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2013.06.30 初恋 9
【初恋】9

季節は梅雨に入り

毎日雨が降り続いているソウル郊外

聖SJ学院の遠足は明日に迫っていた


高等部1年の遠足は近くの山に「ハイキング」

中等部からの持ち上がり組と編入試験の入学組との交流を深めるために企画されたもので

もうずっと恒例になっている


しかしハイキングとは名ばかりで

実際の所「登山」と言っていいものだった



そして遠足の当日 梅雨の中休みを想わせるように

空は晴れて遠足日和となった




「あれ? カンイン・・・クラス違うよな・・なんで俺達といるの?」

ヒチョルが不思議そうにカンインの顔をみつめて言う

『登山者入口』と書かれた札の前でクラス点呼を取り終えた後に

グループ毎に分かれるはずだった

ヒチョルはイトゥクと一緒だったが

いつの間にか一緒のはずの2人組が消えて

カンインとハンギョンがヒチョル達の前に立っている


「ヒチョル~騎士契約してるからカンインは俺のために来たんだよ」

イトゥクがニコニコしながら話をする


ヒチョルは結局まだ誰とも騎士契約をしていなかった

ハンギョンの事が気になっても、仲が進展することもなく

相変わらず避けて過ごしていた

ハンギョンがすぐそばにいる・・・そう思っただけで心臓が破裂しそうだった


ヒチョルはその胸の疼きが何なのかを知らないで困惑していた

ハンギョンはハンギョンで切ないそうにヒチョルを見つめている

(なんでハンギョンがいるんだよ・・)

ヒチョルはそっと息を吐くと胸のドキドキを抑えようとする


イトゥクの説明だと「騎士契約」をしている2人に周囲が気を利かせて

遠足の間は側にいられるようにしたとのことだった


ヒチョルはとにかくドキドキする姿を見られたくなくて

ずんずんと先に進んでいく

「ヒチョル~最初からそんなに飛ばすと疲れちゃうよ~」

イトゥクの忠告にも耳を貸す事なく黙ったまま道を進んでいく

イトゥクとカンインは話をしながら進んでいくのに

ヒチョルとハンギョンは押し黙ったまま道を進んでいった


あっ・・・・・

昨日までの雨で地面は濡れているのでヒチョルの足が滑った


ヒチョルを心配したハンギョンがすぐ後ろにいたので

とっさに腕を掴まれ、ヒチョルは転ぶことなく済んだ


「大丈夫? 土が濡れてるから・・・気を付けて」

ハンギョンが掴んでいる腕が熱い

ドキドキがそこから新たに発生してくる


「ひとりで歩けるよ」

恥ずかしさからハンギョンの掴んでいる腕を振りほどく


ハンギョンが瞬間寂しそうに顔を歪めたのが目に入ったが

ヒチョルは自分でもどうしたら良いのか分からずに下唇をそっと噛んだ


「ヒチョル~ちょっと休憩しようよ~」

イトゥクの提案で少し休憩することにした


「イトゥクの言うとおり、

ヒチョルはハンギョンをかなり意識してるね」

カンインはイトゥクの耳元で感想を述べ

2人の様子を面白そうに伺っている


4人は山道の途中の少し平らになっている場所で

休憩することにした


後から生徒達が休憩中のイトゥク達を抜いていく

道の端っこは崖だから気を付けるようにと

イトゥクは自分達を抜いていく仲間に声をかけた


そんなイトゥクを見つめてから

ペットボトルの水を一口飲んで

ヒチョルは道端に生えている大きめの木に寄りかかった




ミシミシ・・・




梅雨の長雨で地盤が緩んでいたのか

木が害虫か病気のために中側から腐っていたのか

ヒチョルの寄りかかった木が嫌な音を立てた



あ・・・・


ヒチョルが気付いた時にはバランスを崩して

木とともに後ろの崖に落ちていく


うそだろ・・・


ヒチョルは落ちていく瞬間ハンギョンの方をみた

心の中で(助けて)と唱えるのが精一杯だった






ハンギョンはずっとヒチョルの姿を目で追っていた

自分は嫌われている訳ではないとイトゥクが説明してくれていたが

こうも避けられてばかりだとどうしても気持ちも凹む


ヒチョルが木に寄りかかって水を飲んでいる

自分も水を飲もうかと思った時に嫌な音が聞こえた

あわててヒチョルの方を向くと

ヒチョルの体が寄りかかった大木と共に

後ろの崖に落下しようとしているのが視界に入った


その瞬間ヒチョルと目があった



たすけて


ヒチョルの声がハンギョンには聞こえた


「ヒチョル~!!!!」



ハンギョンは躊躇することなく

落下していくヒチョルにむかってダイブした





「ヒチョル~!!!!」

「ハンギョン~!!!!」


イトゥクとカンインの絶叫が周囲に響く


ヒチョルを腕に抱きとめたまま

斜面を転がり落ちていくハンギョンの姿を周囲は唖然と見つめていた
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2013.06.23 初恋 8
【初恋】8

