても脅威の存在だよ・・・

でもお互いのシマを荒らすことなく提携するような世の中になってきた・・・ってとこか」

「確かにな・・・俺の国も急速な資本主義方式が入ってきて

富裕層と貧民層の格差がどんどんひどくなってきて・・・・

新興勢力が出てきてやり辛くなってきてるのは確かだ」

ハンギョンは苦々しそうに呟いた

「お互いの組の上が決めた事だけど、

とりあえず俺達は仲良くやっていこうや・・」

ハンギョンとカンインはお互いに見つめあってニヤリと微笑む

「おりおりとお前の仕事内容を説明するから・・・

ここの事務所は江南とは違って、ほとんどやる事なくて・・

のんびりしたもんだよ」

カンインの説明を聞きながら

ハンギョンは気になっていた事を口に出す

「ここの管轄は・・どこだ? 担当はどんな奴だ?」

「ああ? 警察か? 城東が管轄だ・・・担当は・・・」

カンインは途中で言葉を切って

少し考えてから話を続ける

「すっげー美人・・・だけど・・俺達を敵対ししている

慣れ合いなんて・・・無理だなぁ・・・袖の下も無理だ・・・」


(美人・・って捜査二課に女はなかなか配属されない・・もしかして・・・)

「捜査二課のキム・ヒチョル・・なかなか手ごわいぞ・・」

カンインからヒチョルの名前を聞いたハンギョンは

思わず苦笑し

「そんなに手ごわいのか?」


「ああ・・・いろんな伝説があるらしい・・・

昔、捜査一課にいた時は手荒な捜査で有名で、

犯人はボコボコにされるのは当たり前だったようだ」

「美人ならお目にかかりたいもんだ」

「お前がここの新しいボスになったという情報が入り次第

ここに乗り込んでくるよ・・・すぐに会えるさ」

カンインはハンギョンの肩をたたくと

キボムに書類の束を持ってくるように伝える


「引き継ぎとまでいかないけど、仕事の説明を始めよう」


カンインの説明を聞きながら

ハンギョンは頭の隅でヒチョルの事を考えていた

さっき見た部下を引き連れて歩く姿に

手荒な捜査で有名だったという話


ハンギョンの胸の中で寂しいと泣いていた人物と同一とは思えない



ヒチョル・・・ますますお前に興味がわいてきたよ


ハンギョンは新しいおもちゃを貰った子供の様に

ワクワクする気持ちを抑えるのが大変だった
2013.01.21 想定外 6
【想定外】6


~城東警察署~


定例会議が終了し、みんなそれぞれ持ち場に戻って行く中

ヒチョルはホンギとノートPC等の機材を片付けていた


「ヒチョル兄さん・・昨夜はどこにいたんですか?」

ホンギは少し怒ったような顔をして延長コードを巻きとっている

「今朝、寮の部屋まで行ったのにいないから・・・・」

「悪ぃな~いつもの事だよ・・・目が覚めたらさ知らない部屋にいてさ・・」

ひきつった笑顔で答えるヒチョル


そこに・・・

「本当に間に合わなかったらどうしようか・・って寿命が縮まったよ」

刑事課長のイトゥクが、ほっとした顔で2人の会話に割り込んできた

「お前・・・つい最近おんなに逃げられたって言ってたけど・・

もう新しいの出来たんだ・・・さすがヒチョルさまだな」

「まあね~俺さまの美貌と話術を持ってすれば、女はよりどりみどりだぜ」

ホンギは黙って2人のやりとりを見つめている


「課長~本店のシウォン警視が呼んでますよ~」


「捜査二課は今回の報告のように

若獅子会の動向を探ってほしいって・・シウォン警視が言ってたぞ」

イトゥクはそう言い残すと呼ばれた方へ走って行った


「ふん・・勝手に言ってろ・・ホンギ!!!メシ行くぞ!!!」



警察署の玄関から外に出ると

捜査二課のサイモンとサンチュが2人を待っていた

「ヒチョル兄さん~メシ行きましょ♪ 待ってました~」

サンチュがスキップしながらヒチョル達の元にくる

「ヒチョル・・・お前・・また女のところから御出勤か?」

サイモンが呆れた顔をしながらヒチョルの肩をたたくと

「うっせーな・・・

合コンお持ち帰り率の高いお前に言われたくねーよ」と

迷惑そうな顔をしてサイモンを足蹴にする

慣れたサイモンは上手に逃げる

そんなやりとりをホンギは黙って見ていた


「ヒチョルさ~ん」

玄関にいた交通課のリョウクとソンミンがヒチョルに気付いて手を振った

「さっきは、ありがとなっ!!!!」

ヒチョルは2人にウィンクをして手を振り返す

「今日のお洋服・・・・カッコいいです~」

リョウク達の隣にいた婦警が、どさくさにまぎれてヒチョルに声をかけた

ヒチョルは婦警に投げキッスをする

「きゃあ~」興奮した婦警が倒れそうになるのを

ソンミンとリョウクが必死で支える





「ふ~ん・・・かなりの人気ものなんだな・・・」

車の中から警察署の様子を伺っていたハンギョンは

楽しそうに呟いた


肩で風を切るように玄関から出て来たかと思うと

部下を足蹴にしたり

婦警に投げキッスしたり

自由奔放な姿にハンギョンは驚いたが

もっとヒチョルの事が知りたいと

ますます魅かれていくのを感じていた


「本当に必要だったら自分から取りに来るだろう」

そう言うとハンギョンはヒチョルの身分証明書を

上着のポケットにしまった



昨夜自分に見せた姿が本当の彼の姿なんだろうな・・・

兄貴ぶってはいるけれど、傷つきやすく寂しがり屋の心を持っている・・・

ハンギョンはそう思うと嬉しそうに車を走らせて

城東警察をあとにした・・・・
2013.01.20 想定外 5
【想定外】5


「ハンギョンさま・・・クリーニング出来上がって持ってまいりました」

黒いスーツを着た若い男性がハンギョンの部屋に入ってくる


(大至急と急がせただけあって、一時間で仕事を終わらせるなんて

なかなか優秀だな・・・)


