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2013.12.16 桃源郷 3
[桃源郷] 3


ヒチョルは電話で指定された場所に立っていると

軽くクラクションがならされて黒い車が止まった


運転席の窓が開くと誠実そうな男性がヒチョルに合図を送る

慌ててヒチョルは車まで走って助手席に乗り込んだ


「ナカヤマさん・・ハンギョンに何があったんですか?

俺に会いたいって・・でも本人とは全く連絡とれなかったのに」


ヒチョルの真剣な表情にナカヤマは一瞬黙って言葉を探している


ヒチョルはその様子を見てモヤモヤした気持ちを思い切ってぶつけてみる


「ハンギョンは・・・病気なんですか? 助からない病気とか?」

「キムヒチョル・・・すごいな・・君は・・・」


ナカヤマの返事にヒチョルは愕然とする

否定してもらえると思っての言葉だった・・・なのに・・・これって・・


ナカヤマの運転する車は大きな近代的な建物の地下に入っていった

「地下駐車場から行くから一緒に付いてきて・・・」

エレベーターに乗り込んでナカヤマが行先の階のボタンを押した



扉が開くとホテルのような絨毯の敷き詰められている廊下を抜けて

VIP専用の個室が並んでいる一角に出た

そのうちの一つをナカヤマがノックをして開ける


部屋の中には何人かがベットの横に集まっていて

一斉に扉の方を振り向いた


「ヒチョルくん・・・間に合ったのね・・・」

小柄な中年の女性がヒチョルに向かって声をかけてきた


「おかあさん・・・」

中年の女性はハンギョンの母親だった

涙をハンカチで拭うとヒチョルを優しく抱きしめる


「あの子がずっとあなたの名前を呼んでいるの・・・

間に合ってよかった・・・あの子に声をかけてあげて・・」


母親に促されてベットの方を見ると



生命維持装置がつけられた状態のハンギョンの姿があった



うそだろ・・・・



ヒチョルはベットの横にのろのろと近づいて行った

母親がハンギョンの耳元に何かをささやく

ハンギョンの苦しそうに閉じられていた瞳がゆっくりと開いた



ヒチョル・・・


ハンギョンの口がヒチョルの名前を唱える

ヒチョルを優しく見つめる瞳・・・昔と変わらない


「ハンギョン!!!!!何だよ・・どうしたんだよ・・・」



ヒチョル・・・コマウオ・・・


ハンギョンの手がヒチョルに向かって伸びる

ヒチョルはその手を両手で握りしめて自分の頬にあてた

「バカ・・・バカ・・・」

涙があふれ出てハンギョンの手を濡らした



「ヒチョルくん・・・私たちは部屋から出るから

あの子の頼みなの・・最期はあなたと二人でいたいって・・・」

ハンギョンの母親はそういうと身内を連れて部屋から出て行った



ハンギョンは苦しい息の下から何とかヒチョルと話をしようとしていた

ヒチョルはハンギョンの言わんとする事を聞き取ろうと必死に耳を傾ける


ハンギョンの残された時間はあと僅かしかないと

知識のないヒチョルでも分かるくらいだった


見つめあうお互いの瞳から涙が流れる


ヒチョル・・・ありがとう・・君と・・出・会えて・・幸せ・・だった・・

あ・・い・・し・・て・・る・・・



その言葉を残してハンギョンは逝ってしまった
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