ソウル大学進学率一位

中高一貫教育の全寮制私立学校

在席している生徒の親はほとんどがセレブ・・・・


そんな聖SJ学院にも公表できない闇の部分が存在していた

ソウル郊外に位置していて

寮と学校が隣接しているため

生徒達は市街地に出る事はほとんどなく過ごす

週末休みに外出する時には「外出届」を提出して

一時間に一本というバスに乗らないと市街地に出る事すらできなかった


セレブ階級の息子達はほとんどが甘やかされて育っている

それなりに学院生活を満喫できる事が見つけられた子はいいが

遊び呆けて過ごしてきた輩にとっては「刑務所」のような学校生活だった

特に親に権力があったりするとろくでもない息子に育っていたりする

年齢的にも有り余る性欲を持て余して

年下の可愛い生徒に対して集団で暴行するという事件が起きていた

被害者は泣き寝入りが多かったが

たまに学校側に訴えても加害者の親の地位や経済力などによって

事件そのものが『合意』にもとずくものとしてうやむやにされてしまっていた


数年前に高等部からの編入生で散々集団暴行されたあげく

時計塔の上から身を投げた生徒がいた


その事件が発端となり

自分の身は自分で守る・・・力の劣るものは特定の人物の力を借りて守る

そんな制度が自発的に出来上がってきたのだった


それを「姫を守る騎士」からとって「騎士契約」と呼んでいた



投身自殺の折り警察の介入があったりして

集団暴行事態はなくなりつつあったが

泣き寝入りの生徒が増えただけで

巧妙なやり口に変わっただけとも噂されている


ヒチョルが入学する直前の春休みにリョウクが襲われそうになった

犯人は卒業したばかりの生徒

たまたま忘れ物を取りに来たイェソンが現場に遭遇してリョウクを助けた

その代償として肋骨を2本折って入院をしたのだった

その犯人も親が経済界の大御所と言う事で、事件そのものもうやむやにされた



「なんだ・・・この学校・・・おかしいんじゃねーか?」

イトゥクの説明を聞き終えたヒチョルは吐き捨てるように言った


「うん・・・思春期真っただ中の男の子ばかりが千人以上も閉じ込められてんだよ~

どうしても歪んだ欲望が生じるんだよね~

だいたいは運動や勉強で発散するんだけど・・・一部のセレブの息子達は欲望に忠実すぎるんだ」

「・・・・・」

「自殺した生徒は、顔も心もとても綺麗な人で女神さまのようだと

当時の生徒たちの間でマドンナ的な存在だったって・・・・

犯人グループの主犯格が横恋慕して相手にされなくて

集団暴行されたそうだよ」

イトゥクはペットボトルの水を一口飲むと話を続ける

「犯人は処分されたのか?」

ヒチョルの問いかけにイトゥクは首を横に振った

「そいつら・・・当時の大統領の親せき筋だったみたいで

自殺との関連性はないと・・・処分されずに卒業していったらしい」


「ヒチョル・・ヒチョルは自分で自分を守れる?

僕は自信ないからカンインと契約したんだ・・・」

「カンインは・・・お前の事好きみたいだな」

「うん・・・知ってる・・僕は彼のその気持ちを利用している」

イトゥクの口から思いもよらない言葉が出てきて

ヒチョルは驚いてイトゥクの顔を見つめた


「騎士って・・お姫様を命がけで守るんだよ・・・

だから自分の事を好きな奴に頼むんだ

カンインはうってつけだよ・・・僕の笑顔ひとつで

下僕でも召使いでもなんにでもなってくれる」


「イトゥク・・・お前って・・見かけによらず

計算高いやつだったんだな」

ヒチョルが呆れたようにイトゥクの顔を見つめて呟いた


「ふふふ・・ヒチョル凄いね~数か月で僕の事理解してくれて・・

でも面倒見もいいんだよ~ヒチョルのお世話してるでしょ・・・

こっちは性分なんだ・・・ヒチョルはお世話しがいがあるし~」

イトゥクは可愛いえくぼを浮かべながら、楽しそうに話す


「俺の事・・・守ろうとしてくれる騎士候補なんているのかな・・」


「ヒチョルに懸想している奴ら、たくさんいるよ~ヒチョルが気付かないだけで・・

リョウクにも言われたんでしょ・・・そろそろ自分のナイトを決めないとさ」


「・・・・・・」

「ヒチョルの事恋焦がれて、不埒な事考えてる奴がもう現れてるかもよ」


イトゥクにそう言われて武術でも習っておけばよかったと

ヒチョルは本気で後悔していた


ヒチョルが黙りこんでしまったので

イトゥクは何気ないふりをしながら

「そうだ~あのカンインのルームメイトの留学生

彼は中国拳法を習ってるらしいよ~」と言ってヒチョルの様子を伺う


ハンギョンの事を振られてヒチョルの顔が赤くなった

最近ハンギョンの顔がまともに見られない

近くにいるだけで息が苦しくなってきて

いたたまれなくなって、つい席をはずしてしまう事が多かった


「ば・・か・・・あいつは関係ないじゃん!!!!!!