ハンギョンは新聞から目を上げると黒スーツの部下に微笑む

「さすがソウルは違うな・・・俺の所属の北京とは有能さが違う」

ハンギョンに褒められて黒スーツは少し恥ずかしそうにし

「何かありましたら、またすぐに駆けつけますのでお電話ください」と答えた

「事務所の方には明日顔を出すから・・・カンインにはそう伝えてくれ」

「はい」

「それと・・・」

ハンギョンが言いにくそうに口を開きかけると

「分かっております・・・昨日の出来事は誰にも口外いたしません・・

お風呂場の掃除もご自分でなさらずに、私どもでやりましたのに・・・」

黒スーツはニッコリと微笑むと、あどけない少年の様な笑顔をハンギョンにむける

「キボム・・・こっちにいる間は世話になる・・コリア方式がよく分からないから

いろいろと教えてくれ・・・・」


「はい・・・ハンギョンさま・・・」

キボムと呼ばれた青年が部屋を出ていくと

ハンギョンは読んでいた新聞をテーブルに投げ出す


新聞を読もうと思っても

昨夜のヒチョルの事ばかり思いだされる

記事が全然頭に入ってこないのに気付き

ハンギョンは新聞を読むのを諦めた


なんで・・・あそこで声をかけたんだろう・・・




ハンギョンは自分の故郷では見た事もないお洒落なバーで

味わった事のないカクテルや酒類を味わっていた

カウンターの隅でソウルの人々を何となく眺めていた

真ん中のテーブルで男女が盛り上がっていたので

不思議に思ったハンギョンはバーテンに尋ねると

「男女が相手を探す合コン」なるものと教えてくれた


興味深く見ているうちに

女性のような綺麗な顔をした1人の男性が気になった


その人物はコンパを仕切り、その場を盛り上げ楽しそうにしている

しかしたまに寂しそうな瞳を見せる時があって

ハンギョンはその事に気付き、目が離せないで観察を続けていた


合コンの仲間たちがそれぞれカップルとなり

店を出ていったがその男性は1人残り手酌で酒を飲んでいた

あれだけ楽しそうに場を盛り上げていた人物と同一とは思えない位

体中から寂しそうな悲しそうな気配を発していた


気付くとハンギョンは声をかけて自分と飲もうと誘っていた


「あのまま・・ほっておける雰囲気じゃなかったからな・・・」


泥酔したヒチョルを自分の家に連れてきて

思いっきりゲロされて・・・それでも怒る気持ちは起きずに

服を脱がせてシャワーで洗い流そうとした


ハンギョンは今まで同性に魅かれた事はなかった

そんな興味もまったくなかった

なのに


ぐてんぐてんのヒチョルの裸をみて・・・欲情してしまった

必死でそれを抑え込み、大型犬でも洗うかのように接したが

近くで見る肌の白さ、今まで抱いてきたどの女性よりもキメの細かい肌

酔って艶めかしく自分を見つめる怪しい瞳・・・

自分の中から湧いてくる抱きたいという気持ちを封じ込めて

嘔吐物まみれのヒチョルを洗う事に専念したのだった


自分でもよく耐えられたと思いだして苦笑する・・・


「俺は・・一方的な行為は・・好きじゃないからな」


しかしハンギョンはその後は必死で耐える事を強いられるのだった

ベットに寝かそうとすると

「1人では寂しい・・」とハンギョンにしがみつくヒチョル


この時はさすがに、頂いてしまおうかと抱きしめて

ある部分を確認してみたが

「こいつ・・・バージンか・・・」

その部分は誰もまだ受け入れた事がない・・

ハンギョンはため息をつくと

「今日は・・まだだ・・」と頂く事を諦める


ベットの中でお互いに裸で抱き合ったまま

ハンギョンはヒチョルの背中をやさしくさすり

自分の故郷の子守唄を優しい声で歌った


「みんな俺を置いていく・・俺はずっとひとりぼっちだ・・」と

泣き上戸かと思えるほどナーバスになっていたヒチョルは

ハンギョンの胸に顔をうずめて幸せそうに眠り始めた


幼い子供の様な無防備な寝顔に

ハンギョンは完全に心を奪われた・・・・




「まいったな・・・」と楽しそうに笑う

「キムヒチョルは昨夜の事は覚えてるのかな・・・・

どんな顔して服を取りに来るのか・・楽しみだな」

ヒチョルの身分証明書を取り出して見つめ

「写真うつりが悪いんだな・・本物はもっと美人だったぞ」

と言ってから、ふと顔をしかめると

「これは必要だろうな・・刑事には必需品だろうに・・・」

