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【シナ・ワールドへようこそ】~4~   時のはざま青春編 おバカver.


遊園地ゾーンで散々絶叫させられたハンギョンは

ヒチョルの満足している表情を確認してから

「プールの方に行って見ようよ」と言った


ヒチョルは少し躊躇しながら

「俺・・・水着もって来てないし・・・」と返事をすると

「売ってるからさ・・買えばいいよ・・・・

とりあえず行って見よう?」



プールゾーンではドンワンが子供たち相手に大張りきりだった


「おなら大魔神の攻撃~!!!!!」

「きゃあ~おなら~おなら~♪」

幼稚園児に囲まれてドンワンはおならのポーズをとっている

子供たちは大喜びだ


「ここの監視員さんって子供が好きなんだね~」

それを見ていたイトゥクが感心した様子で呟いた

イトゥクは水着の上にTシャツを羽織った姿でプールサイドに座っている

カンインはその膝に頭をのせて日向ぼっこをしている

結局プールに来ても2人はいちゃついているだけで

プールには入っていなかった


「おっ・・・あの麦わらの監視員って・・・元アイドルの1人じゃん・・・」

カンインはイトゥクの言葉を聞いて監視員の方を見つめて驚いた

「元アイドルってシナっていうグループの人?」

イトゥクは家庭の事情で家にテレビがなく

昔のアイドルの顔はよく知らなかった

「ああ・・・俺が子供の頃まではポスター貼ってあったから・・

メンバーの顔と名前はなんとなく分かるんだ」

「じゃあ・・・ここのオーナーさんだね~

それにしても麦わら帽子が似合いすぎてバイトの監視員に見えるね」

イトゥクは小さく笑うと

「確かにな・・・」とカンインも笑った


ドンワンはウォータースライダーの乗り口で

子供たちを大きな浮輪に乗せていた

「いやぁ~今日は子供ばかりだな・・・あそこにカップルいるけど・・

あれは入る気ないな・・・大人はプール来ないのか~い???」

楽しそうにひとりごとを言うと

子供相手に おなら体操の歌を歌うドンワン

子供を次々に浮輪に乗せてスライダー口から投入していた



「ハンギョン~あれいいなぁ~」

ヒチョルはウォータースライダーを見つけて指さして叫んだ

「乗りたいの?」

「すっげー楽しそうじゃん!!!!!」

「じゃあ・・水着買わないと・・どこで売ってるんだろう?」

「あの麦わらの監視員さんに聞けば分かるんじゃない?」

ヒチョルはハンギョンの腕を掴むとスライダー乗り場に向かっていく


「あれ? ヒチョルだ・・洋服着たままだよ・・」

イトゥクがペットボトルの水を飲みながらのんびりとカンインに言うと

カンインも不思議そうにその様子を見つめていた



「すみませーん!!!!スライダーに乗りたいんですけど~

水着忘れちゃって・・・どこで売ってますか?」

階段の下からヒチョルはドンワンに向かって叫ぶ


うわっ超可愛い子だ~

ドンワンはヒチョルの可愛らしさにテンションが異常に上がってしまい

「水着なくてもいいよ~おいでおいで」と手招きする

手招きされたのでヒチョルは首をかしげながらも

ハンギョンの手をひいて階段を上がって行った



「オキナワstyleで行こう~!!!!」

ドンワンはテンション高いままヒチョルに告げる

「オキナワ????」

「オキナワに住んでる人は水着きないで

洋服のまま海に入るんだよ~

だからオキナワstyleでレッツゴー!!!!!」

ヒチョルはドンワンに浮輪に乗せられてスライダー口から投下された


「うわっ!!!!!ヒチョル~!!!お前・・着替えがないぞ~!!!!」

ハンギョンの叫びもむなしくヒチョルは長い滑り台をすべりおりて

下のプールに投下された


「はいっ次の君もオキナワstyleでね~」

抵抗する間もなくハンギョンも洋服のまま浮輪に乗せられていた


「すっげー楽しい~!!!!」

洋服がずぶぬれになってしまったがヒチョルは気にする事なく

その後も何度も子供たちにまじってスライダーを楽しんだ

ハンギョンもずぶ濡れになったので半ばやけくそで付き合う

ヒチョルの笑顔を見ていたら

洋服が濡れた事など他愛もない事に思われ

2人は気の済むまでスライダーを楽しむ事にした




「あーあヒチョル達・・・ずぶぬれだね・・着替えないのにね」

「大胆な奴らだな・・・帰りどうすんだよ・・俺知らないぞ」


プールサイドにいたイトゥクとカンインは

呆れたように2人の様子を見つめていた
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【シナ・ワールドへようこそ】~3~   時のはざま青春編 おバカver.