俺の事なんか・・何とも思ってないよ!!!!!韓国語へたくそだし!!!!」

急に声を荒げてヒチョルは言いわけをする


「ふ~ん・・・そうかな~」

真っ赤になってるヒチョルを見つめて

イトゥクは楽しそうに微笑んだ

【想定外】番外編 帰省 おまけの話 後編


「うわっここどこだ?」

ヒチョル達が乗ったタクシーは高級美容サロンの前で停まった

ホテルから詳細を知らされないまま

ヒチョルはリョウクとソンミンに拉致られるようにここまできた

「キム・ヒチョル様 お待ちしておりました」

店の前で待ち受けていた中年の女性が流暢な韓国語で話しかける


「ミン~ウク~助けてくれ~どこに連れて行かれるんだ~」

屈強な黒服の男性に両脇を掴まれてヒチョルは店の奥に連れて行かれた

「僕たちもご一緒します~大丈夫ですよ~」

リョウクとソンミンはタクシー運転手に料金を支払うと

ヒチョルの連れ去られた後を楽しそうに付いていった




「ハンギョン様 準備は万全に整いました」

キボムに言われてハンギョンは時計を眺める

「先ほどリョウクから電話ありました。もうすぐこちらに到着するとの事です」

2人が立っているのは

海岸沿いに建っている教会の前

韓国語を話せる神父まで用意した

ハンギョンがヒチョルに仕掛けたサプライズは

南の島の教会で永遠の愛を誓うというものだった

白いタキシードのハンギョンのポケットには誓いの指輪が入ってる


落ち着きなくぐるぐると歩きまわっているハンギョンの姿を見て

キボムは思わず微笑む

そんな2人の所に黒塗りのロールスロイスが近づいてくる

「あっきました~」キボムの声にハンギョンが顔をあげた

すると車の中からソンミンとリョウクに手をひかれたヒチョルが降りてくる



ああ・・・・ヒチョル・・・綺麗だよ


ハンギョンは感動で声がでない

ヒチョルは高級美容サロンのスタッフにより最高に美しい花嫁にされていた

肩の出たドレスはヒチョルのデコルテの美しさを際立たせている

真っ白なウェディングドレスはレースをたくさんあしらって

とても上品なデザインになっていた

長い髪も美しく結いあげられていて、そのうなじもとても色っぽい

男性であるはずのヒチョルは今最高に美しい花嫁としてハンギョンの前に立っていた


「なんだよ・・・これ・・・罰ゲームかよ・・・」

ヒチョルは恥ずかしそうに下を向いたまま悪態をついた

ハンギョンはその言葉にクスッと笑うと

「世界一美しいよ・・・私の花嫁さん・・さあ行こう」

ハンギョンはヒチョルの手を取ると教会の中に入って行く


「あれ? ソンミンさんとリョウクさんもドレスなんですか?」

キボムが微笑みながら2人に尋ねる


さっきのサロンで2人もついでにおめかしをしてきた

薄いピンクのふんわりとしたミニワンピースと

色違いの薄いブルーのワンピース

2人はまるで双子の天使のようないでたちだった


「お2人とも天使の様で、とても可愛いですよ」

キボムの褒め言葉に2人は大喜びで教会のスタッフから花籠を受け取った





神父は韓国語で挙式を滞りなく進行し

ヒチョルとハンギョンは指輪を交換し誓いのキスをした

ヒチョルの大きな瞳から涙があふれて止まらない

「さあ・・これでヒチョルは私の花嫁になりました

神様の前で永遠の愛を誓ったのですから・・・二度と離しません」

「うん・・・離さないで・・ずっと・・・お前と共に生きていきたい」

「刑事を辞めなさいとはいいません・・・でも私と共に生きる約束したのですから

今度から命を粗末にするような行動はしないでください」

「ハンギョン・・・」

「私は・・・もうヒチョルなしでは生きていけません・・・

あなたが刑事を辞めないというので、私が実家の相続を放棄してきました」

「え? お前・・実家のヤクザ継がないのかよ・・」

「はい・・弟が野心家だったので助かりました」

驚くヒチョルを見つめてハンギョンは優しく微笑む

「父やその周囲を説得するのに一ヶ月かかりましたけど」

「それとまだ若獅子組には世話になる事になってますので

完全にヤクザを辞めたわけではありませんが」

ヒチョルはハンギョンの胸にぎゅ~っと抱きついた

「ごめん・・俺の為に・・・」

「そうですよ・・・全てはあなたの為なんですよ」

ハンギョンはそう言って微笑むとヒチョルに優しく口づけをした


「おめでと~ございます~♪きゃっきゃっ」

教会から外に出ると

リョウクとソンミンが花びらをヒチョル達にまいてきた

「ありがとう」

ヒチョルが笑顔で答える

挙式の全てをビデオカメラに収めていたキボムの胸がキュンとする


ハンギョンと恋人同士になってから

ヒチョルはどんどん美しくなっていく

若獅子会の構成員達はヒチョルにどんどん魅かれていった


「ヒチョルさ~んブーケトスして下さいよ~」

ソンミンがリョウクとわくわくしながら待っている


「いいか~一つしかないから喧嘩すんなよ~」

後ろ向きになったヒチョルがブーケを放り投げる


「きゃ~」

ブーケはリョウクとソンミン2人の間に飛んできて同時にキャッチした

「お2人同時と言う事で・・ブーケはお2人のものですね・・喧嘩しないでください」

2人の後ろに立っていたキボムはそう言って2人に微笑んだ


「ミン、ウク・・改めてみると2人は天使みたいだぞ」

ヒチョルに褒められて2人は嬉しそうに微笑む


