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【パールサファイアの夜】 13


ホテルポセイドンの従業員専用口にタクシーを停めて

ギュリ達は迎えに来ていた男性と合流する

「ギュリさん? なんか大勢で・・現場の下見じゃないんですか?」

男性はホテルで広報関係の仕事に携わっているテヨンだった

テヨンはギュリの芸能事務所の雑誌関係の撮影時に

いつもホテルを使ってもらっているので、今日もその打ち合わせだと思っている


「下見よ!!!!この子達は・・助手だから・・現場体験とでもいうの?

まあぞろぞろいても気にしないで!!!本番ではいつものスタッフで来るからね」


「で・・・今回のコンセプトは?」

ギュリは困って言葉が出ない・・

「今回はMVでの撮影用に・・・偉い人の部屋を使いたいんです・・・

客室じゃなくて・・・できれば専務室とか・・・オーナー室とか・・・」

ギュヒョンが落ち着いた感じで話すと

「そうそう!!!!うちのガールズグループのMVで使いたいの~

イメージに合うかどうか・・・ちょっと覗かせてくれない?」

ギュリが笑顔で話しを合わせる


「オーナー室ですか? オーナー不在だったら・・何とかなるかもですけど・・・」

テヨンが不安そうに答えると

「とりあえず部屋の前まで案内して頂戴!!!!!」

ギュリはその魅力的な笑顔をテヨンに向けて強引にエレベーターに乗り込んだ







「ビジネスの話をしましょう・・・」

そうシウォンに言われてハンギョンはヒチョルの肩を抱きしめる

ヒチョルもハンギョンの手に自分の手を重ねて次の言葉を待っていた


「単刀直入に言わせてもらいます

実はこの度、私どもチェグループではホスト業界に進出することになりまして

業界ナンバー1の店を目指して、今あちこちのホストに交渉中なんですよ

まあだいたい交渉は成立したんですけど・・・・・

そして是非ともヒチョルさんにうちの店のナンバー1をして頂きたく

今お話をさせて頂いているわけです」


(これって・・引き抜きか? なんて大げさな事やってんだ?)

ヒチョルとハンギョンは思わず顔を見合わせた


「お前・・・バカか? 新しい店を作るのにあちこちから引き抜いてくる?

そんなことしても業界ナンバー1なんかになれねぇぞ」

ヒチョルは吐き捨てるように言った

シウォンは怪訝そうな顔をしてヒチョルを見つめる


「出来上がったものを寄せ集めたって全然魅力的なものは生まれねぇんだよっ」

「でもヒチョル・・あなたはとても魅力的だ・・あなたはあんなチンケな店じゃなく

もっと高級な品のある店でナンバー1でいてもらいたい・・・・

今の給料の2倍・・いや3倍は保障しよう・・・だから是非ウチの新店のトップとして・・」

「お前ってやっぱりバカだ!!!!!」

ヒチョルはシウォンの言葉を遮って叫ぶ

バカと呼ばれたシウォンは怒りで顔が赤くなっていた




その頃・・部屋の外では・・

「ギュリさん・・・困ります・・今オーナーいるみたいなんで・・

中には入れません・・」

オーナー室の前でテヨンがギュリを押しとどめようとする

「あら・・オーナーが中にいるの? ちょうどいいじゃない?

私が直接話をするわ・・オーナーのチェ・シウォンにね」

凄みのある笑顔をテヨンに向けると右手を上げる

後ろに控えていたホスト達がテヨンを押さえつけた


ギュリは優雅な足取りでオーナー室の扉をあけると

中で待機していた秘書にむけて笑顔で

「約束しているから・・・失礼するわ」と通り抜ける

「待って下さい・・オーナーは今・・誰も通すなと・・・」

秘書の制止をふりほどいて応接室へ通じる扉をあける


するとシウォンとヒチョル達がものすごい形相で睨みあっている姿が見えた



扉が開いてギュリ達が立っている姿を見てシウォンは

「誰も通すなと言ったろ!!!!!」と声を荒げる

ヒチョルはギュリ達の姿を見ると余裕の笑みを浮かべて話を続けた

「シウォン・・・お前ってさ・・水商売初めてだろう?

ホストもキャバクラもさ店のナンバー1って店が決めるんじゃねぇんだよ」

「・・・・・・・・」

「店に遊びに来る客が決めるんだよ」


シウォンの顔がピクりと動く・・・


「俺はたしかに今、金が欲しくてこんな仕事してっけどさ・・・

それだけじゃねぇんだ・・・俺は店に・・・オーナーに拾ってもらったんだよ」

たたみかけるようにヒチョルが言う

「ヒチョル・・・やめろ」ハンギョンは思わず叫んだ

ヒチョルはハンギョンの方を向いて「大丈夫だから」と言うと話を続けた

「昔の俺は、金の為に体を売ったりしてサイテーな生活していた

生きていく上で仕方なかったけど・・・性格も悪くて・・どうしようもないサイテーさだった

そんなどん底な生活から抜け出せたのは・・・ハンギョンと店のおかげだ・・」


シウォンは黙ってヒチョルを見つめている

「ハンギョンはどん底の生活をしている俺を・・・全てを知った上で愛してくれた

店の連中も・・・人間以下だった俺を・・人並みに・・人間として扱ってくれた・・・

だから・・・俺は・・・サイテーな奴から抜け出す事ができて・・・

今の俺があるのは・・・ハンギョンと店のみんながいたからだ・・・

ナンバー1としての俺は・・・みんなのおかげで生まれ変わってからの俺なんだ・・」

ヒチョルの瞳から涙が溢れだす

ハンギョンは辛そうな顔をして

ヒチョルを後ろからやさしく抱きしめる


「給料を2倍もらおうが10倍もらおうが・・・俺はお前の店なんかに行かない」

ヒチョルは涙でぐしゃぐしゃになった顔のままシウォンに向かって叫んだ



「人は・・・生きていく上で守らなければいけない義理があるんだよっ!!!!!!」




「ヒチョル兄さん・・・」ギュリの後ろにいたリョウクがすすり泣きだした

ソンミンも下を向いたまま顔を上げられないでいる

ギュヒョンはヒチョルの過去を知って驚きのあまり茫然と立ちつくしている

ギュリは瞳から涙を流しながらも

ヒチョルの言葉に嬉しそうにうなずき微笑んでいた



シウォンは何も言えずにその場に座りこんだ



「俺が・・パールサファイアを辞める時は・・ホストを辞める時だから・・・」





「シウォンさん・・・私の大事な従業員を返して頂くわ・・・・

今回の拉致の件は警察には届けないでおきます・・・・

貴方も経営者なら・・もっと慎重に行動すべきだったわね・・・

人の心は金では買えないって分かったでしょう・・・・」

ギュリはシウォンにそう告げると

「さあ・・お店に戻るわよ・・支配人が心配しすぎて倒れてるかもしれないわ」

後ろに控えていたホスト達と一緒に部屋から出ていった


床に落ちていたウィッグを拾いながらヒチョルは

座りこんでいるシウォンに向かって言った

「もう・・うちの店を引っかき回さないでくれ・・・

客として来るなら・・・拒みはしないけど・・・・」


え?


シウォンは今何を言われたのか分からずにヒチョルの方を向く


ヒチョルはいたずらっ子のような笑顔を向けると

ハンギョンの腕を組んでギュリ達に続いて部屋を出ていった



「クックックックッ・・・ハッハッハッハ・・・」

その場に残されたシウォンは自分でも分からないうちに笑いだしていた

そして涙を流している自分に気付き驚く・・・



しばらくその場に座ったままシウォンは泣きわらいを続けていた
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