「じゃあ~ここから別行動だから・・」

カンインがイトゥクの腕を掴むとどんどんとプールの方へ去って行く

どうやら2人は今日はプールで過ごす事にしたらしい


残されたヒチョルとハンギョンは入り口そばにある案内図を見つめて

あーだこーだと、しばらく悩んでいた


「遊園地といえば絶叫マシーンだよね~とりあえずそれに乗ろう」

ハンギョンの提案にヒチョルは小さくうなずく

2人はしっかり手を握りながらシナパークの奥の方に設置されている

遊園地ゾーンの方へ移動していった




今日は初夏を思わせるような暑さだった

惑星全体を透明な強化特殊プラスティックで覆っているシナワールドでは

天候は人工的に管理されたものだった

できれば常春の陽気がいいと思っているミヌは暑さにうだっていた


「ちっきしょードンワンの奴~やけに張り切って・・・

自分はプールに行ったから真夏だっていいかもしれないけどさ

って絶対にあいつが気温設定してったぜ・・・

俺はジェットコースターだぜ~くそ暑くてやってられねぇ~」

暑いなら別に機械操作しないでスタッフに任せればいいのに

遊園地経営は趣味のひとつになっているので

ミヌを含めシナのメンバーは

スタッフに紛れて現場で働く事も多かった


「おおおっ可愛い子ちゃん発見~♪」

ハンギョンに手を引かれてやってきたヒチョルを見つけ、

ミヌはテンションが少し上がる


「すみません・・・この鬼地獄コースターって動いてますか?」


乗り場にやってきたハンギョンはその場にいたミヌに声をかける


「ああやってるよ~名前通りのすごいコースターだから年齢制限あってね

ガキは乗れないんだよ・・・君たちなら大丈夫だからさ・・・さあどうぞ」


一番前の席にヒチョル達は座らされ他に乗客がいなかったので

2人だけの出発となった



「うわっ~ハンギョン~」

ヒチョルの嬉しそうな声がする

ハンギョンはあまりの回転のすごさに

握ったパーから手を離せないでいた

「うっひょ~気持ちいいねぇ~」

左右の回転に上下の回転それに捻りまで加わる

まさに「鬼地獄」のような回転だらけのコースターに

ヒチョルは両手をあげて大喜びだった


ヒチョルの大喜びの様子を操作席から眺めていたミヌは

「ありゃ~あのお嬢さん・・すごいわ~」と呆れたように呟くと

「本日のMVP賞あげなくちゃね」と何やらごそごそと箱の中を漁りだした


「・・・・・」

絶叫マシーン事態に乗り慣れていないハンギョンは

魂が抜けたように呆けた状態でコースターから降りる


「ハンギョン~楽しかったね~」

ハンギョンと対照的にヒチョルは生き生きとして頬を高揚させている


「お嬢さん!!!!あなたのその乗りっぷりの良さにMVP賞を差し上げます~♪」

可愛いクマのぬいぐるみを渡されてヒチョルは驚いてミヌを見つめた

長いまつげに大きな瞳でミヌを凝視する

(うわっ~この子~超かわいいんだけど~)

ミヌはドキドキする心を抑えて平常心を保とうとする

「これ・・・くれるの?」

「そうだよすごく楽しそうに乗っていたから1等賞です」

ヒチョルはハンギョンの方を向いてすごく嬉しそうに笑って

「ありがとう」と恥ずかしそうにお礼を言った


ミヌの頭の中で教会の鐘がなり響く・・・

ヒチョルの可愛らしさに撃沈しそうな所を

大人の理性で踏みとどまるミヌ・・・


ああ・・・可愛いな・・ヘソンの若いころよりも可愛いなぁ・・


美貌を誇るメンバーの1人の昔の容姿を思い出して

ミヌはしばらくヒチョルの去って行った方角を見つめていた
シナのメンバーが出てきますが・・・間違ってても笑ってスルーして下さい


【シナ・ワールドへようこそ】~2~   時のはざま青春編 おバカver.


ちょっと昔

星間アイドルとして一世を風靡した男性6人組のダンスグループ「シナ」

彼らはアイドルとして限界を感じた時に解散をせずに引退をする

そして6人で資産を出し合って月の近くの小さな惑星を購入して

遊園地を経営することにした


あまりにも仲が良すぎて離れることが出来なくなっていたのが

共同経営に至った原因の一つでもある


彼らのファンだった世代が結婚して子供を育てていた事もあり

子供をだしにしてファンの母親などが来園する事も多かった

シナワールドは毎日のように子供たちの笑顔と笑い声で溢れていた




「うわ~2か月ぶりだ・・みんな元気かな?」

地球でのドラマ撮影があったエリックは

パーキングに自分の高速宇宙船を停めると

足早に入場門に向かって行った


シナのメンバーは今では俳優やプロデューサーなどの

個人の仕事をメインに行っているが

彼らの宿舎はシナワールドの中にある

「エリック~お帰り~」

スーツを着こなしたアンディが通りすがりに声をかけてくる

「よお・・アンディ・・お出かけ?」

「今からプロデュースしたアイドルのライブに行ってくる」

2人はハイタッチして挨拶を交わすと別々の方向へと離れていった



「今日は俺がプール担当~♪」

麦わら帽子を被ったドンワンがビーチサンダルの足をパタパタさせて

他のメンバーに宣言した

「それにしてもお前・・・麦わら帽子が似合いすぎてるな」

ジョンジンが呆れたように呟くと

「うん!!!!自分でもそう思うよ~」とドンワンはニコニコしながら答える

「褒めてないって・・・それ」

「昔は・・・アイドルだったのに・・・」

他のメンバーの嘆きなどお構いなしにドンワンはパタパタとプールの方に走って行った





ヒチョル達4人は高速宇宙バスを降りると

家族連れに混じって入口までやってきた

「すっげーなぁ・・・惑星全部が遊園地だぜ・・・」

ヒチョルの呟きに

「惑星そのままカプセルに入ったみたいに、透明な天井が続いているね」

イトゥクが驚いたように空を見上げる

「メンバーの遊園地経営は趣味みたいなものだって・・・儲けは度外視らしいよ」

カンインの話に「度外視ね・・・・すげーな」とヒチョル

ハンギョンが子供たちだらけの入場門を見てニコニコしている

「さあ今日は思いっきり楽しもうね~」

イトゥクの言葉に3人はニッコリと微笑みながら頷いていった
突然に思いついてしまいました

すみません・・・・

「時のはざまの中で 」 の学生時代のはんちょる(青春編)の話となります



【シナ・ワールドへようこそ】~1~  時のはざま青春編 おバカver.