サプライズは大成功だった

美しい花嫁はキボムの撮影した動画によって

ソウルで留守番している仲間たちに披露され

その誰もが溢れだす幸せオーラのヒチョルのドレス姿に

鼻血を出しまくるのは後の話となる





一組の新婚さんとその友達の長期バカンスはまだ始まったばかりだった




おしまい
【想定外】番外編 帰省 おまけの話 前編



「ハンギョン・・・海がきれいだな・・エメラルドグリーンって色

 初めて見た気がする・・・・」


「ヒチョル? 見てて癒される?」

ヒチョルの横に立っていたハンギョンが

ヒチョルの肩をそっと抱き寄せて囁く・・・


「ああ・・・いつまでも見ていたい・・・心が洗われる気分だな」

ヒチョルはハンギョンの肩に頭を預けて幸せそうに呟いた




「ヒチョルさん~ハンギョンさ~んホテルのチェックインして下さい」

リョウクが後ろから大きな声で叫んでいた

「2人の荷物持っていきますよ~」ソンミンはそう言うと

2人の荷物をカートに乗せてボーイのいる場所までおしていく

キボムは英語でホテルの従業員と話をしていた




江南で薬物中毒の通り魔逮捕に協力したヒチョルとソンミンは

他部署のシマで大暴れした事に対しての処分は下されなかったが

城東警察署が江南警察署に対する詫びの姿勢として

2人に強制的に長期休暇をとらせた

名前の違う謹慎処分だった


ただ家で謹慎しているのも癪だというので

ハンギョンがヒチョル達を連れだして

南の島にバカンスにやってきたのだった


かかる費用はすべてハンギョン持ち

ヒチョルはもとよりソンミンとリョウク

そして英語が堪能という事で何故かキボムも一緒

場所はアジアンリゾートで有名なプーケット

ソウルから来た御一行様は見るものすべてが初体験で

大喜びだった


実はハンギョンはサプライズを用意していて

それを実行するための協力者として

ソンミンとリョウクとキボムを同行させた

ヒチョルは自分以外の同行者に疑う事もなく

ハンギョンの思いやりにますます彼を好きになっていた



「ハンギョン様 もう部屋の方には入れますので

とりあえず部屋に行きましょう」

キボムがボーイに指示をだしてそれぞれの荷物をもたせて部屋にむかう

ハンギョンとヒチョル

ソンミンとリョウク

キボム

と別れて部屋に入って行った



「ミミちゃん・・・謹慎がバカンスになったね~」

リョウクが部屋から見える風景を眺めながら嬉しそうに言うと

「今回はサプライズを成功させないと・・まだバカンスじゃないよ」とソンミン

2人はスーツケースを開けて荷物をあれこれと出しながら

お互いの顔を見合わせて

「サプライズ・・成功させなきゃね」と楽しそうに笑った


キボムは部屋からソウルに報告の電話をかけていた

「はい・・カンイン様・・大丈夫です・・・ありがとうございます

久しぶりにバカンスを楽しませてもらいます」

「はい・・もちろんムービーはばっちり撮ってきますから」

電話を切ると

「本当にヒチョル刑事はウチでは人気なんだな」と苦笑する

「さて・・バッテリーの確認をもう一度しないと・・・

撮れてませんでした・・じゃカンイン様はじめ組のみんなにリンチされるな」

顔を引き締めてキボムはビデオカメラの確認をするのだった





「ハンギョン・・・本当に綺麗な所だね」

ヒチョルが部屋の窓から外を眺めながら感嘆の声をあげる

「海の真珠って言われてる位だからな・・・」

窓際に立っているヒチョルを

後ろからハンギョンが優しく抱きしめる



ハリウッド映画なみのアクションで犯人を逮捕した日の夜

ヒチョルを失ってしまうと実感して初めて恐怖を覚え

ハンギョンはヒチョルをずっと抱きしめたまま眠れずに過ごした


実家の方の後継者争いも決着を付けて来たので

次のステップのためにいろいろと思いを巡らせ

今回の南の島でのサプライズを思いついたのだった


「そう言えば、ソンミンとリョウクがヒチョルに付き合ってほしい店があるって」

「うん・・なんかわかんねーけど・・・絶対に俺と行きたいって・・

もう迎えに来るころだ」

ヒチョルが言い終わる頃に部屋のブザーが鳴った

ハンギョンは笑顔でヒチョルを見送ると

「さて・・・次は俺の番だな・・・キボムと確認しに行くか」

時計を眺めながらあわてて部屋を後にした







すみません・・・あと一話続きます・・・
【想定外】番外編 帰省 後編


キボムはソンミンとリョウクの質問攻めに

嫌な顔せずに笑顔で答えていた


「え~2人の出会いって・・・うっそ~」

衝撃な出会いの夜(泥酔したヒチョルがハンギョンを汚物まみれにした等)

キボムが知ってる中で情報公開可能な話を

面白可笑しく2人に話をしてくれた



初めて会った日・・・俺あいつにゲロ吐いて・・・

それでも嫌な顔しないで世話してくれたんだな・・・


遥か昔の出来事のように思われたが

まだたった1年しか過ぎていない


ヒチョルを守って怪我を負ったハンギョンを見て

やっと自分の本当の気持ちに気付いた・・

それは今まで自分が持っていた常識を

覆すような出来事だった

ヒチョルは性別など関係なしに

1人の人間を本気で愛しはじめていたのだった


2人が恋人同士になってから

一日たりとも離れることがなかったのに

(ヒチョルがいつの間にかハンギョンの部屋に住み始めたので)


