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【思い出のシナワールド】後編

「うわぁ・・・すっかり変わっちゃったね」

高速宇宙バスを降りて

ヒチョルは辺りをキョロキョロしながらハンギョンに言った


「たしかに・・・昔は、ドーンと遊園地入口があったけど

今は入り口までの間にいろんなお店が並んでいるね


昔一世を風靡した星間アイドルのシナ

彼らがアイドルを引退した時に共同出資して星を買って

そこに子供たちが笑顔で過ごせる場所「シナ・ワールド」を建設した


シナのメンバーはそれぞれ個人活動していたが

基本はここの遊園地経営という揺るぎない信念をもっていたので

ファン達からも支持されて黒字経営となっていた

開園してから気付けば30年近くが過ぎていて

そこここ老朽化が目立ってきたために

遊園地だけではなくリゾート施設としてのシナワールドとして

リニューアルを果たしたのだった


あくまでも噂だったが

メンバーは相変わらず仲が良すぎて

次は老人ホームの建築という晩年計画まであるらしい・・・


遊園地は前回カンインやイトゥクと一緒に行ったっきりだったので

ヒチョルとハンギョンは少し照れながらも

子供たちに混じって入場券を購入した


2人は手をつなぎながら奥にある遊園地ゾーンまで歩いていく

途中プールゾーンの横を過ぎる時にヒチョルはハンギョンの腕を掴んで叫んだ

「あの人・・・まだあんなことやってる・・・」


ウォータースライダーも昔よりもリニューアルされていて

数段高い場所からの落下になっていた

その乗り場の所にちらちらと動く麦わら帽子と

微かに聞こえてくるおなら体操の歌・・・・

どんなに麦わら帽子が似合っていても

彼は間違いなく元アイドルだった

そして見せられたアイドル時代のライブ映像では

ものすごくカッコ良かった

「昔カッコ良かったけど・・・今のあの楽しそうな笑顔も素敵だな」

ハンギョンはヒチョルにそう言うと

「そうだね・・・今のシナの人達・・みんな素敵なおじさんだね」

ヒチョルは懐かしそうに微笑みながらハンギョンの腕をぎゅっと掴む


「今日はもちろんプールに入らないからね」

ハンギョンは優しく微笑むと

「もう少し先まで行くから・・・・」とヒチョルに言った



「うわっ・・・観覧車・・でっけ~」

「ヒチョル・・そんな見上げると、ひっくりかえるよ」

ハンギョンは体を反り返して観覧車を眺めているヒチョルを

あわてて支えながら

「リニューアルでこのあたりで一番の大きさになったようだよ」と説明する


2人はしばらく子供たちに混じって並んで、観覧車に乗り込んだ


「やった・・ピンクだ・・」ヒチョルが小さく微笑んだ

2人の乗った箱はヒチョルの好きなピンク色

カラフルな色とりどりの箱がある中でピンクが当たって

ヒチョルはちょっと得意そうな顔をして

ハンギョンの向かい側に座った


2人が恋人同士になって6年が過ぎた

前回のシナワールドに来た時に

ハンギョンは必ずやりたいと思った事があったのに

ずぶ濡れ事件ですっかり忘れてしまい

その後も遊園地に行く事もなかったので

やっとそのチャンスが今日巡ってきたのだった


「お前・・何きんちょーしてんだよ・・」

ヒチョルは楽しそうに外を眺めながらハンギョンに言う

「宇宙船は平気で操縦できんのに・・・高所恐怖症じゃねーだろ?」

「違うよ・・・ヒチョルみたいに2階の窓から飛び降りる事はしないけど」

ヒチョルがムッとした顔でハンギョンを睨む

「お前・・何、昔の事いってんだよ・・・俺・・軟禁状態だったんだぞ

部屋の窓から飛び降りなきゃアカデミーに入学できなかった・・・

お前と会う事も出来なかったんだからなっ」

今にも泣きそうな顔してハンギョンに文句を言うヒチョル


(そうだ・・そうだったね・・入学式で出会って・・・最初は友達だったけど

今では・・・僕は君がいないと生きていけない位・・

君は僕の中で一番大事な人になっていた・・・)