ヒチョルとハンギョンが恋人同士になって初めての夏休みがきた

2人は普通の恋人達のように最良の夏休みを過ごすための計画を練るために

今日も大学校のカフェテラスで、2人で頭をくっつけるようにして雑誌を覗きこんでいる


「ねえねえ~夏休みの計画決まった~?」

突然頭の上から声をかけられてヒチョルが顔を向けると

笑顔のイトゥクとカンインが立っていた


「うーん・・・まだ決まってない~プールにも行きたいし~

遊園地にも行きたいな~って」

ヒチョルが口を尖らせながらハンギョンの方を見つめると

「ヒチョルが行きたい所ならどこでもいいよ」と笑顔で答えがくる


「あのさ~俺の実家からチケットもらったんだけど」

カンインが手に持っているチケットをひらひらとヒチョル達に見せた

そのチケットには『シナ・ワールド一日パスポート券』と書かれていた

「シナ・ワールド???どこにあんの?」ヒチョルが不思議そうに尋ねる

「月のそばに小さな惑星があって・・・そこが丸ごと遊園地なんだ

プールもあって、でも意外に知られてなくてさ~子供ばかりでカップルには穴場だって」

カンインが親から仕入れて来た情報をみんなに披露する

「それって・・・昔に星間アイドルやっていたグループが

引退後に遊園地を開いたって・・・話聞いた事あるけど・・そこなの?」

イトゥクが記憶の片隅に残っていた情報をカンインに確認するかのように質問した


「うん・・・実は・・俺の母さんが・・そのアイドルのファンでさ・・

引退後の遊園地開設に際して・・一口株主になったんだ・・・・」

カンインが恥ずかしそうに笑う

「へぇ~行って見たいな~」ヒチョルはハンギョンの腕を掴んで

「俺達も行こうよ~」と瞳を大きく見開いて可愛くおねだりをした

ヒチョルにそんな事をされたらハンギョンは一撃だ

すっかり目じりがさがり口元もゆるんだ笑顔でヒチョルを見つめる

「じゃあ・・・僕たちもカンイン達と一緒に連れて行ってもらおうかな」


2人の返事をカンインは笑顔で受ける

「じゃあ日程を決めようね~」イトゥクが可愛いえくぼを見せながら手帳を取り出した


***************************************************************************



「ヒチョル~水着どうするの? プール入るんでしょ?」

部屋に戻ったハンギョンはヒチョルに声をかけた

「え? 俺・・・水着持ってない・・・プールって家のしか入った事ないし」

ヒチョルはキム財閥の1人息子だった・・育った家は豪邸でもちろん庭にはプールもあった

ハンギョンは自分の生い立ちと全く違ったヒチョルの過去を想像しながら

「夏休みに友達とプールに行く事もなかったんだね・・・」とぽつりと言う

ヒチョルはニコっと微笑むと

「お前~なんでそんな暗い顔すんだよ~!!!俺は初めてのプールが楽しみなんだぞ」

そういいながらハンギョンの背中に抱きついた


「アカデミー大学校に入学して、お前と知りあって・・お前と愛し合って

たくさんの事を体験しているんだ・・・昔がどんなだったかなんて忘れたよ」

ヒチョルの言葉にハンギョンは微笑む

「そうだよね・・・僕もヒチョルと出会っていろいろ変わったな・・・

僕だってプールに行く事もない子供時代だったしね・・・今度のプールは楽しみだよ」


そう言うとハンギョンは

背中にしがみついていたヒチョルの腕を引いて

自分の腕の中に抱きしめる

ヒチョルはうっとりと恋人の腕の中で身を任せていた


それにしても・・・

ヒチョルの水着はどうしたらいい?

似合うだろうけど女の子のワンピースなんて着せたら怒るだろうし・・

だからと言って男物の下だけの水着なんて・・・絶対にダメだ

僕以外の男にヒチョルの素肌を見せるもんか・・・


ハンギョンは良い考えが浮かばないまま困った顔してヒチョルを抱きしめていた
【珈琲屋 OB館】後編 Last


あれ・・・俺・・どうしたんだろう・・・

ヒチョルはぼんやりと目を開けると天井を眺め

自分の部屋じゃない事に気付く


「ヒシカちゃん・・・目が覚めた?」

声のする方を見るとハンギョンがほっとした顔で見つめていた


俺・・・マスターを看病してて・・その後気分悪くなって・・・


ヒチョルは自分が倒れてハンギョンに看病されたと気付いた

「のど乾いたでしょ・・はい・・どうぞ・・」

ハンギョンに体を起こしてもらってペットボトルの水を飲ませてもらった


あ・・・・


ヒチョルは自分が知らないスェットを着ている事に気付いた


「ごめん・・・汗でびしょびしょだったから・・」ハンギョンが申し訳なさそうに言う


「マスター・・・ごめんなさい・・・」ヒチョルが消え入りそうな声で呟く


ハンギョンは黙ってヒチョルを見つめている・・・


「女のふりして・・・騙してて・・・」


泣きそうな顔をしているヒチョルにハンギョンは優しく微笑みながら

「なんとなく気付いていたよ」と答える

え?

