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2013.06.30 初恋 9
【初恋】9

季節は梅雨に入り

毎日雨が降り続いているソウル郊外

聖SJ学院の遠足は明日に迫っていた


高等部1年の遠足は近くの山に「ハイキング」

中等部からの持ち上がり組と編入試験の入学組との交流を深めるために企画されたもので

もうずっと恒例になっている


しかしハイキングとは名ばかりで

実際の所「登山」と言っていいものだった



そして遠足の当日 梅雨の中休みを想わせるように

空は晴れて遠足日和となった




「あれ? カンイン・・・クラス違うよな・・なんで俺達といるの?」

ヒチョルが不思議そうにカンインの顔をみつめて言う

『登山者入口』と書かれた札の前でクラス点呼を取り終えた後に

グループ毎に分かれるはずだった

ヒチョルはイトゥクと一緒だったが

いつの間にか一緒のはずの2人組が消えて

カンインとハンギョンがヒチョル達の前に立っている


「ヒチョル~騎士契約してるからカンインは俺のために来たんだよ」

イトゥクがニコニコしながら話をする


ヒチョルは結局まだ誰とも騎士契約をしていなかった

ハンギョンの事が気になっても、仲が進展することもなく

相変わらず避けて過ごしていた

ハンギョンがすぐそばにいる・・・そう思っただけで心臓が破裂しそうだった


ヒチョルはその胸の疼きが何なのかを知らないで困惑していた

ハンギョンはハンギョンで切ないそうにヒチョルを見つめている

(なんでハンギョンがいるんだよ・・)

ヒチョルはそっと息を吐くと胸のドキドキを抑えようとする


イトゥクの説明だと「騎士契約」をしている2人に周囲が気を利かせて

遠足の間は側にいられるようにしたとのことだった


ヒチョルはとにかくドキドキする姿を見られたくなくて

ずんずんと先に進んでいく

「ヒチョル~最初からそんなに飛ばすと疲れちゃうよ~」

イトゥクの忠告にも耳を貸す事なく黙ったまま道を進んでいく

イトゥクとカンインは話をしながら進んでいくのに

ヒチョルとハンギョンは押し黙ったまま道を進んでいった


あっ・・・・・

昨日までの雨で地面は濡れているのでヒチョルの足が滑った


ヒチョルを心配したハンギョンがすぐ後ろにいたので

とっさに腕を掴まれ、ヒチョルは転ぶことなく済んだ


「大丈夫? 土が濡れてるから・・・気を付けて」

ハンギョンが掴んでいる腕が熱い

ドキドキがそこから新たに発生してくる


「ひとりで歩けるよ」

恥ずかしさからハンギョンの掴んでいる腕を振りほどく


ハンギョンが瞬間寂しそうに顔を歪めたのが目に入ったが

ヒチョルは自分でもどうしたら良いのか分からずに下唇をそっと噛んだ


「ヒチョル~ちょっと休憩しようよ~」

イトゥクの提案で少し休憩することにした


「イトゥクの言うとおり、

ヒチョルはハンギョンをかなり意識してるね」

カンインはイトゥクの耳元で感想を述べ

2人の様子を面白そうに伺っている


4人は山道の途中の少し平らになっている場所で

休憩することにした


後から生徒達が休憩中のイトゥク達を抜いていく

道の端っこは崖だから気を付けるようにと

イトゥクは自分達を抜いていく仲間に声をかけた


そんなイトゥクを見つめてから

ペットボトルの水を一口飲んで

ヒチョルは道端に生えている大きめの木に寄りかかった




ミシミシ・・・




梅雨の長雨で地盤が緩んでいたのか

木が害虫か病気のために中側から腐っていたのか

ヒチョルの寄りかかった木が嫌な音を立てた



あ・・・・


ヒチョルが気付いた時にはバランスを崩して

木とともに後ろの崖に落ちていく


うそだろ・・・


ヒチョルは落ちていく瞬間ハンギョンの方をみた

心の中で(助けて)と唱えるのが精一杯だった






ハンギョンはずっとヒチョルの姿を目で追っていた

自分は嫌われている訳ではないとイトゥクが説明してくれていたが

こうも避けられてばかりだとどうしても気持ちも凹む


ヒチョルが木に寄りかかって水を飲んでいる

自分も水を飲もうかと思った時に嫌な音が聞こえた

あわててヒチョルの方を向くと

ヒチョルの体が寄りかかった大木と共に

後ろの崖に落下しようとしているのが視界に入った


その瞬間ヒチョルと目があった



たすけて


ヒチョルの声がハンギョンには聞こえた


「ヒチョル~!!!!」



ハンギョンは躊躇することなく

落下していくヒチョルにむかってダイブした





「ヒチョル~!!!!」

「ハンギョン~!!!!」


イトゥクとカンインの絶叫が周囲に響く


ヒチョルを腕に抱きとめたまま

斜面を転がり落ちていくハンギョンの姿を周囲は唖然と見つめていた
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