そう呟くと上着を羽織って車の鍵を手に部屋を出ていった
2013.01.20 想定外 4
【想定外】4


住十里駅のそばの城東警察の前にタクシーが停まった

「運転手さんサンキュ♪ 釣りはいらねーから

スピード違反も見なかった事にしてやるから・・・」

タクシーから降りながらヒチョルが言うと

「お客さん・・・あんた警察官のくせに

スピード出させたんじゃないですか・・・」

タクシーの運転手はぶつぶつと文句を言ったが

渡された紙幣の額に顔を綻ばせて

「またどうぞ~」と笑顔を見せて走り去って行った



「ヒチョルさんが来た~!!!」

玄関から交通課のソンミンとリョウクが飛びだして来る


「うわっ・・・なんだ・・・おめーら・・交通課のミンウクか?」

「ヒチョルさん!!!ホンギさんに頼まれました

今日は本店からシウォン警視が来てるので

見つからないように裏に回って下さい」


げっ・・・

リョウク達に手を引かれてヒチョルは裏口から二階に上がる

そのまま会議室の隣の部屋へはいりこんだ


「ヒチョル兄さん・・待ってました・・・間に合ってよかった」

泣きそうな顔をしたホンギがヒチョルを出迎える

「本当にハラハラさせないでくれ~」

刑事課長のイトゥクも半分涙眼になっている



何事もなかったかのようにノートPCを操って

ヒチョルは会議で発表を終わらせると

椅子に座ってぼんやりと昨夜のことを思い出そうとしていた



ドンヘに声をかけられて・・・

みんなを送り出して・・・

1人で飲んでいたはずだった・・・・


誰か声をかけた来たな・・・

そいつはハンギョンとか言う奴だったのか?

あいつと飲んだのか?

なんかすごく楽しかった気がする・・・


あれ?


思いっきりリバースしたのに髪とか身体とか臭くない・・・


ヒチョルは断片的に記憶を呼び戻す事に力を注いでいて

会議中ずっとうわのそらだった

そんなヒチョルの姿をじっと見つめている人物がいる事に

気付いていない・・・・




あっ!!!!!!!


ヒチョルの脳裏に突然ある風景がよみがえって顔が真っ赤になる



俺・・・

俺・・・


あいつに風呂場で・・・・




「ヒチョル兄さん!!!!どうしたんですか?

具合悪いんですか?二日酔いですか?」


隣に座っていたホンギがヒチョルの様子に気付いて

小声で声をかけてきた


「いや・・・大丈夫だ・・」


ヒチョルはハンギョンの事を思い出して1人で胸をドキドキさせていた
2013.01.17 想定外 3
【想定外】 3


なんかとってもいい気分だ・・・

ここはどこ?

俺はだれ?

誰かが歌を歌ってくれている・・子守唄?


とっても暖かい・・・この場所は俺を包み込んでくれる

まるで母さんみたい・・いや違う・・・誰?

いつまでもここでこうやって包まれていたい




♪~♪~♪


幸せな夢の世界でまどろんでいたヒチョルの耳元で

大音量のロックの音が鳴り響いた


ん?

ヒチョルは覚醒しきっていない頭をベットから持ち上げ

自分の携帯が鳴っているのに気付いてあわてて飛びついた


「ホンギ!!!!何かあったのか?」

電話の着信音はヒチョルの部下のホンギからだった

「ヒチョル兄さん!!!!今どこにいるんですか?」

「え?」

「あと1時間で定例会議が始まりますよ!!!!

兄さん今日報告があるじゃないですか」


「うわっ!!!!!!!

何とか行くからパワポ使えるようにしとけ」

慌てて電話を切ると

ヒチョルは今の状況を把握しようと周囲を見回す


「ここはどこだ???? 」

見知らぬ部屋のダブルベットに裸で寝ていた自分に気付くと

あわててシーツを身体に巻きつけた


「起きましたか? 」

ヒチョルの後ろの方から声がする

驚いて振り向くと

裸にバスロープをまとっただけのハンギョンが

コーヒーを手にベットの方に歩いてくる


ええええええええええ!!!!!!!

昨日・・・俺なにした???? ドンヘ達と合コンして・・・

合コンして・・・合コンして・・・・


あ゛ーっ記憶がないっ!!!!!!

パニックで声も出ないヒチョルの様子をみて

ハンギョンはクスクスと可笑しそうに笑っている


「お・・おまえ・・俺の事・・・」

ヒチョルは体に巻いたシーツをギュッと巻きなおすと

ハンギョンに向かってやっとの思いで話しかけた


「覚えてないんですか?