ここにきて丸々一ヶ月・・・声すら聞けない状況だった


バカ・・会いたいよ・・・何やってんだよ・・・


ヒチョルがため息をついてカフェテラスから外を見ると

外がなんだか慌ただしい

ヒチョルがリョウク達の方を振り向くと

リョウク達も異変を感じたようだった


悲鳴とともに人々が逃げ惑う様子がみてとれる

ヒチョルは軽く舌打ちをすると

リョウクに自分の携帯と財布を投げ渡して席を立ち

すばやく外に走って行く

逃げまどう人々の反対側を見ると銃を手にした男が立っていた

「あの目つきは・・・薬物中毒か?」

キボムが険しい顔をして周囲を見回していると


「キボムさん・・その収縮物干し竿を借りますね」

ソンミンが自分の部署に携帯で状況説明をしながら

キボムのホームセンターの買い物袋の中から物干し竿を取り出す

「僕も手伝う」リョウクが物干しざおを受け取ると

包装ビニールを破いて竿を伸ばして長さを固定し始めた


「ミミちゃん完成したよ!!!!この長さでなんとかしのいでね」

リョウクから物干しざおを受け取ったソンミンはニッコリと微笑むと

ヒチョルの後を追うように銃を持った男の方に走って行った


「僕たち非番だから丸腰なんです・・・もっともヒチョルさんは

銃の携帯許可は下りてないですから・・・」

キボムにむかってリョウクは説明する

「あの人・・・銃口を向けられてもそのまま突入しちゃうから・・

江南の警察ってまだ来てないみたい・・・」


キボムは心配でリョウクと一緒に現場にむかって走り出していた


銃を持った男は焦点の合わない目で

ぶつぶつと何かを言いながら

あちこちに銃を向けている

時々発砲するので本物の銃だった


「きゃあ~」

男が逃げ遅れて転倒した女性の腕を掴んで

羽交い絞めにして銃を向けた


「くっそ~人質とりやがった」ヒチョルが吐き捨てるように言うと

追いついたソンミンが物干しざおを見せながら

「僕も加勢します」と微笑んだ

発砲した流れ弾で負傷者が数人出ているようだった

リョウクは携帯から救急車要請の電話をし、

隣にいたキボムも人々が巻き込まれないように非難を誘導する

そんな様子を見たヒチョルはソンミンの耳元で

「江南の奴らなんか待ってられねーから・・俺行くから

ソンミナは人質になった女性を頼む」

それだけ言うとニヤリと不敵な笑顔を残して犯人の後ろ側に移動した


ちょうどその頃

江南警察の警察官が到着して男を包囲しようとしていた

その事に気を取られた男の後ろ側にヒチョルがそっと回り込む


男の後ろ側にトラックが止まっていた


ラッキー神様サンキュ・・・心の中で神様に礼を述べると

ヒチョルはそのトラックの屋根によじ登る

ソンミンは人質の方角の後ろから近寄って行った


「うるせ~っ」

警察官の説得にキレた男がどなり声と共に発砲した


その瞬間ヒチョルはトラックの屋根から男に飛びかかる

同時にソンミンは女性の腕をとって男から引き離した

ソンミンが手にした物干しざおが武器となり

ヒチョルと揉み合っている男の手から銃を叩き落とした

棒術を得意とするソンミンは地面に落ちた銃を

江南警察の警察官がいる場所に向けて物干しざおで軽く飛ばす



「ヒチョルさん・・・あまりやりすぎないで・・・ほどほどで止めて・・」

リョウクが祈るようにヒチョルを見つめている

横でキボムは、完全に八つ当たり状態だな・・とタイミングの悪い犯人に少し同情する


「ハンギョンのバカやロー!!!!!!!」

ヒチョルの右アッパーが男に命中した

気絶した犯人の男の元にワラワラと警官が集まってくる


「ヒチョルさん・・大丈夫ですか?」ソンミンがヒチョルの腕をやさしく握って聞いてきた

肩で息をしているヒチョルは今にも泣きそうな顔をしていた


女性と見間違う美貌の青年が銃を持った犯人と格闘し

見事に犯人を叩きのめした・・・・

その一部始終を見ていた観衆から拍手と大歓声が起こった

リョウクとキボムもお互いに手を取り合ってジャンプしながら喜んでいる


ヒチョルがほっと溜息をつくと

見た事のある顔の刑事が自分にむかって歩いてくるのに気付いた

苦虫をつぶしたような顔をして

せっかくのイケメンを台無しにしていたシウォンだった

げっ・・・こいつなんでいるんだよ・・又処分されるのか・・・

ヒチョルがげんなりとした顔をしてシウォンを見つめる


すると

「ヒチョルさんは処分の対象にはならないと思いますが」

ソンミンがシウォンの顔を睨みながら言葉を発した

「僕たちは非番で遊びにきてました・・・たまたま遭遇しただけです

人命救助がなによりも大事だと判断したまでです」


シウォンは眉間にしわを寄せたままボソッと呟いた

「とりあえず江南署に行ってくれ・・一般人の協力だとしても・・」


「とりあえず行くよ・・・ソンミナ悪いな・・付き合わせて・・・」

