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[湖畔の囚われ人]2


その昔

ヒチョルが天界で暮らしていたころ

ヒチョルには相思相愛の恋人がいた

天界をつかさどる天帝の側近中の側近

文武両方に優れていて誰もが見とれてしまうくらいの美丈夫


ヒチョルと同じ龍族の韓将軍がヒチョルの恋人だった


2人は天界でも有名なほどに愛し合っていて

その仲の良さには天帝さえ目を細めてほほ笑んでしまうくらいだった


そんな2人を邪魔する輩が出てきた

ヒチョルに懸想した韓将軍の部下である劉将校が

ヒチョルを自分のものにしようとしたのだ

靡かないヒチョルを憎み劉将校はヒチョルを人間界に封印してしまった


韓将軍は劉将校の裏切りを知り即座にその命を奪った


天界では流血沙汰はご法度である

そのことを重々承知の上で韓将軍は腹心の部下の命を断ったのだ


天帝はヒチョルを救出しようと画策したが

ヒチョルが人間と氏神としての契約を交わしたことになっていたので

手の打ちようがなかった・・・たとえそれが謀られたものだとしても・・・


ヒチョルが閉じ込められた湖の結界の中に

韓将軍は立ち入ることができなかった・・たとえ天帝でも結界を解くことは無理で

使いとして白蛇のイトゥクを時々送り込むことがやっとだった


人間世界で200年の時間が過ぎてしまった

今でも韓将軍は結界の外からヒチョルの事を案じている・・・・・





はぁ・・・・・

リョウクとお揃いの可愛いチャイナドレスを着たソンミンは

チョウミの説明を聞き終えて小さなため息をついた



「ヒチョル様はあまりのショックから

天上界で生活していた頃の記憶がないんだ・・・

ハンギョン様の事も覚えてないんだよ」


リョウクは辛そうに顔をゆがめて眼がしらをハンカチでぬぐう


「あれ? ヒチョル様は? 」ソンミンがキョロキョロと周囲を見回すが

ヒチョルの姿は見えなかった


「多分・・・いつもの場所ね・・・」チョウミが小さくため息をつくと

ソンミンに手招きをする








結界の内側ぎりぎりの湖の畔にヒチョルは佇んでいた

ソンミンがそっと近くに行くと

ヒチョルはその気配に気づいて振り向いた

そしてソンミンにやさしくほほ笑む


「俺・・・天上界で暮らしていた時の記憶がないんだ・・・

でも愛おしい人がいた・・という記憶は残ってるんだよ」

ソンミンは黙って聞いている

ヒチョルは空を仰ぐと

「相手の顔も名前も浮かんでこないのに・・・抱きしめられた暖かい腕や

やさしい声なんかがぼんやりと思いだされるんだ・・・

ものすごく切なくなってここにきて空を見てると

なんか少し落ち着くんだ・・・」


「いつか・・・天上界に戻れますよ・・・人間界の時間なんてすぐに過ぎます」

ソンミンの言葉にヒチョルは小さく笑うと


「ソンミンありがとう・・・ソンミンが来てから

リョウクもチョウミもよく笑うようになった・・・・

ソンミンだって恋人と会いたいだろうに・・こんな湖の底で

俺なんかの世話をしてくれて・・ごめんね・・・」

ソンミンの頭をやさしくなでる


(この人は・・・自分がすごく傷ついてるのに・・・

他人の痛みにも敏感で繊細なんだ・・・)


ソンミンは思わず泣きそうになるのをこらえて笑顔を作る

「今日はお客さんが来るんですか? リョウクがすごく張り切ってました」

「うん・・もう戻ろうか・・ソンミンは初めて会うんだな・・・

天帝さまのお使いが来るんだよ・・・天上界の美味しいお菓子とか持ってきてくれるよ」



ヒチョルが閉じ込められている結界

人間との氏神契約のせいで天帝も救い出すことが出来ない

ソンミンは自分が飛び降りた崖の所に小さな祠があったことを思い出していた


あの祠・・・幽閉状態と関係してるのかな・・・


今では村の誰もが見向きもしない朽ちかけた祠に

ソンミンはヒチョルが愛する人と再会するのも

そう遠くないように感じた





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