昨日・・貴方は私と飲んでいて・・・

酔い潰れて・・仕方ないからここに連れてきて・・・」


ハンギョンの説明に、二日酔いの残る頭を酷使して

思いだそうとするヒチョル


「部屋に着いたとたんに・・・・私に向かって・・・」

「・・・・・・」

「ゲロゲロ~って」


「うっ・・・」

言われてヒチョルは思いだした

誰かに介抱されながら・・思いっきりゲロゲロした事を・・・


「貴方の来ていたスーツと私の服は完全に嘔吐物にまみれました」

「悪かった・・・って俺のスーツ!!!!!俺着るものがないのかっ???」

「今の電話は呼び出しですか?

私の服で小さめのものを出しておきましたから・・・

良かったらどうぞ」


ハンギョンの説明を聞いてヒチョルは少し恥ずかしそうに

「俺・・昨日の記憶が全くないんだけど・・・もしかして

お前・・・俺の事・・・」


ドキン・・・

ハンギョンはヒチョルの恥ずかしそうな姿に胸がドキドキしかけたが

平静さを装う

「何の事ですか? 貴方に手を出したとかですか? 」

ハンギョンの問いにヒチョルは頬を赤く染めてる

「自分の体に聞けばいいでしょう」

はっとしてヒチョルは自分の体を見まわし

身体に違和感を感じてなかったので、ほっと息をはいた


そして時計を見て慌ててベットから立ち上がると

「悪ぃ~服借りるから!!!!!」

ハンギョンの用意した下着と服を奪うように受け取ると

風呂場に駆け込んで着替える


白いシャツにブランド物の紺のセーターを着て

少し大きめのズボンをサスペンダーでごまかしてなんとか様にはなった

その上からスリムなデザインのブランドのジャケットを羽織る


「わりいな・・今から会議なんだ・・後でスーツとりにくっから

お前の名前は?」

ヒチョルは財布をポケットにしまうとハンギョンに尋ねる


「スーツは私の服と一緒にクリーニングに出しておきます

私はハンギョンです・・・」そう言うとヒチョルの携帯番号を聞いて

その場で電話をかける

「着信履歴に私の番号が残りました・・何かあったら連絡ください」

ニッコリと微笑むハンギョンにヒチョルはドキンとしたが

「うわっ遅刻だ~!!!!!」そう叫ぶと部屋から飛び出していった



嵐が過ぎ去ったように散らかった部屋を見つめて

ハンギョンはクスクスと笑う

「面白い人だな・・・綺麗で・・・そして寂しがり屋だ」

昨夜の出来事を思い出すとハンギョンの胸はドキドキと高鳴る


「俺は・・・男には魅かれないと思っていたのに・・・」

「キム・ヒチョル・・・よりによって刑事か・・・・」

ヒチョルのスーツの胸ポケットに入っていた

身分証明書を見てハンギョンは小さくため息をつく

「さて・・・どうしたもんだろうね・・・・・」

ヒチョルに魅かれ始めている自分の気持ちに気付いて

ハンギョンは楽しそうに微笑んでいた
2013.01.14 想定外 2
【想定外】2


「初めまして今日はヨロシクお願いします」

「ドンヘさん・・今日は1人急用でこれなくなってゴメンなさいね」

江南のお洒落なバーでドンヘ達とCA達の合コンが行われていた

女性達はCAというだけあってどの子も目鼻立ちのはっきりした美人ばかり

ドンヘの友達の紹介というギュリはその中でも一番美しく

今日の合コンのまとめ役を買って出ていた


「1人いないの? 僕たち5人で君たちが4人か・・とりあえず自己紹介しよう」

ドンヘ達は自分達を「公務員」と紹介して刑事と言う事は伏せる

いつもの事だけど「刑事」と言うと引かれる事が多く

合コンが上手くいかないからだ

今日の参加者は、捜査一課のドンヘとウニョク鑑識課からシンドン

企画課からプロファイリニングを得意とするギュヒョン

そして捜査二課のヒチョルという構成だった


ドンヘは合コン王と呼ばれるほど合コンが大好きで

その顔の広さであちこちの知り合いを頼って合コンを成立させる

そしていつもヒチョルを誘いたがっていた


今日もヒチョルの美貌に同席のCA達は息を飲んで見つめている

女性と見間違う程の美貌に女性の心を掴む話術・・・・

合コンを華やかに仕切る事は多いが、ヒチョルはいつも自分からは動かない

お持ち帰りはされてもお持ち帰りはしない

なので男性陣は安心して一緒に合コンに参加できるのだった


ヒチョルの楽しい話術に女性達はヒチョルにくぎ付けになるが

それも少しの間だけで、彼の美貌に自分が劣ると感じたり

ヒチョルの心の壁を感じたりするとその時点で諦める事が多い

今日も女性陣が一人足りないという事もあり

途中からヒチョルは1人酒に入って行った



「ヒチョル兄さん・・酒に強いのは知ってるけど・・・

今日はペース早くないか? 大丈夫かな・・・・」

シンドンが心配そうにギュヒョンに耳打ちするが

「あの人も大人なんだから・・・限界くらい分かるでしょ」とつれない

シンドンも久々に話の合う女の子と出会ったので

ヒチョルの心配どころではなくなっていた


それぞれ綺麗に4組の男女カップルが出来上がり

次の店に移動しようと言う事になった