ヒチョルが顔をあげて、大きな瞳を見開いてハンギョンを見つめた


「最初は気付かなかったけど・・履歴書のヒチョルという名前は男の子の名前でしょ

後・・・頑張って女の子っぽくしてても違うかなって思う時あったし」


「なんで・・・気付いてたのに黙ってたんですか?」

「う・・ん・・ヒシカちゃんがすっかり店に馴染んでたし・・・」

「・・・・・」

「何か理由があるのかな・・って」

「理由はないです・・・俺・・この店で働きたかったんです・・

でもウエイトレス募集になってたから」

ハンギョンは(ああ・・確かに・・女の子募集の気分だったな・・)と思いだした


「マスターの・・・髭・・・が・・・」

ヒチョルの言った事が理解できずにハンギョンは首をかしげる

「僕の・・ひげ? ひげがどうしたの?」

ヒチョルは真っ赤になってもじもじしている


ああ・・・可愛いな・・・男の子って分かっても可愛いな・・・とハンギョンは思う

しばらく沈黙が続いた後に

ヒチョルは思い切って口を開いた


「最初は・・・マスターの髭に障りたかったんです・・・

でも一緒にいるうちに・・・マスターを好きになって・・・・

騙すつもりはなかったけど・・・男なのに男の人を好きになっちゃったから

マスターに嫌われるかと思って・・・ヒシカのままでいようと・・・」


それだけ言うとヒチョルは恥ずかしさのあまり布団の中にもぐりこんでしまう


ハンギョンは突然の告白に驚きのあまり言葉を失っていたが


じわじわと喜びに体が包まれてくる・・・そんな気持ちを感じて

ヒチョルを布団の上からやさしく抱きしめた


「ヒシカちゃん・・・僕は男の子を好きになった事はなかったんだけど・・

君が店に来た時から一目ぼれだったんだよ・・・・

そして男の子って分かってもその気持ちは変わらなかった」


その言葉を聞いてヒチョルが布団から顔をそっと覗かせる


「今・・君に好きだと言われて・・すごく嬉しい」

「俺・・・男なのに・・・男に告白されても引かないの?」

「ヒシカちゃんだから・・僕もずっと好きだったから・・・」

ヒチョルは大きな瞳でハンギョンをじっと見つめて小さく微笑んだ


「マスターも俺を好きになってくれるの?」

「初めて会った時から・・好きになっていたよ」

「ヒシカじゃない・・・ヒチョルって呼んで・・・」

ハンギョンはヒチョルに優しく微笑むと

「ヒチョル・・・好きだよ・・・」と囁いた


しばらく見つめあった後

2人の唇は引きあうように重なった




大好きな髭の大好きなマスターからのキスに

ヒチョルは目眩を起こしそうになる


名残惜しそうに唇が離れると

「髭が・・くすぐったい・・・」とヒチョルが笑った


ハンギョンはヒチョルの頬にキスをすると

「さあ・・何かお腹に入れないとね・・・」と言って

作っていた料理を2人で食べた




その後

理由は分からないが「ヒシカ」は突然カナダ留学に行ってしまい

双子の兄の「ヒチョル」が代わりにマスターの手伝いをすることになった


常連客にはそのように説明をして

ヒチョルは男の子の服装で店を手伝っている


ハンギョンは意外に焼きもち焼きだったので

いくら男の子とはいえ、とても似合っている可愛いメイド服姿を

他の男に見せたくない・・・そんな理由で「ヒシカ」はいなくなった



どんな理由をつけていても

常連客にはヒチョルがヒシカだとバレバレだったが

2人が隠しているので誰にも詮索されなかった


常連客は、酸いも甘いも知った大人ばかりだったから・・・



珈琲屋 OB館はいつものように落ち着いた佇まいで

今日も常連客であふれている



最近マスターの入れる珈琲の味が変ったのは

マスターが恋をしているから

そしてマスターを手伝ってる恋人も初々しく可愛らしい

2人があまりにも幸せそうにしているので

常連客もその様子をみて幸せを感じるのだった



新村駅と梨大駅の間にある珈琲館

飲むと幸せになれる珈琲を味わえると

口コミで広がるのはもう少し後の事になる




おしまい



すみません・・・なんかぐだぐたになってしまいました・・・
【珈琲屋 OB館】後編 その2


「ん・・・どうしたんだっけ・・・」

ハンギョンはぼんやりと目を開けて周囲を見回した


体がすごくだるくてベットに寝ようと思って途中で倒れた・・・

そこまでは覚えている・・・その後は・・・


ベットの横でヒチョルが自分の手を握りしめて眠っている


ああ・・・ヒシカちゃんが側にいてくれたんだ・・・

ハンギョンはヒチョルが自分を看病してくれた事に気付いて

眠っているヒチョルの頭を優しくなでる


本当に君は可愛いね・・・僕の心の中にどんどん入ってくる・・・


「ん?」

優しく頭をなでられた感触でヒチョルは目を覚ました

目の前でハンギョンが優しく微笑んでいる

「マスター・・・もう大丈夫?」

ヒチョルが心配そうにハンギョンの顔を覗きこむと

「ああ・・・熱も下がったようだ・・大丈夫だよ」と答える


ヒチョルは大きな瞳をぱちぱちさせると嬉しそうに笑う

そして少し恥ずかしそうに

「お粥・・作ったんだけど・・・」と小さな声でつぶやいた



ヒチョルの作ったお粥は、あまり美味しいものではなかったが

料理をした事のない子が一生懸命に作った・・そんな感じの出来栄えだった

「うん・・・美味しいよ・・・すごいねお粥が作れるんだ」

「作り方分からなくて・・・ネットで調べたんだ・・」

ハンギョンがそっとキッチンの方を見ると、

お粥ひとつ作るのになんでこんなに汚すんだ・・・と

それぐらいキッチンが滅茶苦茶になっていたが、そんな事は気にならない

それよりも初めて自分のために作ってくれた事に

世界一の価値を感じて胸がいっぱいになる


ハンギョンが幸せいっぱいで、お粥を食べていると

横にいたヒチョルの体がぐらりと崩れた


え????