ハンギョンはヒチョルと出会ってからの事を思い出していた


「おっそろそろ・・てっぺんじゃん・・すっげーな」

ハンギョンはヒチョルの声を聞いて我に返った


そろそろ・・・頂上・・・・始めるとするか・・・


カタン

観覧車が頂上に到達したと同時に箱の中のランプが点灯する

これは観覧車に乗るカップルに向けてのサービスの一環だった


「ヒチョル・・」

窓から外を眺めていたヒチョルがハンギョンの方を向く


ハンギョンが真面目な顔をしてヒチョルを見つめていた

ヒチョルもハンギョンの様子に少し緊張して次の言葉を待っている


「キム・ヒチョルさん・・・僕はあなたを愛しています

一生かけて愛し続けます・・・初めて会った子供の頃から決めてました

僕は一生あなたを守り続けます」


「・・・・」

ヒチョルはハンギョンの言葉を大きな瞳を見開いたまま聞いている


「だから・・・あなたの残りの人生を全て僕に下さい」

ヒチョルの瞳から涙があふれ出てくる

ハンギョンはカバンから小さな包みをふたつ取り出し

ヒチョルの手のひらにそれらを乗せる

ヒチョルは涙をぼろぼろとこぼしながら

それらの包みを開けてみた

ひとつは一対の結婚指輪

もうひとつはヒチョルが子供の頃に祖父から貰った

イスマン三世の即位記念の金貨にチェーンをつけて

ネックレスにしたものが入っていた

「お前・・・これ・・・」

「初恋のお姉さんから貰った大事な金貨・・・・

その初恋のお姉さんがヒチョル本人だったと分かって

いつか返そうと思ってたんだ」

そう言うとハンギョンは指輪の方の箱を手に取り

「僕の一生のパートナーになってください」と

ヒチョルに正式にプロポーズをした



ヒチョルは感動のあまりに声がでない

顔も涙でぐちゃぐちゃだった


あまりにも返事がもらえないので

「僕じゃ・・ダメなの?」と不安そうにハンギョンは呟くと

「ちがう」とヒチョルは頭を横に振った


「俺でいいの? 俺・・勘当されてるから金も親戚もなんもない

一人ぼっちだ・・・」

ハンギョンはヒチョルを見つめて優しく微笑む


「俺・・・俺もお前を愛している・・・一生一緒にいたい」

そう言うとヒチョルはハンギョンの腕の中に飛び込んだ


観覧車の箱が少し揺れたけど

宇宙船を操縦するような2人には

それ位の揺れは何も無かったように感じた


抱き合った2人はお互いの顔を見つめあい

愛の言葉を何度も囁きあいながら

お互いの唇を重ね合った


いつもと違う

崇高な誓いのキスだった


お互いの唇が離れると

ヒチョルは涙でぐしゃぐしゃになった顔を

袖口で無造作に拭くと自分の左手をハンギョンに差し出した


「これはカップルリングというよりもマリッジリングだろ?

俺は一生お前のものだという証だ。俺の指にはめて」


ハンギョンは小さく頷くとヒチョルの左手の薬指に指輪をはめる


ヒチョルはその指を窓の方に向けてキラキラと輝かせた

装飾の少ないシンプルなプラチナのリング

ヒチョルはしばらく嬉しそうに眺めるとハンギョンの左手を掴み

「お前は一生俺のものだという証をつけてやる」と言って

ハンギョンの左薬指にお揃いの指輪をはめた


ヒチョルはハンギョンの胸にぎゅうっと抱きつくと

「お前・・・浮気したら絶対に許さないからな」と物騒な事を呟いた


「浮気なんて出来る訳ないよ・・・

7歳の時からずっとヒチョル一筋なんだから」

ハンギョンはそう言うと優しくヒチョルの髪をなでる

ヒチョルが恥ずかしさを隠すための発言だと分かっているので

ますます愛おしさで胸があふれそうになる



不思議だな

僕たちって運命の糸で結ばれているんだ

だから何度出会っても僕はヒチョルを愛するんだ

多分生まれ変わっても・・・それは変わらない・・・


あの子供の頃

本気で守ろうと思っていた綺麗なチョルお姉さん

そのお姉さんは事故で過去に飛ばされたヒチョル本人だった


「ヒチョル・・今度母さんの墓参りに一緒に行ってくれる?」

「うん・・・俺・・お前のお母さんに世話になったからな」


2人は観覧車が下に着くまで

お互いに抱き合ったまま涙を流していた



ハンギョンが6年前にやり残したことは

観覧車での恋人同士のキス


でも今回は

一生忘れられない観覧車でのプロポーズがそこに加わった









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