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【クリスマス】パールサファイアの夜 番外編 2


街はクリスマスのイルミネーションでキラキラと輝いていた

母親がめずらしく上機嫌で遊園地に連れて行ってやると言って

子供心にもヒチョルは嬉しかった

今まで着た事のないような新しくて可愛い服を着せられて

母親に手をひかれて遊園地の入口までやってくる

クリスマスイブと言う事で周囲は家族連れで賑わっていた

ヒチョルには物心ついた時には父と呼べる人はいなく

母親は男にだらしのない人で、いつも違う男を部屋に連れ込んでいた

ヒチョルの育児も放棄しているような状態だったが

どんなに折檻されても、どんなに冷たくされても

ヒチョルは母親の事が好きだった


だから今日は普通の家の子供と同じように

母親と出かけられる事にワクワクとしていた


「ヒチョル・・今ね入場券を買って来るから・・ここで待ってなさいね」

優しくヒチョルの耳元で囁いて母親はヒチョルのそばから離れていく



「あれ? あの子・・・だいぶ前からあそこに立ってるけど・・迷子かな」

遊園地のスタッフが気付いてヒチョルに声をかける

「君・・・どうしたの? 迷子? だれときたの?」

「お母さんが・・入場券買って来るから待ってなさいって・・・」

その答えを聞いたスタッフの1人はすぐに怪しいと感じた

なぜなら、そのスタッフは2時間前にヒチョルの姿を見かけていたからだった

「ここは寒いからお姉さん達と一緒に中でお母さんを待とうね」


夕がたになってもヒチョルの母親は現れる事がなく

警察に保護される事になった

ヒチョルが覚えていた住所に警察官が訪ねていくと

すでにもぬけの殻で誰も住んでいなかった


ヒチョルは6歳の時

クリスマスイブの日に遊園地の前で母親に捨てられたのだった




「あああっ・・お母さん・・俺をおいていかないで・・・」

ハンギョンの横で寝ていたヒチョルが突然夜中に叫んだ

飛び起きたハンギョンは泣きぬれているヒチョルの顔をみて

(何年かぶりに、捨てられた日の夢を見ているんだ)と感じると


ヒチョルの体を強く抱きしめて耳元で囁く

「ヒチョル・・・ヒチョル・・・大丈夫だよ・・俺がいるから」

触れるだけの優しいキスを何度もヒチョルにおとす

耳元で何度も何度も「愛しているよ」と囁いて

強く強く抱きしめる・・・・


ヒチョルの瞳がぼんやりと開いてハンギョンを見つめる

「ハンギョン・・・」

「そうだよ・・ヒチョル・・俺はここにいるよ」

「ごめん・・・何年かぶりにあの夢を見た・・・」

ヒチョルは力なく微笑む


そんなヒチョルを痛々しく感じ

ハンギョンは抱きしめている腕に力を込める

「ハンギョン・・・悪夢を忘れさせて・・」

ヒチョルはそう言うとハンギョンの唇に自分の唇を重ねた





リョウクは洗濯を干し終わり

リビングに掃除機をかけている時に

部屋からハンギョンが出てきた

「ハンギョン兄さんおはようございます」

「ああ・・・リョウク・・・おはよう」

心なしか疲れている表情のハンギョンは

冷蔵庫から水を出して一口飲むとため息をひとつ吐いた


「ゆうべ・・・何年かぶりにヒチョルがうなされた」

ハンギョンの言葉を聞いて驚いてリョウクは振り向き

「まさか・・捨てられた時の夢を?」とつぶやいた


「今までイブは仕事だったから気にも留めてなかった

イブのトラウマが目覚めてしまったんだな・・・」

ハンギョンはリョウクに向かって

「もう少し寝かせてやってくれ・・・

悪夢を忘れさせるために・・ちょっと激しく愛しすぎた・・」

少し恥ずかしそうに笑うとシャワールームに入っていった





「お前・・・なんでこの施設きたんだ? 両親しんじゃったのか?」

施設でヒチョルと初めて会った時の事を、リョウクは思い出していた


施設の職員に『野良猫ヒチョル』と呼ばれていたヒチョルは

誰にも懐かず冷たい瞳をしていた少年だった

リョウクはそんなヒチョルになぜか懐いて、いつも後ろ姿を追いかけていて

最初は嫌がっていたヒチョルも最後は諦めたように

リョウクを可愛がってくれるようになった


施設で一緒のベットで寝ている時もヒチョルは時々うなされていた

捨てられた悪夢がヒチョルを悩ませていたのだった


ヒチョルが施設を飛びだす事になる事件以来

数年ぶりに再会したリョウクは、

ヒチョルの変貌に別人かと思った位だった

ヒチョルの方から声をかけてくれなかったら気付かなかっただろう

ギスギスした野良猫の雰囲気は全くなくなり

幸せいっぱいのオーラに包まれている

愛する人に愛されている・・・

愛に飢えていたヒチョルは

ハンギョンからの無償の愛をたくさんもらって

別人のように輝き始めていたのだった


「ヒチョル兄さん・・・まだトラウマになってたんだ・・・」

リョウクは掃除機の手をとめ

「でも大丈夫だよね・・・ハンギョン兄さんもいるし・・パールサファイアのみんなもいるし」

そう呟くと笑顔をつくる

「大丈夫・・・大丈夫・・・みんな幸せになれるんだよ」と呪文のようにとなえて

掃除の続きを始める



イブは明日にせまっていた







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