ハンギョンがあわててヒチョルの体を支えるとものすごく熱い

「風邪がうつったんだ・・・ごめん」

ハンギョンはベットから飛び起きると

リビングのソファの背もたれを倒してゲスト様のベットを作る

布団を敷いてそこにヒチョルを寝かせ冷蔵庫から氷を取り出して体を冷やした


自分の汗だらけの服を取り換え

ヒチョルにクスリを飲ませるためにお粥の残りをヒチョルに食べさせる


「・・・まずい・・・」ヒチョルはそう言うと

「こんなしょっぱくてまずいの・・・マスターごめんなさい・・・」消え入りそうな声でいう

「ヒシカちゃんが僕の為に作ってくれたお粥・・・まずくないよ

さあクスリを飲んで・・少し寝なさい」

ヒチョルはコクンと頷くとクスリを飲んで眠りについた

ハンギョンは滅茶苦茶になったキッチンを綺麗に片付けながら

一日中ずっと看病してくれたヒチョルの事を思う

明日も休業だな・・と思いながら店の方へ降りてくると電話が鳴っている

電話に出ると常連客のドンヨプだった

『マスター風邪治ったんだ・・・明日は店開けられるの?』

「いえ・・・まだちょっと・・・」

『ヒシカちゃんが看病してくれたんでしょ』

「なんで・・・」

『今朝店で会ったからさ~あの子マスターのために必死だよ』

「・・・・・・」

『悪の根源のホドンさんには文句いっておいたからさ

ここでちゃんと治しておいてね~』

それだけいうと電話が切られた



ヒチョルが眠っている間

ハンギョンは自分とヒチョルのために消化の良い料理を作っていた

途中でヒチョルがすごい汗をかいていたので

眠っているまま自分の買い置きのパジャマに着替えさせた


ハンギョンは毎日一緒にいてなんとなく感じていたが

その事は本人が隠しているから知らないふりをしていた

でも今着替えさせて確信してしまった・・・・



ハンギョンはため息をひとつつくと

眠っているヒチョルの髪をやさしくなでる

額に手を当てると熱は下がってきているのが分かった

「君はなんのために僕の前に現れたの? 」

ハンギョンはそう呟くと

愛おしそうにヒチョルの寝顔をみつめていた









【珈琲屋 OB館】後編 その1



いつ頃からだったんだろう

髭が気になってきたのは・・・・・

自分の父親には髭は無かった・・・


最初は・・・そうだサンタクロースの髭だった・・

ヒチョルは子供の頃を思い出す

サンタさんの白くて多い髭に顔をうずめてみたい・・

そう思ったのが最初だったのかな

自分でも髭を伸ばしてみたけど

女の子みたいなつるつるの肌で髭はほとんど生えなかったし・・


ヒチョルはコーヒーを入れているハンギョンの横顔を見ながら

ぼんやりと考えていた



あの口髭・・ふさふさしてて・・・

触るとどんなんだろう・・・・




ヒチョルが何気なく近づくと

ハンギョンは自然を装って離れていく

ハンギョンにとってヒチョルはドストライクの子だったが

好みのタイプすぎて意識してしまい話すらできないでいた

ヒチョルが自分を見つめたり話しかけたり近づいたりしてくると

妙に意識しすぎて側から離れてしまう

そんなことの繰り返しで毎日が過ぎていった


ヒチョルがバイトを始めて2ヶ月になった

すっかり女の子ヒシカとして常連客の評判もよく

仕事もきびきびとこなして笑顔を振りまいていた

最近ではヒチョル目当ての客も増えたりして

店はますます繁盛して忙しくなっていた



「あれ? 鍵がかかっている・・」

ヒチョルは授業のない日だったので朝から店に出勤してきた

「いつもなら鍵があいているのに・・おかしいな・・」

預かっている合いカギで店の勝手口から中に入る


「マスター? いますか?ヒシカです・・・」

バックヤードから店の方を見渡すが誰もいない


「なんだ?」

ヒチョルは首をかしげると

ハンギョンの住宅に続くドアを開けて声をかけた

「マスターいますか?」


カタン・・・

2階からかすかな物音がした

ヒチョルは嫌な予感がして階段を駆け上がる




2階の住居部分のリビングでハンギョンが倒れていた

「マスター!!!!!!!!」

ヒチョルがハンギョンの体を抱き上げると、ものすごく熱かった

「あ・・・ヒシカちゃん・・ごめん・・今日は・・店・・できない」

ハンギョンがか細い声でヒチョルに告げると気を失った

「マスター!!!!凄い熱だよ!!!しっかりして!!!!」


ヒチョルはハンギョンをベットまでひきずって寝かせて

大急ぎで店まで駆け下りて氷をたくさんビニールにつめる


すると店のドアをトントンと叩く音がした

「あ・・常連のドンヨプさんの来る時間だ・・」

ヒチョルは急いで店の扉を開けると

ドンヨプに笑顔を見せながらハンギョンが寝込んでいる事を告げる


「そう言えば・・一昨日ホドンさんが咳してたよな・・

ホドンさんも寝込んでいるらしいから・・うつったかな」

そういいながら自分で店の中にある紙に「臨時休業」と書いて

店の扉に貼りつけた

「ヒシカちゃんが看病すればすぐに治るから」

と意味深な笑顔を残して帰って行った


ヒチョルはほっと溜息をひとつはくと

扉の鍵をかけ氷の袋をかかえて2階に駆け上がって行く


ハンギョンの頭を氷でひやし

クスリを飲ませるためにハンギョンを起こして

冷蔵庫にあったヨーグルトを食べさせクスリを飲ませた

「マスター・・今日は側にいるから・・」

ヒチョルはそう言うと苦しそうなハンギョンの顔をタオルで拭いた


あれだけ触りたかった髭にヨーグルトが付いている

ヒチョルはタオルで丁寧に髭を拭いてあげる



髭だけに興味があったはずなのに・・・・

「マスター・・・苦しそう・・早く元気になって・・・」

泣きそうになっている自分に驚く


毎日側にいてずっとハンギョンだけを見つめていたら

いつの間にかヒチョルはハンギョンを好きになっていた


そして今その自分の気持ちに初めて気付いたのだった


ヒチョルはハンギョンの手を握って

容体が落ち着くまでずっと側に着いていた・・・・




*すみません・・後編なのに続きます・・・
【珈琲屋 OB館】中編





ハンギョンは目の前に座って微笑んでいる美人から

目を離せない状態になっている

手元には履歴書があるが

履歴書で大学生という事を確認した位で

後はずっと顔を見つめたままだった


ウエイトレス募集の張り紙を見て来たという美人は

はっきりいってハンギョンの好みのタイプだった


店に入ってきた姿を見た時に、ハンギョンの頭の中で

ボーリングのピンが全て倒れてストライクとなった映像が流れた


最初の応募者だったがハンギョンは即決するぐらい

ドストライクのタイプだったのだ


面接していて声が少し低くて女の子っぽくないと思ったけど

個性のひとつかな・・・と感じ

名前のヒチョルというのも女の子では使わないと言う事も

中国人のハンギョンは知らなかったため

男の子に所属しているはずのヒチョルが「ウエイトレス」として

一発採用となってしまった


「それでいつから来てもらえますか?」

ハンギョンの問いかけに採用されたんだとヒチョルは気付いた

「いつでも大丈夫です・・今日からでも」

大きな瞳をぱちぱちさせて笑顔を作っているヒチョルを

少し眩しそうに眺めながら

「では今日からお願いします・・バックヤードを案内します」

ハンギョンはそう言ってヒチョルを裏へ連れていった

「ここの階段は2階に続いてます2階は私の住居です

ヒチョルさんは左奥の休憩スペースを使って下さい」

「ロッカーに制服が入っているので、とりあえず着替えて下さい」

ハンギョンはそう言うと店に出て行ってしまった

ヒチョルは親切なマスターを騙す事になって

少し心が痛んだが、気にせずに着替えようとロッカーを開けた


「うわっ!!!!!!」

一瞬その制服を手にしてヒチョルはひるんだ

今からでも事実を告白して採用を撤回しようかとも思ったが

とりあえず着てみるだけでも・・・と思いなおし

「ここまできたら・・・しょーがねぇ・・とことんやるか」

そう呟いて着替えはじめる




「マスター・・・これでいいですか?」

ヒチョルが恥ずかしそうに奥のドアから店に入ってくる



ズッドーン!!!!!!!!!


一目見たハンギョンの胸に天使の打った「愛のバズーカ」が命中した


(ああ・・ネットで購入しててよかった・・・こんなに可愛いなんて)

ハンギョンは見えないように小さくガッツポーズをする


カウンターに座っていた常連客の数人も驚きで眼を丸くしていた

「マスター・・・この子・・新しいウエイトレス?」

「はい・・ヒシカといいますヨロシクお願いします」


ヒチョルが先手を打って自分の名前を「ヒシカ」と名乗り

常連客の男性疑惑を受けないようにした


それを聞いたハンギョンはヒチョルの愛称がヒシカというのかと

好意的に解釈して自分もヒシカちゃんと呼ぶようにと心の中で決断する


ヒチョルが着ていた制服は黒を基調としたミニのワンピースで

スカート部分はふんわりと丸くなっていて

白いエプロンが映えている・・いわゆる「メイド服」だった


男の子なのにものすごく似合っている自分にヒチョルは驚いて

しばらくヒシカとしてバイトをすることにして

マスターを始めとする常連客に笑顔を振りまいていた


そしてもう一つの野望

マスターの髭を触る・・・そのチャンスを見つけるために

ヒチョルは授業のない時のほとんどを

珈琲屋 OB館で過ごす事になった
いつもの事ながら突然に思いついたオバカver.話です

この話の後にEternalを書きたいと思ってますので

しばらくお付き合いください


【珈琲屋 OB館】前編

大学生がたくさん集まる街

新村駅と梨大駅のちょうど間ぐらいに

とても雰囲気の良い喫茶店があった


今風のcafeではなく

丸太を組んだようなロッジ風の店構えで

木材を多用しているために温かみを感じ

店の中央にはマントルピースまで設置されている

店はそれほど大きくはないが

いつもクラッシックが流れていて

時間を忘れてゆっくりと珈琲を味わいたい人向けの

今では絶滅機種とまで言われている「純喫茶」を彷彿させていた


店を切り盛りしているのは

30代と思われる綺麗な顔をしたマスターで

その端正な顔立ちを隠すかのように口髭が蓄えられていた

マスターは寡黙で余計な事は話さない

(中国人という事で韓国語が上手じゃないという事もあったが)