ソンミンの肩を軽く叩いて江南署のパトカーに乗ろうとしたが

ヒチョルは一定の方向を見つめたまま固まって動けなくなっていた

ソンミンがつられてヒチョルの見つめる方向を見ると

ハンギョンの姿がそこにあった


「ハンギョン・・・」ヒチョルが呟く


ハンギョンは泣きそうな顔をして

「私のヒチョルは無鉄砲すぎて困りますね・・・今回は大事に至らなかったけど

何かあったらどうするつもりだったんですか?」

「ハンギョン・・・」ヒチョルの瞳から涙が溢れてくる

「私がどんなつもりで実家の騒動を収めて来たのか・・・・

犯人に飛びかかる時は私の事思い出さなかったのですか?」


ヒチョルはその場から動けずに固まったまま涙を流している

隣のソンミンがヒチョルの背中を軽く押した

あっという間にヒチョルはハンギョンの腕の中に抱きとめられる


「目を離すと何をやらかすか分からない人ですね

今日は心臓が止まるかと思いましたよ」

「ゴメン・・・」

ハンギョンはヒチョルの耳元で何かを囁くと

ヒチョルは小さく頷いた


「シウォン・・悪かったな・・江南署に行くよ」

ヒチョルはハンギョンにウィンクを残して

ソンミンと一緒に覆面パトカーに乗り込んだ



去って行くパトカーを見つめているハンギョンの元に

リョウクとキボムが走り寄ってきた


「はい・・これヒチョルさんの携帯とお財布です」

「ありがとう」

「ハンギョン様お帰りなさい」

「ああ」

「ヒチョルさんの伝説がまた一つ増えましたね」

キボムの言葉にハンギョンは笑いながら

「初めて見た・・ハリウッド映画みたいにカッコ良かった

でも・・もう今日で終わりにしてもらうよ」

キボムとリョウクが笑顔でハンギョンを見つめている

「私の心臓がいくつあっても持たないからね」

「たしかに・・・」

三人は顔を見合わせて笑いあった






もう一話続きます・・・
【想定外】番外編 帰省 中編


「あれ? あそこを歩いている黒スーツのイケメンって・・・」

江南のカフェテラスに座っていたリョウクが隣のヒチョルに訪ねる

リョウクの指さす方を見ると

いつもの黒いスーツを涼しげに着こなしているキボムが

スーツに似合わないホームセンターの袋を提げて歩いていた


「若獅子会のキボムさんだ」ソンミンが小さく呟くと

三人の強力な視線に気付いたのか、キボムがヒチョル達の方を向いた


そしてヒチョル達の事を認識したとたんに

とろけるような笑顔で挨拶をしてくる・・・

隣のテーブルの女性達が思わずため息を付いたのにヒチョルは気付いた


こいつ・・・ヤクザから足洗った方が絶対に良いって・・・

そんなことを考えながら

笑顔で近づいてくるキボムをぼんやりと見つめていた



「こんにちは。今日はみなさんでお茶ですか?」

「こんにちはキボムさん。なんか凄い荷物ですね」

ソンミンが笑顔で挨拶を交わす

ヒチョルはぶすっとした顔のままキボムを見つめていた

「これですか? この間ヒチョル刑事が事務所で暴れて下さったので

あちこち修理が必要となりました」

「え?」

「うちのカンインがハンギョン様の事で隠しごとしているんじゃないかって

こちらの刑事さんが八つ当たりとしか思えない大暴れをしてくれたんですよ」

リョウクとソンミンが驚いてヒチョルの顔を見つめる


「悪かったな!!!!ドアの修理代くらいは出すよ!!!!俺の所には連絡ないのに

カンインの所に連絡があったって知って・・・ちょっとムカついただけだ」

ヒチョルが頬を染めながらボソッと話す

キボムはクスっと笑うと

「ハンギョン様は言いたくなかったのかもしれないですが

ヒチョル刑事がこれ以上事務所で暴れられても困るので

プチ情報をお知らせしましょう」

「なんだよっ!!!!」

「ハンギョン様からカンインに連絡来たのは確かですが

事務所の固定電話にのみ連絡が入ります」

「携帯にかけても圏外で繋がりません。ヒチョル刑事もそうでしょう?」

ヒチョルから何度もかけても圏外で繋がらなかった事を思い出して

小さくコクンとうなづいた


「ハンギョン様の実家がある黒竜江省は北京から離れてます

だから・・・携帯の電波が届かないのかと・・・」


「中国って広いもんね」リョウクが何気なく呟いた

「あと多分・・・後継者問題がこじれているのかと・・・」

「あとつぎか・・・」

「ハンギョン様には弟さんがいらっしゃったので・・・

派閥問題などもあるのではないでしょうか」


黙って考え込んだヒチョルにキボムは

「今度事務所に連絡があったらヒチョル刑事が暴れて困りますと言っておきます」と

楽しそうに言った


「ごめん・・・俺も暴れたくて暴れた訳じゃない・・・」

ハンギョンを思い出してか辛そうな顔をしたヒチョルに

リョウクとソンミンは慌ててお互いに目くばせをする

ソンミンは、ほっと息を吐くと

「キボムさん・・時間があるならお茶でも飲みませんか?

