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2014.07.29 Regeneration 6
[Regeneration ] 6



ヒチョルは魔界から人間界に追放された時期があった

ヒチョルを巡っての色恋刃傷沙汰が発生して

本人には自覚がなかったために反省させるための処置として

能力を封じられて人間界に落とされたのだった




「痛ってぇ・・・」

気づくと道路に思いっきり体をぶつけてヒチョルは小さく毒ついた

周囲を見回すと季節は冬で雪が積もっている

時間は夕刻を過ぎたあたりで人々は家に帰るのに足早に去っていく

「さて・・・どうすっかな・・・」

ヒチョルは道端に座り込むとぼんやりと雑踏の人々を見つめていた


突然人間界に落とされて

能力を封じられて

無期限の反省期間

いつもポジティブなヒチョルもさすがに凹んだ



「ねぇ・・君? こんな所でどうしたんですか?」

急に声をかけられて驚いて顔をあげると

牧師の服をきた男性がヒチョルに話かけてきた

(げっ・・こいつ・・・牧師かよ・・・俺・・悪魔だとばれたら退治されちゃう・・)

そう思った瞬間に

自分は能力を封じられて人間にしか見えない事を思い出した

「行くところないのですか? ここは寒いから良かったら家にいらっしゃい」

優しい笑顔をむけて牧師はヒチョルを自宅に招き入れた


牧師は小さな教会の裏手に建てられた質素な平屋に住んでいた

中は必要最低限のものしかなかったが

暖炉には薪がくべられていて部屋はほどよく温められている

「家出でもして来たんですか? 名前はなんていうのですか?」

温めたミルクを差し出しながら牧師は訪ねる

「あったかい・・・」カップを受け取ってヒチョルは呟いた

「私はハンギョン・・見ての通りで

ここの教会で牧師をしてます」

ハンギョンと名乗った牧師の笑顔が眩しくて

ヒチョルは思わず瞳を伏せて小さな声で「ヒチョル・・・」と名乗った

「ヒチョル・・・きれいな名前ですね・・・君に似合っています

行くところがなかったら・・・しばらくここで私の仕事を手伝ってくれませんか?」


え????????何言ってんのこいつ・・・


驚いてヒチョルが顔をあげるとハンギョンがニコニコしながら返事を待っている

その笑顔につられるようにヒチョルは思わずうなずいていた




季節はクリスマス間近

近くの孤児院や婦人会や子供会などのクリスマス会など

教会を使用するイベントなどたくさん予定されていた

ハンギョンはどうやら1人で教会を切り盛りしているようで

いつの間にかヒチョルもすっかりその手伝いをするのが日課になっていた

食事は質素ながらハンギョンがいつも暖かいものを作ってくれていた

ヒチョルは人間界に落とされている間に

悪魔なのにも関わらずもっとも人間らしい生活を過ごしていたのだった



そしてヒチョルに無償の愛情で世話をしてくれるハンギョンを

いつしか好きになってしまっていた

ハンギョンとの生活にヒチョルは小さな幸せを感じ始めて

もう魔界に戻れなくても、ずっとこのままの生活で構わないと思い始めたころ

ハンギョンが病気で倒れた・・・・・




「ヒチョル・・・・私はもう長く生きられないのを知ってます」

ベットの中で起き上がることもできずに弱々しくほほ笑むハンギョンの姿に

ヒチョルは涙を抑えることが出来ないでいた

「俺なんかを拾って・・・世話してくれて・・・ごめん」

ハンギョンはヒチョルの顔に手を伸ばして

頬をつたう涙をやさしく拭ってくれた


「私が死んだらヒチョルは行くところがあるんですか?」

ヒチョルは黙ったまま頭を横に振る

「元の世界から迎えに来てもらえないんですか?」

ハンギョンの言葉にヒチョルは驚いて目を見開いて息をのむ

ヒチョルのその様子にハンギョンは小さく笑いながら

「初めて会ったときに・・・私にはあなたの背中の羽としっぽが見えました

何かの事情があって人間界に落とされた天使か悪魔・・・しっぽがあるから

悪魔の方かなって・・・・」

「何で・・・俺の事気づいてて・・・」

「何ででしょうかね・・・不思議ですね・・・・

私は神に仕える身なのに・・・あの時あそこで途方に暮れていたヒチョルを

見過ごすことができませんでした」

「ハンギョン・・・・」

「ヒチョルが私の作ったごはんを美味しそうに食べる姿や

私の話に笑う姿・・・孤児院の子供たちと楽しそうに遊ぶ姿を見ているうちに

私はいつしかヒチョルを・・・好きになってしまっていました」

「え?」

「神に仕える身分でありながら悪魔と知ってて愛してしまった・・・

多分これは神からの罰なんだと思います」

そこまで話すとハンギョンは苦しそうに眉間に皺をよせて一呼吸おいた


ヒチョルはハンギョンの手を握ったまま涙がとまらない

「俺・・・俺も・・お前が好きなんだ・・・お願いだから死なないで

俺を一人にしないで・・・・俺を置いていかないで・・・」

ヒチョルの返事にハンギョンは少し驚いた様子で黙って見つめていた

そして優しくほほ笑むと

「私も初めて神への信仰心を曲げてまでヒチョルと一緒にいたい・・・と思いました

・・・ヒチョル・・・君を置いて逝きたくない・・・ごめん・・・な・・さ・・い・・・」




そう言い残してハンギョンは逝ってしまった

ヒチョルに悪魔としての能力があったなら無理にでも契約を成立して

ハンギョンの魂を魔界に持ってくることもできたが

残念ながら能力は封じられていたために

清らかなハンギョンの魂は神のいる天国へ行ってしまった



魂のなくなった遺骸を抱きしめながらヒチョルはただひたすら泣いていた

魔界からモニターを見て異変に気付いたイトゥクがやってきたときは

ヒチョルはハンギョンの遺体を人間界の通例どおりに埋葬を済ませた後だった

人間を愛してしまった悪魔・・・それもいまどき珍しい純愛・・・

ヒチョルは魔界に戻ることが許されて

封印されていた能力も元に戻され現在に至っている


あの時イトゥクの呟いた言葉

「天国に行った魂はまた生まれ変わることが出来るそうだよ」

その一言を心のよりどころして

ヒチョルは長い間ひたすらハンギョンの魂を探し求めていたのだった・・・・・
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