しかし珈琲を入れる腕は確かなために

近所の女子大の教授たちの憩いの場になっていた


珈琲屋 OB館は気ぜわしい世の中から

隔離されたような時間の流れる場所だった・・・・




最近常連客も増えてきて

マスターは1人で切り盛りするのが辛くなってきていた


なにしろトイレに行く時間や食事をとる時間すらままならない

大混雑とはいかないが、そこそこ繁盛しているのだ


そうだ・・・かわいいウエイトレスでも1人雇おう・・・


なんだかんだ言ってもマスターも男だったので

目の保養でも可愛い女の子が近くにいてくれると嬉しい

常連客は大学教授などの珈琲とクラッシックとを愛する人達ばかりなのだ

目の保養どころではない・・仕事とはいえ時々うんざりしているのも事実だった




「ウエイトレス募集 勤務時間は要相談」

マスターのハンギョンは募集の張り紙を店の扉の横に貼って

満足げに眺めていた


「これで可愛い子を選んで雇えば良し・・・」


ハンギョンはふと背中に視線を感じて振り向くと

そこには瞳の大きな綺麗な学生が立っていた


ハンギョンの事を見つめている

寡黙なマスターは初対面の人間と話すのが苦手だった

(なのに接客業を生業としているのを自分でも不思議に思っていない)

ハンギョンはぺこりと会釈をするとさっさと店の中に逃げ込んでいった




ヒチョルは大学生になったばかりでアルバイト先を探していた

江原道から上京してきたので1人で下宿をしている

仕送りだけでは心もとないので、

おこずかい程度の収入の(学業を優先しないといけないし)

アルバイトを探していたのだった



学生の街なのでここなら良いバイトがあるかな・・と

何気なしに街をさまよっていたら

気になる建物を発見し思わず眺めていた・・・

すると中から男性が現れて、張り紙をして去って行くのに気付いた


その男性の端正な顔にヒチョルは思わず見とれてしまったのだ


ああ・・・あの髭に触りたい・・・・


ヒチョルは一応男の子に属している・・・はずだった

時々自分でも自信がなくなるが (あまりに美人ゆえに)

男性を好きになった事はなかったので、ゲイでもない・・・はずだった


でも今、あの男性の髭をみて異常に執着している自分を不思議に思ったが

自分はまったく髭の生えないつるつるの肌をもっているので

多分髭に対する渇望だろう・・・と勝手に結論付けて

張り紙の近くまできて 内容を読み始めた



「ウエイトレス募集・・・か・・・」

ヒチョルは体をくるりと回転させながら

自分の全身を確認する

「うん・・・俺・・イケんじゃねぇ?

今日の服だって女の子っぽいし・・・」


カバンから鏡を取り出して笑顔を作る

可愛い女の子が鏡の中で微笑んでいる

「俺・・・ここの店に決めた!!!!」


ヒチョルはカバンの中から履歴書を取り出し

性別の所に丸をし忘れていたのをラッキーに思い

女性の所に丸をすると

思いっきり可愛い笑顔を作って

珈琲屋 OB館の扉を開けて中に入って行った
いつも遊びにいらして下さる方々

ありがとうございます

今回 Eternal の番外編を書きましたが

この番外編 眠れる森から続く話があります

多分 Eternalシリーズの最後の話になるかと思います

私の実生活の方が四月に入ってメチャメチャ忙しく

なかなかPCの前に座る時間がなくじっくり書くことができません・・・

(最近とくに遊びにいらして下さる方が増えているので

すごく嬉しく思っています)

Eternal の前に違う話をひとつ上げる予定です

ヨロシクお願いいたします


今日イェソンさんが入隊を発表しました

そろそろだと思ってましたので驚きはしませんでしたが・・・

軍事基礎訓練の場所やその後の公益勤務先などの

いろいろ流れてくる話を聞いていると・・・ヒチョルの様にそうそう姿は見られそうもない予感が・・

兄さんの後にどんどん弟達が続くので、本当に辛い時期になってきたと思います

ファンとしては待つ事しか出来ませんが・・・(腐ったファンですみません・・・)
【Eternal 番外編】~眠れる森~後編


とっくん・・・とっくん・・・

規則正しい心臓の音がヒチョルの耳に響いている

とても安らぐ大好きな音を感じながら

ぼんやりとヒチョルは覚醒した


あれ? 俺・・寝てた・・・

自分を大切に抱きしめながらハンギョンは眠っている


俺・・先に目覚めちゃったの?

深い眠りについているハンギョンの胸に抱かれながら

ヒチョルはまだ早かったのか・・・と再度眠りの時間に戻って行った





今・・・何時?