1人で飲んでいたヒチョルにドンヘは声をかけると

「大ジョーブだよ・・俺はここで飲んで帰るから

お前らせっかくカップル出来たんだ・・仲良くやってこいよ」

笑顔で送り出されたので

誰も疑問に思わずそのまま次の店に行ってしまった



「あの人大丈夫かな・・・」

カウンターの隅で飲んでいた物静かな男性がバーテンに声をかける

「ハンギョンさん・・さっきから気にしてますが」

バーテンは可笑しそうに笑った

「そんなに気になるなら同席されたらいかがですか」

バーテンのひと言にハンギョンと呼ばれた男はニッコリと微笑むと

「ここに連れてくるから・・・水割りを薄めに作っておいてくれ」と言い残して

ヒチョルの座っている席に歩いていった


「なんだ? 俺は酔ってないぞ・・・大ジョーブだから・・ほっといてくれ」

「私もたまたま1人で飲んでいるので・・良かったら話相手になってほしいと思いましてね

あちらの席で私の奢りでどうぞ一杯飲んでください」

「ん? お前も1人なのか? よし!!!俺が話相手になってやる!!!奢りだな?」

完全な酔っ払いのヒチョルは席を立つが

足元が完全にふらついている・・

ハンギョンは苦笑すると肩をかしてカウンター席に連れて来た


ハンギョンは話を聞きだすのが上手だった

ヒチョルは初めて会った相手なのに

珍しく心を閉ざす事なく楽しい時間を過ごす事が出来、

気分よく酔いもまわり、ハンギョンの肩に頭を預けてすやすやと寝てしまった


「すまない・・この人の分の料金も私と一緒にツケておいてくれ」

バーテンにそう言うと

自分の肩に無防備に頭をあずけて

子供の様にあどけなく眠っているヒチョルに興味が湧いている自分に驚き

「さて・・・この人・・どうするか・・・だな」

「女性だったら完全に頂いてしまうんだけど・・・この人男だし

俺はそっちの趣味はないし・・・」

と呟いてしばらく寝顔をながめ

「ここで知り合ったのも何かの縁だな・・」とため息をひとつついた

「タクシーを呼んでくれないか」とバーテンに伝えると

眠っているヒチョルの髪をそっとなでて優しく見つめていた
2013.01.14 想定外 1
【想定外】1

ソウル市中を網羅しているコリアンメトロ

その乗り換え駅としてたくさんの人々が利用する住十里駅のすぐ前に

城東警察はある


繁華街が近くにあるわけでもなく

高級住宅地があるわけでもなく

城東警察の警備範囲には大きな事件もなく

わりとのんびりとした空気が城東警察にはいつも流れていた


昼休みとなり

警察の建物から人々が出てくる

「ヒチョル兄さん~待って下さいよ~一緒にごはん食べましょうよ~」

スーツを着て髪が長く、

女性と見間違えそうな美貌の男性が足早に歩いていく

その後ろをアイドルと言っても通用しそうな

イケメンの若い男性が追いかけてきた


「ああっ? ホンギ? なんだよ!!!!俺と食いたかったらさっさと来い」

不機嫌オーラを体中から発しているヒチョルと呼ばれた男性は

後ろを振り返ると笑顔ひとつ見せずに顎をクイっと動かした


「ひっどい~捜査のパートナーの僕に対して~」

ホンギと呼ばれた方はニコニコと笑顔を作り

ヒチョルに後ろから抱きつきながら

「いつものジャージャー麺食べに行くんですか~お伴します~」




「で~ヒチョル兄さんは・・・また振られたんですか~?」

黙々とジャージャー麺をすするヒチョルの横でホンギが楽しそうに聞いてきた

「お前・・うっせーなっ!!!!俺が捜査に夢中になっていると女の方から逃げてくんだよっ」



城東警察の捜査第二課に所属しているヒチョルは

その生まれ持った美貌から女性にはモテまくっていた

いろんな女性から口説かれて付き合う事も多々あった

しかし

ヒチョルは世の中の悪を憎んで刑事になったという

正義感の強い性格だったために

捜査が続くとそちらに夢中になってしまい

気付くと女性の方から離れていくことばかりだった


去る者は追わず・・・だけど振られると気分は良くない

分かりやすい性格も災いして、ヒチョルは女性に振られるとすぐに周囲にバレてしまう



「第一課のドンヘさんが今夜合コンをするって言ってました・・兄さんにぜひ出て欲しいって」

ヒチョルは黙って残りのジャージャー麺を口の中に放り込む

ヒチョルは持って生まれた美貌の他に

女性の心を掴む話術にもたけていたので合コンにひっぱりだこだった

「たいした事件も起きてないから・・・いいよ・・行くよ・・・飲みたい気分だし」

「早速ドンヘさんに言っておきますね~今夜は僕は田舎の母が出てくるから参加できないけど

兄さん・・・大丈夫ですよね」

飲みたい気分・・・というひと言がホンギの心にひっかかったが

自分が参加できない分、誰かに気を付けてもらえば良いかと簡単に考えていた



大した大事件も起きず

第一課も第二課も予定通りに仕事を切り上げる事ができ

刑事課とCAとの合コンは江南のお洒落なバーで無事に開かれる事となった・・・・
【永遠の・・・ハンギョンside】


(ここはどこだろう・・・俺は・・・)


