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【月と子猫とハンギョン~番外編 6】 出会い


ここは・・どこ?


暗い公園に猫のチョルは捨てられていた

見慣れない場所・・気付くと野良猫達が自分を威嚇している

自分に起きている状況が把握できずにチョルはベンチの隅にうずくまっていた



「この子とても美人さんね~」

チョルはお金持ちの家の老婦人に飼われていた

老婦人はチョルの美しさをいつも客に自慢しているような人で

チョルは何不自由することなく毎日を退屈にすごしていたのだった

そしてその退屈さはずっと続くと思われていた・・・

ある時、老婦人の姿が数日見えなくなったと思ったら、知らない男たちに捕まって

公園にごみのように捨てられていた

老婦人は亡くなって遺産相続人達により、猫のチョルは邪魔者扱いされたのだ

そんな事はチョルには分からない


「お腹空いたな・・・」

チョルは空腹に耐えられなくなって、公園をふらふら歩いてみた

食べ物のありそうな所に行くと強そうな野良猫達がチョルを威嚇する

喧嘩や争いごとなどを知らずに生きてきたチョルにとって

同じ猫だというのに彼らは恐怖の対象でしかなかった


「俺・・・このまま・・ここでお腹空いたまま死ぬんだな・・・」

チョルはベンチの隅にうずくまって、うつらうつらしていた


「おい!!!!お前・・・お腹空いてそうだけど・・食うか?」

チョルは人間に飼われていたので人間の言葉は理解できる

突然に声をかけられたのでびっくりして相手を見つめた

すると声をかけて来た青年はニッコリと笑い

「毒なんか入ってないぞ~」

と言うと手にしていた肉まんを一口自分で食べてみせる

もう一度手で肉まんをちぎるとチョルの口元にもってきて

「お前・・・お腹空いてんだろ?」と微笑んだ


チョルは目の前の肉まんに思わずかぶりついた

そしてガツガツと夢中で食べていた

その姿を青年は笑顔で見つめている



それ以来

青年は公園でチョルを見かけると

自分の食べていたものを分けてくれるようになった

そしてチョル相手にひとりごとのようにいろんな話をするようになった


お兄さん・・・チョルはその青年をそう呼んでいた

お兄さんと過ごす時間がチョルにとって楽しみな時間となっていた

どんなに野良猫に意地悪されようとお兄さんの笑顔を見ると

チョルは自分も幸せな気持ちになっていた

自分からは何も話す事は出来ないけど、お兄さんの話相手として役立っていると

それだけで嬉しかった


人間と猫の不思議な友情が芽生えていたのだった


ある日

動物保護団体のメンバーがチョル達のいる公園にもやってきた

野良猫の保獲が目的でチョルも捕まってしまう

檻に入れられ車でどこかに運ばれるらしい・・・チョルは檻の中であばれた

「こらっ!!!大人しくしなさい・・あなたは美人さんだから野良じゃなくて

ちゃんとした里親をさがしてあげるから・・・怪我しちゃうでしょ」



お兄さんに会えなくなる・・・

チョルの頭にはその事がすぐに浮かぶ

お兄さんの笑顔がもう見られなくなる・・・そんなの嫌だ・・・


チョルが暴れた事により檻の扉が開いた

チョルはその隙間から外に飛び出した


公園に戻らなくちゃ・・・お兄さんが待ってる・・・


チョルはひたすら走った・・・公園に向かって・・・

走って、走って、走って・・・・


あと少しで・・公園に着く・・お兄さん待ってて・・・





ドン!!!!!!

「きゃー!!!!!!」

鈍い音がして人々の悲鳴が聞こえた




ハンギョンは公園で、いつもの猫を探していた

「あれ? せっかくおでん買ってきたのに・・・どこ行ったんだよ」

あちこち覗きながら公園を歩きまわっていたら・・・・


「ママ~猫ちゃん死んじゃったの?」

子供がべそをかきながら母親の手をひっぱっている

「車にはねられちゃったからね・・あれでは助からないわね」

「猫ちゃん可愛そう・・・」



まさか・・・・


ハンギョンは人垣が出来ている公園の入り口に向かって走って行った



あっ・・・・


そこには車にはねられてぐちゃぐちゃな姿になった猫の遺体があった


「こいつは・・・あの猫・・・」

ハンギョンの話をいつも聞いてくれた猫の変わり果てた姿がそこにあった


ハンギョンは黙ってその遺体を両手で抱きかかえると

公園の中に入って行った・・・・



お兄さん・・・

チョルは魂だけになっていた・・・ハンギョンのすぐ横にいる


ハンギョンはチョルの遺体を公園の中の桜の木の下に埋めた

ちょうど子供が忘れて言ったシャベルがあったので

それを使って穴を掘った

「お前・・・こんなになっちゃって・・・痛かったよな・・

可哀そうにな・・・成仏しろよな・・・・もう会えないのは寂しいけど・・」

ハンギョンの瞳から涙が落ちた



その涙をみたチョルは自分もお兄さんに会えなくなる事に悲しくなった



ああああ・・・神様・・・お願いです・・・

もう一度お兄さんに会いたい・・・お願いします・・・

俺を・・ニンゲンに生まれ変わらせて下さい・・・・

神様・・・お願い・・・・ニンゲンが無理なら猫のままでもいいから・・・




********************************************************



ここは・・どこ?


チョルは自分が子猫の姿になっている事に気付いた

俺・・・どうしたんだっけ?

この姿になる時に誰からか一カ月だけだよ・・と言われた気がした


神様? 神様が一ヶ月間猶予をくれたの?

子猫の姿でよたよたと歩いていくと目の前にハンギョンの姿があった


あ・・・お兄さん・・


ハンギョンはチョルの遺体を埋めた場所にしゃがんで手を合わせている



にゃあ~

チョルは必死にハンギョンの元に向かう

神様がくれたチャンスを逃さないように

もう一度大好きなお兄さんに会うために・・・・


ハンギョンが足元にいる子猫に気付いた

「お前もひとりなのか?」


そして子猫のチョルをそっと抱き上げてくれた




お兄さん・・・会いたかった・・・

チョルは思いのたけを込めて「みやぁ~」と鳴いた




*「月と子猫とハンギョン」第1話に続く

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