ヒチョルはいつもの朝の目覚めの様にハンギョンの腕の中で眼を覚ます

ハンギョンはまだ深い眠りに入ったままだ


ハンギョンの眠った顔って見た事なかったな・・・・


ヒチョルの自分のすぐ目の前にある綺麗な顔をじっと見つめた

目を閉じているが美形の部類に入るのは確実だ

その美しい顔をそっと触ってみる

よほど深い眠りに入っているのかハンギョンは微動だにしない

「俺だけ・・先に目覚めたみたいだな・・・寝なおしたのにダメみたい」

ヒチョルはそう呟くとハンギョンの腕から静かに抜け出して

ベットからおりた

「ヒボム~お前は寝てないの?」

何もない空間に呼び掛けると、その空間がくにゃりと歪んで

美しい猫の姿をしたヒチョルの使い魔のヒボムが現れた

「ヒチョル様・・私はあなたと一心同体です」

「じゃあ・・・ふーちゃんとこーちゃんは眠ってるの?」

ヒチョルはハンギョンの使い魔達の名前を上げてヒボムに尋ねる

「はい・・彼らの気は感じてないので、冬眠中なんでしょうね」

ヒチョルはつまらなそうに口を尖らせると

「部屋にも結界はったから絶対に出るなって言われたし・・・」

不満そうに呟いた

「そうだ・・いい事思いついた♪ ヒボムも手伝ってね~」

目覚めてしまって再度冬眠に入る事が出来なさそうなので

ヒチョルはハンギョンが目覚めるまで

一族の力を自主トレすることにした

「ハンギョンが目覚めた時にビックリさせるんだ」ヒボムに宣言をして

ヒチョルは1人で力のトレーニングをしていた

最初は黙々とやっていたヒチョルも

どの位の時間が経ったのか分からなくて

なかなか目覚めないハンギョンを前にして寂しくなってきた


寂しくてハンギョンの眠っている隣にもぐりこんで

その胸に耳を付けてその鼓動を確認する


「バカ・・なんで起きないの・・・」


ハンギョンにキスしてもらいたい

その力強い腕で抱きしめてもらいたい

ハンギョンの笑顔がみたい・・・なんで起きないの

俺はいつまで待てばいいの・・・・


ヒチョルの胸が寂しさで潰れそうになる

ずっと我慢していた感情があふれて

瞳から涙が溢れ出て来た

ハンギョンの胸に抱きついたまま涙をながす

小さい子供が母親の胸に抱きついて泣いているように

ヒチョルもハンギョンの胸に抱きついて泣き続けていた




「ヒチョル・・・なんで泣いてる・・・」

懐かしいハンギョンの声が耳元でした


え?


ヒチョルは驚いて顔を上げると

優しく微笑みながらハンギョンがヒチョルを見つめている


「ハンギョン・・・やっと起きた・・・」

涙でボロボロのヒチョルの髪をやさしくなでながら

「お前・・・いつから起きてたんだ?」とハンギョンが優しく尋ねる

「分かんない・・・何度も寝ようと思ったのに出来なかったの

ハンギョンがいつまでも起きないから・・・寂しくなって・・・」

「それで泣いてたのか?」

ハンギョンが少し呆れたようにヒチョルに尋ねると

ヒチョルはボロボロ泣きながらコクンと頷く



あああ・・なんて可愛いんだ・・・ヒチョル・・・


ハンギョンはヒチョルの顔をやさしくなでると

その唇に自分の唇を重ねる

「おはよう・・・寂しい思いをさせて悪かったな・・・」

「うん・・・寂しかった・・・・」



いったいいつ目覚めたんだろう・・・

冬眠を再度やり直す方法を教えてなかったのがまずかったのか?


ハンギョンはそんな事を考えながらヒチョルの変化に気付いていた

どうやらヒチョル本人は気付いてないらしい


2人はベットで愛し合った後に浴室に向かった

浴室の大きな鏡に体を写しながらハンギョンはヒチョルにやさしく言う

「俺が眠っている間にヒチョルは成長しちゃったんだね」

「あ・・・」


冬眠前までは人間の年で言うと少年の面影の残った20歳位に見えたヒチョルが

今では体もしっかりと成長して20代半ばの青年に成長していた


「これが・・・俺?」

ヒチョルの中ではたった数日1人で過ごしたと思っていたが

実際には違う時間帯が流れていたようだった


「もう・・・女の子の可愛い服が着られない・・・」

ヒチョルが寂しそうに呟くと

「成長したヒチョルも充分可愛いよ・・・俺達は不老不死ではない・・・

そのうち2人とも皺くちゃの爺さんになるんだよ」

ハンギョンが優しくヒチョルに説明をする


「青年になったヒチョルも良かったよ」

ハンギョンがヒチョルの耳元でそう囁くとヒチョルの顔は真っ赤になる


「バカ・・・・」

2人はバスローブを羽織りベットに戻ってきた


ベットに腰かけるとヒチョルは大きな瞳でハンギョンをじっと見つめる

離れていた時間を埋めるかのように2人の手は繋がれたままだった

ハンギョンはそんなヒチョルに優しく微笑みかけながら

「どうやらチャンミンからの使者が来たようだ」とヒチョルに伝えた


ハンギョンが指を頭上でパチンと鳴らすと

空間がぐにゃりと歪み

フクロウとカラスがそこから出てくる

「ハンギョン様・・・主からの伝言です・・そろそろ目覚めの時が来たようだと」



「クロウありがとう・・ここを出たらすぐにチャンミンの所に行くから

リハビリヨロシクと伝えておいてくれ」


「了解しました」カラスの使い魔はその場から瞬時に消えた


「どうやら戦争が終わって・・・人間界は平和になったようだ」

ハンギョンはヒチョルに説明をすると

「眠りの森から下界に降りる時が来たね・・・・

俺達には人間界に戻る前にちょっとリハビリが必要かもしれない」

「リハビリ?」

「人間の文化が進化しているだろうからさ・・・でもその前にもう一度

青年のヒチョルを味わいたいんだけど・・・」


「ハンギョン・・俺も・・・」

ヒチョルがハンギョンの首に手をまわして恥ずかしそうに答えた





数日後に人間界に降り立った2人は

人類の急激な進化を目の当たりにして

かなり驚く事になるのだった

【Eternal 番外編】~眠れる森~中編


ヒチョルとハンギョンは夜中のうちに『眠れる森』に移動した

ヒチョルはハンギョンに抱かれながら空を飛ぶ

落ちないようにしっかりとハンギョンの首に自分の腕をまわす

ヒチョルはハンギョンに抱かれながらの飛行がお気に入りで

バサバサと力強く羽ばたくハンギョンの黒い大きな翼も大好きだった

最近は人間社会にも熱気球や飛行船などというものが登場してきて

こうやって空を飛ぶ事も少なくなってきていたので

久々の飛行にヒチョルはとてもご機嫌だった



「なんか・・・癒しの森に似てるね」

結界がはられていて一族しか中に入れない森を抜けて

地面に降り立ったヒチョルが周囲を見回しながら言った


「まあな・・・長期滞在か短期滞在かの違いで使い分けているな」


2人の目の前には西洋風の大きなホテルが建っている

「ここの部屋を予約したから」

ハンギョンはそう言うとすたすたと中に入って行く

ロビーと思われる場所には人影はいない

「誰もいないよ」

ヒチョルの問いかけに

「そりゃそうだ・・俺達一族しか使わないし

ここでは眠るだけだし・・・スタッフはいらないさ」


建物は四階建てになっていて

その最上階がスィートルームになっていた

ハンギョンはそのスィートルームの扉の前に立ち

自分の手のひらをドアにあて、呪文を唱えるとドアが開いた


「うわっ広くて可愛い部屋だね~」

ヒチョルは嬉しくて部屋の中を走り回る

ベットは天蓋付きで白く薄いカーテンがかかっている


「なんかお姫様になったみたいだ」

ヒチョルはベットに腰かけてニコニコしながら

カーテンを開けたり閉めたりする・・・

「そんなに嬉しいか? ただ長期にわたって眠るだけだぞ」

ハンギョンはヒチョルの様子を愛おしくてたまらないと見つめながら

ヒチョルの横に座った


「さて・・『冬眠』に入る前にお姫様と大事な事をしないとね」

ハンギョンはヒチョルの耳元でそう囁くと

その唇に自分の唇を重ねる・・・

「しばらく眠ってしまうから今日はゆっくりと楽しませてもらわないと」

「・・・バ・・カ・・」

ハンギョンはヒチョルをそっとベットに横倒しにすると

ゆっくりと時間をかけてヒチョルの白い肌にキスの雨を降らす

「ねぇ・・しばらくってどの位寝てるの?」

ヒチョルが気になっていた事を聞くと

「戦争が終わって世界中が落ち着くまで・・・ざっと50年はかかるかな」

ハンギョンの答えにヒチョルは驚く

「50年も俺達・・眠ってるの?」

「人間の時間と俺達の時間は流れが違うだろう?