ハンギョンは暗闇の中で夢と現実の世界を彷徨っていた


うつらうつらしている所にヒチョルの声が聞こえてくる

ハンギョンの手を握って今日一日の出来事を報告していく


(ああ・・・今日も一日が終わったんだな・・・)


(ヒチョルが泣いている・・・でも俺は何もできない

もどかしい・・・悔しい・・・でも何もできない

せめて指でも動かせたら・・・)


(ハンギョン・・・指が動いたの感じたよ・・・・)ヒチョルの声がする


(ああ・・・分かってくれたんだ・・・さすが俺のヒチョル)





ヒチョルと出会ったのはハンギョンの勘違いからだった

同じ大学のキャンパスの中で

医学部のヒチョルは白衣を着て売店に買い物に来ていた

工学部のハンギョンは肩まで髪が長かったヒチョルを女性だと思い込み

一目ぼれをしてしまった


後を追いかけて声をかけると

不機嫌な表情のヒチョルに追い返された

その声を聞いて男性だと分かったけど・・・一目ぼれした気持ちは揺るがなかった


何度もアタックして玉砕して・・の繰り返しに

最後はヒチョルも呆れて「友達」ならなってやる・・・と返事をもらった


友達から親友・・・そして恋人になるまでに時間はかからなかった



ハンギョンは男性を抱くのは初めてで

ヒチョルは男性に抱かれるのは初めてだった


初めての夜が過ぎた時お互いの胸に

何とも言えない愛おしい気持ちが溢れていた

男とか女とか関係なく・・・本当に運命の相手だったんだとハンギョンは思う


身体を重ねれば重ねるほど、心も深く繋がって行く

2人の結びつきは強固となりもう離れられないと感じる



ヒチョルは喜怒哀楽を表す事はあまりしなかった・・・・

正確には感情を表現するのがへたくそな不器用な人間だった

でもハンギョンの前では素直に自分の気持ちを表せる

そんなヒチョルをハンギョンは愛おしく感じていた



夢の中でハンギョンは何度も何度もヒチョルとの楽しかった思い出を反芻する

暗闇の中でも愛する人の笑顔が自分をつつむ


そんなハンギョンの耳元に愛する人の声が聞こえてくる


(ハンギョン・・・明日は何の日か覚えている?)


(明日? 明日は何月何日なんだ?)


(エバーランドにデートに行って・・・

俺達が永遠の愛を誓い合った・・・記念日だよ・・・・)


(ああ・・・忘れる訳ないだろう・・・あの日俺は人生で一大決心した日なんだから)


その日ハンギョンはヒチョルに

パートナーとして一生そばにいて欲しいとプロポーズした


驚いたヒチョルは

(男の俺にプロポーズするなんて・・お前バカじゃん・・)と散々悪態をついたけど

その顔は喜びで輝いていた

あの幸せな日々はこれからもずっと続いていくと信じていた・・・だけど・・


(俺・・・お前が側にいなくても頑張るから・・・絶対に俺がお前を治してやるから)


(ヒチョル・・・ありがとうお前を信じているよ)


(愛している・・・お前は俺の永遠の恋人だから・・・勝手に死ぬなよ)


(死なないよ・・・俺も・・・頑張るよ・・・)


ハンギョンの手を握っていたヒチョルの手が離れる


(ああ・・今日も一日終わるんだ・・・ヒチョル・・・)