ヒチョルさんの奢りだから気にせずに、何でも注文してください」

笑顔で誘う

「そうですね・・喉が渇きましたね」キボムも笑顔でヒチョル達のテーブルに着いて

グレープフルーツジュースを注文した


リョウクとソンミンはヒチョルの恋人の話が聞けるのではないかと

ワクワクしながらキボムの様子を伺っていたのだった
すみません

初恋がまだ終わってないのに・・・ちょっと煮詰まってしまって

想定外の番外編を書かせてもらいます

想定外を読んでない方はそちらをお読みになってからどうぞ

【想定外】番外編 帰省 前編



「で~結局ホンギさんは日本に行ったんですか?」

江南のおしゃれなcafeでヒチョルはソンミンとリョウクと

一緒にお茶をしているとソンミンに急に尋ねられた


ヴッ!!!!ゲホゲホ・・・・


ちょうどキャラメルマキアートに口をつけたヒチョルが

予想外の話題にむせ込んでしまい返事が出来ないでいると


「ホンギさんって・・・この間日本の警察との合同捜査で日本に行って

あっちで彼女見つけちゃったってウワサ本当だったんですね~」

リョウクがニコニコしながらヒチョルの顔を見つめている


ソンミンとリョウクのヨジャコンビは噂話が大好きだ

今日も情報ツウのヒチョルを呼びだして噂の真相を確かめようと言う魂胆だった

ヒチョルは2人に借りがあるのでぞんざいな扱いをすることもできず

今日もしぶしぶと非番なのに2人と一緒にお茶をしているのだった


「ああ・・・ミナちゃんとか言っていた・・・韓国語が話せる子らしい」

ヒチョルはせっかくの休暇も日本に行ってしまったホンギに

自分よりも彼女が大切なのか!!!!と少し面白くないと思っていた所だった


「ハンギョンさんが中国に帰ってしまい1人で寂しがってるから

相手をして上げて欲しいって・・・僕たち頼まれたのはそんな理由だったんですね~」

ソンミンがぼそっと言うと

「ミミちゃんも頼まれたの? 僕もホンギさんに頼まれたんだよ~」とリョウク

「俺は別にお前らに気を使ってもらわなくても生きていけるんだよっ」

ヒチョルは眉間にしわをよせながらキャラメルマキアートを一口飲んだ


「それよりハンギョンさんから連絡ないんですか?」

リョウクが真面目な顔をしてヒチョルを見つめて聞いてきた





「ヒチョル・・・ごめん中国に帰ってくる」

ハンギョンの腕の中でまどろんでいたヒチョルの耳元で囁かれた言葉

さっき携帯に電話がかかってきたと思ったら突然の話だった


若獅子会の事務所にハンギョンの実家(チャイニーズマフィアだが)から連絡が入り

父親の容体が芳しくないから一度戻れとの事だと

カンインからハンギョンの携帯に連絡が来たのだった


「お前のお父さんが?・・・早くいってこい・・・」

ヒチョルはそう言うとハンギョンの瞳をまっすぐ見つめる


「うん・・・ごめんね・・ヒチョル・・しばらく連絡できない」

ハンギョンはベットの中のヒチョルに優しく口づけをすると

帰省への身支度を始めた

そして慌ただしく中国に行ってしまったのが一カ月前


一週間もすれば電話くらいは来るだろうと思っていたのに

いっこうにヒチョルの携帯には電話は入ってこない

しばらくは大人しく2人の住む部屋で待っていたが

あまりにもほっておかれたので若獅子会の事務所に乗り込んでいった

カンインも連絡がないと困り顔でヒチョルを見つめる

そんなカンインの姿を見て怒りが爆発したヒチョルは

事務所の中をあちこち蹴飛ばして八つ当たりをしまくっていた

八つ当たりに困り切ったカンインがホンギに相談をして

そんな事情を知ったホンギがヒチョルを慰めようと思い

非番の日に気晴らしをしようと誘った・・・・なのに・・・

言いだしっぺのホンギが彼女からの会いたいコールで

日本に飛んで行ってしまった


託されたソンミンとリョウクが

ヒチョルとお茶を飲んでいる・・・というのが今までの過程

ソンミンとリョウクにしてみれば

ハンギョンの不在の寂しさでヒチョルが投げやりになっていないか

すごく心配していたのだ


そして今日の非番は三人で楽しく過ごそうと計画を練っていた

「さあ~ヒチョルさん・・・これからどうしましょうか~?」

2013.06.02 初恋 7
【初恋】7


「はぁ~」

ハンギョンは寮の部屋のベットに寝転ぶと

天井を見つめてため息をついた


入学式で見かけた好みのタイプの美少女・・・

男子校に美少女なんておかしいと

同室のカンインに説明を求めたら男の子だと言われた

その子と知り合いになれるチャンスだったのに

自分の韓国語のスキルが無くて怒らせてしまったらしい

それ以来・・・視線も合わせてくれない状態が続いている

ハンギョンは悲しくて胸が痛くて

初めて感じる感情を持て余していた



「ハンギョン・・どうした? 元気ないけど」

シャワー室から出て来たカンインが濡れた頭を拭きながら

隣のベットでぼっとしているハンギョンに声をかける

「はぁ~」

「お前・・何ため息ついてんだ? 」

「ヒチョルはずっと怒ってるんですか? 僕を避けています」


最近イトゥクにハンギョン連れで会いに行くと

隣にいたヒチョルはすぐにどこかに行ってしまう・・

そんなことが続いていたのでカンインもおかしいと思っていた

「お前もしかして・・ヒチョルが好きなのか?」

ヒチョルに避けられていると思い、

すっかり凹んでいるハンギョンの様子を見ながら

カンインは気になっていた事を聞いてきた


「中国にいた時は・・・僕がニッコリするだけで

どんな女の子も付き合ってくれました」

「まあ・・それだけイケメンならそうだろうよ」

「ほとんど相手から告白されて・・僕から告白した事はなかったです」

「ふーんそうなのか?」

「ぼくの取り合いで女の子が喧嘩するので、僕は曜日を決めて女の子と付き合ってました」


はぁ~? 曜日ごとの彼女かぁ?最低でも7股かぁ?

カンインはハンギョンの話の内容に驚いて言葉がでない


「留学が決まってみんなに泣かれて・・・でも僕はホントはホッとしてた

一緒に韓国にくるって言う子もいたけど男子校だから・・って断って」

そこまで話すとハンギョンは急に涙ぐんでくる


「ヒチョルが気になる・・ヒチョルと話ししたい・・ヒチョルの笑顔がみたい・

なんで僕は嫌われてるのでしょうか・・・もっと韓国語を勉強しないとダメですか?」

「ちょ・・泣くな・・お前はゲイじゃないだろう?」

「女の子じゃないと勃ちません・・でもヒチョルなら大丈夫」

「そんなこと聞いてねーよ!!!!!」カンインは真っ赤になってハンギョンの頭を叩いた

ハンギョンは急に頭を叩かれたので

「また変な韓国語言いましたか?」としょんぼりする


「胸が痛くて辛いです・・・中国でこんな事なかったのに・・・」

すっかり萎れて沈み込んでいるハンギョンの姿をみて

カンインは意を決したように話しだす

「いい方法がひとつある・・・でも確立は50%だ・・・・

お前ヒチョルと騎士契約を結べ!!!!そうすれば卒業までパートナーでいられる」

カンインの言葉にハンギョンはうなだれていた頭を上げた

「騎士契約って・・・何?」







「ヒチョル~最近放課後どこに行ってんの?」

シャワーからあがったヒチョルに

ペットボトルの水を渡しながらイトゥクは興味深げに聞いてきた

水を一口のんでヒチョルは「生物室」とぼそっと答える

「え~もしかして部活・・自然科学部に入っちゃうの~?