それにここでは特別な時間も流れるんだよ」

ヒチョルが大きな瞳でじっとハンギョンを見つめるので

ハンギョンは微笑みながら

「あとで『冬眠』の仕方をレクチャーするから・・・

だから今は俺との事だけ考えて・・・他の事は忘れて・・」

ハンギョンがヒチョルの感じやすい場所にキスをする

「・・あ・・」

ヒチョルはもうハンギョンの事しか考えられなくなる

「・・ハン・・ギョ・・ン・・」


2人の甘い時間は始まったばかりだった
【Eternal 番外編】~眠れる森~前編


「きな臭くなってきた」

いつものようにヒチョルと愛し合った後に

ハンギョンが「今日天気は晴れ」と伝えるような

淡々さでヒチョルに告げた

「きな臭いって? 何が?」

ハンギョンの腕に抱かれたヒチョルが

不思議そうにハンギョンの瞳を見つめながら聞く

「戦争が始まる・・・」

「・・・・・・・」

ヒチョルはハンギョンの言葉に驚いてベットから体を起こした

すると

(ハンギョン様・・チャンミン様から使いの者が来てます)

ハンギョンの使い魔のオウルの声がした

「分かった・・通せ・・・」

何もない空間がぐにゃりと歪んだかと思うと

そこから白いフクロウと黒いカラスが姿を現す

フクロウはハンギョンの使い魔でカラスはチャンミンの使い魔だった

「あ~♪カーちゃんだぁ」ヒチョルの嬉しそうな声に

カラスは一瞬顔を綻ばせたが、すぐに自分の使命を思い出して澄まし顔に戻る

「ハンギョン~とうとう始まるぞ~詳しい事はいつもの場所で待ってるから」

カラスの口からチャンミンの声で伝言が読まれた

「わかった・・・すぐに行くから」

ハンギョンはそう答えるとベットから起き出して着替えを始めた

「今日はヒチョルさんも連れて来てくれ」

カラスの使い魔はそれだけ言うと帰ろうとしてヒチョルの方を見つめた

「カーちゃんお使い御苦労さま」ヒチョルが笑顔でカラスの頭をなでる

「ヒ・・ヒチョル様・・わ・・私は・・カーちゃんじゃなくて

クロウという名前があります・・・」

カラスはその黒い顔を真っ赤に染めながらどきまぎしながら文句を言う

ヒチョルはそんな抗議にお構いなしでカラスを抱きしめると

「チャンミンさんにヨロシクね・・今から行くからね」と囁いた


ボン!!!!

カラスは真っ赤になって瞬間で姿を消した

チャンミンの使い魔のクロウは、ヒチョルに懸想している

それは他の使い魔も周知の事実であり

知らないのはヒチョル本人だけだった

今もハンギョンの使い魔とヒチョルの使い魔はその様子がおかしくて

笑いをこらえるのが大変な様子で見守っていたのだった







「お前・・・そのタイプのスーツ着るとマフィアみたいに見える」

ヒチョルはダブルの合わせのスーツを着て帽子を被ったハンギョンにそう言った

「ヒチョルはその情婦って感じの服・・・ではないな・・」

「体にぴったりの服はだめだもん・・可愛い服にした」

ヒチョルもスーツを着こなしているが上着の丈は短めで

少し絞ってあって、スカートは長くマーメイド型になっていた


2人は高級レストランに入って行く

もちろんドレスコードのある店のためにしっかり正装をしていたのだ


チャンミンはすでに席に座っていて

2人を見つけると魅力のある笑顔で微笑みかけた



しばらく3人は世間話をしながら食事をしていた

食事が終わりデザートが出される頃にチャンミンが口をきった

「あした・・・ある事件が起きる」

ハンギョンとヒチョルは黙って聞いている

「そしてその事件から世界中が戦争になる」

「チャンミンさん・・なんで知ってるんですか?」

ヒチョルの質問にチャンミンが答える前にハンギョンが答えた

「知ってるも何も・・こいつは戦争を仕掛けている側についてるからだ」

チャンミンは笑うと幼くなる可愛い顔を2人に向けながら

「正確には戦争をしかける国としかけられる国とどっちにも関与してる

ハンギョンだって昔は一緒に戦争を作ってたじゃないか・・・

今ではすっかり隠居状態になっちゃってさ」とハンギョンを挑発する


「俺はもう飽きた・・・ヒチョルとずっといる方が心休まるんだ」

「その大事な生涯の伴侶さん・・・戦争が始まるよ・・どうしたいの?」

ヒチョルはチャンミンに言われて眉間にしわを寄せて考える


戦争・・・国と国とが戦う・・人と人とが殺し合いをする

そんなの見たくない・・・・


ヒチョルの手をハンギョンが優しく握りしめる

「お前の事だ・・・戦争がはじまると毎日心を痛めるんだろう?」

「ハンギョン・・・」


ハンギョンはヒチョルの瞳を見つめて微笑むと

「俺達は『眠りの森』に避難しているから・・戦争が終わった頃におこしに来てくれ

ヒチョルに懸想しているアイツを使ってもいいからさ」


チャンミンはハンギョンの言葉を聞いて

「多分そう言うと思った・・だから直接確認したかったんだ

人間同士の殺し合い・・見てて面白いのに~残念だな」そう言って笑った



眠りの森・・・

ハンギョンが口にした初めて聞く言葉

ヒチョルはハンギョンの仲間になって150年経つが

まだまだ知らない事だらけなんだ・・・とぼんやりしながら

ハンギョンの手を強く握り返す


この手があるかぎり

ハンギョンが俺の側にいる限り・・・大丈夫だよね・・・


ヒチョルは思いのたけを込めてハンギョンの瞳を見つめていた・・・


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