ヒチョルが部屋を出ていくと

ハンギョンはまた暗闇の中

夢の世界へと彷徨い始めるのだった




ヒチョル・・・俺の永遠の恋人・・・・

俺はお前を永遠に愛するよ・・・だから悲しまないで・・・・



fin
【永遠の・・・】


「ヒチョル先生・・お疲れ様でした」

看護師の言葉に軽く頷いたヒチョルは

手袋をゴミ箱に捨てると丁寧に自分の手を洗う


「今日の手術も完ぺきだったな」

隣に並んで手を洗っているシウォンが声をかけると

「・・・疲れた・・・」

ひと言だけ言い放ってヒチョルは去って行った


「相変わらず・・・氷の女王様だね・・・」

肩すかしをくらったシウォンはそう呟くと

切なそうにその後ろ姿を見送った






国立城東病院に勤務している外科医のキム・ヒチョルを

初めて見る人のほとんどはその美貌に息を飲む

そしてその年齢にそぐわない手術の技に人々は再度驚かされる

天才外科医

マスコミが彼につけた肩書に満足しない同僚たちは

決して心を開かず、微笑む事もせず

いつも冷たい視線で周囲を見つめるヒチョルに対して

「氷の女王」というあだ名を密かにつけていた



「昔はあんな人ではなかったのにね・・・あの事件から心を閉ざしてしまって」

看護師長のヒョリンはシウォンの肩を叩いて

「シウォン先生もそんな顔してないの!!!!患者さんが不安がるでしょ」と微笑んだ

「ヒチョル先生はまったく愛僑もなんもないから・・

シウォン先生がその分のフォローしてくれないと・・・

私達ナースは先生のおかげで助かってるんですよ」

そう言われてシウォンは

女性ならだれでも蕩けてしまう笑顔をヒョリンに向けて

「ありがとう」と小さく呟いた




着替え終わったヒチョルは足早にある場所に向かう

すれ違う看護師たちもヒチョルの姿を見て静かに視線をそらした

ヒチョルは個室の扉をあけるとベットに眠っている人物に視線をおとした

体中に機械のコードや酸素マスクなどつけられて

意識もなく植物状態のハンギョンがベットに横たわっている

ヒチョルは毎日ハンギョンの部屋に通っていた


「ハンギョン・・・今日の手術は想定外の事が起きて

いろいろ大変だった・・・疲れたよ」

ハンギョンのベットの横に座ると手を握りながら

一日の出来事を報告するのがヒチョルの日課になっていた


「ハンギョン・・・明日は何の日か覚えてる?」

ヒチョルはハンギョンの端正な寝顔を見つめたまま話を続ける

「エバーランドにデートに行って・・・

俺達が永遠の愛を誓い合った・・・記念日だよ・・・」

ヒチョルはハンギョンの右手を自分のほほに当てながら

「こんなに暖かいのに・・お前の心臓も動いているのに・・・」

瞳から涙を一筋流す

「俺の言葉は聞こえてるんだろう? あの日お前が俺を庇ってこんな事に・・」


当時ヒチョルは手術中に死なせてしまった患者の遺族から恨みを買っていた

その遺族が裁判を起こしたがヒチョルが無罪となり

逆恨みをした遺族が車でヒチョルを引き殺そうとした

一緒にいたハンギョンがヒチョルを庇って車にはねられ

意識不明のまま現在に至っている


「起きた事を悔やんでも仕方ないのは分かってる・・・・

でも・・お前の声が聞きたい・・強く抱きしめてもらいたい・・・」

ハンギョンの指がかすかに動いたようにヒチョルは感じた

最近ヒチョルが悲しんでいると

握っている手の指が微かに動くように感じる

それ以来ハンギョンに自分の声が聞こえているんだとヒチョルは感じ

毎日のように話をしに来るようになったのだった

「ごめん・・・お前が一番辛いんだよな・・俺の声が聞こえても

お前からは話せない・・・意思表示ができないんだもんな」

「でも・・今・・・指が動いたの感じたよ・・・お前も俺の事を思ってくれているの

ちゃんと受け止めたから・・」

「俺・・・お前が側にいなくても頑張るから・・・絶対に俺がお前を治してやるから」

ハンギョンの耳元に顔を近付けると

「愛している・・・お前は俺の永遠の恋人だから・・・勝手に死ぬなよ」

ヒチョルはそう言うとハンギョンの手の甲に口づけをして

布団の上にそっと置いた


「また明日くるからな・・・」

そう言い残すとヒチョルは部屋を出ていった



(俺は男だぞ・・・いいのか俺にプロポーズして・・・)

(俺はヒチョルを愛してるんだ・・ずっと一緒にいたいんだ・・・

ヒチョルは俺のこと嫌いなの?)

(・・・バカ・・・嫌いだったら・・一緒にいない・・)

(愛している・・・永遠に一緒にいようね・・・)

(永遠なんて軽く口にだすんじゃねぇよ・・・希少価値がさがるだろう・・)

(照れているヒチョル・・・可愛い・・・)

エバーランドの帰りに突然プロポーズされた幸せな時間・・・・





ヒチョル・・・俺の永遠の恋人・・・・

俺はお前を永遠に愛するよ・・・だから悲しまないで・・・・



ベットに寝かされているハンギョンの閉じられた瞳に

涙がうっすらと浮かんでいる・・・

それに気付くものは誰もいなかった・・・・・






fin
今回はSUPERJUNIOR関連の店巡りで

別名cafe巡りをしてきました

旅の話は表ブログにあげました

リンクのお気楽日和に飛んでみてください

明日から私の仕事始まりなので

今日はバタバタしています

落ち着いたらハンチョル話を頑張って上げていきたいと思ってます

よろしくお願いします
【あけおめことよろ】


2012年もあと少しで終わるころ

ヒチョルは静かな宿舎でテレビをつけながら猫達と遊んでいた


公益勤務として2回目の年越し

メンバーと同じ宿舎で寝起きをしているので忘れがちになるが

メンバーはみんな仕事で年越しには自分1人取り残される

今年は現役でジョンスが入隊した

現役だから隊での生活となるのでやはり宿舎は自分ひとりだけ・・・

そんな状況ももうすぐ終わる


年越しライブを見ながらヒチョルの携帯が鳴った

「え?」

カウントダウン間近なのでヒチョルはドキドキしながら

携帯を手にしその画面を見て少しガッカリしながら電話に出る


「ヒチョル兄さ~ん!!!!あっけおめ~」

「ああ・・・フライングだけどな」

「兄さ~ん冷たい~」

「ホンギ・・・お前酔っ払ってるな?」

電話の相手はホンギだった

酔っ払ってご機嫌な様子で電話をかけてきた


ヒチョルは時間が気になってぞんざいな応対をしてる

いつもならヒチョルの言動を読むのが上手なホンギも

酔いが回っててなかなかそこまで気が回らないでいた


「兄さん~冷たい~」

ケラケラ笑いながら繰り返すホンギの言葉に

ホームパーティ真っ最中で盛り上がっていたFT宿舎で

ホンギの隣に座っていたフニが気付いた


何気なく時計を見るとカウントダウンまであと数分

(ヒチョル兄さん・・誰かの電話待ってるんだ)