僕の立ち上げた『アナウンサー研究会』に入ってくれないの?」

イトゥクは大きな声で文句を行ってきた

学校の決まりで

生徒は全員何かしらの部活に所属することになっている

イトゥクは自分で創立した部活に

ヒチョルを入れようと思っていたのだった

「アナウンサーって興味ねぇって断ったじゃん・・・

それに白衣のチビが健気にも1人で生き物の世話してんだよ

なんとなく手伝う事になっちゃって・・・通ってんだよ」

「白衣のチビって?」

「中等部のリョウクっていうチビが、ぶかぶかの白衣きてんだ・・

部長が高等部にいるって言ってたけど・・・姿みたことねぇな・・」


イトゥクがハッとした顔をしてヒチョルを見つめた


「自然科学部の部長・・カンインの友達でイェソンって言うんだ

あだ名は『天安の狂犬』今学校にいない・・・・」

「イトゥク・・・お前・・知ってんの? なんでいないの?」

「春休み中に襲われそうになったリョウクを守って大けがして入院中」

「え?」

「リョウクが着ている白衣は・・・イェソンのものだよ」



「じゃあ・・・俺が聞いた噂話って・・もしかして奴の体験だったのか?」

ヒチョルは、笑顔を絶やさずに生き物の世話をしているリョウクの姿を思い出した

あのぶかぶかの白衣を脱ごうとしないのはそんな理由があったのか・・・・


自分よりも年下の子供子供したリョウクに言われた事が脳裏によみがえってくる

ヒチョルは手にしたペットボトルを握りしめると

イトゥクにむかって口を開いた

「イトゥク・・・教えてくれ・・・騎士契約って何なんだ?」
2013.06.01 初恋 6
【初恋】6

「あれ・・ここどこだ?」

ヒチョルは食堂から無意識に走り去ったので

気付いた時には自分がどこにいるのか

把握できずにぼんやりとしていた


高等部の校舎ではなく

中等部との間にある特別教室棟にまで来たようだった

ヒチョルは深呼吸を何度かして胸のドキドキを抑えようとする


「さて・・・ここはどこだ? 特別教室棟?」

ヒチョルは落ち着こうと廊下の隅に座りこんだ


?

すると廊下の隅を白い物体がトコトコと歩いているのが見えた

「なんだ? 座敷わらしか?」

ヒチョルは子供の頃に読んだ

日本の妖怪図鑑(ヒチョルは図鑑の好きな少年だったので)の

座敷わらしを思い出して白い物体に目を凝らす

よく見ると白衣を来た生徒のようだった

「ちっちぇえな・・・中等部の奴かな・・・どこに行くんだろう」

白衣を着た生徒の後を追いかけるようにヒチョルも廊下を進んでいった

「あれ? 生物実験室じゃん・・・・」

4時間目に実験していた生物室にたどり着くと

生徒は教室の中の入って行った


ここからならなんとかHRに戻れる・・と

ヒチョルはほっと安堵のため息をついた


そろそろ5時間目の始まる時間になるが

ヒチョルは中に入って行った生徒が気になって

こっそりと生物室の中を覗き込んだ




「今からお掃除してあげるから待っててね」

ぶかぶかの白衣を着て腕まくりをしている生徒が

ハムスターのゲージを持ち上げていた


あっ・・・

白衣の裾がゲージにひっかかって金網が外れた

「ハーちゃん!!!!だめ~!!!」

中にいたハムスターが驚いて飛び出す

白衣の生徒はゲージを床に置いて慌ててハムスターを追いかけた


「あーあ・・・何やってんだアイツ・・」

なかなかハムスターを捕まえる事の出来ない生徒を見かねて

ヒチョルは素早く生物室の中に入りドアを閉めて

ハムスターを捕まえた


突然現れたヒチョルに白衣の生徒はビックリしてヒチョルを見つめている

「ほれ・・ハムスター捕まえたぞ」

やっと状況を把握できたのか生徒はニッコリと微笑んで

「お兄さんありがとう・・・ついでにまだ捕まえてて」と言うと

すばやくゲージの掃除にとりかかる


手の中でごにょごにょ動くハムスターに

ヒチョルはひまわりの種を与えながら白衣の生徒に話しかけた

「お前・・・ちっちぇえけど・・・中坊か?」

「はい・・中等部2年のリョウクと言います・・・自然科学部の部員です」

ゲージの下に敷いてあったシュレッダーくずをゴミ箱に捨てながら

リョウクと名乗った白衣の生徒は答えた

「お兄さん・・・見た事ないけど・・高等部からの編入生ですか?」

「ああ・・・まだ入学して1ヶ月だから・・学校の事よくわかんね~」

シュレッダー片の入った袋から新しいものを取り出して

ゲージの下に敷きながらリョウクはヒチョルの顔を凝視する

「お兄さん・・・騎士契約すませた?」

突然の質問にヒチョルは戸惑って質問をし返す

「ナイトってなんだよ・・・よくわかんね~けど

周囲から早く誰かと契約しろって言われた」

「お兄さんほど綺麗だと・・寄宿制の男子校だから・・

いろいろ厄介な事に巻き込まれるよ・・・」

厄介な事と言われてヒチョルはリョウクの顔を見つめて

「知ってる事教えてくれる? ゲージの掃除手伝うからさ」

リョウクはため息をひとつつくと

「僕は・・・噂しか知らないんですけどね・・・」とぼそぼそと話し始める







食堂から走り去ったヒチョルの分の食器を片付けながら

イトゥクは5時間目の授業のある教室に戻って行った


ヒチョルが怒ったと思ってハンギョンは落ち込んでいる

イトゥクは「後で連絡するよ」とカンインに耳打ちすると

「大ジョーブだから・・ヒチョルは怒ってないから」と

ハンギョンの肩を叩いて慰めの言葉をかけた


「それにしてもヒチョル・・どうしたんだろう・・・」

5時間目が始まってもヒチョルは教室に戻ってこない

イトゥクは担当の教師に、体調不良で保健室に行った・・と

適当な事を言い繕ってその時間をなんとか誤魔化す事に成功した

「ヒチョル・・ヨジャ日かな?」

本物の女の子に対して言ったら

セクハラで訴えられるような事をつぶやきながら

イトゥクは所在不明のヒチョルを心配していた

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