フニはホンギの肩をたたくと

「タケルが何か呼んでるよ!!!!シロタも!!!電話終わりにして」と大声で言う


「ん? タッケル~何~何~?ダンベル~俺の~」とホンギは叫ぶと

「ヒチョル兄さん~ことよろ~」と勝手に電話を切った






「なんだっあいつ!!!!!タケルって誰だ?」

勝手に電話を切られて少々ムカついた気分のヒチョルは

時計を見つめて携帯を握りしめる


(多分・・お前も忙しいんだろうけど・・・俺からはかけない)


ヒチョルの携帯が鳴った

「え?」

画面に表示された名前を見てがっかりして電話に出る


「ヒチョル兄さん~あけおめ~」

「ドンヘお前本番中だろう!!!!切るぞ」

「なんで~冷たい~!!!!」

「Mのみんなにヨロシク伝えとけ!!!頑張ってこいよ」

最初ヒチョルの機嫌が悪くてビビっていたドンヘも

最後にはいつもの優しい言葉をかけてもらい

Mのみんなで携帯をまわして挨拶をして電話を切った


「ドンヘ兄さん・・この時間ダメだよ」リョウクが言う

「そうだよ空気読まないと・・・」ソンミンもリョウクの肩を持つように言った

「たしかにイライラしてたよね」ウニョクも続く

「なんでみんな文句言うんだよ~ヒチョル兄さん1人だから

みんなの声聞かせてあげようと思ったのに」ドンヘは少し拗ね気味にいう


「カウントダウンの最初の電話は大事な人からくるんじゃないの?」

「ねー」

ソンミンとリョウクが顔を見合わせて意味深に笑いながら言うと


あ・・・・ドンヘの間の抜けた顔を見てMのみんなは大笑いをした







「遅いっ!!!!」

開口一番に愛する人から発せられた言葉にハンギョンは驚いて何も言えずにいた


「おいっハンギョン聞いてるか? おっせーんだよ」

「俺・・時差考えて・・タイマーかけて・・電話したのに・・・」

ハンギョンのぽわぽわした韓国語を聞いてヒチョルは癒されてくる自分に気付く


「バカ・・・待ってたんだ・・・ずっと・・お前の電話を・・」

ヒチョルの恥ずかしそうな言葉にハンギョンは嬉しくて心が疼く


「ごめん・・・そんなに待っててくれたんだ・・時間前からかければよかったね

でもまだこっちは12年なんだけど・・・」


「そんなのかんけーねー 俺が待ってたんだ!!!!それぐらい気付け」

無茶苦茶な口実だけどヒチョルは自分の電話を心待ちにしていたんだと

ハンギョンは嬉しくて顔が綻んでくる


しばらく2人はお互いの近況を報告し合う


「今年は俺の公益が解除されるから・・・そしたらそっちに行く事できるから」

「ああ・・・そうだな・・・」


会いたい

そんな分かりきった事はお互いに口には出さない


でも信じているから

次にいつ会えるか分からないけど


「じゃあ・・・切るね」

「ああ・・・」


愛している・・・



ヒチョルが電話を切ると

ヒボムがヒチョルの腕の中に飛び込んでくる


にゃあ・・・・


「ヒボム・・大丈夫だよ・・・もう慣れた・・・」



ヒチョルはヒボムを優しく抱きしめると


今やっと新年を迎えた北京に向かって

「あけおめことよろ」と呟いて


「これじゃホンギじゃん」と苦笑いをした














あけましておめでとうございます

年末にダウンしたためにお正月も慌ただしく過ぎてます

今年初めての話がこんな妄想ですみません


今年はMメンバーが大みそかに仕事で中華圏に行ってたようですが

それ以外のメンバーはオフだったので

今回の話はちょっとその件は目をつぶって下さい(笑)

イェソンさんは元日早々に実家のお店に出勤したようですし


ヒチョルの城東カフェが復帰します

私はリアルタイムは仕事で見られないけど

録画分を区庁のHPで見られるので嬉しいです


あとFTの宿舎にアミューズの若手数人(佐藤健、城田優、三浦翔平)が

ホンギと親交のあるワンオクロックのメンバーと遊びに行ったようです


佐藤健くんはデビュー時に全力で応援していた子なので不思議な気持ちでした(笑)



明日から3日間極寒のソウルへ弾丸ツアー行ってきます

スジュの聖地巡礼 別名cafe巡りしてきます


そんな私ですが2013年もヨロシクお願いいたします

コメント、メッセいつも楽しみにしています

今年もお待ちしています


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